福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2009年2月18日

違法収集証拠


『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)

○違法収集証拠とは
捜査官が違法な手段によって集めた証拠のことです。広い意味では、自白も含みますが、通常は、捜索や押収によって集めた資料を言います。このような捜査官が違法な手段によって集めた証拠は、法廷で証拠として取り調べてはいけえないというルールがあります。これを、違法収集証拠排除の法則といいます。

○たとえば、証拠調べ手続のなかで
弁護人が、「検察官申請の証拠物○○は、裁判官の捜索差押許可状なしに差し押さえられたものであり、違法収集証拠として排除されるべきです」と主張します。

○捜査は、法律で定めた手続にしたがって行わなければなりません。関係者の基本的人権を侵すことがないように、刑事訴訟法などの法律で、厳密な手続が定められています。
あってはならないことですが、そのような手続に違反して集めた証拠は、裁判で使うことはできません。このルールが違法収集証拠排除の法則です。これは裁判への信頼を守ることになりますし、また違法な捜査を繰り返させないことにつながります。

○違法収集証拠であるとの主張は、公判前整理手続でなされるため、裁判員が参加する公判の段階ではすでに排除されていることもありますが、公判でこの点に関する主張立証がなされることもあります。
そのようなときに、裁判官は裁判員に意見を聴くことができます。ただし、排除するかどうかを決定する権限を有しているのは3人の裁判官だけです。

○法廷で裁判員が証拠を見てしまった後で、その証拠が違法収集証拠として排除され、証拠として採用されないことがきまることもありえます。そのときには、その証拠は「なかったもの」として、裁判員は無視して判断しなければなりません。

  • URL