福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2008年4月21日

説得のテクニック

 近着の判例タイムズ1261号に説得のテクニックが紹介されています。役に立ちそうな内容です。(な)

説得に使われるテクニック
 受け手を説得する方法は、受け手にこちらの主張を聞かせて納得させるというだけではない。受け手の行動を促したり、送り手と受け手の相互作用によって受け手が送り手のメッセージに応じるようになる、ということがある。
 
○ フット・イン・ザ・ドア・テクニック
 応諾獲得戦略として非常にポピュラーなもの。これは小さな要求から大きな要求へ、だんだん要求を大きくしていき、最後の一番大きな要求を受け手に受け入れさせる方法である。たとえば何かの勧誘で、簡単な街頭アンケートに回答し、それを受け手がしたら次は喫茶店に誘い、喫茶店までついてきたら今度は英会話教材の購入などのさらに大きい要求をしていくというもの。

○ ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
 これはフット・イン・ザ・ドアの反対のもの。最初に「これは絶対聞いてもらえないだろう」という大きな要求をする。もちろん受け手は拒絶するが、受け手が拒絶したのを見はからって、より小さくて穏当な要求をして応諾させるという方法である。送り手が譲歩したのだから受け手も譲歩しなくてはならない、と受け手に思わせ、応諾を引き出す方法。

○ ザッツ・ノット・オール・テクニック
 これはドア・イン・ザ・フェイスの一応用バージョンであり、通販番組などでもよく見られる。ある価格で製品を呈示し、買い手が反応する前に、「それだけではありません!」と言って、割引をさらに呈示したり、おまけが付くことを強調する、という方法である。

○ ロー・ボール・テクニック
 これは、最初によい条件を提示して契約をする気にさせ、承諾させる。これが、相手にとりやすい玉を投げるという意味で「ロー・ボール」と呼ばれている。そのうえで最初の「よい条件」を取り払ってしまうという方法である。最初の選択にコミットしてしまうために、このようなことが生じる。

○ 一面提示と両面提示
 一般に物事には、説得する側にとって都合のよい面と悪い面があると考えられる。そのようなとき、それを両方示した方がよいのか、それともよい方だけを示した方がよいのか?両方示すとしたら、どのようにするのがよいのであろうか?
 次のような実験結果がある。はじめから送り手と同じ意見を持っていた人には、一面提示の方が効果的であり、一方、送り手と反対の立場だった人に対しては両面提示の方が効果的であった。また、両面提示は教育程度の高い人にとって有効だ。
 これまでの知見では、一面提示が有効なのは受け手の教育程度が低く、提示される議論に詳しくなく、送り手の主張が複雑でなく、当然性が高く、受けてが送り手にはじめから賛成で、受け手はあとで逆の立場からの説得にさらされないときであり、その他の場合には両面提示が有効であるとされる。

○ 結論を明示するか保留するか
 反対尋問のときなど、最終的な結論まで証人に言わせてしまうか、その手前で止めて裁判官や裁判員に考えさせるかはひとつの問題。これまでの知見をまとめると、次のようになる。
 (1)受け手の知的水準が高いときには、結論は保留した方がよい。(2)議論の内容が複雑で高度なときには明示した方がよいが、そうでないときには受け手に結論を出させた方がよい。(3)受け手が自ら結論を出そうと強く動機づけられているときには、受け手に結論を出させた方がよい。

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