福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2008年4月14日

分かりやすい裁判用語

『季刊・刑事弁護』(54号)に、日弁連の法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチームが報告書を出したことが紹介されています。かなり分かりやすくなったとは思うのですが、実際には、いろいろと言い換えたり、具体的な説明をそのつどする必要があることでしょうね。(な)

合理的な疑問(合理的な疑い)
証拠にもとづいて、皆さんの常識に照らして有罪であることに少しでも疑問があったら、有罪にはできません。そのような疑問が残っていたら、無罪にしなければなりません。

 「合理的な疑い」という表現を用いなかったのは、たとえば、一般的に「疑い」という場合、無罪方向を意味するのではなく、「犯人である疑い」というように、有罪方向で用いられることが多い。そこで、そのような使用方法をされている「疑い」という言葉を用いることは、裁判員の理解の妨げとなるという理由による。

 最高裁は、合理的疑問について、次のように説明することを提案しています。
 「過去にある事実があったかどうかは直接確認できませんが、普段の生活でも、関係者の話などをもとに、事実があったのかなかったのかを判断している場合があるはずです。ただ、裁判では、不確かなことで人を処罰することは許されませんから、証拠を検討した結果、常識にしたがって判断し、被告人が起訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に、有罪とすることになります。逆に、常識にしたがって判断し、有罪とすることについて疑問があるときは、無罪としなければなりません」
 ここでも「合理的」という用語を用いないこと、「疑い」ではなく「疑問」としていること、「常識」という用語を用いていることなどの点において、日弁連PTの報告書と似ています。
 なお、最高裁の2007年10月16日判決は、「ここに合理的疑いを差し挟む余地がないというのは、反対事実が存在する疑いをまったく残さない場合をいうのもではなく、抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても、健全な社会常識に照らして、その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には、有罪認定を可能とする趣旨である」としています。

  • URL