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あさかぜ基金だより ~あさかぜのこれまで~

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 青 木 一 愛(65期)

あさかぜ基金法律事務所は、平成20年9月に開設されました。現在、事務所開設から5年9か月が経過し、間もなく丸6年を迎えようとしているという時期になるかと思います。そこで、本稿では、(大変中途半端な時期ではありますが)改めて当事務所のこれまでを振り返りたいと思います。

さて、当事務所の開設当初は、旧61期の井口夏貴弁護士1人が所属している状況でした。当時の事務所は南天神ビル7階の1室であり、今の事務所(同ビルの2階)に比べると、若干狭かったようです(もっとも、所員は井口弁護士1人でしたから、事務所は広く感じられたのではないかと思いますが)。

その後、同年12月には新61期の細谷文規弁護士、水田祐輔弁護士、吉澤愛弁護士が入所して弁護士4名体制となり、以降は、毎年、2~3名の新人弁護士が入所し、常時弁護士4~6名体制で稼働しております。

当事務所は、「九弁連管内の司法過疎・偏在問題を解消する」ことを目的として設立されたものです。そのため、当事務所の所属弁護士は、事務所を退所後、九弁連管内のひまわり公設事務所又は法テラス4号事務所の所長弁護士として赴任することや、いわゆる司法過疎地において新規に事務所を開業することが予定されております。
そこで、これまでの所属弁護士の赴任先について振り返っていきます。

井口夏貴弁護士(旧61期) 2009年10月~
 対馬ひまわり基金法律事務所へ赴任
細谷文規弁護士(新61期) 2010年1月~
 法テラス高森法律事務所へ赴任
水田祐輔弁護士(新61期) 2010年6月~
 西都ひまわり基金法律事務所へ赴任
吉澤愛弁護士(新61期) 2011年1月~
 島原中央ひまわり基金法律事務所へ赴任
井寄靖弁護士(新62期) 2011年9月~
 井寄法律事務所を開設
伊藤拓弁護士(新62期) 2011年10月~
 対馬ひまわり基金法律事務所へ赴任
坂巻道生弁護士(新62期) 2012年3月~
 小林ひまわり基金法律事務所へ赴任
松坂典洋弁護士(新63期) 2012年1月~
 壱岐ひまわり基金法律事務所へ赴任
城石恵理弁護士(新63期) 2012年10月~
 法テラス指宿法律事務所へ赴任
油布貞徳弁護士(新63期) 2013年4月~
 ゆふ法律事務所を開設
福元温子弁護士(新64期) 2013年6月~
 法テラス五島法律事務所へ赴任
小池寧子弁護士(新64期) 2013年8月~
 法テラス徳之島法律事務所へ赴任
今井洋弁護士(新64期) 2013年11月~
 法テラス壱岐法律事務所へ赴任

このように振り返ると、まず、離島の公設事務所へ赴任した例が多いことが分かります(13名中6名が赴任)。特に、昨年度は、新64期の弁護士が全員離島の法テラス事務所へ赴任しており、より一層、この傾向が色濃いものとなりました。また、対馬のように当事務所の出身者(井口弁護士)から出身者(伊藤弁護士)へと所長が交代している事務所もあれば、壱岐のように、ひまわり公設(松坂弁護士)及び法テラス(今井弁護士)のいずれの事務所も当事務所の出身者が所長を務めている地域もあります。

一方、昨年4月には、油布弁護士が福岡県大川市(現在、弁護士は油布弁護士1名のみ)に独立開業しており、今後は、このような形で、当事務所の出身者が、司法過疎地に定着することを前提に事務所を開設する例も増えてくるでしょう。

更に、細谷弁護士は、法テラス高森での任期を終えると、鹿児島県出水市(現在、細谷弁護士も含め弁護士2名)に事務所を開設し、引き続き弁護士の少ない地域で弁護士業務を行っています。今後、当事務所の出身弁護士も、順次、上記の事務所の任期を終えることになりますが、これらの弁護士が、新たに司法過疎地で独立開業したり、ひまわり公設事務所を引き継ぐ形でその地域に定着したりする事例も増えてくるでしょう。

以上、簡単に当事務所のこれまでを振り返って参りました。
今後も、当事務所の所員は、司法過疎地に赴任又は独立開業することを志し、研鑽を積んで参る所存ですので、会員の皆様には、引き続きご指導・ご鞭撻賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

給費制本部だより 「4.15院内集会のご報告」

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会 員 石 井 衆 介(66期)

1 はじめに

平成26年4月15日、参議院議員会館1階講堂において、ビギナーズ・ネット等共催のもと、日弁連主催の「司法修習生への給費の実現と充実した司法修習を求める院内集会~給費の実現へ『国民の理解は得られています!』~」が行われました。

今回私は、給費制本部本部長代行の市丸信敏先生、同本部委員の髙木士郎先生、鐘ヶ江啓司先生と共に、同集会に参加させていただきましたので、その模様をご報告させていただきます。

2 院内集会の概要

今回の集会には、衆参両院から61名(本人出席21名、代理出席40名)の国会議員が参加されました。さらに日弁連関係者、各種支援団体代表者の方々など多数の参加があり、その合計数は180名を超えました。このことは、給費制廃止に対する注目度の高さを象徴しているといえます。

集会の進行について簡単にご説明します。

まず初めに第65期弁護士の野口景子先生より、貸与制経験者の立場から、司法修習生の実情についてご報告がありました。先日フジテレビの番組「ニュースJAPAN」内で放送された映像を用いながらのご説明であり、参加者の方々にも、司法修習生の窮状をよりリアルに感じ取っていただけたように思います。

その後、日弁連の村越進会長のご挨拶により開会し、続いて前回の院内集会同様、参加された国会議員の方々に、給費制の問題について、個別のご発言をいただきました。さらに、ビギナーズ・ネットによって給費制復活にご賛同いただけた各団体の紹介がなされ、公害・地球環境懇談会の小池信太郎代表幹事からも、給費制復活に向けた温かいメッセージをいただきました。

3 国会議員のご発言等

今回何よりも特徴的だったことは、国会議員の方々のご発言だけで、院内集会の終了予定時刻となってしまったことです。それほど多くの方々が、給費制が廃止された現状に問題を感じておられるということであり、同時に、発言時間が長くなったことは、お一人お一人が、この問題の解決に向けて強い意欲をお持ちであるということの表れでもあるといえるでしょう。

司法修習生や若手法曹の経済状況等ミクロな観点からだけではなく、法曹志願者の激減や国際的な司法戦略というマクロな観点からも、多数の問題点が指摘されました。もはや、司法修習生に対する何らかの経済的支援が必要であることは、集会参加者の共通認識であったといえます。

また、与野党を含めた複数の議員から、超党派による解決が繰り返し指摘され、国会における問題意識と給費制復活への声が着実に広がっていることが実感されました。

既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、院内集会の直前である平成26年4月9日、公明党法曹養成に関するプロジェクトチームが、法曹養成に関する緊急提案を発表しました。同提案では、司法修習生に対する経済的支援の必要性についても明言されており、「修習手当」制度の創設をも選択肢に含めた抜本的な改革が要請されています。

一方自民党も、同日、自民党政務調査会及び司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議が、法曹人口・司法試験合格者に関する緊急提言を発表しましたが、同提言では、そのタイトルからも明らかなとおり、主に司法試験の合格者に関する検討がなされ、司法修習生への経済的支援については触れられていません。そのため、自民党の給費に関する今後の方針には注目が集まっていました。

そんな中、自民党の司法制度調査会の事務局長代理も務めておられる宮崎政久衆議院議員から、同調査会は、既に残された司法制度の諸問題についても検討する準備に入っているとの心強いご発言をいただきました。

福岡県選出の国会議員としては、原田義昭衆議院議員及び仁比聡平参議院議員のお二人に、ご発言をいただくことができました。特に仁比議員は、国会議員のご発言のトリとして、債権回収に怯えることになる若手法曹や携帯弁の例を挙げながら、給費の問題は日本の司法のあり方にかかわる重要課題であると熱弁されており、給費制復活にかける思いを強く感じられました。

今後、国会において、給費制に関する議論がますます活発になることが期待されます。

4 おわりに

以上のとおり、院内集会に参加していると、給費制復活に向けた各種取り組みが、少しずつ実を結び始めているのではないかと感じられます。また、弁護士会以外の諸団体の方々の間でも、給費制への支援は確実に広まっています。

当会会員の先生方におかれましても、今後の展開を見守っていただきますとともに、引き続き変わらぬご支援の程よろしくお願い申し上げます。

弁護士に期待されること・家族の役割

カテゴリー:月報記事

会 員 西 野 裕 貴(66期)

平成26年3月20日に行われましたアルコール依存症研修会第2回「弁護士に期待されること・家族の役割」に参加いたしましたので、ご報告いたします。

1 福岡保護観察所長荒木龍彦氏のお話

研修会の前半は、福岡保護観察所長の荒木龍彦氏より、ご自身の立場からみたアルコール問題の現状と課題についてお話しを頂きました。

荒木氏は、まず、窃盗、殺人、放火、性犯罪等の重大犯罪は、それ自体は罪とならないアルコールの問題が原因となっていることが多いと話されました。

そのため、近年は、刑務所において、受刑者に対し、薬物の危険性だけでなくアルコールの問題について深く理解してもらうために多くの時間を割いて話がされていること、刑務所によっては、元受刑者がアルコール問題について話をするために刑務所内に立ち入り話をすることが認められる場合があるとのことでした。

荒木氏がアルコール問題の課題として挙げられたのは、自己がアルコール依存症であることの認識を欠いている患者を治療につなげていくことの困難さでした。そして、この課題を克服するには、アルコール依存症患者の近くにいる家族への介入を強化すること、また、問題の当事者である自助グループとの連携の強化が必要であると話されました。

2 福岡県断酒連合会の家族会員のお話

三人お話しになられたのですが、紙面の関係上お一人の話を要約します。現在断酒されているアルコール依存症の旦那さんの横で次のように話されました。

私は、夫と結婚し、二人の子供ができ幸せな生活をしていました。しかし、夫は、いつの間にか晩酌では足りず、よく飲み屋に入り浸るようになりました。子供のミルク代も飲み代に消えていく始末でした。

あるとき、飲んだ旦那が、中洲でタクシーの無賃乗車をしたので、その代金を払いにいったところ、旦那はタクシーを降りて、また中洲の飲み屋へ消えていきました。このときは旦那を殺してやろうと思いました。

しかし、旦那を殺して犯罪者になるのはバカらしかったので、離婚をしようと考え、毎日、旦那の悪行をノートにつけていました。

ようやく、旦那を病院に連れて行くことができ、旦那を入院させることができました。息子は「これでやっと車庫の段ボールで寝らんでよくなったね」ととても笑顔でした。

旦那が退院する1週間前には、恐怖で眠れませんでした。

旦那は退院後、お酒を飲まなくなり、以前の平穏な生活が戻りました。しかし、退院から1年が経つ日の1週間前に旦那は酒に手を付け、以前よりも、手を付けられないひどい状況になりました。そして、再度病院に入院となりました。

再度の退院後、私は旦那と共に断酒会の会員となりました。同じ悩みを持つ断酒会の会員同士で話し合いを根気強く続けることで、48歳で断酒した旦那は72歳になった現在まで断酒を続けることが出来ています。

3 感想

本PTの花田先生がおっしゃったように、弁護活動に際し、被疑者・被告人の被疑・公訴事実がアルコールの問題に起因していると感じたとしても、弁護活動時間の事実上の制限から、アルコールの問題までフォローすることが難しいのが現状です。

しかし、断酒会の家族会員の方の話から明らかなように、アルコール依存症は、患者本人だけでなくその家族や関係者までも不幸にする危険性を秘めています。
それゆえ、弁護活動に際しては、アルコールの問題から生じる多くの人の不幸を想像し、できる限りアルコールの問題をフォローすることに尽力することが大切であり、被告人が家族や自助グループの協力を得られるようサポートしていきたいと感じました。

ITコラム

カテゴリー:月報記事

会 員 小 川 松太郎(59期)

1 「IBMはベンツ、コンパックはBMW、日本製は日本車かな」。
20年くらい前、大学の友達がパソコンのキーボードについて言った言葉です。
その言葉の意味が最近分かるようになってきました(コンパックは後にHPに吸収合併される)。

2 私が使っているノートパソコンは、IBM社製のThinkPad・X40(以下「X40」と言います)というものです。
このX40は、平成17年ころ(約9年前)に購入したもので、当時のIBMのノートパソコンの中では、最小、最軽量、ハイパフォーマンスを謳っており、バッテリー持続時間も最大で10時間、OSもwindowsXPprofessionalが搭載される等機能としては申し分ないものでした。
それが、4年前にバッテリーの充電が出来なくなり、使用するにはACアダプターをコンセントに差し込まなければならず、ノートなのに携帯できなくなりました。ある時、少年事件の記録を書き取るため家庭裁判所にX40を持ち込み、ACアダプターをコンセントに差し込もうとしたら、職員から怒られました。家庭裁判所の電源は使ったらいけないのです。
3年前からパソコン本体が異常に熱くなったり、突然電源が落ちたりするようになり、書面が消えてしまう等の事態が発生したため、やむを得ず買換の検討をはじめました。

3 この3年間Let’s noteやMacBook等のノートパソコンを検討していますが、悩むだけで、未だに新しいものが買えません。
どうしてか?X40のキーボードより良いものがないからです。
キーを押す感触やキーの返しが良い、シャキ・シャキという静かで知的な音が良い、何より慣れている等いくつか理由があるのですが、とにかく、X40で打つと快適なのです。そのため、X40で起案すれば準備書面の出来も良くなるような気がします(実際は変わりません)。
当時のIBMの製品仕様には、「人間工学に基づきチューンされた7列フルサイズ・キーボード」と記載されており、今更ながらなるほどと感心しています。
事務所内でもデスクトップパソコンがあるのに、わざわざその前にX40を置いて起案することも頻繁にあります。

4 ということで、今後もX40が完全に壊れるまで使い続けるでしょう。
書面が消えることが分かっていれば頻繁に保存をくり返せばいいし、本体が熱くなったら休憩させればいいし、コンセントのないところでは起案しなければいいし、少年事件の記録も手書きで書き取ればいいのです。
ノートパソコンと思うからいけない、快適パソコンと思えばいいのです。
たとえwindowsXPのサポートが終了(平成26年4月9日)しても大丈夫。

◆憲法リレーエッセイ◆ 集団的自衛権と「積極的平和主義」

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会 員 永 尾 廣 久(26期)

集団的自衛権と憲法

4月10日、日弁連会館(クレオ)で、日弁連主催のシンポジウムがあった。3年つとめた日弁連憲法委員会の委員長としての最後の仕事として、パネルディスカッションの司会をつとめた。4人のパネリストは多彩で、豪華メンバーだった。

北澤俊美・参議院議員は、防衛大臣経験者として集団的自衛権の行使を容認することの恐ろしさを語り、同じく元内閣法制局長官の阪田雅裕弁護士が政府解釈の変更がなぜ許されないのかを明らかにした。

半田滋氏は、防衛省そして自衛隊を取材して20年になるジャーナリストとして、話題を提供した。

谷口真由美氏は国際法の大学准教授であると同時に、全日本おばちゃん党代表代行として、関西弁で、難しい問題をもっと分かりやすく国民に訴えかけていく必要性を力説した。

以下、少しシンポジウムの内容を紹介したい。

究極のシビリアンコントロールは9条

民主党政権のもとで長く防衛大臣をつとめた北澤俊美氏は、精強な自衛隊が必要だという考えである。ただ、その活躍の場としては、3.11のような大規模災害現場を想定している。戦争を前提とするものではない。

この点は、私もまったく同感だ。3.11の現場で自衛隊が活躍したことを、私も高く評価している。大災害の場合には、警察力だけでは足りないことは明らかだ。

そして、制服組をコントロールするときの最大の拠りどころは、交戦権を認めない憲法9条だと北澤氏は強調した。私は、この点についても、なるほどと思った。

防衛大臣として何回も訪米してアメリカの政府首脳と会った体験をふまえて、北澤氏は、アメリカが日本に集団的自衛権を行使できるようにすることを求めている事実はないと断言する。ただし、海上自衛隊の幹部のなかには行使容認を求める人もいるが、それはアメリカ軍との合同演習に参加したときに不便だという理由からなので、これは、なんとか解決する方法はあるとみている。

安倍政権が集団的自衛権の行使容認を強引にすすめようとしているのは、本当に危険なことだと北澤氏は何回も強調した。

自衛隊の任務は人命救助

半田滋氏(東京新聞編集委員)の示した画像はショッキングだった。イラクへ派遣された自衛隊の装甲車には大きな日の丸のシールを貼っているように日の丸が目立つ。一人ひとりの隊員にも日の丸のワッペンが身体のあちこちに貼られていて、服装も砂漠では目立つ深緑色だ。これはアメリカ兵と際立って異なっている。アメリカ兵のほうは、砂漠に溶け込む茶色の服で、もちろん星条旗なんて身につけない。

これは、両者の任務の違いから来ている。アメリカ兵は、あくまで戦場で殺し合いをするためにイラクにいる。だから目立ってはいけない。しかし、日本の自衛隊員はイラク復興支援、いわば人命救助に来ている。だから、アメリカ兵と決して見間違われないように、日の丸をあちこち目立たせているのだ。

これが憲法9条の実際的効果である。まさしく9条は生きている。戦争をしない国から来た自衛隊は、人殺しではなく人命救助のために来たことがイラクの人々から理解されたおかげで、イラクで自衛隊員は一人も殺されることがなかった。

安倍首相は卑怯

阪田雅裕弁護士は、内閣法制局の長官をつとめた経験にもとづいて法律論を展開した。この60年間、日本の自衛隊は戦力でないと、政府はずっと言い続けてきた。そして、集団的自衛権は行使できないとしてきた。それが行使できるというのであれば、自衛隊は外国の軍隊と同じものになってしまう。そうなると、憲法9条は、あってないようなものになる。そんな重大なことを、憲法改正ではなくて、安倍首相は閣議決定で変更するという。

これは卑怯だと思う。正々堂々と国民に問いかけて、きちんと信を問うべきだ。憲法9条を空文化することは、身内が戦争で死ぬかもしれない、外国へ殺しに行くようになるかもしれない。その覚悟があるのか、国民は問われることになる。

元法制局長官のこの言葉は、とてつもなく重い意味がある。

安倍首相の「積極的平和主義」

安倍首相がなんかいいこと言ってるよな・・・、がんばってるんだね。そんな印象を与えるコトバだ。

しかし、だまされてはいけない。この言葉、実は全身が剣と鎧に覆われている。きな臭さが漂っている。積極的に武力で抑え込んで世界の平和を実現するということだ。そんなことを日本がやろうとしている。しかし、世界最強の軍事力をもつアメリカだって武力による平和を成功していない。かえって、テロを多発させたり、内乱状態を生んでいる。

本当の積極的平和主義

伊藤真弁護士とは、日弁連で一緒に活動している仲(副委員長)だが、彼は安倍首相のコトバの使い方は間違っていると主張する。本当は積極的非暴力平和主義として使われてきた。つまり、あらゆる暴力から解放された状態を積極的平和(主義)と呼んできた。積極的平和とは戦争のない状態のこと。積極的平和とは、戦争だけでなく、さらに、貧困や搾取、差別などの構造的な暴力がなくなった状態をいう。

武力を行使する「積極的平和主義」」とは・・・

安倍首相は集団的自衛権についての政府解釈を一変させて容認しようとしている。日本を戦争する国に変えようというわけだ。そして、世界の平和を日本の武力で守るという。世界の不正と悲惨、不安と恐怖を除去するために積極的に貢献する。そのためには武力行使も辞さない。これを積極的平和主義というのである。

これまでの日本は、積極的・受動的平和主義だった。これからは、積極的に平和を維持、回復するためには武力行使をふくめた積極性が必要だと安部首相は叫んでいる。

安倍首相は、アメリカのスピーチでPositive Peaceではなく、Proactive Contributor to Peace(率先して平和に貢献する存在)という言葉をつかった。

しかし、武力で「平和を維持」しようというのは、一見、可能と思われるかもしれないが、実は無理なこと。そして、諸外国からは日本は変わった、日本は外国のために戦争をする普通の国になった、こう見られてしまう。これは、とてつもなく大きな変化であり、平和な国・日本のイメージが大きくダウンしてしまう。

集団的自衛権とは・・・

集団的自衛権は、個別的自衛権と文字面で似ているが、両者はまったく別のものなのである。外国を守るためのものとして限定しているわけでもない。

日本は何もしないと攻められる。では、何かしたら守れるというのか。アメリカは世界最大の軍事力を過去も現在も持っているが、9.11の事態を防ぐことは出来なかった。地球の裏側までもアメリカと一緒になって戦争しに行く日本なんて、絶対になってはいけないと私は思う。

日弁連憲法問題対策本部

憲法委員会の委員長職を3年間つとめた。この間に二度、人権擁護大会のシンポジウムに関わった。佐賀での教育シンポと広島での「国防軍」シンポ。教育問題という地味なテーマで、どれだけ参加者があるか心配したが、なんとか会場は埋まり、内容も充実していたので、もったいないので本にしようということになって出版した。だけど、売るのは大変だった・・・。

日弁連は、憲法委員会を発展的に解消し、この4月に憲法問題対策本部を発足させた。毎日のように憲法改正をめぐる動きが報道されているなかで、日弁連の活動を発展させ、強化しようというものだ。私も副本部長の一人になったので、引き続き微力を尽くしていきたい。

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