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◆憲法リレーエッセイ◆ そうだったのか!日弁連会議

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会 員 原 田 美 紀(59期)

「池上さんをもう一度呼びたいね。」
「吉永さん、本人はギャラいらないって言っているらしいけど事務所がね。」(と個人的なファンなのかくやしそうな大阪のN弁護士)
「本当は桑田さんにバーンと音楽やってもらって何とか人を集めたいんだけど・・・何か画期的なことやらないと・・。」(ずっと前から桑田さんイチオシの東京のF弁護士)
池上さんとは、「そうだったのか!」でご存じ池上彰さん。吉永さんは、女優の吉永小百合さん、桑田さんとは、歌手の桑田佳祐さんである。
芸能イベントの話ではない。日弁連憲法問題対策会議イベントPT(私はここに所属しました)で交わされていることばである。
誰を招いたら多くの市民を動員できるか、みな真剣。具体案が次々に出てくる。
昨年7月には、池上彰さんを口説き落とし、中学生限定企画夏休み親子憲法セミナー「池上彰さんと一緒に考えよう そうだったのか!憲法そして平和」を開催。とても好評であった。あまりの忙しさからか殆どの依頼を断られているという池上さんだが、テーマと中学生を対象としたイベントということでなんとか参加を承諾、時間を作っていただいたのだ。一旦お引き受けいただいたら、どんどん進んでいく。すごい人というのは、本当にすごい。

日弁連では、今、2014年7月1日の集団的自衛権行使等を容認する閣議決定を根拠とする関連法案の改正を行うことに反対する国民の声を広げて政府に届けようと、数々の運動を行っている。この春には全国一斉キャラバンも実施している。
ひとつの問題にこのように多くの予算を費やし、数々の運動をするというのは、日弁連にとっても初めての試みらしく、それだけこの問題に危機感をもっているのだといえよう。
それを受け、全国で数千人規模の市民集会やパレードが行われている(福岡県弁護士会でも去年の11月には600人規模の市民集会とパレードを、また今年の6月13日には福岡県弁護士会主催の1700人規模の市民集会、それに先駆けて筑後部会、8月2日には北九州部会で800人規模の市民集会が開催予定、ぜひ参加してください)。

日弁連のPT会議は2か月に1回の割合。
「たまには東京の空気を吸うのもいいと思いますよ。」お誘いいただいたときのN弁護士の言葉だ。
飛行機が苦手な私は片道5時間をかけ、新幹線で上京する。午後1時開始の会議に遅れまいと新幹線の降車口のある八重洲口から反対側の丸の内中央口まで東京駅構内横断のため猛ダッシュ。
会議の場の霞ヶ関の弁護士会館に着いた途端約4時間の熱い議論が開始するという具合だ。
長時間の会議にありがちな、だらだら感はまったくない。全国の弁護士が本当に真剣に熱い意見を戦わせているのだ。
確かに、「日米の国防に対する意見書云々」等の議論にはウルトラマンのピコピコ(古いですか)よろしくもうダメだと脳が拒否反応を起こしそうになったこともあるが、それでも、真剣に憲法問題を論じるたくさんの弁護士の存在、その意見を聞けるこの会議は楽しみであった。
「個人の問題を解決するという仕事も大切だが、それだけでなく、広く社会のことに目を向ける弁護士になってほしい。」修習の終わりに指導担当のN弁護士から言われたことばである。
私は3年間、日弁連の会議に参加した。この春から他の弁護士にバトンタッチするが、本当にことばには尽くせないほど多くのことを得た。目から鱗が落ちる思いも何度もした。
少しでも多くの若手弁護士が積極的に日弁連の会議に参加し、それこそ社会に目を向けてほしいと願っている。

こうした機会を与えてくださったN先生、本当に感謝しています。でも、東京の空気をゆっくり吸う時間はありませんでした。

◆憲法リレーエッセイ◆ 沖縄が問うているもの

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会 員 我那覇 東 子(50期)

私の出身は沖縄県那覇市で、県外の大学に行くまで過ごしました。米軍の戦闘機やヘリの騒音で会話が途切れるのは日常茶飯事でしたし、幼少の頃は、フェンスを隔てた美しい芝生の広がる敷地の米軍住宅や、のびのびと遊ぶ米国の子供らを羨ましく眺めたものです。そして、離れてみて想う故郷は、昔も今もかわらず、平和というものとは遠い、翻弄される激動の地でもあります。

<捨石の沖縄>

今年で戦後70年となります。先の大戦では幾多の尊い犠牲がはらわれました。中でも沖縄では激しい地上戦となった結果、10万人以上の民間人が凄絶な最期をとげました。以来、現在に至っても、彼の地は米軍支配の下、捨石のような状態が続いています。国土の0.6%、全国人口の1%の沖縄に、日本の米軍基地の74%が集中しています。そのために、日常的な米軍戦闘機やヘリの騒音被害、墜落等事故、環境破壊・汚染、米兵等による婦女暴行事件や交通事故等の様々な人権問題、社会問題が引き起こされています。

ちなみに、1972年本土復帰から2013年末までに沖縄県内で発生した「米軍航空機関連事故等」は、判明分だけで594件に上っています。その主な事故態様は、墜落45件、部品等落下46件、不時着439件。発生場所は、基地内443件、民間地151件――この内訳は、住宅付近20件、民間空港35件、空き家等31件、畑等15件、海上46件、その他4件(以上は沖縄県知事公室基地対策課資料)。つまり、年間14.5件、月に1~2件のペースで、狭小の沖縄では、何らかの米軍航空機関連事故が発生し、同時に、県民の平和的生存が脅かされ続けています。

2004年8月13日、沖縄国際大学構内に米軍ヘリが墜落・炎上しました。このヘリ、25メートルプール程の巨大なもので、私は九弁連人権擁護委員として墜落現場の視察に赴いてみたのですが、大学構内の建物壁に広がる黒く焼け焦げた惨状に、墜落の衝撃を想像して思わず息を呑んだのです。また、事故機の部品には、放射性物質(ストロンチウム90)が使用されていたため、墜落現場付近の汚染が濃厚となりました。

2013年8月5日、キャンプ・ハンセン内に米軍ヘリが墜落しました。墜落現場は基地内とはいえ、もともと狭小の地。飲料水を取水している大川ダムの北端すぐ、民家から僅か2キロ程の地点です。事故機の部品には、放射性物質(トリウム232)が使用されており、やはり土壌・水質汚染が強く懸念され、県民の健康被害も危ぶまれます。

<まるで他人事>

さて、渦中の普天間・辺野古基地を巡って、国は「普天間基地が固定化する。」という殺し文句を繰り返しては、その代替としての辺野古基地を強いるわけですが、では沖縄に辺野古基地が永劫に固定化するのはいいのか?(全く基地負担軽減にならない)普天間の危険性除去をいうなら、なぜ新たな基地周辺部のそれは放逐されるのか?この言説には、子どもでもわかるような詭弁があるだけでなく、その責任の主体というものが一向に明らかにされません。外国の軍隊に基地の提供をするのは、あくまでも主権国の責任に基づくものですし、ましてや、その場所を外国が特定するのは越権です。まずもって国内で決着すべき問題を等閑したまま、日米両国で決めたものだからと豪語してはばからない国の態度はいささか滑稽でもあります。今更ですが、70年も普天間基地を固定化し続けてきたのは、まぎれもなく国の責任であったということです。

<民主主義の真価が問われる>

この点、沖縄では従前から各自治体含めて新基地建設反対の声がありましたが、2010年、名護市辺野古の新基地建設に反対を掲げた稲嶺氏が名護市長に当選し、昨年11月には、同じく基地建設反対の翁長氏が沖縄県知事に当選しました。さらに、昨年12月の衆議院選挙でも、新基地建設反対を明確に政策目標とした4つの選挙区全ての議員が当選しました。こうした幾重もの民意に照らせば、筆舌を超えた基地被害を甘受しなければならない地元全体が、辺野古基地建設に反対である、と考えるのが筋でしょうし、かりにも主権国かつ民主主義国家である以上、その選挙結果には、米国も含めた再協議や検討を踏まえるなどの最大限の敬意が払われてしかるべきでしょう。

ところが、首相は、翁長新知事との面会を拒否し続け、沖縄振興予算を一方的に削減し、知事を支持した企業を公共事業から排除するなどして、公金で県民の首を絞めつけます。さらに、民意を一顧だにせず基地建設を強行したため、政府の露骨な県民切り捨ての暴挙に対して、地元の憤懣は高まり、溝は深まるばかりです。私は思いきり、いぶかしみたくなるのです。「果たして日本は民主主義国家を標榜しているのだろうか?」「はたまた、沖縄は昔も今も治外法権なのだろうか?」

<憲法問題のるつぼ>

こうした沖縄の問題は、決して小さな島内だけにとどまるものではありません。目下、墜落事故等の多いMV-22オスプレイの配備を巡っては、既に強行導入された沖縄のみならず、近隣の佐賀県でも重大な岐路に立たされています。今後の飛行演習の拡大や、昨年の混乱状態の中で決まった集団的自衛権の運用を絡めてみると、今後、全国各地で深刻な状況になっていくものと思われます。また、米国は、自国の財政状況の悪化に伴って、約20万人の海兵隊を15万人に削減する事態に直面している一方、日本も財政悪化の憂き目にありながら、なぜかいつまでも駐留外国軍のために莫大な公費を投入し続けています。沖縄で生じているこうした問題は、これからの国民の平和的生存の行く末や、法の下の平等、主権在民・民主主義のあり様といった、憲法の根本原則を先鋭的に問うている事柄のように思えます。

<世界は見ている>

国連人種差別撤廃委員会は、第3~6回日本政府報告書に対し、最終見解において、こう述べています。「さらに委員会は、沖縄における軍事基地の不均衡な集中は、住民の経済的、社会的及び文化的権利の享受に否定的な影響があるという現代的形式の差別に関する特別報告者の分析を改めて表明する。」つまり、国連は、日本政府に対し、沖縄の基地差別問題について警鐘を鳴らすとともに、以後も継続的に政府の対応を注視し続けているというのが現状です。

その他、日本と諸外国との関係や外交を俯瞰しても、国際社会とりわけアジア近隣諸国の中で信頼され、かつ協調していくためには、まずもって主権国として自立することに加え、自国の憲法が道標として照らし続けてきた、平和の希求、不断の人権擁護、そして成熟した民主主義の実践といったものが求められています。幾多の憲法問題を問い続けてきた沖縄への取り組みは、日本という国が、これからの国際社会の中で真の価値を見いだせるか否かの試金石になると思うのです。

<参考>

*沖縄県知事公室HP(ホームページ)

*「平和的生存権―米軍ヘリ墜落事故と基地・憲法問題」(九州弁護士会連合会HP「人権白書」)

*「米空軍HH60ヘリコプター墜落事故に関する理事長声明」(同HP)

「転ばぬ先の杖」(第12回)  顧客情報外部流出への備え

カテゴリー:月報記事 / 転ばぬ先の杖

ホームページ委員会 委員
是 枝 秀 幸(60期)

1 顧客情報外部流出

昨年起きた大きな出来事の一つとして、大手通信教育業者が保有していた顧客情報を外部へ多数流出させたことは、皆さんも記憶に新しいと思います。

顧客情報は、事業規模にかかわらず、多くの事業者において、営業活動のための情報として、日々、取得・使用されています。

もし顧客情報が外部へ流出してしまえば、流出を食い止めたり情報を回収したりすることは困難で、事業者は、相当期間にわたり、顧客情報を保有していたことによる競業他社に対する優位性を喪失するとともに、顧客からの信用も著しく失墜することとなるでしょう。

とはいえ、顧客情報は、事業者において、日々、取得・使用しているもので、外部へ流出することを完全に防止することはできません。

本稿では、顧客情報外部流出の発生の機会や影響をできるかぎり限定するための備えについて、何をすべきか、簡単に紹介したいと思います。

2 機密書類に「秘」印を押しておけばよい?

顧客情報外部流出への備えとしては、不正競争防止法上の営業秘密として管理することや個人情報保護法上の安全管理措置を講じること等が考えられ、経済産業省もガイドラインを公表しています。
経済産業省の営業秘密管理指針によれば、概ね、次のとおりです。
(営業秘密管理指針より、一部変更のうえ、抜粋)

【秘密管理性の判断要素として着目すべき点】
  • アクセスできる者が限定され、権限のない者によるアクセスを防ぐような手段が取られている(アクセス権者の限定・無権限者によるアクセスの防止)
  • アクセスした者が、管理の対象となっている情報をそれと認識し、またアクセス権限のある者がそれを秘密として管理することに関する意識を持ち、責務を果たすような状況になっている(秘密であることの表示・秘密保持義務等の設定)
  • それらが機能するように組織として何らかの仕組みを持っている(組織的管理)
【Aに関する具体的な管理方法】
  • アクセス権者の限定
  • 施錠されている保管室への保管
  • 事務所内への外部者の入室の禁止
  • 電子データの複製等の制限
  • コンピュータへの外部者のアクセス防止措置
  • システムの外部ネットワークからの遮断
【Bに関する具体的な管理方法】
  • 社員が秘密管理の責務を認知するための教育の実施
  • 就業規則や誓約書・秘密保持契約による秘密保持義務の設定等
【Cに関する具体的な管理方法】
  • 情報の扱いに関する上位者の判断を求めるシステムの存在
  • 外部からのアクセスに関する応答に関する周到な手順の設定

以上のとおり、秘密管理性等は、具体的な管理方法等を踏まえ、総合的に判断されるものです。

機密書類に「秘」印を押しておけばよい、という簡単なものではありませんので、注意が必要です。

3 弁護士にご相談を

顧客情報外部流出への備えを実施するためには、情報技術的な事項に関してIT事業者に相談するとともに、秘密保持義務の設定等の法技術的な事項に関して弁護士に相談することが望ましいでしょう。

秘密管理性等は、具体的な管理方法だけでなく、事業規模、業種、情報の性質、侵害態様等を踏まえ、総合的に判断されることになります。
顧客情報外部流出への備えは現実的に可能な範囲で一応実施しているという場合には、弁護士に法的観点から検証してもらうとよいかもしれません。

片山昭人判事講演会

カテゴリー:月報記事

会 員 岡 田 美 紀(66期)

1 はじめに

昨年平成26年12月5日、福岡高裁の片山昭人判事による講演会が行われました。

片山判事は、昭和62年に判事補任官、平成2年からは弁護士としてご活躍された後、平成19年に弁護士任官で判事に任官されました。

実は、片山判事には一昨年もご講演いただいたのですが、その際のお話が大変好評を博し、再度ご講演いただきたいとの要望が多く寄せられたことから、今回の講演会を開催する運びとなりました。昨年1月号の月報にも片山判事が執筆された記事が掲載されておりましたので、ご存じの先生方も多いのではないでしょうか。

講演会当日は、師走の大変忙しい時期、しかも金曜日の夜だったにもかかわらず、弁護士会館3階ホールの席が足りなくなるほどの大盛況でした。中には県外から足を運ばれた先生もいらっしゃったようで、片山判事のご講演に対する期待の大きさが窺われました。

2 講演

片山判事には、「”後発”は明確に優れていなければならない~若手弁護士への期待」をテーマにご講演いただきました。

(1) 人間力

まず冒頭で、一流の法律実務家に必要な実力とは、知力・胆力・体力を総合した「人間力」であるとのお話しがありました。若手は自らを鍛え、この「人間力」を高めていかなければならないのですが、成長する上で大切なのは、大変な状況に置かれたときに、弁解や不満ではなく「HOW(どうすればいいか?)」を考えることだといいます。「厳しい制約の中でこそ成長の余地がある」という片山判事の言葉に、苦しいことから逃げ出してしまいがちな私は大変反省させられました。

(2) 訴訟追行能力

続いて、我々弁護士にとっても気になる、訴訟追行のポイントについてのお話しがありました。

訴訟追行とは、裁判所を説得することであり、説得の方法、説得材料である証拠収集の方法、収集した材料を基にしたプレゼンテーションの方法等について、ご自身の経験談も交えながら具体的に解説していただきました。

日本の訴訟制度上、証拠収集には様々な制約がありますが、片山判事はそれをカバーするために様々な工夫をされており、経験の少ない若手弁護士にとっては大変勉強になりました。裁判所の説得にあたっては、核心を突いたシンプルな主張を行うことが大切なのですが、シンプルな主張をするためには、時間をかけて十分に証拠を収集・整理し、事案を分析しなければならないのだということを改めて実感いたしました。

(3) 弁護士任官

冒頭でもご紹介したように、片山判事は弁護士任官者でいらっしゃいます。片山判事は、弁護士任官制度の意義として、裁判官が体験しないことを体験している弁護士が任官することで、裁判所に複眼的な思考をもたらすことなどを挙げられていました。今回の片山判事のご講演も、裁判官・弁護士双方の立場を踏まえた多様な視点からの内容で、弁護士任官者ならではのものだったように感じます。

今後、弁護士任官者が増え、裁判の質がさらに向上していくことを願っております。

3 おわりに

片山判事は、抽象的な事柄であっても、端的なキーワードを使ってわかりやすく説明されており、すっと頭に入る上、記憶にも深く残りました。ご講演の内容はもちろんですが、巧みな話術は、まさに「説得する力」にほかならないと感じました。
片山判事をはじめ、優秀な諸先輩方から学ぶことができるのも、”後発”である私たち若手の特権です。多くを学び、人間力を高めて、優れた法曹実務家を目指していきたいと思います。

◆憲法リレーエッセイ◆ 2014年のノーベル平和賞から日本国憲法9条、集団的自衛権を考える

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

九弁連憲法委員会連絡協議会委員長
椛 島 敏 雅(31期)

<2014年ノーベル平和賞受賞>

2014年のノーベル平和賞は女性や子供の教育を受ける権利を訴えて活動するパキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)とインドの人権活動家のカイラシュ・サティヤルティさん(60)が受賞し話題になりました。マララさんはテロによる銃撃で瀕死の重傷を負いながら活動を続ける勇気ある最年少のノーベル賞受賞者である。また、インドとパキスタンというカシミール地方の領有権をめぐって核兵器を開発保有してまで対立する両国の、普遍的な人権活動家がノーベル平和賞を受賞したことは互いの国の人権が伸長しすべての人にあまねく教育が施されていけば武力によらず平和が達成できるという強いメッセージでもある。二人の今後の活動に注目していきたい。

また、そのノーベル平和賞選考過程で、「憲法9条を保持している日本国民」がノーベル平和賞候補にノミネートされたことも話題を呼んだ。残念ながら受賞には至らなかったが、アフリカ内戦の悲惨さや祖母から聞いた戦争の体験談に戦争の罪深さを深刻に感じていた主婦が憲法9条を読み、それを日本国民が70年間守ってきたことに感動して発案した取り組みが、日本国憲法9条をノーベル平和賞の候補にして、その存在を世界に知らしめたのである。仮定の話しであるが、もし、受賞決定になっていたら、国民を代表して安倍首相が受賞式に列席するという栄誉に浴していたかもしれない。しかし、安倍首相は、憲法9条を敵視し廃止したいと願っている改憲論者であるから、本意でない栄誉を受けることを強く固辞していたであろう。受賞式には日本国憲法を公布し、憲法で日本国民統合の象徴として、憲法を守っていくと発言されている天皇陛下が参列されることになっていたであろうか。

<安倍晋三内閣総理大臣>

安倍晋三氏は、戦後の歴代総理大臣の中で、唯一公式に憲法9条の改憲を主張する総理大臣である。2014年7月には、戦後、自民党政権が一貫して憲法9条のもとでは集団的自衛権の行使は認められないとして来た憲法解釈を、内閣法律顧問の法制局長官の首をすげかえて変更し、集団的自衛権行使容認の閣議決定をした責任者である。第2次安倍政権になり憲法96条の改正手続条項を緩和する変更をしようとして、国民の大反発を受けて断念し、「解釈」改憲を企図している。その政治姿勢は立憲主義違反であるとの意見をまったく意に介しない総理大臣である。

<ノーベル平和賞候補にふさわしい活動を>

新しい年2015年は、総選挙で「安定多数」を占めた安倍政権が閣議決定している集団的自衛権行使容認の具体的な法整備を強行してくる年になる。昨年の弁護士会のシンポで基調講演された小林節慶応義塾大学名誉教授は、集団的自衛権は「日本が他国(同盟国)の戦争に加担することである。」とその本質を分かりやすく説明された。集団的自衛権をその様に理解されるとまずいと思ったか、安倍政権は新要件であるとして「わが国と密接な他国に対する武力攻撃が発生し、わが国の存立が脅かされ、国民の人権が根底から覆される明白な危険がある場合に限り、わが国も参戦できる。」と説明するようになった。しかし、どのように言い繕いをしようとも、日本が他国の戦争に参戦していくことに変わりはない。これは国権の発動たる戦争を永久に放棄し、交戦権の否認、陸海空軍その他の戦力はこれを保持しないと定める現行憲法9条に違反することは明らかであり、憲法に基づく政治、立憲主義を踏みにじるものである。

このような状況の中で、私たち弁護士会が行う立憲主義を守れとの声明やパレード等の行動提起は貴重である。私は、

憲法は法律の根本にあるものです。その憲法解釈を一内閣で変えることは認められていません。

他国のために武器を持って外国へ行く理屈は憲法からは出て来ません。

国会では少数派でも、草の根では多数派です。弁護士会も立ちあがっています。

みなさんも一緒に声を上げてください。

等々と訴えて行きたいと思っています。
日本国民が70年間近く護り通してノーベル平和賞候補にもなった憲法9条が踏みにじられる行為を黙って傍観しておくことは出来ない。

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