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『全国一斉奨学金問題ホットライン』

カテゴリー:月報記事

生存権の擁護と支援のための緊急対策本部員 阿比留  真由美(66期)

平成27年11月18日13時から19時、日本弁護士連合会及び各弁護士会主催『全国一斉奨学金問題ホットライン』が開催されました。

奨学金問題を抱える相談者(主債務者・連帯保証人・親族等)から、各弁護士会の担当者が電話で相談を受け、当会では、生存権緊急対策本部の委員4名が担当しました。

教育費の高騰及び経済的困窮者の増加に伴い、進学費用を奨学金に頼る人が増加しましたが、労働環境の悪化や就職困難、収入の不安定さにより、奨学金債務の返済に窮する人が増加しています。特に、独立行政法人日本学生支援機構は返済困窮者への対応が厳しく、返済免除・猶予の条件も制限し、返済に窮する若者及びその家族が経済的・精神的に追い詰められています。

当会に対する相談件数は、合計26件であり、返済期限の猶予・減額返済等の方法を知りたい、延滞金が多いため返済しても減らない、奨学金の取立てが厳しいなどの相談が多く、日本学生支援機構や制度自体に対して不満を持たれている方もいらっしゃいました。

病気や低収入で返済が不可能、連帯保証人が父母というケースが多く、高齢の父母が返済するも延滞金が多いため返済しても一向に減らない、連帯保証人に迷惑を掛けられず、自宅を手放せないなどの理由から破産できないという方もいらっしゃいました。

本企画を通じ、猶予及び免除条件の緩和や給付制への移行など、奨学金制度の変更に向けて活動する必要性を強く感じました。

遺言・相続全国一斉相談会

カテゴリー:月報記事

高齢者障害者委員会委員 原 口 圭 介(63期)

お世話になります。高齢者障害者委員会の原口と申します。

去る平成27年11月16日、「遺言・相続全国一斉相談会」を開催いたしましたので、報告いたします。

1 いいいごんの日(11月15日)にかけての相談会であり、本年は、各地の弁護士会による無料電話相談と、各地の信用金庫での無料面談相談が行われました。

2 福岡での結果は、下記詳細のとおりです。

電話相談は、広報の関係からか、件数がやや伸びなかったようです。

面談相談は、福岡信用金庫、遠賀信用金庫、田川信用金庫にて行われましたが、予約でほぼ埋まり、好評だったようです。

3 私は、遠賀信用金庫古賀支店で面談相談を担当しました。相談内容は、遺言作成、遺留分、特別受益、成年後見、事業承継、相続税等で、相談者は、すべて信金の紹介による方々でした。

地元密着を旨とする信金は、地元の優良顧客の弁護士ニーズを把握できる機会・能力があるとも考えられ、弁護士と信金との連携は、お互いにとって有意義なものなのではないかと感じました。なお、信金側からは、このような相談会の開催については、大変ありがたいとのお話を頂きました。

4 以下、詳細です。

(1) 日時:平成27年11月16日(月)
     10:00~16:00

(2) 主催:日本弁護士連合会、信金中央金庫、各地の弁護士会、NPO法人遺言・相続リーガルネットワーク

(3) 結果:(福岡部会)
会館 7件(うち電話4件、面談3件)
遠賀信用金庫古賀支店 5件(面談)
福岡信用金庫本店   3件(面談)

(北九州部会)
会館 4件(うち電話3件、面談1件)

(筑後部会)
会館 1件(電話)

(筑豊部会)
田川信用金庫伊田支店 4件(面談)

あさかぜ基金だより ~あさかぜを卒業します~

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 中 嶽 修 平(66期)

1月から人吉市で

あさかぜの弁護士は、2年の養成を受けたあと、九弁連管内の弁護士過疎地域に赴任または開業することになります。私があさかぜに入所してから2人の先輩弁護士があさかぜを卒業していきましたが、ついに私自身があさかぜを卒業する順番となり、平成28年1月から、弁護士過疎地域の一つである熊本県人吉市にて独立開業することになりました。

あさかぜ事務所での養成について

あさかぜ事務所は、弁護士過疎地域に赴任する弁護士を養成するための事務所であり、福岡県弁護士会のあさかぜ基金法律事務所運営委員会や九弁連のあさかぜ基金管理委員会をはじめとして、多くの弁護士先輩に携わっていただいています。

私も、あさかぜ委員会の委員をはじめとして、指導担当、あさかぜ応援団など多くの弁護士先輩と事件をご一緒してきました。そのため、事件処理にあたりさまざまなノウハウを吸収することができ、とても貴重な経験を積むことができました。さらに、あさかぜの事務所会議を通じて、事務所経営のあり方も考えることができ、事務所の経営者としての経験も積むことが出来ました。人吉市でもこれらの経験を活かしていきたいと思います。

人吉市での独立開業について

私の出身地は、熊本県球磨郡水上村という人口2400人ほどの小さな村で、人吉市から車で1時間のところにあります。また、私は、大学を卒業したあと、平成16年4月から平成20年3月まで人吉市役所で勤務していました。人吉市役所時代には、地元消防団にも所属し、地域づくり活動にも参加するなど、地元住民とふれあう機会が数多くありました。そのような縁もあり、将来的には人吉・球磨地域に戻ろうと考えていました。

私は、あさかぜでの養成を終えたら、ひまわり基金法律事務所への赴任を考えていましたが、養成が終わるタイミングでのひまわり基金法律事務所の後任所長の空きがありませんでした。そこで、養成終了後すぐに人吉市での独立を検討しましたが、開業資金や子どもの教育面など、いろいろ不安がありました。しかし、開業資金については日弁連による偏在対応弁護士等経済的支援、子どもの教育面をはじめとする生活全般については妻のバックアップにより、それらの不安を解消することができ、人吉市での独立開業を決心しました。

私の事務所が入居するテナントは、国宝に指定されている青井阿蘇神社の蓮池のすぐそばにあり、蓮池を眺めるには絶好のロケーションとなっています。蓮池の周囲には桜も植えてあり、桜と蓮の花が心を和ませてくれます。さらに、昼過ぎにはSLの汽笛が鳴り響き、静かな空間に心地よいアクセントとなっています。人吉市に来られたときには、ぜひ、事務所にお立ち寄り下さい。

人吉市の魅力について

福岡市内から人吉市までの交通アクセスは格段に良くなっており、JR九州のB&S(高速バスと新幹線のセット)を利用すれば、2時間もかかりません。

人吉市といえば球磨焼酎と温泉が有名です。また、日本三大急流の一つである球磨川では、球磨川下りやラフティングを楽しむことができます。さらに、鰻をはじめとする美味しい食べ物もたくさんあります。

ラフティングを目一杯楽しみ、温泉でその疲れを癒やし、鰻と球磨焼酎を堪能するという日帰りツアーを企画してはいかがでしょうか。もちろん、現地の案内役を務めさせていただきます。

おわりに

私はあさかぜを卒業しますが、あさかぜでの経験は一生の宝となりました。今後は、人吉・球磨地域において、司法サービスを必要としている住民のために全力を尽くしていきます。

また、あさかぜには新たに68期の弁護士が2名加入します。あさかぜの弁護士一同、弁護士過疎問題解消への熱い思いを胸に抱きながら日々研鑽を積み、赴任の準備を着々と行っております。引き続き、ご支援ご協力をいただきますよう、よろしくお願いします。
最後に、あさかぜ委員会をはじめとする皆様には大変お世話になりました。本当にありがとうございました。

◆憲法リレーエッセイ◆ 参議院平和特別委の採決について

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会 員 天 久 泰(59期)

<はじめに>

昨年9月17日の「参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会」で、速記録の停止中に与党議員が鴻池委員長の席を取り囲み、議場内が騒然とする中、与党議員が立ったり座ったりを幾度か繰り返したシーン。マスコミでも連日「強行採決」と報じられ、「これで民主主義が成り立つのか?」、「見苦しい!」という指摘がありました。

他方で、採決の手続を詳しく見ていけば、何か法的な欠落も見えて来るのではないかと個人的な興味を持っていた私は、日弁連主催の座談会「安保法の採決手続の憲法上及び法理上の問題点を考える」(2015年12月9日開催)に参加してきました。

パネリストは採決前日に横浜で行われた地方公聴会公述人の廣渡清吾さん(前日本学術会議議長)、同じく公述人の水上貴央さん(弁護士)、そして福岡県弁護士会主催の集会で講師をお願いしたこともある青井未帆さん(学習院大学法科大学院教授)でした。座談会の内容をダイジェストでお伝えします。

<採決は存在するのか>

参議院規則136条1項では、議長は評決をとろうとするときは、評決に付する問題の宣告を要するとされる(これは本会議規則ですが委員会にも準用あり)。

しかし、今回の平和特別委員会では、安保関連法案を宣告するような声は、騒然とする議場の中で議員に聞こえず、あるいは委員長自身も読み上げきれていない可能性があり、採決自体が不存在ではないか(なお、テレビ中継は、委員会議事が原則非公開のところ運用で公開)。

<採決に正当性があるか>

国会法51条では、委員会は公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識関係者等から意見を聞くことができるとし、また、参議院委員会先例280条では、公聴会へ派遣された委員は、調査結果について委員会に報告するとされている。

しかし、委員会の議場では、横浜地方公聴会の結果について全く報告されていない。これは異例どころか先例も見当たらない取り扱いである(但し、会議録には公聴会速記録が添付)。

また、安保関連法案に関する動議(国会法56条3項)の提出や、総括質疑(参議院規則42条)の機会もなかったことは、議員の地位と権利を侵害し、採決の正当性を失わせるのではないか。

<会議録の記載は適法か>

参議院規則では、委員会のすべての議事につき速記録が作成されなければならないとされるところ(56条、59条、156条)、本委員会の議事録には、鴻池委員長は、着席後に安保関連法案の議題読み上げのため「速記を再開し」、「右同案の質疑を終局した後、いずれも可決すべきものと決定した」、法案中の2案については「付帯決議を行った」と各記載されている。

しかし、テレビ中継では、鴻池委員長が着席後に速記再開(直前にあった委員長不信任動議の採決後、一旦速記が止まっていた)を宣言した様子はうかがえない。

また、議場が騒然とする中で採決は行われたのか。参議院規則157条及び先例では、速記不能のときに委員長権限で会議録に記載できるとされるが、事実としてなかったことまであったことのように記載する権限はないはずである。

さらに、会議録上存在したことになっている付帯決議につき、決議の内容は会議録には記載されていない。

<参議院本会議決議に瑕疵はあるのか>

上述のような平和特別委員会の議事の経過、会議録の記載内容からは、委員会採決が不存在であり、本会議への委員長の報告もなしえず、本会議決議は無効ではないか。少なくとも本会議決議は委員会採決の不存在という重大な瑕疵を治癒できないのではないか。

<瑕疵の是正について>

憲法上保障された議員の地位と権利を侵害されたことを主張できないか。議院自律権に対する司法権の介入についてリーディングケースとされる警察法改正無効事件判決(最判昭和37・3・7)も、特別の場合には司法権介入の余地を認めていると解しうる。

弁護士は、法律家としてこの問題に関する理論構築に助力し、問題点を可視化する責任があるのではないか。

座談会の内容は以上です。座談会に参加した者の責任として、私は、今後も憲法委員会の取り組みなどを通じて、上記問題点の可視化に尽力したいと思っています。

「転ばぬ先の杖」(第20回) 暴力団等反社会的勢力との関係遮断の方策について

カテゴリー:月報記事 / 転ばぬ先の杖

民事介入暴力対策委員会委員 藏 健一郎(55期)

暴力団等の反社会的勢力に対する規制強化の一環として、各都道府県で続々と暴力団排除条例が制定されたことは周知のとおりです。条例の内容は各都道府県により様々ですが、多くの条例では、暴力団側だけでなく、一般事業者側の行為も規制の対象となっている点に注意が必要です。

例えば、福岡県暴力団排除条例では、一般事業者に対して、暴力団員等への利益供与を禁止する規定が設けられています。具体的には、同条例第15条において、一般事業者が暴力団員等に対し、(1)暴力団の威力を利用する目的で金品等の利益を供与すること、(2)行う事業に関し、暴力団の活動または運営に協力する目的で、相当の対償のない(取引の対価に見合わない)利益を供与すること、(3)行う事業に関し、暴力団等に対し、情を知って、暴力団の活動を助長し、または運営に資することとなる利益の供与をすること、等が禁止されており、(1)に違反した場合には1年以下の懲役または50万円以下の罰金という罰則が設けられ、(2)に違反した場合も、罰則規定はないものの、公安委員会の是正勧告の対象となるうえ、正当な理由なくこれに従わない場合には公表できることとされています。

暴力団側だけでなく、一般事業者側も規制、処罰の対象とされた理由は、暴力団側のみの取り締まりでは限界があり、活動資金のもとである事業者からの資金供給を絶つことが効果的という観点によるものです。しかしながら、裏返していうと、一般事業者が暴力団側の威力に屈して利益の供与(例えば、不当に高額な商品の購入)に及んだケースでも、単純に被害者として同情されるとは限らず、場合によっては勧告・公表の対象になるわけですので、一般事業者にとって非常に怖い一面もあります。

このように、現状では、暴力団等反社会的勢力と関係をもつこと自体が、事業存続にとって大きなリスク要因となってきているといえます。事業者の皆様方におかれては、このことを念頭におかれたうえ、(1)暴力団等反社会的勢力との関係を予め遮断するよう今まで以上に注意を払うとともに、(2)仮に取引先が暴力団等反社会的勢力であることが後日判明した場合は、速やかに取引を解消できる措置を予めとっておくことが必要と考えられます。

暴力団等との関係を事前に遮断するための方策としては、事業所内部における社員教育の徹底、不当要求責任者講習の受講の他、顧問弁護士制度等を活用し、日常的に外部の専門家と連携しておくことも有効です。また、何か問題が生じた場合は、早期に関係各機関(警察、暴力追放運動推進センター、弁護士等)に相談することが重要です。

一方、事後的に取引先が暴力団等であることが判明した場合の方策としては、取引契約書にいわゆる暴力団排除条項を予め設けておくことが効果的です。取引契約書の中に、(1)暴力団等反社会的勢力との取引を予め拒絶する旨の規定や、(2)取引が開始された後に相手方が暴力団等反社会的勢力であることを知った場合は、契約を解除してその相手方を取引から排除できる旨の規定(これらの規定が暴力団排除条項と呼ばれます)を設けておけば、速やかな取引解消のための大きな武器となります(前述した福岡県暴力団排除条例でも、当該条項を導入することが事業者の努力義務として規定されています)。

具体的な暴力団排除条項の作成にあたっては、各業界団体で作成されているひな型を参考にされてもよいですし、弁護士に個別に相談頂ければ、事業内容や実情に応じた適切なアドバイスが可能ですので、気軽にご利用頂けたらと存じます。

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