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憲法リレーエッセイ 安保法制違憲訴訟の課題と展望 −青井未帆教授の問題提起に触発されて−

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会員 小谷 百合香(64期)

安保法制違憲訴訟

このところ、福岡県弁護士会(当会)でも安保法制や憲法について考えるシンポジウムや講演会が開かれ、幸いなことに毎回、多くの市民の参加もあり盛況です。

そしてこの4月26日、3月末に施行された安保法制について、東京で違憲確認ひいては国家賠償と施行差止めを求める訴訟が提起され、全国でも後に続けと訴訟提起がなされています。福岡でも、近く提訴される予定です。

ただ、安保法制それ自体が違憲であることは自明とはいえ、違憲判断に消極的と言われてきた裁判所に正面から違憲判断してもらうには難しい問題が山積です。

この難題を一つ一つクリアすべく、平成28年7月22日、東京・渋谷区の伊藤塾で、学習院大学の青井未帆教授(専門:憲法9条、憲法訴訟論)による講演があり、参加してきました。そこで、私がつかんだ思いや、解決の手がかりを報告します。

青井未帆教授の問題提起

Loyal Opposition(ロイヤルオポジション)

東京の安保法制違憲訴訟は、弁護士が原告を募るような形で、弁護士が中心となって訴訟を提起し追行をしているという面があるように感じます。ほかの地裁での裁判も、同様の傾向にあるようです。原発差止めの裁判も同じだと同期の弁護士から聞いたことがありますし、議員定数不均衡訴訟も同じではないでしょうか。

この実態について、青井教授は積極的に評価し、これをロイヤルオポジション(Loyal Opposition)という言葉で表現しました。ここでのロイヤルの頭文字は、Rではなく、Lです。

つまり日本の弁護士(法律家)は、権力そのものではありませんが、完全に権力の圏外にいるわけでもありません。そのような立場から、立憲民主主義が破壊されそうになっている今の危険をチャンスに変える方策に打って出る、日本ではその役割を(メディアではなく)弁護士が果たしているというのです。

安保法制違憲確認・差止訴訟は、国民を戦地に送り、戦争に巻き込んで、生命・身体・健康・財産・幸福追求権を損なう危険性を大いに秘めた、憲法9条に違反する安保法制をとらえて、弁護士が裁判を通じて「違憲である」との判決をもらおうとするものです。このことは、私たち弁護士に課せられた「基本的人権の擁護」「社会正義の実現」という2大使命(弁護士法1条1項)を実現するものと言えるのではないでしょうか。

そういう面をとらえて、青井教授は現在の弁護士による活動をLoyal Oppositionだと、弁護士への敬意を尽くして表現されたのだと思います。

一たび戦争となれば、いのちや財産が奪われることになります。私たち弁護士は事態が起きる前に、国民の人権を守り抜かなければならない。今、その使命が担わされているように思います。

「事件性」の要件は?違憲審査基準は?

私はこれまで、裁判所は付随的違憲審査制を採用し、具体的な事件が起きなければ違憲判断をしない、と学んできました。

では、具体的に誰かが戦地に行かなければ違憲訴訟が提起できないのでしょうか。青井教授からは、藤田宙靖元最高裁判官の論考や最近の憲法訴訟の在り方を紹介されました。

昨今の憲法訴訟の傾向として、議員定数不均衡訴訟などの客観訴訟では、最高裁が憲法秩序の維持を示すことが自明ではないものの、徐々に示すようになってきています。つまり、結論において違憲の判断をしない場合でも、憲法解釈を展開する憲法訴訟が増えてきているのです。

安保法制は、現時点では法制が成立し施行されたとはいうものの、まだ実際の運用や具体的な処分がなされたわけではありません。しかし、国民の生命・財産・幸福追求等の権利を損なう危険性は大いにあり、憲法9条に違反するものです。法律を作る国会が、憲法違反であっても法案を通してしまうときに、平和主義や三権分立を謳う憲法秩序を維持するために、裁判所が「三権」の一機関として職責を果たし、立憲政治のあるべき姿を取り戻す役割を果たすべきです。

では、憲法9条に違反するような法制については、どのような違憲審査基準が用いられるのでしょうか。

これは喫緊の課題であり、最大の難関であります。これについては、青井教授から興味深い示唆がありましたが、教授自身まだ考察中ということで、論文にも著していないため、私からの紹介は控えておきます。

今後、全国の訴訟において、弁護団が自由な発想により、どのような違憲審査基準を提案するのか、それに対して全国各地の裁判所がどのような判断を示すのか、興味深く見守っていきたいと思います。

今後の展望

福岡でも、安保法制違憲確認の国賠・差止訴訟が提訴される予定です。

現在、弁護団員への就任の訴えがなされています。数は力なり。まだ弁護団に加入されていない会員には、憲法9条の新しい判断基準や新たな判例を作る取り組みに参加されることを訴えます。ぜひご一緒させてください。

なにより、安保法制が違憲であることを白日の下にし、憲法の理念を取り戻した政治運営がなされるよう、見守りつつ行動することが、弁護士に求められている。そう実感させられる貴重な講演でした。

『ジュニアロースクール2016夏 in福岡』報告

カテゴリー:月報記事

会員 吉田 幹生(67期)

1 2016(平成28)年7月22日、西南学院大学法科大学院で行われました『ジュニアロースクール2016夏in福岡』について報告いたします。

2 ジュニアロースクールとは、中学生・高校生を対象に、法や司法制度の背景にある基本的な価値観(正義・公平等)やルールを学んでもらうイベントです。

今回のジュニアロースクールは、今年から選挙権年齢が引き下げられ、参院選などで、18歳、19歳が初めて投票したため今まで以上に関心の高まっている主権者教育をテーマとし、中高生に身近な学校の文化祭を題材に「民主主義と代表制」について考えてもらうということで行いました。

3 とある高校で、「生徒みんなで作る文化祭!」をコンセプトに、生徒の代表として、24名の実行委員による実行委員会と、1名の実行委員長をおき、実行委員会では、文化祭についてのいろいろなルールを決め、実行委員長は、そのルールにしたがって、判断・運営していくという設定のもと、以下のプログラムの内容を行いました。

(1) 第1部 ミニクイズ

最初の第1部ミニクイズは、参加者にイメージをつかみやすくしてもらい、実行委員と実行委員会の違いを理解してもらうために、「バンド発表で1つのグループが演奏する曲数を決めるのは実行委員会と実行委員長のどっち?」などのクイズを出題しました。

(2) 第2部 実行委員会、こんなルールを作っていいの?

第2部では、まず、最初に「ステージ使用は女子が優先する」などの「こんなルール作っていいの?」というようなルールを作ろうとしている実行委員会の話し合いの様子を、弁護士による寸劇で表現しました。各々の弁護士が迫真かつ体を張った演技で、参加者の心をがっちりと掴んだのではないかと思います。

その後、「こんなルール作っていいの?」というようなルールを実行委員会が作っていいのか、中高生が各班に分かれて話し合いを行いました。中高生の話し合いには弁護士が参加し、弁護士が中高生の議論をうまく引っ張って、議論を盛り上げていきました。中高生の表情を見ていると非常に活き活きして自分の意見を発表していました。また、中高生たちの率直な意見や鋭い意見も出て、見ていて頼もしく感じました。

(3) 第3部 実行委員はどうやって選ぶべき?

「実行委員はどうやって選ぶべき?」というテーマで、A案:クラス内で選挙を行って、クラス毎に2名ずつ選ぶ、B案:全校で立候補者を募り、全校で選挙を行って得票数の多い人から選ぶ、という2つの立場を各班に割り振り、論拠をまとめて発表をしてもらい、講評を行いました。中高生からは、弁護士が想定していた論拠がほぼすべて発表され、中高生の理解が深まっていると感じました。

(4) 最後に弁護士から、講評を行いました。講評の中では、第1部から第3部で考えてもらったように、代表に誰を選ぶかで、作られるルールや文化祭のよしあしも変わることを説明しました。そして、このことは、国政についても同じで、国民がルール作りの代表を選び、行政が執行すること、ルール作りは、多数決では侵害できない少数者の人権など憲法の制約を受けることなどの説明を行いました。

4 終了後に参加者に記載してもらったアンケートの内容も非常に好評でした。アンケートの中には、「寸劇が分かりやすくて良かった。」という意見があり、体を張った甲斐があって良かったです。

5 最後に、今後、中高生に限らずに、「主権者教育」や「法教育」の視点がいろいろな場所で取り入れられていければいいと思います。

「転ばぬ先の杖」(第26回) 両性の平等に関する委員会

カテゴリー:月報記事 / 転ばぬ先の杖

会員 高城 智子(61期)

この「転ばぬ先の杖」シリーズは、月報をご覧になった一般市民の方向けに、弁護士相談の必要性をご紹介するコーナーです。

今回は両性の平等に関する委員会からですので、家族、特に夫婦に関することを書こうかと思いました。ただ、法律婚の夫婦の法律問題については、弁護士への相談の必要性は既に皆様ご存じではないかと思います。

そこで、今回は、事実婚の夫婦の法律問題について、ご紹介したいと思います。

1 そもそも、事実婚とは何でしょうか。法律婚とは何が違うのでしょうか。

事実婚の定義は、人や場面によって様々あるかと思いますが、今回は便宜上、「夫婦の間に婚姻意思があり、それに基づいた共同生活が行われているけれど、婚姻届を出していない夫婦」とします。婚姻届を出していないと言う点で法律婚と区別しています。また、夫婦の間に婚姻意思がある、と言う点で単なる同棲と区別しています。

なお、これとは別に、「内縁関係」と言う言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。これも、人や場面によっては「事実婚」と別の意味に用いられることもありますが、今回は便宜上、事実婚と同じ意味として、話を進めます。

2 では、事実婚と法律婚で、その効果に違いはあるのでしょうか。

(1) まず、法律婚であれば、夫婦で新たに戸籍を作るため姓は同一になります。しかし、事実婚の場合、戸籍は変わらず、姓も同一になりません。

(2) また、子どもが生まれた場合、法律婚の夫婦の子は、夫婦の戸籍に記載されますが、事実婚の夫婦の子は、母親の戸籍に記載されます。父親の名前は、当然には戸籍に記載されないため、父子関係を記載するためには父親から認知をしてもらう必要があります。

(3) 法律婚の場合、配偶者の不法行為(例えば暴力や不貞)により離婚せざるを得なくなれば、慰謝料が認められ得ます。この場合、裁判で問題となるのは、主に、不法行為があったか否かと、不法行為のために離婚せざるを得なくなったか否かでしょう。しかし事実婚の場合、上記2点以外に、そもそも事実婚であったか否かも問題となり得ます。戸籍で証明できる法律婚と異なり、事実婚には、それを客観的に直接証明する資料が乏しいからです。そして、事実婚であったか否かは、これまでの夫婦の生活内容、具体的には、結婚式や結納をしたか、共同生活の期間や内容、住民票の記載内容(同一住民票を作成、続柄欄に「夫・妻(未届)」の記載など)、親戚づきあい(冠婚葬祭への参加)の有無等を考慮して判断されます。

(4) 更に、大きな違いとして、相続権の有無があります。法律婚の夫婦であれば、他方が亡くなった場合、残された配偶者は相続人として、亡くなった方の財産を相続する権利があります。しかし、事実婚の場合は、残された配偶者に相続する権利はありません。

そのため、例えば、配偶者が不法行為(交通事故等)で亡くなった場合、法律婚の夫婦であれば、残された配偶者が、亡くなった配偶者から加害者への損害賠償請求権を相続して、請求する事ができます。

しかし、事実婚の場合、相続権がありませんので、亡くなった配偶者から加害者への損害賠償請求権を相続することはできません。

ただ、ご自身の扶養請求権を侵害されたとして、損害賠償請求をすることは考えられますし、残された配偶者固有の慰謝料の請求も考えられます。実際、裁判でもこれらの請求が認められたケースがあります。また、加害者への請求とは別ですが、遺族年金の請求も考えられるでしょう。

この請求の可否の判断にあたっても、これまでの夫婦の生活内容や、残された配偶者の生活状況等を確認する必要があります。

3 以上のとおり、法律婚であれ事実婚であれ、法律問題は生じ得ますが、事実婚の場合、法律婚の夫婦の場合より、主張や立証が複雑になることがあります。しかし、事実婚であっても権利を行使できる場合がありますので、事実婚だからといって諦めることなく、何か気になることがありましたら、まずは弁護士に相談してみて下さい。

連載/相続法改正PT報告 第2回/配偶者の居住権確保のための制度について

カテゴリー:月報記事

司法制度委員会家事法制部会・相続法改正PT 山崎 あづさ(54期)

「中間試案のたたき台に対する意見書」を出しました

この間、法制審議会相続法制部会から出された中間試案のたたき台について、日弁連から意見照会がきていましたので、当PTで急ぎ検討を行い、意見書を提出しました。

パブリックコメント募集が始まりました

7月12日に、「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」が発表され、これに対するパブリックコメントの募集が始まりました。意見募集締切日は9月30日です。当PTでは、現在、パブリックコメントの作成に向け、作業を進めているところです。

「パブコメ 相続法」などで検索すると、意見募集のページが出てきます。ここに中間試案も掲載されていますので、是非ご覧ください。

論点の解説 ~配偶者の居住権保護について

本稿では、今回の改正の柱の一つである、配偶者の居住権を保護するための方策について、解説いたします。

今回の相続法見直しの出発点となったのは、高齢化社会の進展、家族のあり方に関する国民意識の変化、配偶者の死亡により残された他方配偶者の生活への配慮、という観点です。そのための柱の一つが、配偶者の居住権保護のための制度です。夫婦の一方が死亡した場合、残された他方配偶者は、それまで居住してきた建物に住み続けたいと希望するのが通常と考えられること、特に高齢者の場合、住み慣れた住居を離れて新たな生活を立ち上げるというのは精神的にも肉体的に大きな負担になることから、生存配偶者の居住権を保護する必要性が高いとして、制度化が検討されています。

今回出されている中間試案では、配偶者の居住権保護のため、「短期居住権」「長期居住権」という二種類の制度を新設することが盛り込まれています。

短期居住権とは?

相続開始時に被相続人の配偶者が被相続人所有の建物に無償で居住していた場合に、遺産分割により建物の帰属が確定するまでの間、引き続き無償でその建物を使用できる、というものです。配偶者以外の者が遺言等により建物の所有権を取得した場合でも、相続開始の時から一定期間(例えば6か月間)、無償でその建物を使用できる、とされます。短期居住権を取得しても、遺産分割において取得すべき財産の額には影響しません。

こうした短期的な居住権の保護については、判例(最高裁平成8年12月17日判決)で使用貸借契約成立の推認という形で認められているものですが、今回、これを整備して制度化するものであるといえます。

この短期居住権については、配偶者に限定するべきなのかどうか、建物の帰属の確定時までではなく遺産分割手続全体が終了するまでとしたほうがいいのではないか、期間が6か月では短いのではないか、配偶者が固定資産税等の必要費を負担するとされているところ、これは遺産分割協議の中で考慮すれば足りるのではないか、などの意見が出されており、なお検討をしているところです。

長期居住権とは?

相続開始時に配偶者が居住していた被相続人所有の建物について、終身または一定期間、配偶者にその使用を認めることを内容とする法定の権利(長期居住権)を新設するものです。遺産分割の協議や審判における選択肢の一つとして、あるいは被相続人の遺言等によって、配偶者に長期居住権を取得させることができるというものです。

現行法のもとでは、配偶者が従前居住していた建物に住み続けたいという場合、配偶者がその建物の所有権を取得するか、その建物の所有権を取得した他の相続人との間で賃貸借契約等を締結するということが考えられます。しかし、前者の方法では、建物の評価額によってはこれを取得すると他の遺産を全く取得できなくなり、配偶者のその後の生活資金が確保できなくなる場合が生じます。また、後者の方法では、賃貸借契約が締結できなければ配偶者の居住権は確保されないということになります。そこで、長期居住権という、建物使用のみを内容とし収益権限や処分権限のない権利を新設することによって、配偶者の居住権を保護する選択肢を増やそうというのが、今回の改正案の趣旨です。

今回検討されている長期居住権は、終身又は一定期間と相当に長期のものであり、これを配偶者が取得した場合は、その財産的価値に相当する金額を相続したものとして扱うとされています。また、登記をすれば第三者に対抗できるとされています。

この長期居住権については、新しい制度の創設ということもあり、中間試案の段階でも検討課題がまだ多く残されています。長期居住権の財産的価値をどのように評価するのか、長期居住権に関する登記手続をどのように定めるのか、配偶者が建物を使用できなくなった場合に所有者に買い取りを請求する権利を設けるかどうかなど、なお検討するものとされています。

他の相続人や債権者との関係にも配慮しつつ、配偶者の居住権保護として機能する制度にするにはどうすればいいか、私たちも、それぞれの経験を生かしさまざまな場面を想定して、考えられる問題点などについて意見を述べていく必要があると思います。

また、居住権の問題だけでなく、相続全般における配偶者の位置づけということも検討していく必要があるのではないかと考えられます。このあたりについては、次回以降の記事でも触れられるところだろうと思いますので、皆様、お楽しみに。

憲法リレーエッセイ 「憲法違反の安保法の市民集会及びパレード」のご報告

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会員 永松 裕幹(63期)

平成28年6月11日午後2時、中央市民センターに於いて「憲法違反の安保法の廃止を求める市民集会及びパレード」(主催:当会、共催:日弁連、九弁連)が開催されましたので、ご報告させていただきます。

本市民集会及びパレードは、当会が5月25日の定期総会で「憲法違反の安保法制の廃止ならびに運用停止を求める決議」を決議し、日弁連が5月27日の定期総会で「安保法制に反対し、立憲主義・民主主義を回復するための宣言」を決議したことに続き、本年度の人権擁護大会のプレシンポジウムとして行われました。

まず、原田直子会長から開会のご挨拶があり、安保法の廃止を求める当会の取り組み等についてご紹介いただきました。

そして、西南学院大学法学部国際関係法学科(政治学)の田村元彦准教授を講師にお迎えし、「安保法制でどうなるの?私たちの社会」とのご講演をしていただきました。

田村先生のご講演は、福岡・九州における多くの市民運動に携わってこられたご経験に基づいたお話を中心に、法学・政治学の観点から安保法制や現在の日本の政治の問題点を多岐にわたって鋭く指摘されるもので、大変興味深い内容でした。

ご講演では、2002年の「福岡市愛国心通知表問題」(福岡市立小学校の内69校が、「愛国心」を3段階評価する通知表を採用したことに対する抗議運動)について、詳しくお話がありました。そして、そのご経験や人間関係が、その後の様々な運動や、安保法制に反対する福岡の学生団体「FYM」(Fukuoka Youth Movement。中心メンバーには田村先生のゼミの学生がいて、学者や当会会員及び報道記者等多くの方々と関わりを有している)等の活動へ繋がったとのことでした。

また、田村先生は、権力を持っている側は、一枚岩で着々と布石を打ってくるのに対し、「弱者は分断され、孤立した戦いを強いられる」ことを強く指摘されました。そのうえで、現代の日本の社会は、国際的には開けて豊かである一方で、国内的には抑圧的な監視社会になってきており、若い世代の未来が奪われているのではないかとの強い危機感を表明され、これに対抗するために社会的弱者同士の繋がりや運動の継続性が重要である旨述べられました。会場に集まった多くの会員や市民の皆さんも、このことに共感されている様子でした。

ご講演の後は、九州大学大学院で政治学を学ばれている小幡あゆみさんと当会の原田美紀会員が登壇され、田村先生とのパネルディスカッションをしていただきました。

まず、小幡さんから、ご自身をはじめ学生の皆さんがどのような問題意識から安保法制反対の運動を展開していったのかということ等をお話しいただきました。

その後、原田会員にまとめていただいた会場からの質問事項について、田村先生と小幡さんにお答えいただきました。市民が声を上げる方法にはどのようなものがあるのかという質問に対して、田村先生が「メディアの良い記事や番組は、直接褒めて欲しい。現場の記者は、読者・視聴者から送られてくる手紙やメールに励まされている。」と答えられたことが、特に印象に残りました。

最後に、井下顕副会長より閉会のご挨拶をいただき、市民集会は、盛会の内に終了しました。

その後、30度近い暑さにもかかわらず、多くの会員・市民が参加して、中央市民センターから北天神まで1時間弱にわたってパレードを行い、沿道を行く人々に対し、安保法制の違憲性をアピールしました。

弁護士会による憲法違反の安保法の廃止を求める運動に、一会員として、今後も関わっていかなければならないという思いを強くした一日となりました。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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