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専門職によるくらし・事業なんでも 相談会(6/3)

カテゴリー:月報記事

会員 吉原 俊太郎(65期)

平成29年6月3日(土)、午前10時から午後4時まで、福岡市健康づくりサポートセンター(あいれふ)の10階講堂にて、「専門職によるくらし・事業何でも相談会」が開催されました。

本相談会の主催は、福岡専門職団体連絡協議会(さむらいネットワーク福岡)であり、構成団体は、日本公認会計士協会北部九州会、九州北部税理士会、福岡県司法書士会、福岡県土地家屋調査士会、福岡県不動産鑑定士協会、福岡県行政書士会、福岡県社会保険労務士会、日本弁理士会九州支部、福岡県弁護士会の各士業団体です。

福岡専門職団体連絡協議会(専団連)とは、各士業の専門職が、相互に知識や情報を交換し、共同研究や共同相談を実施して社会的ニーズに応えるとともに、専門職同士の交流を図ることを目的とする団体です。

専団連では、福岡市地区では毎年6月、9月、12月に、北九州地区、筑後地区、筑豊地区では毎年6月に、「くらし・事業なんでも相談会」を開催し、前記9士業が、無料で相談に対応しています。

本相談会の特徴は、複数の専門家が相談に応じるという点にあります。

例えば、相続の相談であれば税理士と司法書士、土地の境界に関する相談であれば土地家屋調査士と弁護士など、1回で複数の専門家に相談できるのです。

そのような特徴に加えて、無料で相談できることから、本相談会には、毎回たくさんの方々にお越しいただいております。

なお、今回の相談会は、福岡会場(あいれふ)のほかに、北九州会場(北九州市立商工貿易会館2階)、筑後会場(久留米市役所3階会議室)、筑豊会場(イイヅカコミュニティセンター2階)の各会場でも相談会が開催されましたが、私は相談会の運営委員として参加させていただきました。

以下では、福岡会場についてご報告させていただきます。

当日は、晴天に恵まれ、朝早い時間帯からたくさんの方々にお越しいただきました。

特に午前中は、相談待ちの方が常におられる状態で、9つ設けたブースは常に埋まっており、相談員の先生方には、1つの相談が終わると、息をつく暇もなく、次の相談に入っていただきました。

結果として、福岡会場の当日の相談件数は60件でした。とても多くの方々にご相談に来ていただき、また、相談員の先生方の丁寧なご対応に、ご満足いただくことができたと思います。

相談会後は、49名もの先生方に参加していただき、懇親会が盛大に開催されました。懇親会の場では、他士業の先生方との交流を深めていただけたと思います。なお、相談会終了後、懇親会までの間に、0次会を開催される先生や、懇親会後、さらに、二次会、三次会と楽しまれる先生方もたくさんおられます。

他士業の先生方と相談を行うという機会はそれほど多くはないと思いますし、懇親会も非常に盛り上がりますので、まだ参加をされたことのない先生方は、是非ともご参加ください。

子どもの日記念電話相談について

カテゴリー:月報記事

会員 山室 卓也(69期)

1 はじめに

5月13日に子どもの日記念電話相談がありました。私は、午前中を担当しましたが、午前中に電話がかかってきたのは2回で、そのうちの1回を私が担当しました。1件だけの相談でしたが、私にとっては大変貴重な経験となりました。以下この電話の内容、私の感想等について書かせていただきます。

2 子どもからの相談

電話をかけてきてくれたのは小学生の女の子でした。相談内容は、同級生からからかわれたりするのが辛いので、保健室登校したいが、どうやったら保健室登校できるかというものでした。その子は、保健室登校を考えるに至った経緯を「1点目は~をされたこと、2点目は~をされたこと、3点目は~をされたことで、学校に行くのが嫌になったけど、学校には行かないといけないと思うので、保健室登校したいと思いました」とその子なりに整理して一生懸命話してくれました。また、話そうと決めたことを全部話そうと、早口になっていたことも印象に残りました。

私は、小学生の相談を受けたことは初めてだったので、どういう言葉遣いで対応するのか、どういう言葉をかけたらよいのか等色々と考えました。私としては、できるだけ優しく、平易な言葉で、その女の子の気持ちに寄り添えたらよいと考え、「それは辛かったね」「嫌だったね」といった言葉をかけました。

幸いその子は、同級生から、からかわれたりしていることは、親や先生に相談できており、親には、保健室登校したいことも伝えてあり、親もその方向で考えているとのことでした。

このような状況でしたので、私からは、小学生の女の子に対し、アドバイスとして「学校の先生に保健室登校したいことを伝えてみるといいよ」と言いました。

通話したのは、5分にも満たない時間でした。今顧みると、もう少し長い時間をかけて色々な事情を聴いて、その女の子の辛い気持ちを受け止めてあげればよかったと思います。

今回のケースでは具体的な法的なアドバイスをすることよりも、女の子の気持ちを受け止めてあげることが期待されていた役割ではないかと思います。

3 柏餅

午前中、電話は合計2回しかかかってこなかったので、待機時間が長かったです。その間、サポートで来てくださった小坂先生に差し入れいただいた柏餅(モチモチしていて、とても美味しかったです。)を食べながら、子どもの権利に関する書籍を読んだり、小坂先生や私と同じく午前中の担当であった石川先生と子どもの権利に関する熱い(?)話をしたりしていました。電話がたくさんかかってきたほうがもちろんよかったですが、待機時間も有意義に活用することができました。

4 子どもの日記念電話相談の今後について

午前中にかかってきたもう1本の電話も子ども(中学生)からでした。この子達がどういう経緯で、この電話相談を知ったのか分かりませんが(電話で確認すればよかったのですが、失念しておりました。)、今後さらに子どもからの相談が増えて、子ども自身の問題解決、悩み解消にこの電話相談が少しでも役に立てばよいのではないかと考えております。そのためには、どういった経緯で、相談が来ているのかを認識し、分析し、よりたくさんの子どもから相談が受けられるようになるとよいと思っております。

5 おわりに

電話相談に対する私の回答がその女の子にとって、どれだけ役に立ったかは正直分かりませんが、私にとっては、この電話相談が良い勉強の機会になりました。私としては、子どもの悩みの解決のためだけでなく、新人弁護士にとっての貴重な機会としても今後も子どもの日記念電話相談が継続、発展していけばよいと考えております。

憲法リレーエッセイ 5月3日の過ごし方

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会員 原田 直子(34期)

毎年春の大型連休の前半は憲法イベント。1989年に始まった憲法劇団ひまわり一座の憲法劇は、当初真面目に5月3日、どんたくと張り合ってやっていた。最近は、連休の最初の休みに行うことが多くなり、今年は4月30日。創立当初からのメンバーが少なくなって寂しいが、毎年どこからともなく50人ほどが集まってくる。子役で登場していた2世たちも成人し、第2世代メンバーの子ども達が子役で登場して舞台の注目を集めている。

素人の社会人集団が、自前の脚本で30回も芝居を続けるエネルギーは、やはり憲法9条。世界に誇る平和憲法が、年毎に愛おしくなる。憲法9条というと自然と憲法9条の歌になって、節を付けないと空んじることができないほどだ。

私は初めからおばあさん役が多かったが、憎まれ役、老け役は重要な脇役として舞台の質を左右すると自負して楽しんできた。これからも楽しい劇を通して舞台と客席の参加者みんなが憲法の素晴らしさを共感する舞台に参加したい。

これに対して、5月3日に行われた高遠菜穂子さんの「イラクから見る日本~暴力の連鎖の中で考える平和憲法」は、深刻な世界の情勢とその中で日本国憲法から離れていく日本の姿を浮き彫りにした講演会だった。高遠さんは、ご承知のとおり2004年にイラクで人質となり生還するも、心ないバッシングを受けた人。しかし、日本人が人質になった契機はイラクへの自衛隊派遣であり、高遠さんが生還できたのは、人道支援活動によるものだった。彼女はその後も一人でイラクでの人道支援活動を行なっている。

その彼女が語るイラク、モスル。今も毎日処刑が行われ、逃げるのが分かると手足を切断され公開処刑される。その状況を生み出したもの、アルカイーダ、その後のISの台頭は、いづれも米軍の大義なき戦争が産んだものであり、そのいづれにも、日本の自衛隊が無批判に追随して、「人道支援」の名の下に米軍支援を行なってきた実態が明らかにされた。

2003年に大量破壊兵器疑惑でイラク戦争が始められたが、現在では、アメリカもイギリスもオランダもこれは誤りだと認めており、国連の査察報告も大量破壊兵器はなかったと報告している。これに反して、日本はあくまで「イラク悪者論」に固執している。

イラクの人たちは、当初日本に軍隊はないはずだと思っていた。ファルージャに民間企業が来て雇用を創出すると期待していた。しかし、やってきたのは自衛隊だった。そして、ようやく戦闘が落ち着き始めたころ、シーア派イラク政府はスンニ派を弾圧し、このイラク政府に日本は警察車両を提供している。この弾圧に対するスンニ派による抗議デモの高揚に対し、さらなる弾圧と空爆が行われ、イラクはさらに深い混迷と民間人の犠牲が増加している・・・。

印象的だったのは「ISは極悪非道のモンスターだから殺されても当然」という考え方が、正規軍のモラルを低下させ、国際社会全体にも「コラテラル・ダメージ(巻き添え被害)も仕方ない」「対テロだから仕方ない」という考えが広がって、民間人被害の増加にもつながっているとの指摘。そして、イラク復興を掲げたアメリカの占領政策が失敗の連続で、イスラム国を産み出した原因がアメリカ自身にあることが日本では語られていないという日本のメディアの状況。

世界中で113人に1人が難民・国内避難民という状況の中で、目に見える人道支援は軍隊ではなく、文民・民間人でなければその国の人々に信頼されないと改めて強く思った。

あさかぜ基金だより

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 社員弁護士 田中 秀憲(69期)

自己紹介

平成29年5月にあさかぜ基金法律事務所に入所しました、田中秀憲と申します。

私は大阪出身であり、司法修習も大阪で行いました。これまで大阪を出たことがなく、このたび弁護士として初めて福岡の地にやってきました。

ロースクール入学前は大阪で警察官として3年ほど、交番と機動隊に勤務しました。警察官として最も印象に残っているのは交番勤務です。私が勤務していた警察署は大阪府内では忙しい警察署で、日々、多くの市民が困りごとの相談のため交番を訪れていました。市民の相談には難しい問題もありましたが困りごとが解決に向かったときに見せる府民の安心した顔を見られることは警察官としてのやりがいにつながっていました。

しかし、同時に私は警察官として職務に従事するなかで社会において法律が占める重要性を実感しました。たとえば、拾得物の権利関係については、遺失物法や規則に詳しく規定されていますし、道交法違反があったときには刑事事件や行政事件が問題になることがあります。

私は警察官の職務を通じて法律の奥深さに思い至り、より専門的に勉強したいと考えるようになりました。そこでロースクール進学を決意したのです。

あさかぜに出会ったきっかけ

司法修習中に就職活動をしているときに、弁護士過疎地という地域があることを初めて知りました。私の出身地である大阪には多くの弁護士がいるため、日本に弁護士過疎という実態が存在することに、とても驚きました。どのような弁護士が弁護士過疎地で活動しているのかを調べていたところ、弁護士過疎地に赴任するための弁護士を養成しているあさかぜ基金法律事務所があることを知りました。

あさかぜに入所しようと決心

警察を利用する方の多くは、本当に困っていて、どうすればよいのか分からないと助けを求めてきていました。警察官時代には困っている人の役に立てることに、とてもやりがいを感じていました。

弁護士として活動するときにも困っている人のために役立つことでやりがいを感じたいと考えています。弁護士過疎地で法律的問題に直面している人たちは、困っているけれど、どうしたらいいか分からないという状況にあるように思います。司法試験に合格し、司法修習を終えた今、弁護士過疎地で生活する人たちのために役立てることをやりがいとして活動する弁護士になりたいと考えています。そのために弁護士過疎地に赴任する弁護士を養成しているあさかぜ基金法律事務所に入所したいと決心しました。

私の決意

このたび、縁あって福岡のあさかぜ基金法律事務所で弁護士として活動させてもらうことになりました。あさかぜ基金法律事務所は多くの人たちの支援により成り立っている事務所です。支援を受けながらも、これに甘えることなく、来たる弁護士過疎地への赴任に向けて日々努力を重ねる所存です。これからのご指導、ご鞭撻、何卒よろしくお願いします。

「転ばぬ先の杖」(第31回)「熊本地震災害女性電話相談」はじまりました!

カテゴリー:転ばぬ先の杖

両性の平等に関する委員会 郷田 真樹(53期)

本年4月13日から、「熊本地震災害女性電話相談」がはじまりました。

この相談は、熊本地震にあわれた女性の方から、DV・セクシュアルハラスメント・性暴力・ストーカーなどの女性の権利に関することについて、弁護士が、無料でご相談をお受けするというものです(通話料のみご本人負担)。

本年9月28日まで、毎週木曜日(8月17日は除く)、午後1時~午後3時30分までの受付で 電話番号は 080−6423−9697です。

ご相談は、福岡県弁護士会の弁護士がお受けしますが、必要に応じて熊本県内の弁護士に引き継ぐこともできます。秘密は厳守しますし、匿名でのご相談も可能です。直接的な災害相談ではなく、災害・復興時にこうした問題に直面したということでお電話をいただいてかまいません。

大災害時には、DV・性暴力などの問題が、増加しやすいと言われています。

その理由としては、(1)経済的・身体的・権力的な格差が増大しやすいこと(たとえば避難所運営等で力を持つ者持たない者の格差が生まれやすいなど)、(2)避難生活などの中で個々人の弱点が外に対して晒され可視化されてしまうこと(「守るべき男性」がそばにいないシングル女性だ、親がいない一人暮らしの学生だ等が丸見えになるなど)、(3)被害者が被害を訴えにくいこと(「みんなが大変なのに個人的な相談はしにくい」、「私の被害よりもっと大変な人がいる」、「強い人に逆らったら非常時に生活できない」、「支援者が被害に遭っても、大変な目に遭った被災者を責めるべきではない」などと思ってしまう、相談しようとしても相談先が機能していないなど)、(4)加害行為が目撃されても「大変だから仕方がない」と大目に見られる場合もあること、(5)皆が強いストレス状態にありストレスが弱者に向かいやすいこと等、様々なことが考えられます。

そのため、日本政府は、災害時に性に基づく暴力や搾取が起こること、その防止が必要であること、被害者のニーズを考慮した支援や保護、ケアが必要であることなどを明記した、「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」という決議案を、第56回国連女性の地位委員会(2012年3月)に提出し、この決議はコンセンサス方式により採択をされています。

熊本地震においても、事情は同じと考えます。もちろん、実際の被害は無いに越したことはなく、可能な限り、被害が少なくありますようにと願ってやみません。

他方で、不幸にして問題が発生してしまった場合であったとしても、今からでもかまわないので、人に相談をし、話をしてみることで、出来事や自分の気持ちを振り返り、整理し、もしも必要があれば適切に専門家とつながり、自分らしい日々の生活へとつなげていくことができるかもしれません。

また、こうした相談窓口が存在していること自体で、災害時であっても、DV・セクシュアルハラスメント・性暴力・ストーカーなどの女性の権利の侵害は問題であり、人に相談をしていい事柄で、災害時だからという理由で許されてよいことではない、という意識が広まり、結果としてそれが、熊本の、あるいは将来の、新しい被害の抑止になればと願っています。

私達福岡県弁護士会が、単位会の枠を超えて、熊本地域の皆様のお役に立てれば、こんなに嬉しいことはありません。

ぜひ、たくさんの方達に、「熊本地震災害女性電話相談」の存在を知っていただけますと幸いです。また、本稿をお読みいただいた皆様に、熊本地域の方達ないしは熊本から避難をされている方達へ、情報を広めていただけますと、本当にありがたいです。

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