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あさかぜ基金だより ~ひとよし法律事務所を訪問して~

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 服部 晴彦(68期)

ひとよし法律事務所を訪問しました

あさかぜ基金法律事務所の所員弁護士の服部です。あさかぜは、弁護士過疎偏在問題の解消のため、弁護士過疎地域で働く弁護士を養成する公設事務所です。あさかぜで養成を受けた弁護士は九弁連管内のひまわり基金法律事務所や弁護士過疎地に所在する法テラス7号事務所(総合法律支援法第30条第1項7号)に赴任していますが、日弁連の支援を受けて、弁護士過疎地で独立開業した弁護士もいます。66期の中嶽修平弁護士は、平成28年3月に熊本県人吉市にて「ひとよし法律事務所」を開業しました。

私と若林毅弁護士は、本年8月5日に、ひとよし法律事務所を訪問、見学し、中嶽弁護士から開業前や開業してからの話を聞きました。

人吉市はこんなところ

人吉市は熊本県の南東に位置し、宮崎県、鹿児島県と境を接している人口3万3000人の城下町です。球磨焼酎と温泉で有名で、球磨川での川下りやラフティングなど自然を活かした観光に力を入れています。中嶽弁護士は、人吉市に近い熊本県球磨郡水上村の出身で、弁護士になる前は人吉市役所の職員として勤務していました。

人吉市には、熊本地裁人吉支部があり、人吉市のほか、球磨郡の9町村(人口5万3000人)を管轄しています。人吉市には中嶽弁護士の他に2名の弁護士がいます。

事務所を開業するにあたって

福岡から人吉までは、新幹線と高速バスを乗り継いで2時間もかかりません。ひとよし法律事務所は、古社青井阿蘇神社の境内近くのマンション2階にあり、人吉駅からも徒歩で10分かからない好立地です。

事務所を探したときの苦労話を中嶽弁護士に聞いたところ、エレベーターなどバリアフリーに対応していること、複数台を駐車できる駐車場があること、オートロックなどセキュリティが十分であることなどを条件に探したが、条件に見合う事務所用テナントの空きがなく、自宅を探そうと立ち寄った不動産業者からたまたま事務所用の物件を紹介され、条件に合致した物件でそのまま契約に至ったとのことでした。

開業準備で苦労した点は、複合機はリースだったが、その他の什器備品類は、新品で購入することになり、初期費用が高くなってしまった。福岡と違って、中古でオフィス用品を揃えるのが難しいので、過疎地での開業では注意が必要とのことでした。また、備品類の納品に時間がかかるので、早めに発注しないと開業に間に合わなくなるため、計画的に開業準備を進めるほうがよいとのことでした。

相談件数、受任件数を増やすには

法律事務所の運営において、一定数以上の相談件数、受任件数を確保する必要がありますが、過疎地域での開業直後は一からのスタートなるので、大変ではないかと思い、相談件数を増やす営業活動についても聞いてみました。

相談や受任の経路としては、地元紙や電話帳への広告の掲載、ホームページ作成といった広報をしているので、そこから相談予約がある、また、消費生活センターや球磨郡各自治体の出張相談から受任するケースもある。その他、相談を増やすための工夫としては、税理士や司法書士ほかの他士業との交流や青年会議所などの団体に積極的に参加する、仕事用の携帯電話を転送設定にして、業務時間外の予約受付をする、相談料も30分2000円と安くして気軽に相談してもらえるようにしているとのことで大変参考になりました。

中嶽弁護士は、私達が事務所訪問した日も、夕方からは地元の夏祭りが開かれ、実行委員として参加するということを言っていて、地域の活動にも積極的に参加して、弁護士の存在をアピールしていくことも、営業活動として必要だと痛感しました。

弁護士過疎地赴任に向けて

私は平成27年12月にあさかぜに入所し、弁護士過疎・偏在地域への赴任に向けて、あさかぜで養成を受けてきました。未だに赴任先は決まっていませんが、独立開業という選択肢も考えて、あさかぜにおいて準備を進めていきたいと考えています。

「転ばぬ先の杖」(第34回) 自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインのご紹介

カテゴリー:月報記事 / 転ばぬ先の杖

災害対策委員会 宮下 和彦(46期)

1 今夏の九州北部豪雨災害で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

今回の転ばぬ先の杖では、九州北部豪雨災害のように災害救助法が適用される大規模な災害に遭ってしまい、そのため住宅ローンなどの支払が難しくなった個人の方のための一つの解決手段として、自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン(以下「ガイドライン」といいます。)をご紹介します。

2 このガイドラインは、元々東日本大震災に伴い策定された個人債務者の私的整理に関するガイドラインの運用の経験を踏まえて、全国銀行協会を始めとする関係金融機関、金融庁ほか関係各庁、日弁連、日本不動産鑑定士協会連合会ほかの関係士業団体や学識経験者らが協議を重ねて平成27年12月に策定されたもので、平成28年4月1日から運用が開始されました。ガイドラインは、被災した債務者の自助努力による生活や事業の再建、ひいては被災地の復興・再活性化を目的とするもので、自然災害に被災したがため、従来から有していた住宅ローンや事業性ローンその他の債務の支払が出来なくなった、あるいは出来なくなるおそれがある被災者(この要件を災害起因性と言い、り災証明書の入手が必要です)が、一定の要件の下、債務の全部または一部の減免を受けられる制度です。これまで、昨年4月の熊本地震や10月の鳥取県中部地震、12月の新潟県糸魚川市における大規模火災などで利用されており、熊本地震においてはこれまで660件以上の利用申込みがなされています。

ガイドラインを利用することのメリットとして、破産や民事再生などの法的手続と異なり、

(1) 弁護士などの登録支援専門家の手続支援を無料で受けられる。

(2) 自分の手元に残せる現金などの自由財産の枠が、破産などに比べると大きい。

(3) 個人の信用情報として登録されず、将来新たな借入れも可能である。

(4) 原則として、保証債務の履行も認められない。

ことが挙げられます。

手続の流れは、債務者が、まず最大の債権者(いわゆるメインバンク)からガイドラインの手続を進めることについての同意書をもらいます。次に、債務者が、同意書を各地の弁護士会に提出します。すると、一般社団法人自然災害被災者債務整理ガイドライン運営機関(全国銀行協会からガイドラインに関する事業を譲り受けた組織です)によって、当該債務者の担当の登録支援専門家の弁護士が選任されます。債務者は、その弁護士と打ち合わせを行い、支援を受けながら、必要書類や資料を整えて全ての債権者に対して債務整理開始の申出をします。この申出により、債務の支払について一時停止の効力が生じます。つまり支払わないことについて、債権者のお墨付けを得ることになります。その後、債務者は、登録支援専門家の支援の下、債権者ごとの特定調停条項案を作成し、各債権者宛に提出します。各債権者の同意が得られれば、債務者は特定調停の申立をして、債務の免除や減額を内容とした特定調停が成立することになります。

債務の免除を受けるためには、原則居住不動産を手放さなければなりませんが、不動産鑑定士の登録支援専門家に鑑定を依頼し、適正に評価された価格を5年間で支払うことにより、当該不動産を手元に残すことも可能です。

3 但し、ガイドラインの利用には先に述べた災害起因性などの一定の要件があるうえ、あくまで債権者の同意が必要です。また、認められている自由財産枠には限界もあります。あくまで個人債務者のための手続であり、法人については認められません。特定調停によって、当該債権について判決を受けたのと同様の債務名義が生じますので、調停条項通りの支払が滞ると、競売申立などの強制執行を受ける恐れがあるなど、デメリットが無いわけではありません。

それでも、被災者にとっては、生活・事業の再建に有用な一定の現預金を確保して、従来の債務の減免を受け、さらに、将来の借入れ等の可能性も残すことが出来ますので、生活・事業再建の有力な手段となり得ることは間違いありません。被災者におかれては、まずガイドラインによる解決の可能性を探ることは転ばぬ先の杖と言えるはずです。

あさかぜ基金だより

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 若林 毅(68期)

あさかぜの所員弁護士は、およそ2年の養成を経て、九州内の弁護士過疎地域に赴任します。平成20年9月の事務所開設以来、これまでに18名の弁護士が、九州内の弁護士過疎地に赴任しています。私も2年目となり、赴任を考える時期となりました。

そこで、今回は弁護士過疎地域への赴任に向けて、あさかぜでどのような養成を受けているかについて、ご紹介したいと思います。

事件処理の養成について

あさかぜは、委員会方式という運営方式を採っており、所長はいません。

所員弁護士に、福岡県弁護士会所属の指導担当弁護士がそれぞれ3名選任され、事件の共同受任などを通じて指導を受けます。また、福岡県弁護士会の執行部経験者を中心としたあさかぜ応援団や九弁連管内の弁護士との共同受任や事件の紹介を通じて経験を積みます。

私自身も指導担当をはじめ多くの諸先輩弁護士と様々な種類の事件を共同受任させていただき、日々多くのことを学んでいるところです。

単独受任事件では、刑事、債務整理、離婚等の家事事件が比較的多く、共同受任事件では、一般民事事件その他の事件が多い印象です。

あさかぜでは、事件管理簿を作成し、毎週弁護士と事務局がミーティングを行い、事件処理についてその週にするべきことを確認・共有し、業務の効率化に努めています。あさかぜでは所員の転出が常に予定されているため、事件の引継をスムーズにすることも目的の一つです。

事務所経営・運営の養成について

あさかぜ所員は、主として九州管内のひまわり基金公設事務所に赴任することが予定されており、基本的に独立して事務所を経営していく必要があるため、事件処理だけではなく、事務所の経営・運営についても意識的に考え実践するよう養成を受けています。

具体的には、九弁連のあさかぜ基金管理委員会と福岡県弁のあさかぜ基金法律事務所運営委員会から、経営、養成、赴任準備などについて指導・助言を受けています。

事務所会議も開催しています。事務所会議は、運営委員会委員長と事務局長、担当副会長、所員弁護士、そして事務職員が参加し、月1回開かれています。ここでは、キャッシュフローデータにもとづき、毎月の収支の動きの把握に努め、経営ノウハウについてもアドバイスを受けています。キャッシュの動きを月単位で把握することで、事件について終結する目途を考えたり、法律相談をどのように受任につなげていくか工夫したり、賞与の支払いや税金・社会保険料の支払いを念頭に置いてランニングコストを意識するように心掛けています。事務所の広報についても、さらにホームページを拡充する方策を検討しているところです。

また、あさかぜでは、事務職員の労務管理も養成の一環としています。ひまわり公設事務所に赴任すれば、事務職員の募集・採用、就業規則の作成・改定、36協定の提出、労働時間の管理などを行う必要があるからです。赴任後の事務職員への指導も視野に、所員弁護士が一度は各所の事務手続(裁判所・検察庁・弁護士会・法務局・労基署・郵便局関係など)を行うようにもしています。

この他にも赴任へ向けて、所員弁護士各自が委員会活動や各種研修にも積極的に参加し、弁護士としての活動の幅を広げるべく研鑽を積んでいます。

日々の業務では、目の前の事件処理に追われがちになることも多いのですが、事務所経営・運営についてもしっかり学び、今後の養成期間をより充実したものにしていくつもりですので、引き続きご指導、ご援助をお願いします。

「転ばぬ先の杖」(第33回) 貸金業者の取立てと消滅時効

カテゴリー:月報記事 / 転ばぬ先の杖

消費者委員会 山田 裕二(69期)

転ばぬ先の杖。このコーナーは、一般の方に役立つ法律知識をお伝えするコーナーです。今回は、消費者委員会が担当します。

消費者問題には、様々な種類のものが存在します。今回はその中でも、貸金業者の取立てと消滅時効との関係について取り上げたいと思います。

そもそも消滅時効というのは、一定期間権利行使をしないことにより、権利を消滅させる制度のことを言います。これは、権利の上に眠る者を保護しない、すなわち、権利を持っているのに一定期間使わない人は保護しないという法の考え方を具体化したものです。

具体的には、民法第167条に規定されていて、債権の場合には、時効期間は10年とされています。また、商行為によって生じた債権の場合については、商法第522条で、時効期間は5年とされています。商行為とは、例えば、貸金業者がお金を貸す行為等をいいます。したがって、貸金業者の貸金債権は消滅時効期間が5年になります。

つまり、貸金業者からお金を借りていた場合でも、お金を返さなければならない日(弁済期)に支払をせず、その日から5年経過してその間に貸金業者から何の請求も無い場合には、消滅時効により返済しなくてよいということになります。

ただし、時効期間が経過したからといっても当然に権利が消滅するわけではありません。消滅時効は「援用」、すなわち時効期間が経過したので債権を消滅させますという意思表示をしないと効果が発生しません。そのため、貸金業者は、時効期間が経過していることをわかった上で請求してくることがよくあります。時効期間が経過していても支払ってもらえればそれでよいからです。

時効期間を経過しているかもしれないと感じた場合には、弁護士に相談するなどして、確認してから対応するようにしましょう。

また、注意を要しますが、何らの請求もないまま5年過ぎた後でも、時効の援用ができなくなる場合があります。

それは、「時効期間経過後に債務者が債務を承認した場合」です。

この場合には、もはや時効の援用ができなくなるという最高裁昭和41年4月20日判決があるため、時効期間が過ぎた後に債務を承認すれば、それ以降は時効の主張ができなくなるとされているのです。そして、これは、時効期間が経過したことを時効を主張する人が知っていたか否かに関係ないとされています。その理由としては、債務者が時効期間を経過したことを知っていたかどうかにかかわらず、時効期間満了後に債務を認めたのであれば、債権者としてはもはや時効を言い出すことはないであろうと信頼するはずで、その信頼を保護して、時効主張を許さないとするのが信義則に照らして相当であるからと説明されています。

では、「債務の承認」とは何かですが、よく出てくるのは、弁済、例えばお金を借りたときにお金の返すような場合があたります。お金の支払いをすると言うことは、自分に支払うべき債務が残っていることを認めてその支払をしているものということで、債務の承認に当たるとされます。

そして、そのような前提の下で問題となったのが下記の事案です。

時効期間が経過した債務者に対し、貸金業者が債務名義(例えば判決等)がないにもかかわらずこれがある旨の虚偽の事実を記載した「強制執行予告通知」を送り付け、困惑して電話をしてきた債務者に対し、「いくらでもよいからお金を入れてくれ」と申し向けて10万円を支払わせ、その後、更に47万円の貸金返還請求がされたという事案です。

この事案の場合、上記最高裁の判決から考えると消滅時効の期間が経過した後に10万円を支払っているので、追加で請求された47万円について、消滅時効の援用はできないこととなりそうです。

しかし、大分地裁平成28年11月18日判決は、時効の援用を認めました。

理由としては、本件貸金業者は、組織的に強制執行通知を送付するという脅迫的な言動による取立てをしており、社会通念上許されない違法なものであると認定したことにあります。

つまり、貸金業者は、違法な取立行為を行っており、今後時効を援用されないだろうと信頼することが相当であるとは言えないから、消滅時効の援用が信義則違反にならないと考えたのです。

同様の事案で、督促状に不安や恐怖を感じた後に債権者の従業員に連絡したところ、従業員から一括返済を重ねて求められて困惑又は畏怖した結果一部弁済した事案でも、消滅時効の援用を認めています。(浜松簡裁平成28年6月6日判決)

また、時効完成後に、債権者が債務者に対して督促状を頻繁に送り、さらに債権者の従業員が債務者宅を訪れて2000円の弁済を受けた上で、早期返済計画を立てることを求め、その求めに応じて債務者が分割弁済案を提案したものの債権者が拒否した事案でも、時効の援用を認めました。

この事案では、貸金債権の時効期間が経過した後の借主の支払いは、債権者従業員の訪問請求に対して、十分な法的知識を持ち合わせていない借主が従業員の言動に誘導された結果の反射的な反応の域を出るものでなく、債務の弁済の実質をなしていないとして、債権者における時効を援用しないという信頼が信義則上保護するに足りないものと判断され、消滅時効の援用が認められています。(宇都宮簡裁平成24年10月15日判決)

以上のような最近の裁判例からすると、時効完成後に弁済をした場合であっても、貸金業者の取立ての行い方によっては、時効の援用が認められる可能性があることになります。

貸金業者の取立てについても、当然適法な方法で行わなければならず、法律を遵守する必要があります。そのため、騙したり脅したりという取立てを受けて支払いをなした場合には、時効を援用する権利は失われないというのが、裁判例の傾向であると言えます。

貸金業者の問題のある取立て、対応に悩まされている方は、ぜひ弁護士にご相談下さい。

平成29年6月22日付 「弁護士による行政ホットライン」実施のご報告

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行政問題協議会 委員 稲場 悠介(62期)

第1 はじめに

私個人の話で恐縮ですが、私は特に行政事件に詳しい訳ではありません。

また、事務所事件も行政事件が多いということもありません。

そんな私が、なぜこの委員会に所属しているのかというと、ある行政絡みの集団訴訟事件を手伝ってほしいと事務所の兄弁に言われたからです。それを了承したところ、「じゃあ委員会に委嘱しとくね~。」と言われて、いつのまにか委員になっていたのです。

しかし、冷静に考えると、行政事件について素人同然の私が「行政問題委員会」という堅そうな委員会でやっていけるのか、当初は不安もありました。

「その程度の知識でよく入ってきたね」なんて思われたらイヤだなぁ、とか考えていました。

ただ、結論から言うと、それは杞憂に終わりました。

一応、司法試験で行政法の勉強はしていたので、全く分からないということはありません。むしろ、その知識があれば委員会内の議論は十分に理解できます。

また、委員会の雰囲気も全然堅くなかったです。

誤解を恐れずに言えば、学生時代の部活の部室のような雰囲気といった感じでしょうか。

第2 弁護士による行政ホットラインについて

さて、当委員会の活動の一つに「弁護士による行政ホットライン」という活動があります。

これは、市民の行政に対する苦情や悩みを電話や面談で相談を受ける、というものです。

社会生活の中に行政活動は様々な形で入り込んでいますので、相談内容の守備範囲はかなり広いです。また、相談内容もタフなことが結構あります。

しかし、相談者の話をよく聞いて、しっかりと紐解いていくと、回答の道筋が見つかるものです。よくあるのが、行政に対しては不満だけで、実質は私人間の民事問題の相談であったりすることです。

また、面談相談の場合は、基本的に二人一組で対応するため不安はありません。

電話相談の場合は、性質上、一人で応対しなければなりませんが、他の委員が待機している場所に電話を設置しているので、分からなければ保留にしていつでも相談できます。

新人研修以降、諸先輩方の法律相談に同席する機会は少なくなりますが、このホットラインではその機会が数多く提供されます。

ですから、このホットラインでの相談を受けると、自分の法律相談スキルが凄く上がっていくことが実感できます。

平成29年6月22日は、電話相談が3件、面談相談が1件入りました。

このうち、私は電話相談を2件担当しました。

簡単に内容を説明しますと、自宅敷地外の隣地に勝手に土が捨てられてコバエが出てきて困っているという相談と生活保護に関する相談でした。

いずれも諸先輩方のお知恵を借りながら、上手く対応できたと思います。

第3 行政ホットライン後の対応

この日の相談は事件に結び付くものはありませんでしたが、相談内容によっては事件として受任することもあります。

ホットライン終了後には定例委員会が開催され、その中で本日の相談内容の報告があります。そして、事件として対応すべき案件の場合、有志で継続相談を行ったり、場合によっては事件として受任します。

このときは、事務所を超えた先生方と一緒に事件をすることができるので、普段とは違った経験をすることもできます。何より、一緒に事件に取り組むということは、単なる委員会活動を超えた連帯感を醸成する機会になると思います。

第4 おわりに

当委員会ではホットラインを始めとした行政問題に関する様々な取り組みを行っています。行政法の関連法規は近時改正が相次いでいますので、その簡単な勉強会や各委員が実際に担当した事例報告会等をしています。

行政事件は、行政機関は勿論、国会議員・地方議員またはマスコミなどと協議することもあり、通常の事件とは違ったスケールの大きな展開を感じることもあります。

でも、それは、ホットラインを通じた市民の一本の電話から始まるということもあるのです。

もし、本記事をお読みになって、当委員会の活動に興味を持たれる方がいらっしゃれば、是非当委員会の扉を叩いてみてください。

「部室」でお待ちしています。

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