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外国人相談研修のご報告

カテゴリー:月報記事

国際委員会 仁田畑 莉加(70期)

1 はじめに

令和元年7月22日、福岡県弁護士会館にて外国人相談研修が行われましたので、ご報告いたします。

第1部は、福岡出入国在留管理庁就労・永住審査部門の総括審査官、入国審査官をお招きし、入管手続についての基礎知識及び改正入管法の概要についてご解説いただきました。第2部前半は、国際委員会川上誠治先生より、外国人相談・入管相談において注意すべきポイントについて、後半は同委員会松井仁先生より退去強制手続と在留特別許可・行政訴訟についてご解説いただきました。

2 福岡出入国在留管理庁によるご講演

第1部では、入管手続の基礎知識として、外国人の入国(上陸)審査手続から在留手続・退去強制手続までの一連の手続をご説明いただき、「特定技能」に関する入管法改正についてご説明いただきました。

入管法改正で新設された在留資格「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格で、「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。特定産業分野は介護、ビルクリーニング等の14分野とされています。

特定技能1号は在留期間を通算5年とし、技能水準・日本語能力水準は試験等で確認されます。また受入機関等による支援の対象となり、受入機関は支援計画の作成、支援を行うことになります。これに対し、特定技能2号は、技能水準は試験等で確認し、日本語水準は試験等による確認が不要で、受入機関又は登録支援機関による支援の対象外となります。

外国人増加に伴い、外国人の受入環境の整備・支援の方向に進んでいるとのことでした。

3 川上誠治先生によるご講演

第2部前半では、入管業務に関して、①入国・上陸、②在留、③出国・退去強制・出国命令手続の各時点における具体的設例の解説をいただきました。さらに帰化手続業務に関する具体的設例を解説していただきました。

まず入国・在留手続に弁護士が関与するにあたり、弁護士会を経由して各地方入国管理局庁に事前届出をすることで、各種手続において、申請者本人の出頭を要することなく申請等を行うことができるとのことでした。届出手続、届出済証明書の発行までには1~2ヶ月を要するそうです。

在留期限が近づいており、在留期間の更新許可申請をせずに永住許可申請のみを行う場合、永住許可がなされなければ帰国しなければならなくなるため、永住許可手続と更新許可手続が独立の手続であることに注意して対応をしなければならないとのことでした。

外国人に対する政策や出入国管理庁の方針は、国際情勢等によっても変化する可能性があることに留意して活動をすることが大切だそうです。

4 松井仁先生によるご講演

松井先生からは、実際にご経験された2つの事例をご紹介いただき、詳細な対応方法についてご紹介いただきました。

1つ目の事例は、専従資格外活動をしたとして、退去強制事由該当性が問題となった事案での立証資料準備、退去強制手続の流れについてご説明いただきました。退去強制事由に該当する容疑がある場合、収容令書により収容され、仮放免許可を受けると在宅手続になりますが、仮放免中は就労はできず保証人等の扶助で生活し、原則として一月毎の更新手続のために入管に出頭する必要があるそうです。

2つ目の事案は、オーバーステイの外国人について、在留特別許可申請をし、その後行政訴訟、執行停止の申立、そして再審情願をされた事案をご紹介いただきました。退去強制事由に該当する場合であっても、在留特別許可手続があり、在留特別許可についてはガイドラインがあり、法務省サイトで事例集が毎年発表されているそうです。

5 おわりに

本研修で入管法を始め、様々な外国人の法律関係について広く学ぶことができる貴重な機会となりました。今後、実務に活かしてまいります。

交通賠償法研究会・新人会員等向け交通事故連続研修(第5回)-物損・責任論-

カテゴリー:月報記事

会員 井上 瑛子(70期)

第1 はじめに

令和元年7月31日、福岡県弁護士会館にて、交通賠償法研究会・新人会員等向け交通事故研修(第5回)が開催されましたので、その内容をご報告いたします。

本研修は、交通事故委員会内のPTである賠償法研究会所属の先生方により、主に新規会員や交通事故事案の取扱経験の少ない会員を対象として、交通事故事案に関する入門的・体系的な知識・意見共有のために開催いただいているものです。平成から令和にかけて毎月連続して開かれた本研修(全5回)も、今回をもって最終回となりました。

今回の講演では、「物損・責任論」をテーマに、田部貴大会員(68期)を講師として、物損特有の法的問題や、(損害補填の実現可能性のある)請求の相手方という観点から検討される法的責任者について、ご解説頂きました。

第2 物損

以下のとおり、物損事案特有の法的問題を体系的にご説明頂いた後(1~5項)、想定事案を基に事例研究が行われました(6項)。

1 車両損害

(1) 修理費

①車両が当該事故によって損傷した事実、②修理済み又は修理予定であることの事実、③修理費の額又は見込み額を主張・立証すれば、原則として、必要かつ相当な修理費の請求が可能。立証には、領収書、修理明細書、事故車両の写真等が用いられるとのご説明でした。

実務上では、加害者側保険会社のアジャスターが事故車両を検分し、修理工場との間で協議の上、修理費の金額について協定が締結されることが多いとのことでした。

(2) 買替差額

修理費が、①「事故当時の車両価格」及び②「買替諸費用」(被害車両と同種同等の車両の取得費用)の合計額を上回る場合(経済的全損)、事故当時の車両価格と売却代金との差額を請求し得るとのことで、①②の検討方法をご教示いただきました。

①の参考資料として、いわゆるレッドブックや、インターネット上の中古車価格情報等が挙げられました。②については、実務上、廃車・登録等の法定手続手数料や、ディーラー報酬部分のうち相当額、自動車取得税などが買替諸費用として認められている一方、旧車にかかる自動車税や自賠責保険料については、還付制度があるため認められていないとのことです。

2 代車両

車両の修理や買替えのために車両が使用できない場合、①代車を使用し、②代車料を支出し、③当該代車を使用する必要性があるときは、現実に修理・買替えに要した期間のうち相当期間に限り、代車料を請求できるとのことです。

③については、被害車両が営業用車両の場合は原則として肯定される一方、自家用車の場合は当該車両の使用目的・状況、代替交通機関の使用可能性・相当性等の事情を主張しておく必要があるとのことでした。

なお、代車期間について、修理期間は概ね2週間程度、買替え期間は概ね1か月程度が一般的な目安とされているそうです。

3 休車損

被害車両が営業用車両であった場合、①事故車を使用する必要性があるが、②代車を容易に調達できず、かつ③遊休車が存在しない場合は、修理又は買替えに必要な期間中の営業損失(【計算式】〔事故車両の一日あたりの営業収入-経費〕×休車日数)を請求できる。ただし、前項の代車料が認められる場合は、休車損は発生しないことに留意が必要とのことです。認定資料には、事業損益明細書、事故発生後に被害者が作成した計算書・会計書類のほか、国交省自動車局が刊行している「自動車運送事業経営指標」を用いることもあり得るそうです。

②については、いわゆる”緑のナンバープレート”車両は、許認可との関係から、基本的に調達困難として認められているとのことです。③については、諸般の事情を総合考慮し、被害者が遊休車を活用して休車損の発生を回避し得たか否かが検討されることとなり、たとえば各営業所に予備車両を多く備える路線バス会社のケースでは、③が認められない可能性があるとのことでした。

4 評価損

事故当時の車両価格と、修理後の車両価格との差額をいい、以下(1)・(2)に区分されるとのことで、ご説明頂きました。評価損の算定方法につき、現在の裁判例は、車種、走行距離、初年度登録からの期間、損傷の部位・程度等を考慮の上、修理費用の一定割合とする方法を採用するものが多いとのことです。

(1) 技術上の評価損

車両の修理をしても完全な原状回復ができず、機能や外観に何等かの欠陥が存在することにより生じた評価損のことをいい、損害賠償の対象になり得ることについてはほぼ争いがないとのことでした。

(2) 取引上の評価損

車両の修理をして原状回復され、欠陥が残存していないときでも、中古車市場において価格が低下した場合の評価損のことをいいます。以前は争いがあったものの、現在の裁判例では、これを損害賠償の対象として肯定するものがほとんどであるとのことでした。

また、評価損の本質は被害車両の交換価値の低下、すなわち所有権に対する侵害と考えられているため、その請求権は原則として車両所有者に帰属するものと考えられるが、売主・買主間に評価損の帰属について合意があれば、買主にも評価損の請求が認められるそうです。そのため、代理人弁護士としては、早期に車検証等から所有権留保等の有無を確認し、依頼者に見通しを述べられるようにしておくとよい、とのことでした。

5 物損に関する慰謝料

被侵害利益が財産権である以上、物損を理由とする慰謝料請求は原則として認められないとのことです。

6 事例研究

タクシーとの衝突事故(過失割合に争いあり)により、自身の運転するリース車両に物損を被った依頼者から相談を受けた、という想定事案を基に、参加会員との間で議論が交わされた後、相談時から受任後の初動、交渉・訴訟に至るまで、代理人弁護士として留意すべき事項に関するご解説をいただきました。

本件で慎重に検討すべきポイントは3点あり、①過失割合の立証、②レンタカー代、③評価損、とのことです。

①については、ドライブレコーダーや防犯カメラ(Googleマップで現場付近に店舗がないかを確認しておくとよい、とのことです。)等が考えられるが、いずれも短期で自動削除されるおそれが高いため、特に前者については、依頼者に早急にSDカードを抜くよう指示すべきとのご指摘でした。

②については、過失割合に争いがある本件では、修理費・レンタカー代が手出しになる可能性がある(修理着工を踏みとどまるケースもある)ため、依頼者に十分に説明しておくべきとのことでした。

③については、上述(4項)のとおり、車両所有者をすみやかに確認すべきとのことでした。

第3 責任論

責任論においては、法的責任の所在について検討した上で、損害補填の実現可能性のある請求の相手方(保険金の支払を受け得る加害者、資力ある加害者)を検討する、とのことです。

以下のとおり、運行供用者責任(1項)、共同不法行為(2項)の順に、それぞれご説明いただきました。

1 運行供用者責任

(1) 自賠法3条(運行供用者責任)について

民法の不法行為責任が過失責任主義であるのに対し、自賠法の運行供用者責任は事実上の無過失責任であり、人損事故において適用されるとのことです。

(2) 運行供用者とは

(自賠法3条:「自己のために自動車を運行の用に供する者」)

  • 判断基準
    実務上、運行供用者とは、車の運行についての①運行支配と②運行利益が帰属するものとされている、とのご説明でした(二元説)。
    ①運行支配とは、社会通念上、自動車の運行に対し支配を及ぼすことのできる立場にあり、運行を支配制御すべき責任があると評価される場合をいい、②運行利益とは、客観的外形的に観察して利益が帰属する場合をいうそうです。
  • 運行供用者の範囲
    詳細にわたりご解説いただきました。概要をまとめると、下記表のとおりです。

原則肯定 原則否定
  • 無断運転された保有者
  • レンタカー業者
  • 運転代行(依頼者、業者共に)
  • 使用貸主
    (例外:借主が返還時期を大幅に徒過したような場合には、否定され得る。)
  • 名義貸与
  • マイカー通勤のうち、使用者が業務使用を認めていた場合の使用者
  • リース会社、留保所有権者
  • 泥棒運転された保有者
    (例外:車両管理状況、泥棒運転の経緯、盗用場所と事故との時間的・場所的近接性等から、自動車管理上の過失ありと評価される場合には、肯定される余地がある。)
  • 名義残り
  • マイカー通勤のうち、使用者においてマイカーの業務使用が禁止されていた場合の使用者
  • 親子関係
    車両の購入費・維持費の負担、保管・使用状況等を総合的に考慮し判断する。

(3) 自賠法3条:「運行によって」損害が生じたこと

  • 「運行」によって
    「運行」については、自賠法2条2項に定義規定がありますが、同項の「当該装置」の解釈については、最高裁が固有装置説を採用しているとのご紹介がありました。
  • 運行「によって」
    実務では、運行と事故との間に相当因果関係が存することを要するとされている、とのことです。

本要件との関係で問題となる事例として、駐停車中の自動車における事故が挙げられました。駐停車中の自動車への追突事故や停車中のドアの開閉による事故については、肯定される場合が多いとのことです。他方、荷物の積み降ろしを原因とする事故においては、判断が分かれているとのことです。

(4) 自賠法3条:「他人」の生命または身体

「他人」とは、「自己のために自動車を運行の用に供する者及び当該自動車の運転者を除く、それ以外の者」をいうとのことです。

(5) 免責

運行供用者責任の免責規定について、自賠法3条ただし書のご説明を頂きました。

以上のとおり、運行供用者責任についてご解説いただきましたが、自賠法3条の適用が否定されるおそれのある場合には、不法行為責任からのアプローチを検討することも重要であるとのことでした。

共同不法行為(民法719条1項)

(1) 導入

共同不法行為を主張する意義は、個別的因果関係の立証責任が緩和されたり、加害者に連帯責任を負わせ得るという点にあるとのことでした。

以下、各種の問題点についてご説明いただきました。

(2) 純粋異時事故の問題点

  • 同時事故・異時事故とは
    同時事故は、各加害行為が同一場所で同時に行われた場合をいい、異時事故は、複数の事故の間に時間的経過が存在する場合をいいます。後者のうち、複数の事故が時間的場所的に近接して生じた場合を同時類似事故といい、それ以外の場合を純粋異時事故という、とのことです。
  • 問題の所在
    純粋異時事故においては、具体化した損害が、先行事故による損害か後行事故による損害か、区別がつかなくなるケースがある点で問題となります。
  • 被害者の請求方法
    裁判上は、寄与度に応じた分割責任が認定されていますが、被害者の代理人弁護士としては、損害全額が各加害行為と相当因果関係があると主張し、各加害者に連帯責任を求めることになるとのことでした。

(3) 医療過誤との競合

交通事故加害者に全損害の賠償を請求できるかという観点のもと、共同不法行為といえるか、単なる不法行為の競合か、検討すべきとのご説明でした。参照判例として、共同不法行為の成立を認めた最判平成13年3月13日をご紹介いただきました。ただし、当事案は交通事故・医療過誤が時間的に接着していた事案であり、一般化はできないとのことです。

(4) 共同不法行為と過失相殺

①絶対的過失相殺(各加害者の行為を一体的にとらえ、これと被害者の過失割合とを対比して過失相殺をする方法)、②相対的過失相殺(各加害者と被害者ごとに、その間の過失の割合に応じて、過失相殺をする方法)についてご説明いただいた後、各立場の判例についてご紹介いただきました(①:最判平成15年7月11日、②:最判平成13年3月13日)。

第4 おわりに

今回の研修では、物損・責任論という、広く、ややとっつきにくさを感じる分野がテーマでしたが、田部会員のご丁寧なレジュメ(豊富な資料と、約60に及ぶ脚注のフォローまで・・!)と解説で、基本的・体系的なポイントを余すところなくご教示いただきました。

全5回の連続研修がついに最終回を迎え、入門者として参加させていただいた身としては、なんともいえない寂しさと不安感を覚えていますが、手元には、基本書・辞書よりも豊かなレジュメと、ご登壇いただいた先生方の、豊富な実務経験をふまえた解説のメモ書が残っています。今後は、これをバイブルとして、しっかり復習しながら事件処理に臨めたらと思います。

賠償法研究会の先生方には、連続研修を通して、交通事故事案の扉を広く開けていただきました。大変有意義な時間とご縁をいただき、誠にありがとうございました。

【北九州部会】「ジュニアロースクール北九州2019」のご報告

カテゴリー:月報記事

会員 見越 あけみ(69期)

1 はじめに

法教育委員会は、令和元年8月21日(水)、福岡地裁小倉支部204号法廷において、「ジュニアロースクール北九州2019」を開催しました。

中高生19名、その引率者4名の合計23名のご参加により、無事に実施することが出来ましたので、その報告を致します。

2 内容

今回は、殺人事件を題材に模擬裁判(弁護士による寸劇)を行い、「被告人を有罪にすべきか、無罪にすべきか」を中高生に検討してもらうという内容でした。

題材は、本年3月に福岡県弁で実施したもの(ジュニアロースクール2019春in福岡)をたたき台に、多少アレンジを加えました。

事件の概要は、「製薬会社勤務の男性(被告人)が、愛人と結婚したいために、妻(製薬会社の研究員)に離婚話を持ちかけていたところ、ある日、妻が寝室で死体で発見された。妻の死因はトリカブトに含有するアコニチン系アルカイド中毒だった。製薬会社の研究室からは、トリカブトが持ち出されており、寝室に置かれていたコップ(トリカブトの粉が顕出されたもの)からは、被告人と妻の両方の指紋が顕出されている・・・。果たして、妻は自殺したのか?それとも、被告人が毒殺したのか?」というものです。

中高生を5班に分け、引率者班も設けて、班ごとに補充尋問事項を考え、証言や供述の信用性を検討し、有罪・無罪の結論を議論し、発表(判決言渡し)しました。

各班には、担当弁護士を割り当てて議論の補助を行い、証人の目撃証言は信用できるのか、視力は?明るさは?とか、被告人に殺人の動機はあるのか?など、活発に議論されていました。

結論は、全ての班が「無罪」判決を出し、被告人は喜んでいました。

3 感想

模擬裁判では、末廣清二先生が検察官役、竹内佑記先生が弁護人役、古野慧輔先生が裁判官役、中里彰宏先生が被告人役、仲地彩子先生と私が証人役を務めました。

竹内先生以外、普段とは異なる役回りで、皆新鮮な気分だったことと思います(笑)。

私も、証言台の前で宣誓書を読み上げ、尋問をされる経験はありませんので、役とはいえ、非常に貴重な経験になりました。

当然台本はあるのですが、末廣先生や竹内先生が、時折アドリブを入れて来られるので、証人役と被告人役は、終始気を抜けませんでした(笑)。

4 最後に

今回の開催に際して、委員の先生方には、通常業務でお忙しい中、多大なご尽力を頂きました。また、部会事務局の皆様方にも、様々お手伝い頂き、本当に感謝しています。

反省点や改善点は、今後検討していかねばと思いますが、まずは、皆様本当にお疲れ様でした。

【北九州部会】「ジュニアロースクール北九州2019」のご報告

養育費・ひとり親110番 ―本年度から毎月開催になりました

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会員 井澤 わかな(71期)

去る5月15日13時~16時、第2回「養育費・ひとり親110番」が開催されました。

福岡県ひとり親サポートセンターと福岡県弁護士会の協定に基づき、平成30年度に始まった「養育費110番」ですが、本年度から毎月開催へとバージョンアップされ、電話3台、弁護士3名体勢で対応しています。

昨年度から前回まで全て土曜日開催だったのですが、今回は初の試みで平日の昼間に開催ということで、福岡県の担当課長が「件数が伸びるか心配」と語る中でのスタートでした。

TVQの取材

5月10日に民事執行法の改正があり、利用実績が低調だった財産開示手続に関して「第三者からの情報取得手続」という制度が新設されました。これは、裁判所から、金融機関・市町村・日本年金機構等に照会をして、預貯金債権や給与債権(勤務先)に関する情報が取得されるというものです。

離婚後相手との連絡が途絶え、預貯金口座が変えられていたり、転職で勤務先が分からなくなったりして、養育費の不払いに対する強制執行を諦めていたひとり親にとって光明となることが期待される制度改正ということで、メディアの関心も高く、急遽「養育費・ひとり親110番」にもTVQの取材が入りました。

ひとり親サポートセンターのポスターなども掲示、リポーターやカメラマンの方も合流と、俄然にぎやかな雰囲気の相談室となりました。

相談結果の集計

この日の相談件数は、11件でした。

相談者のお住まいの地域も県内各所、年代もばらばら、属性も離婚前、離婚後、未婚と、あらゆる点で幅広い層からのご相談でした。養育費・ひとり親110番を知ったルートも、福岡県ひとり親サポートセンター経由の方から市報で知った方まで、様々な媒体での広報効果が出ているようです。

今回のご相談内容(複数回答あり)は、

  • 離婚問題
    親権 1件
    養育費の取り決め方法 5件
    養育費の金額 4件
  • 離婚後の問題
    養育費の金額 1件
    養育費の不払い 2件
  • その他
    未婚・認知なし 2件
    不貞や財産分与 1件
    面会交流 1件
    DV 1件

など、養育費単体のテーマから、ひとり親が抱える様々なトラブルまで、ご相談内容の幅も広くなってきているように感じます。

相談担当をやってみて

今回は、未婚・認知なしのご相談が2件あったことが印象的でした。電話の合間、福岡県の担当課長と担当者間の雑談で、未婚での妊娠・出産においては特に、認知請求にしても養育費請求にしても、相手の住所特定・調査に繋がる情報を入手しておくことが不可欠という点から、女子高生/女子大生等にそういう視点での啓蒙も必要ではないかというような話が出ました。

確かに、相手が偽名や経歴詐称であったというご相談は私も受けたことがありますが、リアルな社会生活をよく知らない、SNSやLINEといった手段でしか繋がっていない相手に対する認知/養育費請求という、時代を反映したトラブルは今後も増加が予想されるので、必要な啓蒙だろうと感じます。

また、私は、今回相談担当をやるまで知らなかったのですが、福岡市・北九州市・久留米市以外の方で更なる相談が必要な方については、県内の福岡県弁護士会の法律相談センターで60分の無料面談相談が受けられるクーポン(通称:養育費クーポン)の配布をひとり親サポートセンターから受けられます。ひとり親世帯の所得向上につながる心強い取り組みだと思います。

今回の110番でも、開始時刻からすぐにお一人目の方の電話が鳴り、3台埋まるのも早かったですし、終了までコンスタントに電話が入りました。養育費やその他ひとり親の方が抱える問題の相談需要の多さを体感すると共に、毎月養育費・ひとり親110番が開催されることで支援が行われていることへの認知度も上がり、養育費等の問題解決をあきらめている方の救済に繋がっていくと感じています。

インターネット・IT関連相談会(5月25日開催)報告

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IT委員会 委員長 瀬戸 伸一(59期)

2019年5月25日土曜日13時から16時の時間帯で、福岡県弁護士会館にて、IT委員会主催のインターネット・IT関連相談会が開催されました。

例年IT委員会ではインターネット被害110番として、電話相談のみの相談会を行っておりましたが、今回は新会館設立記念のイベントとして、電話相談と合わせて面談相談も実施することにしました。相談者に弁護士会館に来ていただいて認知してもらうということを目的としています。

電話相談は2階の会議室を利用し、面談相談は弁護士会館1階の相談室を利用して行いました。

相談者が来やすいよう、相談日を土曜日に設定したため、面談相談の受付も弁護士が行う形で実施をしました。当日は会館事務局が不在でしたが、事前に万全の準備をしていただいていたため、滞りなく相談実施ができました。

相談会とは関係のないお話ですが、当日は弁護士以外の参加者が多数訪れるイベント(研修会・講演会)が実施されており、入り口近辺に設置されたこの相談会の受付で、「エレベーターはどこか」、「自販機はどこか」という問い合わせを多数いただきました。弁護士会館の設備に関する表示について、不十分な点があると思われます。この点は既に担当副会長など執行部にもお伝えしております。

話を戻しますが、面談相談室は空調も完備され、また、防音対策もしっかりしており、非常に良い環境で相談が実施できました。

また、弁護士会館はwi-fiの使用ができ、弁護士がパソコンやスマートフォンなどを持ち込めば、インターネット利用により、法律その他の資料を自由に参照することができますので、非常に便利です。

実際の相談内容としては、電話相談では、wi-fiの契約に関するトラブルについての相談等が寄せられました。

面談相談では、情報商材の販売に関するトラブル、フィッシング詐欺に関するトラブル、インターネット上への誹謗中傷対策・予防法に関する相談などが寄せられました。

規定の相談時間(電話相談については30分程度、面談相談については30分)では、相談時間が足りない事案もあり、継続相談となるものもありました。

相談会実施後は、有志で、土日は15時から開いている地下鉄六本松駅すぐそばの居酒屋のんちゃんと言う焼き鳥店で懇親会を行い、相談会の反省その他いろいろな話をして懇親を深めました。

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