法律相談センター検索 弁護士検索

虐待の違法と予防の違い ~ 経済的虐待の裁判例を題材にした「あいゆう研修」レポート

カテゴリー:月報記事

高齢者・障害者委員会 委員 野中 嵩之((73期)

1 研修概要

令和3年11月26日、高齢者・障害者委員会主催(日弁連との共催)の「あいゆう研修」を福岡県弁護士会館(ZOOM併用)にて実施したのでご報告いたします。

本研修は二部構成で行い、前半は「近時の高齢者・障害者虐待に関する裁判例の紹介」と題して裁判例の紹介、後半は「ケーススタディディスカッション」と題して行政の不作為が第1審で違法とされた裁判例を題材にパネルディスカッションを行いました。

前半は、当委員会の委員である郷司佳寛先生に講演いただき、後半は上記裁判例の原告側代理人である齋藤真宏先生、社会福祉士の小幡秀夫様、当委員会委員松澤麻美子先生にパネルディスカッションをしていただきました。

2 第2部の概要

(1) 第2部では、滋賀県近江八幡市での裁判例(大津地裁平成30年11月27日判時 2434号3頁)を題材に、議論は進みました。
テーマは、「どうすれば虐待を防げるか≠どうすれば違法にならないか」、つまり裁判における事後的な違法判断ではなく、行政的な視点での事前予防策に視点をあてた研修でした。

(2) 上記裁判例の事案の大枠は以下です。交通事故で夫が事故に遭い、重度の後遺障害を負いました。夫婦は新婚で、第1子ができた矢先の事故でした。その後、妻から夫に対する虐待が疑われるようになり、交通事故に伴う多額の賠償金が入金されてからは、1年に約1300万も支出があるということが2年連続確認されています。また、ある弁護士が保佐申立てをしていたにもかかわらず、上記の明らかに不自然な支出に気付くことはできませんでした。

3 第2部のディスカッションで学んだこと
(1) 違法と予防の視点の違い

上記裁判例では、行政の不作為が違法と認定されたのは相当後の時点でした。その上、第2審では行政の対応に違法はなかったとすら判断されています(現在、最高裁に上告中です。)。このように、違法となる時期は遅くなる傾向にあると感じる一方で、いかに虐待を防ぐかの視点では相当早期の段階で対策を打つべきとの議論がなされました。

とくに、社会福祉士の小幡様は、原告本人(夫)が施設に入るも「家族が面会に来ない」「(交通事故の保険から休業補償が入ったのに)利用料が滞っている」という段階から、行政としては介入すべきであったとします。行政による権限行使というハードなものではなく、子育て支援に寄り添うソフトな対応を早期のうちにしていれば結果は違ったかもしれないとのことでした。

虐待というと、どうしても「悪者」として責任追及すべき対象と捉えがちですが、本件の妻も子供ができて子育てが大変となった直後に夫が重度の後遺障害を負っており、不安でならなかった、そんな孤独の中で行政等の支援すらもなければどうなるのか。このようなことを考えさせられた議論でした。

(2) 経済的虐待の難しさ

また、上記裁判例では明らかに不自然な多額のお金の支出が2年連続で行われていますが、小幡様は身体虐待やネグレクトと比べると経済的虐待は少ない印象であるとご指摘したように、経済的虐待自体、他の虐待類型とはまた違う難しさがあるのかもしれないと感じました。

原告代理人の齋藤先生は、この頃の行政の不作為について当時の福祉課が証人尋問で「家庭によって経済的事情は違うので、一概に経済的虐待と判断することは難しかった」と聞き取ったことを受けて、「家族にはスタイルあるからと言って、月100万円を使うことも許容されるのか?」と疑問を呈されていました。まさに、経済的虐待では、この問題にいかに向き合うかという難しさがあるのではないのでしょうか。

今後の経済的虐待を考えるにあたってのひとつの視点にもなるかもしれません。

(3) 保佐人としての姿勢

上記裁判例の事案では、保佐人として弁護士が関与してたにもかかわらず上記の不自然な金銭の動きに気付くことができませんでした。

齋藤先生は、当該保佐人は原告本人の顔も見ていないとのことで苦言を呈されていました。この話を聞いて、弁護士である自分も決して他人ごとではないと肝を冷やす思いをしました。

虐待に興味がないとしても、たとえば後見人として知らず知らずに経済的虐待にある種加担することもありうる。このことは、たとえ興味がないとしても知るべきことがある、また今後経済的虐待など議論が進むに従い知識を補充していくべきではないかと思いました。

4 おわりに

普段、弁護士の業務上も裁判例は数多く目にしますが、本研修のように専門家の方や実際に関与された代理人の先生からのコメントや知見を踏まえ、予防の視点で裁判例を読み解いたことは私自身初めての経験で、非常に刺激のある研修内容でした。

経済的虐待の問題、これを取り巻く行政、家裁、弁護士などの各専門家がいかに考え関与していくのか。そして、いかにして虐待を予防していくか。虐待自体に興味がない方でも知るべきことがあること。
私自身、これらの問題について弁護士人生を通して考えていきたいと思います。

シンポジウム「誰もが幸せになれる学校」

カテゴリー:月報記事

LGBT委員会 委員 井口 奈緒子(72期)

1 シンポジウムの概要

2021年11月7日、福岡県弁護士会主催のシンポジウム「誰もが幸せになれる学校」がオンラインで開催されましたので、ご報告いたします。

本シンポジウムは、LGBTをはじめとするセクシャル・マイノリティ(性的少数者)を筆頭に、世の中の差別や偏見から子ども達を守り子ども達が前向きに、自分らしく生きていく事ができる社会の実現を目指して開催された「九州レインボープライド2021」というイベントの一環として行われました。

前半では、パネリストの皆さまより、それぞれの立場から、制服をはじめとする校則をテーマにお話しいただきました。後半では、中学校教務主任である明石浩司さんより、フィンランドでの学校教育について、海外派遣研修での経験談をもとにお話しいただきました。

オンラインでの開催ではありましたが、41名の方にご参加いただきました。教師の方、中学生やその保護者の方、子ども関係のNGOの方など幅広い層の方々にご参加いただき、盛況となりました。

2 パネリストのご紹介

本シンポジウムでは、後藤富和弁護士を進行役として、Proud Futures共同代表の小野アンリさん、LGBTの家族と友人をつなぐ会in福岡の中島みつこさん、福岡市立東住吉中学校教務主任の明石浩司さん、福岡県弁護士会校則PT座長の佐川民弁護士にパネリストとしてご登壇いただきました。

3 選択制標準服の課題

まず、ProudFutures共同代表の小野アンリさんより、選択制標準服についてお話しいただきました。

女はスカート、男はズボンという固定概念が、LGBTをはじめとするセクシャル・マイノリティの子ども達に甚大な精神的ストレスを与え、学校に行くことを難しくさせている現状があります。そこで、選択制標準服の導入が検討され始め、福岡県内の中学校でも導入する動きが広がっています。

しかし、アンリさんによれば、今はまだ過渡期であるとのことでした。就学前の段階や小学校では変化の風が吹いていないこと、導入されている標準服は限定的な選択制であること等がその理由です。

選択制標準服では、女子がスラックスを選べるようになっていますが、選択制といいつつ「男子」がスカートを選ぶことのハードルは高く、そもそも選ぶことを想定していない学校もあり、限定的な選択制にとどまっていること、また、「女子」がスラックスを選ぶことについても偏見が残っていることなどをお話しいただきました。

一般社会において、トランスジェンダーであってもなくても、女性が毎日スカートを履いているわけではありません。学校のシステムは、子ども達の価値観の形成に大きな影響を与えることから、大人側で門戸を閉ざさないこと、凝り固まった頭をほぐすことが何より重要であると教えていただきました。

福岡県弁護士会 シンポジウム「誰もが幸せになれる学校」

4 男女分けの現状

LGBTの家族と友人をつなぐ会in福岡の中島みつこさんには、就学前の幼稚園や保育園、小学校で気になる男女分けについてお話しいただきました。

小学校では、水筒を置いておくかごを男女で色分けしたり、「ちゃん」「くん」などの呼称、発表会の出し物、運動会での催しを男女で分けており、ありとあらゆる場面で男女分けがなされている現状があることをお話しいただきました。

就学前の幼稚園や保育園でも同様の男女分けがされおり、その理由を教育関係者に聞くと、特に年少では男女の別を認識できないことから、性別があることを認識させるために良かれと思ってやっていることがわかったとのことです。

また、2015年に地域の男女共同参画推進委員が要望書を提出したことで、小学1年生に配布していた黄色い帽子の形が男女で統一された福岡市での事例をご紹介いただき、地域の大人が声をあげることの重要性を教えていただきました。

大人が声をあげることは、不必要な男女分けを撤廃する動きにつながるだけでなく、子ども達が男女分けの現状に気付き、自身や友達の「選択」について考えるきっかけになります。

中島さんがおっしゃっていた言葉の中で、子ども達がいきいきと生きることが何より大事であり、それを応援している大人達がいる(いた)ことを思い出してほしい、という言葉がとても印象的でした。

5 福岡県弁護士会の取り組み

佐川民弁護士には、校則に関する福岡県弁護士会の取り組みをお話しいただきました。

福岡県弁護士会では、2017年にシンポジウム「LGBTと制服」を開催し、その後福岡市と北九州市におけるジェンダーレス標準服の実現につながりました。そして、2020年度、情報公開請求により福岡市のすべての公立中学校の校則を調査し、その結果を公表し、シンポジウム「これからの校則」を開催しました。2021年2月には弁護士会から中学校校則の見直しを求める意見書を提出しました。それを受けて、同年7月、福岡市立中学校校長会が「よりよい校則を目指して」を発表し、現在、福岡市内の各中学校において校則の見直しが行われています。

このような弁護士会の取り組みの中で、想像以上に細かい内容の不合理な校則が多く存在すること、生徒が校則に対して何も意見を言えない状況が明らかになったことをご報告いただきました。

その上で、本来は、人と人とが円滑に過ごしていくために設定するものがルールであり、自由を制限するものではないにもかかわらず、現在の校則は生徒の自由を制限し、生徒を管理するためのツールになっている面があり、また、校則違反による「連帯責任」という言葉はいじめの原因を作りかねず非常に問題であることをご指摘いただきました。

6 校則見直しの動きと現状

福岡市立東住吉中学校教務主任の明石浩司さんには、校則見直しの動きや学校現場の現状をお話しいただきました。

学校では、校則検討委員会が立ち上がり、本シンポジウムの開催当時、校則見直しを行うために、生徒の意見交換などを行っているとのことでした。

校則見直しの動きが進む中で、学校現場においては、教師が置かれている環境や考え方の「3つのトライアングル」の中に生徒が存在するという構造があり、教育現場が抱えている課題が存在することを、明石さん自身が作成された図を示しながらご説明いただきました。

具体的には、教師において、(1)しつけや指導を中心とした従来の教育観が根強く残っていること、(2)授業、生活指導、部活動、保護者対応などで多忙であり時間的余裕がないこと、(3)社会とのかかわりが少なく視野が狭くなりがちであることから、そのしわ寄せが生徒にきてしまい、生徒自身が考えることをやめてしまう傾向を作り出している現状があるとのことでした。

進行役の後藤富和弁護士からは、校則の見直しに際し、生徒が幸せになるためにという目的をもって根本から見直そうとしている学校と、上から言われたから仕方ないといってやっている学校があるという厳しい現実についてもご指摘いただきました。

福岡県弁護士会 シンポジウム「誰もが幸せになれる学校」

7 フィンランドの教育現場

明石さんも、以前は生徒に校則を守らせることが教育であると考え、熱心に指導されていました。

しかし、海外派遣研修でフィンランドの教育現場を実際に目にし、自身の教育に対する意識が変わったとのことで、フィンランドの教育についてご報告いただきました。

フィンランドでは、「すべての人が平等に質の高い教育を受けられる」ように国をあげて取り組んでおり、教員の社会的地位が高いこと、1クラス20人以下の少人数制で授業を行うことで子ども達が話し合う場が多く設けられ、生徒ができるまで学習する環境づくりや支援体制があること、教師と生徒が対等でお互いにリスペクトしている関係が構築されていること、校長のほとんどが女性で性別などにとらわれない多様性があらゆる場面で尊重されていること等が日本との違いであるとお話しいただきました。

8 最後に

参加者の方からは、「パネリストの方々1人1人に体験を通してえた言葉の力があって、勇気をもらえました。」「画期的な取り組みです。学校内部にいる者としては何でも教材にしたい」などのご意見をいただきました。パネリストの方々をはじめ、ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

【筑後部会】ジュニアロースクール2021in筑後

カテゴリー:月報記事

法教育委員会 委員 塙 愛恵(71期)

1 はじめに

令和3年11月21日、福岡県弁護士会筑後部会会館において「ジュニアロースクール2021in筑後」を開催しましたので、ご報告させていただきます。

2 模擬裁判とディスカッション

去年に引き続き新型コロナ対策のためZOOMを用いてのオンライン開催となり、県内の中高生13名が参加しました。

参加者には裁判員役として、殺人事件の模擬裁判をZOOMで見てもらい、その後、少人数のグループに分かれてディスカッションをし、グループごとに被告人の有罪・無罪を判断してもらいました。

裁判官、検察官、弁護人、被告人、目撃者の役をそれぞれ弁護士が演じ、人定質問から論告、弁論まで模擬裁判を実演しました。

「旦那様がコップに毒を入れたのを見ました。旦那様が奥様を殺したのに間違いありません!」と証言する目撃者の家政婦と、「妻は自殺したのです」と殺人そのものを否定する被告人。

客観的証拠と共に2人の食い違う供述の信用性を判断し、最終的には被告人の有罪・無罪まで判断するという難易度高めな事件に参加者は様々な角度から意見を出し、ディスカッションをしてくれました。

3 事前準備と当日の運営

会館での模擬裁判の様子をZOOMで配信し、その後ZOOMの「ブレイクアウトルーム」機能で少人数のグループに分かれてディスカッションを行うという流れのために、事前のリハーサルでは、カメラ配置、音声機器のチェック、参加者に誰が発言しているのか分かりやすいように模擬裁判中には発言している人にZOOM上でスポットライトを当てる等の工夫が行われ、事前に入念な準備が行われました。

当日も、WEB班、出演班、連絡班等の連携で臨機応変に対応することができ、特段問題が生じることなく最後まで行うことができました。

4 参加者の感想・反応

模擬裁判終了後には、参加した生徒から、「裁判官(裁判員)から証拠をもっと出してほしいといえるのか」、「裁判中に被告人が罪を認めた場合には裁判はどうなるのか」等刑事裁判に対して関心の高い質問もありました。

また参加者アンケートでは、面白かったという感想とともに、公平な目で見ることは難しい、供述の信用性を判断するのは難しかった、様々な視点を見られて楽しかった等の感想もあり、裁判の難しさや多角的な視点で考えることの重要性を実感してもらえたようです。

5 さいごに

コロナ禍でオンラインイベントも増えておりますが、今回実行役として参加することで、その実現には多くの準備がかかっていることを実感できたと同時に、真剣に模擬裁判に参加する学生達と交流できたことで、広報を頑張って来年はさらに多くの方にご参加いただきたいと思いました。

最後に、今回ご尽力頂きました全ての先生方に、この場を借りて御礼申し上げます。

福岡県弁護士会【筑後部会】ジュニアロースクール2021in筑後
福岡県弁護士会【筑後部会】ジュニアロースクール2021in筑後

今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

カテゴリー:月報記事
【イベント概要】

2021年11月28日(日)、福岡県弁護士会館において、「来たれ、リーガル女子!in福岡2021」が開催されました。

2018年に、内閣府の男女共同参画推進事業の一環として、学生・保護者・教員向けシンポジウム「来たれ、リーガル女子!」~女性の弁護士・裁判官・検察官に会ってみよう!~が西南学院大学法科大学院棟で開催されて以降、毎年、福岡では本イベントが行われています。今年は4回目の開催で、会場参加とオンライン(zoom)参加を併用して行われました。

本イベントの目的は、その題名にも表れているように、女性の法曹人口(当会の立場からすると、特に女性弁護士数)を増やすことにあります。2021年3月31日時点で、全国単位会の女性弁護士の割合は平均19.3%です。当会に目を向けると、女性弁護士数は1418名中259名であり、微増しているものの、その割合は18.3%となお低い状態です。このような現状を踏まえ、将来の進路を考える女子中高生及びその保護者に対して、普段の生活ではあまり接することのない女性法曹と触れ合う機会を設け、将来の有力な選択肢として法曹を考えてもらうべく、今年度から立ち上がった男女共同参画推進本部を中心に準備し、開催しました。

当日は、第1部・パネルディスカッション、第2部・法曹になるための進路説明、第3部・グループセッションの順に実施されました。

第1部・パネルディスカッション

「弁護士のリアル」と題し、原田直子先生にコーディネーターを務めていただき、パネリストの仲地彩子先生と私が、質問に答えていくという形式で進められました。原田先生から、弁護士を目指した経緯、弁護士としてのやりがい、ライフワークバランスなどについて質問がありました。

仲地先生は弁護士登録に至るまでに留学や大学講師等、本当に様々な体験をされており、原田先生が仰っていたように正に「波乱万丈」な内容でした。他方、私は、法曹資格を有する者の多くが辿ったであろうルート(大学法学部進学→法科大学院進学→司法試験受験)で弁護士登録をしており、法曹においては珍しくない部類です。

参加者アンケートからも、多様な進路ややりがいを感じてもらうことができ、中高生にとって、将来の選択肢を考える上で非常に良い機会になったのではないかと思いました。少し紹介します。

「コーディネーターの方のテンポが良く、弁護士お二方の話をスムーズに聞くことができて面白かったです。また、自分以外の方が法律に関心を持ったきっかけを伺ったり、業務内容や、育児に関する話、挫折や苦しいことを糧にするという話はとても役に立ちました。」
「『自分自身で決めた方針が自分に返ってくる』という、面白い仕事だなと、関心が高まりました。私も人の心に寄り添えるようになりたいと思いました。」
「法曹に関わる人はプライベートも犠牲にしてお仕事をしているというイメージがあったので、イメージよりプライベートに自由な時間があるという事を知れたのは参考になりました。」
「法曹を目指す人でもそれぞれの道のりがあることがわかりました。自分なりのやり方で法曹を目指していいんだと思い、安心しました。」

福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

第2部・法曹になるための進路説明

私は、第3部の打合せのため、会場の様子を直接見ることはできませんでしたが、福岡の大学教員の先生方と宇加治恭子先生による進路説明では、大学以降の進路について、方法論を具体的に示されていたようです。

参加者アンケートによれば、次のように非常に好評でした。
「法科大学院や法曹コースについてよく知れたと思います。」
「法曹への道が2年も短くなる法曹コースというものがあるんだと知れて、良かったです。」
「具体的にどうすればいいかなど、今後目指すべき場所がはっきりした。」

第3部・グループセッション

弁護士及び裁判官又は検察官を講師として、8名程度のグループに分かれて中高生からの質問に答える形式で行われました。今回は全部で5グループに分かれ、うち2グループはオンラインで行われました。

私は、弁護士及び裁判官が講師を務める会場実施のグループに参加しました。私が参加したグループでは、滅多に交流することができない裁判官への関心が強かった印象で、少々寂しい気もしました。裁判傍聴にも行ったという中高生が複数おり、意識の高さに非常に驚きました。

質疑応答の時間には、業務の内容、一日のスケジュール、やりがいを感じるときはどんなときか、大変だなと感じるときはどんなときか、モチベーションを維持する方法、メンタルの維持について工夫していること、法曹になるためにどのような準備をしたらよいか等、様々な質問がなされました。法曹と直接話をすることで、参加した中高生が少しでも法曹を身近に感じ、将来、法曹(特に当会所属の弁護士)になることを選択してくれたとしたら、非常に嬉しく思います。

参加者アンケートの回答も嬉しいものばかりでしたので、少し紹介します。

「法学部に行くことに関して、友達と真剣に話し合ったりしたことがなかったので、今回リーガル女子に参加してみて年代を問わずこんなにも多くの学生が法律に興味を持って将来について考えているのだと刺激を受けました。」
「グループの弁護士の先生方が本当に面白く、自分に合わせて質問に親身に答えてくださっていたのが本当に嬉しかったです。」
「弁護士の方と裁判官の方がとても優しく笑顔でお話ししてくださったので、初めは緊張していましたが、段々緊張がほぐれてきてとても話しやすかったです。」
「お話の中で、やっぱり自分は法曹になりたいなという気持ちになった。」
「今まで疑問に思っていたこと、パネルディスカッションを聞いて気になったことなどを、現役の弁護士、検察官の方から聞けて、充実した時間が過ごせた。」
「プライベートの話や1日の流れなど裁判官や弁護士の仕事についての話を聞けて裁判官や弁護士についての理解を深めることができました。」

さらに、参加者アンケートから参加の前後で法曹に対するイメージが変わったかという質問に対しては、様々な嬉しい回答がありました。

「参加前は、硬いイメージを持っていたが、仕事とプライベートの切り替えを持った自立したかっこいい大人の女性というイメージに変わりました。」
「真面目で少し怖そうなイメージだったが、皆さんとても優しく、先生のような法曹になりたいと思いました。」
「常に論理的に物事を考え、仕事に明け暮れているイメージがありました。女性が少ない職業なので、法曹界で活躍されている女性は強く勇ましい方ばかりだと思っていました。しかし実際は、子育てや趣味の時間を持ち自分らしく働いているキラキラした方ばかりでした。」
「エリートで雲の上の人だというイメージがあった。しかし良い意味で普通の人なのだと感じた。」
「色々な経歴からの弁護士の道がある事に驚きました。その経歴が弁護士としての活動での基盤になっていると伺って、経験することの大切さを改めて考えさせられました。」
「司法試験や法科大学院での勉強など、現実はそんなに甘くはないこともわかりました。しかし、実際に弁護士の方がやりがいを感じた瞬間のお話などを聞いて、とても印象的に感じたし、自分もそんな経験をしてみたいという気持ちになったので、改めて弁護士になりたいと思いました。」

福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

最後に

真剣な眼差しの中高生を前にして緊張しましたが、私自身、改めて法曹として頑張ろうと思える大変貴重な機会となりました。本イベントを企画・準備・運営してくださった先生方・関係者の方々には感謝申し上げるとともに、今後も本イベントの開催が継続され、本イベントをきっかけとして多数の法曹が誕生してほしいと思います。

福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021
福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

あさかぜ基金だより

カテゴリー:月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 社員 宇佐美 竜介(73期)

○先輩弁護士

あさかぜ基金法律事務所は、平成20年9月22日に設立された事務所です。

設立以来あさかぜ基金法律事務所には29人の弁護士が入所しました。現在九州以外の地で活躍している弁護士もいます。

○共同受任

あさかぜ事務所以外の弁護士から紹介を受けた事件のうち、その2割から3割があさかぜ基金法律事務所の先輩弁護士からの紹介事件で、共同受任をして事件処理を進めています。

その中で、依頼者にどのように伝えればわかりやすいのか、書面で強調すべきポイントは何かなどを教わり、また議論を掘り下げるように頑張っています。

○所内研修

あさかぜ基金法律事務所では、事務所独自の研修をあさかぜ研修と称していますが、あさかぜ出身の先輩弁護士の事務所を訪問することがあります。

最近では、小林洋介弁護士が所長をつとめる平戸の飛鸞ひまわり基金法律事務所を訪れ、弁護士過疎地において開設する準備や事務所経営を軌道に乗せるための工夫、そしてどんな苦労をしたのかについて、話を聴き、一つの相談からどのようにして顧客を開拓するかのヒントを得ました。

このように、先輩弁護士が実際に過疎地でどのようにして開業し、事務所を運営していったのか知ることができることによって、近い将来の私自身の過疎地への赴任に向けて具体的なイメージを持つことができます。

このほか、今年度から新しく運営委員の光安正哉弁護士や井口夏貴弁護士が主催するゼミナールが所内で開かれています。このとき、要件事実の整理から民事保全の手続や弁護士報酬など、実務にすぐに役立つ幅広いテーマで議論を行っております。

○先輩弁護士とのつながり

あさかぜ基金法律事務所は指導担当弁護士など事件紹介をしてくれる弁護士だけではなく、これまで在籍していた先輩弁護士とのつながりも強く、先輩弁護士の温かく、また強力な指導と援助により支えられている事務所でもあります。

○私のリフレッシュ法

ランチは、前職の裁判所書記官時代は自分の席で弁当を食べることがほとんどでしたが、今では気分転換も兼ねて、天神周辺(いつも別の店)を食べ歩いています。外国人や職人肌など色々な店主との一期一会も非常に刺激的です。

天神の食文化を堪能することで、同じ日はないという気持ちを持ち続けています。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.