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【人権プレシンポ】監視カメラとまちづくり

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会員  知名 健太郎定信(56期)

1. 2007年7月21日(土)午後1時30分より、福岡県弁護士会3階ホールにて、第50回人権擁護大会プレシンポジウム「監視カメラとまちづくり」が開催されました。2007年2月に福岡市、福岡県警、商店街等を構成員とする協議会において、2007年度中に中州へ監視カメラを設置することが決定されたとの新聞報道があったこともあり、当日は、弁護士のみならず多数の市民の方々の参加もあり、弁護士会3階ホールがほぼ満席となる盛況振りでした。

2. まず、第1部として、2名に研究者の方に基調講演をしていただきました。明治大学講師の清水雅彦先生からは、「治安政策としての『安全・安心まちづくり』」と題して講演をしていただきました。ここ数年の日本においては、治安が悪化している、もしく「体感治安」が悪化しているというあいまいな事実認識のもと、「安全・安心なまちづくり」のためとして急速に監視社会化が進んでいます。先生のお話を聞くことで、住民基本台帳法の改定、日本道路公団の高速通行券、クレジットカードやスーパーのポイントカード、JR東日本の「Suica」等タッチ式の定期券・乗車券、そして各所に設置されている監視カメラ、Nシステム等を通じて、目に見えないなかで、市民生活上のプライバシーが急速に制限される方向に動いていることがよく理解できました。
次に、福岡大学名誉教授である石村善治先生に「ドイツにおける監視カメラ規制の現状」と題して講演いただきました。イギリスでは400万台以上の監視カメラがあるといわれており、ロンドンでは普通に暮らしているだけで1日300回監視カメラに映るといいます。ドイツでは、そのようなイギリスの状況を踏まえながら、プライバシーの保護を重視して監視カメラの安易な設置を認めないよう立法的な措置が講じられました。その後もドイツにおいては、多くの議論が積み重ねられ判例等も蓄積されていっていることが先生のお話を聞くことでよく分かりました。
十分な議論のないままなし崩し的に監視カメラが設置されようとしている現在の日本においても、ドイツでの議論を参考にする必要があることは間違いありません。

3. 第2部では、パネリストとして九州国際大学木村俊夫法学部教授、基調講演をしていただいた清水雅彦先生、甘木朝倉青年会議所の方、そして武藤糾明弁護士に参加していただき、李博盛弁護士の司会のもと、パネルディスカッションが行なわれました。
パネルディスカッションを通じて、福岡県防犯カメラ活用検討会議が不十分な議論のままで防犯カメラの活用を推進するような結論を出していたことも浮き彫りとなりました。また、甘木朝倉青年会議所においては、福岡県警から委託をうけて、自主防犯パトロールを行なっているとのことでしたが、活動に参加されている方には、プライバシー等の侵害になるのではないかという問題意識はほとんどないようでした。実際にパトロールに参加されている方は、純粋な動機から少しでも社会のためになればと思って活動されているだけに、このような方々にも、プライバシーの重要性等について理解をしていただいたうえで、住み良い社会とはどのようなものなのかを一緒に考えていく必要があるのではないかと痛感させられました。

4. 2007年11月1日〜2日にかけて開催される第50回人権擁護大会シンポジウムにおいては、同様の問題について分科会が開催される予定となっています。市民のプライバシーの今後のあり方について、重大な影響を与えてくる問題ですので、当会の会員の皆様にもぜひとも多数ご参加いただきたいと思います。

監視カメラの設置・運用について

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会員 武藤 糾明(49期)

このシンポで行われた監視カメラ規制をめぐる議論を一部ご紹介します。

福岡県の、監視カメラの設置を規制しないガイドライン方式(その後、8月に策定)について、私の方から、「公道に対する設置の規制は不要なのか。

子どもの安全を守るためと称して、一市民が小学校の校門に向けた監視カメラを設置して24時間録画し続けたらどうか。PTA会長ならよいが、小児性愛嗜好のある人ならダメと言うことになるのか。

一市民に公道の監視権が認められるものなのかどうか、感情ではなくて、論理によってルールを決めるべきではないか。」「カメラの設置者が、よいことだと思って、警察の要請のままに画像が提供されると、集会参加者の画像すら警察に集中する危険がある。現状においても、上川端商店街は、かなり頻繁に警察に画像を提供しているが、ここでは、毎年メーデー会場となる冷泉公園に向かう多数の市民も、録画している。」と問題提起をしました。

ガイドライン策定に向けた検討を行ってきた福岡県防犯カメラ活用検討会議の会長であった木村教授は、「会議は、もともと活用という結論ありきだった。8回は議論すべきだと思ったが、最初から3回で、締めきりの時期も区切られていた。監視カメラを市民が監視する仕組みが必要。」と述べました。

新潟の齋藤弁護士から、陸上自衛隊による市民監視、公安調査庁による青年法律家協会会員の宿泊者名簿請求事件など、権力批判をする国民に対する公権力による監視が強まっている現状に法律家が対処すべき必要性について会場発言をいただきました。

このシンポジウムでは、監視社会を招かないためのルール確立を求める宣言を採択しました。福岡市は、適正手続きやプライバシー権に十分配慮した条例を定めることなく、街頭への防犯カメラの設置・運用を自ら行ったり公金を支出すべきではないこと、その場所では起こっていない犯罪捜査への協力は令状に基づき行うことなどを提言しました。

福岡県のガイドラインは、広範な警察の任意捜査に応じて画像を提供できるよう定め、令状主義の観点が欠落しています。

十分な議論が行われることなく、イギリスのように、街中が、多額の税金が投入された監視カメラだらけにならないよう、市民が、法律家が、監視していく必要があります。

都市型公設事務所を知っていますか?

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大神昌憲(総務事務局長)

1 都市型公設事務所・連絡協議会及びシンポジウムの開催

私は,平成19年6月29日,日弁連会館において開催された「第4回都市型公設事務所等連絡協議会」(日弁連主催)及び都市型公設事務所シンポジウム(東京弁護士会主催)に参加しました。私は都市型公設事務所については全くの初心者で,一体どのようなものなのか,興味津々で参加いたしました。

2 全国9事務所

都市型公設事務所は,現在,全国で9事務所あるようです。

  1. 弁護士法人東京パブリック法律事務所(平成14年6月開設)
  2. 弁護士法人北千住パブリック法律事務所(平成16年4月開設)
  3. 弁護士法人渋谷パブリック法律事務所(平成16年9月開設)(以上,東京弁護士会)
  4. 弁護士法人渋谷シビック法律事務所(平成15年5月設立,同16年6月法人化)(第一東京弁護士会)
  5. 弁護士法人東京フロンティア基金法律事務所(平成13年9月開設,同14年4月法人化)(第二東京弁護士会)
  6. 弁護士法人大阪パブリック法律事務所(「刑事こうせつ法律事務所」と「大阪フロンティア法律事務所」が平成19年4月に統合)(大阪弁護士会)
  7. 弁護士法人岡山パブリック法律事務所(平成16年8月開設)(岡山弁護士会)
  8. 弁護士法人広島みらい法律事務所(平成18年10月開設)(広島弁護士会)
  9. 弁護士法人すずらん基金法律事務所(平成17年3月開設)(北海道弁護士会連合会)

の9つがそれで,弁護士法人多摩パブリック法律事務所(仮称)(東京弁護士会)は開設準備中(平成20年2月開設予定)とのことです。

3 都市型公設事務所の機能

都市型公設事務所は弁護士会が抱える様々な問題を解決すべく,多くの重要な役割を担っています。

1つめは地域の法律相談センター,権利擁護センターとしての機能です。都市の市民の法的な駆け込み寺として,一般的には受任が難しい少額の事件でも,法テラスなどと連動し,積極的に相談,受任に応じています。

2つめは刑事対応機能です。前記2-2の北千住パブリック法律事務所は,被疑者国選弁護の拡充,裁判員裁判に備え,質量ともに刑事事件に十分に対応することを主たる目的として設立されています。

3つめは若手弁護士の育成支援と過疎地への派遣の機能です。多様な事件の処理を通じて若手弁護士を鍛錬育成し,入所後1年ないし2年で過疎地の公設事務所等に派遣しています。

4つめは弁護士任官推進と判事補の弁護士経験の機能です。弁護士が任官をするためには依頼者や顧問先に迷惑を掛けぬよう抱えている事件に解決の目処をつけることが必要ですが,公設事務所に所属することにより,円滑な事件引継が可能となります。また,都市型公設事務所は事件の種類も多く,判事補が弁護士の職務を経験するうえで適していると言えます。弁護士経験を終え裁判所に戻る際も,円滑な事件引継が可能です。

5つめは,後継者養成機能です。法科大学院と連携,協力し,学生を受け入れエクスターンシップを実施するなど,法曹養成の機能があります。前記2?の渋谷パブリック法律事務所は,國學院大學内法科大学院棟1階に事務所があり,臨床法学教育(リーガルクリニック)を主たる目的として設立されています。

4 都市型公設事務所の事務所形態

都市型公設事務所の事務所形態としては,ベテラン弁護士を所長とし,中堅弁護士数名と若手弁護士多数といった弁護士構成が多いようですが,前記2-9の弁護士法人すずらん基金法律事務所の場合,所長制を採用せず,運営委員会の支援を受けながら,若手弁護士のみが事務所を運営している点に特徴があります。

5 都市型公設事務所の今後について

現在,日弁連は,弁護士偏在の解消を最優先の課題の1つとして取り組んでいることから,今後,都市型公設事務所は全国に広がっていく可能性が大きいと考えます。

実際,東北弁護士会連合会及び仙台弁護士会は,過疎対策と刑事2009年問題対応のため,都市型公設事務所の設置を検討しているとのことです。

今後,九弁連や当会でも,偏在問題等の解消のために都市型公設事務所の検討がされることになると思われます。

以上

ITコラム

カテゴリー:月報記事

会員 大庭 康裕

1 はじめに

ホームページ委員会からITコラムを書いて欲しいというご依頼がありましたが、私はITに関する知識が殆どないので、最初は丁重にお断りする予定でした。しかし、その夜、スーパーサニーで買ったお豆腐1丁、ひじきと大豆とこんにゃくの煮つけなどで夕食をとりながら考察したところ、人生の夜長に興を添えるために、何か意見を述べておくのも悪くはないと思ったので、お引き受けした次第です。

2 私のIT歴

ITの代表と言えばパソコンですが、私はもともとワープロに慣れ親しんでいたせいか、パソコンがぽつぽつ普及し始めても頑固にワープロに拘っていました。携帯電話さえも贅沢品であり不必要だという意見で持っていませんでした。けれども、私が司法修習生になった頃、福岡地裁、福岡地検では既に大きなディスクトップのパソコンが導入されていました。そこで、私も後期修習に入る前にノートパソコンを購入して(当時はまだ高価でしたが)パソコンの練習を始めました。

本格的にパソコンを使用し始めたのは、修習を終えて森竹彦先生の事務所に就職してからです。森先生は知る人ぞ知るパソコンに造詣の深い方で、私にとってはまさに闇夜の光でした。

平成12年に独立して事務所を構えてからは、業務上の必要性を認識して(無料で電話機をもらえたからでもありますが)ようやく携帯電話を購入しました。また、私の事務所は狭いことから、場所を取らない薄型ディスクトップパソコンが登場し始めていたので渡りに船と導入しました。そして、弁護士のパソコンと事務局のパソコンをLANでつなぐなどして効率的な仕事を心掛ける傍ら、メールやインターネットを利用して仕事や趣味の充実を図っています。

3 ITのメリット

電子メールの普及は、他の弁護士と共同して事件を受任できる余地を大幅に拡大しました。準備書面などを添付ファイルでやり取りできるので、他の弁護士の作成した文書の訂正が容易になりました。それゆえ、わざわざ共同事務所にしなくても他の弁護士と仕事をしやすくなりました。

各種メーリングリストの存在は、私のような弁護士一人事務所を経営する者にとっては大助かりです。いろいろな大先生に事件処理上の問題点をお聞きすることができ、しかも適切な回答を得ることができるからです。

インターネットによる情報収集は、地方と中央の情報の格差を大幅に縮小したと思います。地方に居ながら東京あるいは世界各地のいろんな情報が入手できるからです。

4 ITのデメリット

パソコンにせよ携帯電話にせよ、備わっている機能を全て使いこなせる人は少ないと思いますし、技術の進歩も早過ぎます。最近、老若男女を問わず異常な行動を示す人が増えたと言われていますが、それはITに代表される種々の技術の進歩があまりに早すぎるので、とてもついていけないからではないかと思っています。

また、コンピューターウイルスにいつ侵入されるかわからないので、対策ソフトを導入し、しかも毎年更新しなければならないなど厄介です。

ウイルスではないにせよ、ジャンクメール(海賊メール)が毎回送りつけられるので削除するのに往生します。「貴方を50万円で買いたいという女性がいます。すぐご連絡を!」などというメールが何度も来ますが、「私の値段は50万円か」と苦笑しています。

そして、携帯電話が普及したことで、「弁護士は出張で連絡が取れません」などという言い訳が次第に成り立たなくなっています。どこにいても仕事に追い回される状況になっています。

5 結 論

ITそのものは我々の生活における便利な道具の一つにすぎません。これに振り回されることなく上手に付き合っていきたいものです。

公益通報者保護制度研修

カテゴリー:月報記事

会員 植松 功

平成18年6月23日、日弁連消費者問題対策委員会のPL・情報公開部会の部会長である山本雄大先生を講師に、公益通報者保護制度についての研修がありました。

ご承知のように、公益通報者保護法が本年4月1日に施行されておりますが、実はこの法律が成立する過程で、公益通報者のための相談窓口の充実に関し、「日本弁護士連合会に協力要請する」と名指しで国会の附帯決議がされており、現に昨年7月20日には内閣府から要請があり、これを受け日弁連も各弁護士会に「公益通報者支援制度を設置されたい」という依頼文書を出しており、我々弁護士はいわば外堀を埋められた形で公益通報者保護制度に主体的な役割を果たさねばならない事態となっているもので、その結果、我々は少なくともこの法律はきちんと知っておかなくてはならないということになっていて、今回はそのための研修だったわけです。

そこで、研修を受けてみて、私は、細かいことはさておき、徹底的にスリム化してこの法律を理解しようとすると、以下の三つのポイントに尽きるのではないかと思いましたので、紹介することとします。

1 ポイント1

この法律は、「労働者」を保護するための法律である。

要するに、公益通報者保護法というものの、公益となる情報の提供の全てを保護していこうというものではなく、あくまで公益通報をした「労働者」が解雇や労働者派遣契約の解除、不利益取扱を受けないようにしたもので、「労働者」の保護であるということです(法2条)。したがって、不当な不利益取扱等の労働問題について、労働者側が利用できる法律ができたと理解する必要があると思います。

2 ポイント2

この法律は、「こういう場合は、通報者は確実に保護される」というケースを定めているだけで、「こういう場合しか通報者は保護されない」ということではない。

つまり、この法律の狙いは、労働者が安心して通報できる範囲(竹中大臣の言葉を借りれば「安全地帯」)を明確にするということに目的があり、その範囲を外れたとしても、解雇権濫用の法理(労働基準法18条の2)のような一般法理による通報者の保護は十分に可能なのです(公益通報者保護法6条)。

3 ポイント3

この法律による保護の要件は、通報先ごとに異なる。

この法律の保護の枠組は、ポイント1の発想であるため、限定的なのですが、特に我々が注意すべきは、通報先が三つに限定され、しかもその通報先ごとに保護の要件が異なるという点です。とりわけ、我々がこれから通報しようという人の相談を受けるときは、やはりこの法律によって保護を受ける「安全地帯」であるかどうかを適切に判断したうえ、アドバイスすべきですから、この要件の理解は不可欠となりそうです。

まず、三つの通報先とは、・労務提供先もしくは当該労務提供先があらかじめ定めた者、・通報対象事実について処分権限を有する行政機関、・通報対象事実の発生もしくはこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者です。具体的にどのようなところが上記・〜・に該当するかは、どんな本にでも解説されているので研究いただくとして、ここでは今回の研修で紹介のあった「処分権限を有する行政機関」を調査するのに便利な内閣府ホームページ公益通報者保護制度ウェブサイト(http:/www.consumer.go.jp/koueki/kensaku.html)をお知らせしておきます。

次に、保護の要件ですが、法律第3条1号、2号、3号に規定されているので、詳しくは条文を精読していただくとして、とりあえず「・、・、・の順番で要件がどんどん厳しくなっていく、だから相談を受けたときは、ちゃんと条文を確認しよう。」ということにしておけばいいでしょう。

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