法律相談センター検索 弁護士検索

憲法リレーエッセイ 第2回国民投票に行こう

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会員 八尋 八郎(32期)

【缶マイク】

 楽しい夕餉のひととき、上機嫌の私が「イラク戦争の現状」なんて話を始めると、空けたビールの缶を娘が差し出す。マイク代わりに使えって意味だ。その真意は「ウザい」ってことだと気づかずに、缶マイクを持った私がさらに声高に演説すると、娘達は小声で会話をはじめる。
それを無視して続けようものなら、一人ずつ部屋に戻り、誰も居なくなる。たとえ敬愛する父の話であっても「ウザい」って反応できる娘を、私はエライと思う。

【ひまわり一座】

 劇団ひまわり一座で19年連続で憲法ミュージカルをやった。来年で20年というわけだ。チケットは1,000円で、出演者が1枚ずつ売ることで講演は満席になる。
娘にウザがられて臆病になった私は、毎年買ってくれている常連サンにだけ売っていれば応分のノルマを果たしたことになると考えて、この頃、新規顧客を開拓するということが全くない。

若い出演者はちがう。チケット1枚のセールストークこそが憲法普及活動だとガンガン新規顧客を開拓していゆく。

ところが、ここ数年、セールストークがウザがられることが多くなったという。さっきまで歓談していたその場を、まるでカルト教団に入会勧誘しているかのような空気がサ〜っと覆い、相手はまるで踏み絵を求められたように困惑するというのである。

【棄権の呼びかけ?】

 なる程、だから護憲派は、最低投票率規定などを設けて棄権を呼びかけるという戦略なのかな(失敗したけど)、と笑ってみたが、棄権の呼びかけなんてやってりゃ必ず負けるぞ!オイなどと考えた。それよりか国会が発議した改憲案に対する賛否は問わない、とにかく投票に行ってくれと、選挙管理委員会の宣伝カーのエンドレステープと同じことを言うほうが勝機はある、というべきだろう。

【直接民主制】

 近頃の国会は、強行採決の連続でろくに審議もせずに重要法案が次々に成立している。ジャン・ジャック・ルソーは、「イギリスの人民は、自由だと思っているが、それは大まちがいだ。彼らが自由なのは、議員を選挙する間だけのことで、議員が選ばれるやいなや、イギリス人民はドレイとなり、無にかえしてしまう」といっている。元官僚と2世議員だらけ国会なんてこんなもんだ。この調子で行けば2010年の改憲案発議の確立はほとんど100%に近い。何をどんなに頑張ろうと国会には改憲発議を止める力はないという気がしている。そうであれば国会議員のポイントごとに負けイクサを取組むよりは、お好きなように改憲発議して頂いて、国民投票で否決するほうが合理的だ。

私は少年法と教育基本法の「改正」に少しかかわった。そして、国会では負けイクサとなった少年法と教育基本法の「改正」について、もし国民投票をやっておれば圧勝したという負け惜しみが強くある。国民には、元官僚や2世議員よりも子育てについて適切に判断する能力があるからだ。平和についても同じで、元官僚と2世議員の言うことは無理がある。国民は主権者なのだ。国民投票で道理をとうせばよいのだ。

【憲法普及活動】

護憲派は、国民投票に向けて何をやるのか。ルソーは「それが大切な教訓であればある程、教えてはならない。気付くまで待つことだ」なんてことを言っている。
相手は主権者国民なのだ。改憲案の是非を説くなどは出すぎたことだし、説教がましい知ったかぶりの押しつけはウザい。教えることは相手に対する侮辱となりうることを知るべきだろう。投票に行ってくれと言うだけでも主権者の投票意欲を挫くのに充分なウザさを備えている。主権者はナイーブなのだ。国民投票は権利だから、自由に放棄して咎められることはない。従って、主権者のナイーブをワガママだと認識は直ちに改めなければならない。正しいと信じてやることでも悪しき結果を招くとき(相手がウザイと感じる事は)過ちなのだ。

憲法派のテーマは憲法普及活動である。憲法が暮らしに生かされているとはいい難い現実がある。そんななかで、ひまわり一座の笑いと軽さは貴重である。チケット1枚売れない私だけど、あと3年は続けたい。

憲法リレーエッセイ 第1回遅メシの私

カテゴリー:憲法リレーエッセイ

会員 福留英資 (56期)

吾輩は遅メシである。どれくらい遅いかというと,修習中,よく,昼食を終えられた伊黒先生(指導担当)を待たせていたほどである。と言うだけでは分かりにくいかも知れない。

学部生・院生時代の6年半を過ごした学生寮の寮食堂では,メニューは皆同じなのだが,夕食時,私が食べ始めた後から食べ始めた寮生が先に食べ終わって出て行く,それでも私はまだ食べている。その後に食べ始めた寮生が出て行く。私が食べ終えるのはその後である,と言えば,分かり易いだろうか。

このころは,遅メシの効用を痛感していた。満腹感が得られ,栄養吸収度も高く,体に良い,というだけではない。多くの寮生とメシを食いながら話をするので,皆と仲良くなれる,ということが大きい。研究室に入り浸って実験に明け暮れる理科系院生も,メシだけは食べに帰ってくる。「あいつとは話したことがないな。」と皆に言われるほど存在確率の低い寮生とも,私はしばしばメシをともにしていた。(因みに,私の入寮1年目に限っては,私よりさらに遅メシの先輩がいた。彼は後に司法試験に合格した。その後を継いだ私も結局合格したから,遅メシは受験勉強にも良いに違いない。)

昨年亡くなった祖母には,子供のころ,「ヒデシちゃん,早よたもらんね!(かごんま語で「早く食べなさい!」)立派な兵隊さんになれないよ!」と叱咤されていた。根がひねくれ者の私は,子供心に,「兵隊さんにげな,絶対ならんけん,関係ないよ!」と強く反発したものである。平和主義者としての私の礎は,この時に築かれたのかも知れない。(祖母が平和主義者としての礎を築いてくれたことがきっかけとなり,私は昨年3月,祖母が父を生んだ上海の地を訪れる機会を得た。祖母が亡くなったのは,私の帰国2週間後のことであった。)

ともあれ,私の遅メシは今も変わらない。日によって例外はないでもないが,当たり前のように遅メシを貫いている。

このリレーエッセイを書くことになって初めて考えたことだが,遅メシであるにもかかわらず大手を振って暮らしていられるということも,実は,「個人の尊厳」なのかもしれない。大袈裟だろうか。いや,私を叱咤した祖母の言葉は,個性の多様さを認めない姿勢を基底として発せられている。集団内における同質性を構成員に強いる傾向の強い我が社会にあっては,「個人の尊厳」あってこその遅メシであろう。

というわけで,私自身が,食という生活の極めて基本的な部分で,憲法の恩恵を大いに被っていることに気付いた次第。憲法の保障する人権とは,存在することが当たり前だと思っているがためにその有り難みに気付きにくいが,実は必要不可欠なものなのだ。人権をバターに例えて,「食べ過ぎると人権メタボリックになる。」とのたもうた大臣がいるが,例えの誤りも甚だしい。人権とはバターでなく,空気の如くなくてはならないものなのだ。

しかし,そんな私も最近は,4歳の娘から,「パパ,まだ食べおうとー。おそーい!」と叱咤されるようになってしまった。この子は昨年5月以来,憲法9条の歌を歌うから,タチが悪い。これでは反発のしようがないではないか。・・・とも思われるが,「父上様にそんな生意気な口がきけるのも,憲法のおかげなんだぞ。家父長制の時代だったら,厳しい折檻が待っていたんだぞ。」と心密かに思うことがないでもない。私が家庭でいかに抑圧されようとも,家庭平和があるのは憲法のおかげである!・・・いや,親の威厳がないだけなのかも知れませんが・・・。

IT コラム わたしとIT

カテゴリー:月報記事

福岡県弁護士会職員 梁井 香織

こんにちは!今回ITコラムを担当することになりましたやない梁井香織です。初めまして…という方も大勢いらっしゃるので、まずは少しだけ自己紹介をさせていただきます。私は、今年の3月に大学を卒業し、4月から弁護士会の正職員としてお世話になっています。最近、体力の低下とお肌の曲がり角をしみじみと感じている23歳です。それと、実は私もHP委員会の担当職員に仲間入りしたのですが、まだ1回もHP委員会のお仕事をさせて頂いたことはなく、このITコラムが初仕事となりました。というわけで、ITコラム始めさせていただきます〜。

脳内メーカー

日頃、仕事以外で滅多にパソコンと向き合うことのない私が、最近はまったのが、脳内メーカー。脳内メーカーとは、占いでも診断でも無く、あくまでお遊びのジョークツールであり、字画などの占い的要素や、統計学などの学術的要素などの根拠は一切無く、入力された文字列からランダムに結果を弾き出しているに過ぎないものらしい。しかし、それが意外と面白く、TVで紹介され火がつき、今ではアクセスが5億件を突破したという。私もまんまとはまってしまったのです。

筑後弁護士会館

ちなみに、私の脳内は、真ん中に1つだけ「悩」がある以外、他は全部「愛」でした(右図)。何か、愛に悩んでいるか、愛の事しか考えてない子みたいですね…(笑)。

ちなみに、前世の脳内や脳内フェチ、脳内相性等も見る事ができるんです。他にも、家族や友人の名前を入れてみたりして楽しんでいます。意外な結果が出てきて面白いので、脳内メーカーをしたことがない方、是非してみてください!!

コブクロHP

私が唯一定期的に見ているサイトが、コブクロのHP。昨年発売したベストアルバムがロングヒットしたことで、コブクロを知った方も大勢いらっしゃると思います。私が初めて本物のコブクロを見たのが、大学1年生の時、彼らが天神のソラリアプラザで歌っている姿でした。それから、3年後、大学4年生の時、初めてコンサートに行き、更にファンになりました。それからは、コブクロのサイトに接続しては、日記やイベント、各地で行われたコンサートの写真やコメントをチェックしています。今年もコンサートに行ってきました?!!「来年のコンサートのチケットも取るぞッ!」と意気込んでいる今日この頃です♪

携帯電話について

携帯電話は今や、電話とメールだけではなく、様々な機能を持ち合わせています。しかし、面倒くさがりな私は説明書を読むのが大の苦手…。自ずと、携帯電話で使用する機能は、電話とメール、着うたのダウンロード。あとは、大学生の時にやっと覚えた電車の時刻を調べることくらいです。多機能すぎて使い方が分からなくなります。他の人達の携帯電話の活用の仕方を聞くと、「そんな機能あるの??」っと、ただ感心するばかりです。まして、ギャル文字なんて、チンプンカンプン。

私が最初に持ったのはPHSで、中学校を卒業してすぐの頃でした。今の携帯電話と比べたら、画面も小さく、色も単色で、機能もそれほどのものでした。高校1年生の時、ドコモの携帯電話に替え、意気揚々としていたのですが、ここで問題が…。自宅が田舎のせいか、家の1階にいると電波が入らず、メールはセンターに止まり、電話をすると切れてしまう始末……(1時間電話をすると、2,3回は切れてしまうのです)。電話がかかってくると、2階へダッシュしては、電波の棒を限界まで伸ばしブンブン振って歩き回り電波を探す日々が続きました…。FOMAが出た当初、あまりに電波が悪いのでFOMAに替えようと店頭へ向かい、心配になってエリアを聞いてみたところ、店員さんから一言、(地図を指さして)「ここの道を挟んで向こう側は、FOMAエリア外です。」とのこと。私の自宅は、見事エリア外でした(今では無事エリア内に入りましたが♪)。携帯電話にあまり良い思い出がないのです。

皆さんは、携帯電話どのように活用していらっしゃいますか〜??

終わりに

ITコラムってこんな感じでよろしいのでしょうか?文章が苦手なもので、まとまりがなくてすみません…。まだ働き始めて半年とちょっとなので、至らない点が多々あると思いますが、宜しくお願い致します!!

取調べの可視化シンポジウム報告

カテゴリー:月報記事

会員 石井 謙一(59期)

平成19年9月1日、天神ビル11階において、福岡県弁護士会主催、九州弁護士連合会共催の取調べの可視>約120名の方が足を運ばれ、報道関係者も多数詰めかけました。

1 取調べの録音テープ

シンポジウムの冒頭では、ある窃盗事件の事実上の被疑者として任意の取調べを受けた方が、取調室に録音機を持ち込んで取調べの状況を録音したテープが流されました。
テープの内容は、取調官が闇金業者の取立の電話顔負けの勢いで怒号しながら、自白しなければ任意の取調べをやめて逮捕するぞ、と迫っているという衝撃的なものでした。
私も、この耳で取調べの状況を実際に聞いたのは初めてでしたが、このような違法な取調べが現実に行われているのだということを知って、来場者の多くの方も驚かれたことと思います。
取調べの全過程が可視化されれば、このような違法な取調べをすることができないことは当然です。やはり、違法な取調べはなくさなければならず、そのためには取調べの全過程の可視化を実現するしかない、と強く感じました。

2 各種報告

前記のように、取調べ可視化の最大の意義は、違法取調べをなくすというところにあると言えます。
しかし、取調べの可視化の意義は、それだけではありません。
従前、自白の任意性が争点となり、この点の立証のために多大な時間が費やされてきましたが、裁判員をこのような審理のために拘束することは制度の円滑な運用を大きく妨げることになります。
よって、今後実施が予定されている裁判員制度との関係でも、取調べの全過程の可視化は不可欠であると言えます。

この点について、有馬裕先生から、現実に自白の任意性が争点となった事件を題材として詳細な報告がなされました。
さらに、甲木真哉先生からは、諸外国における可視化の状況、及びわが国における可視化に関する議論の状況について、報告がなされました。
諸外国の可視化実施の状況からすれば、わが国でも取調べの全過程の可視化が可能であること、わが国における可視化反対論に理由がないこと、取調べの一部のみの可視化では、現在の取調べをめぐる問題は全く解消されないことがわかりやすく報告されました。

3 当事者の生の声

シンポジウムでは、最近違法取調べが問題となった鹿児島選挙違反事件、佐賀北方事件、大阪地裁所長オヤジ狩り事件を題材としましたが、それぞれの事件を実際に弁護人として担当された先生方をお招きして、事件について詳しいお話を聞くことができました。
さらに、鹿児島選挙違反事件の元被告人ご本人と大阪地裁所長オヤジ狩り事件の被告人ご本人にも来ていただき、実際に違法取調べを受けた方の生の声を聞くことができました。
これらの事件でいかにひどい取調べがなされ、公判廷でいかなる攻防がくりひろげられたのか、ということが生々しく語られました。このように、実際に違法取調べを受けた方や、事件を担当された弁護人の先生方から、直接お話を聞くことができるというのはたいへん貴重な機会であったと思います。

4 さいごに

シンポジウムには、一般の方も多数来場されていていましたし、冒頭で配布した質問票の提出を呼びかけたところ、会場からは多数の質問票が提出されました。裁判員制度実施に向けて、刑事司法に対する社会全体の関心も高まっているのだと実感させられました。
ただ、一般市民の方が、自分もいつこのような取調べの対象となるか分からないという危機感をもたれているということは感じられなかったので、その点についてもう少し市民の理解を得られれば、この活動はもっと広がるのではないかと感じました。
おそらく弁護士全員が、日々の業務を通じて、現在の取調べの問題性を強く感じておられることと思います。今回のシンポジウムは、可視化の必要性の根拠を明確に提示した点で、今後の可視化に向けた活動にとって意義深いものであったと思います。

IT コラム E MOBILEを使ってみると

カテゴリー:月報記事

会員 森 竹彦(16期)

イー・モバイル株式会社は、“モバイル通信の世界でブロードバンド革命を実現する”と、受信最大通信速度3.6MbpsのHSDPA通信サービス『EMモバイルブロードバンド』を今年3月から東京、大阪などで始めました。伝え聞いて、うらやましく思っていたのですが、福岡ではまだだろうとたかをくくっていたところ、なんと7月中旬、端末を売っているのを見つけました。しかも宣伝期間は機材費1円だというので早速購入しました。

これまで、モバイルの通信にはウイルコムのAir-H’に頼ってきました。が、なにしろ速度は64kbs。その後倍速や8倍速までは出るようになりましたが、8倍速だって500kbs。しかも端末の買い換えが必要とあって倍速で我慢してきました。事務所では光ケーブルでの早さを体感しているだけに、Air-H’の遅さにはいらいらさせられ通しでしたから、最大速度3.6Mbpsといわれたらその早さの魅力に負けました。

注文してからチップのセットが済んで機材が渡されるまで約30分。すぐ持って帰り、セットアップ。CDをノートPCにいれて指示通りすれば出来上がり、なんの問題もありませんでした。

早速端末カードをノートPCに入れ、画面デスクトップにあるユーティティをクリックすると、すぐに通信可能となります。私の場合はすでに他のプロバイダーと契約しAir-H’での通信をしていたので、その通信環境がそのまま引き継がれ、メールもインターネットもすぐさま可能でした。

果たしてどれくらいの速度が実際に出ているのか?gooの通信速度測定を利用して計測したところ、受信速度で大体2.3〜2.4Mbpsでした。まあ、ADSLなみというところでしょうか。

問題は、現在のところサービスエリアが極めて狭いことです。福岡では福岡市部程度(全部ではない)、福岡県で使用できるのはこの福岡市と北九州市の中心部だけで、残念ながら飯塚も久留米も直方も柳川も使えません。全国で見ても東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、広島と東京と有数地方都市では可能ですが他ではほとんど使えません。しかし拡大強化に取り組んでいるようで毎月少しづつ広がっている(アンテナを立てている)様子からすると、数年でかなりの範囲をカバーするだろうということは出来ましょう。福岡市中央区で利用する限りは不足なしということです。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.