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カテゴリー: 月報記事

法教育・消費者教育授業の現場から

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法教育委員会  委員 ? 優香 (60期)

1 【はじめに】

平成19年11月29日及び12月13日、春日西中学校において行われた消費者教育授業に、岡精一先生及び千綿俊一郎先生と参加致しました。私にとって、法教育委員会の委員として初めての活動でしたが、法教育の現場を見ることでその重要性や面白さを肌で感じることができ、大変貴重な経験となりました。

2 【授業の概要】

第1回では、友人間でのゲームソフトの売買といった身近な具体例について生徒達に議論をさせた後、契約の拘束力という法律の基本的な考え方を説明しました。その上で、契約を解消できる場合について具体例を通して生徒達に議論させ解説しました。第2回では、クレジット契約のしくみとクレジット契約における三者それぞれのメリット・デメリットを理解させた上で、クレジット契約トラブルの具体例について議論させ、クレジット契約の危険性やトラブルの解決方法を説明しました。

今回の授業の対象は中学3年生で、「よのなか科」という社会科の選択教科を選択した生徒達でした。「よのなか科」とは、よのなかと学校の授業を結び付ける授業で、中学校で学んでいることと実社会を結ぶことを目指して全国規模で行われているそうです。自ら興味を持って授業を選択していたということもあり、生徒達は積極的に議論に参加して意見を述べていました。

3 【現場に参加して】

今回の授業で難しかったことは、(1)教育現場と法律家の役割分担と(2)法教育と消費者教育の観点をうまく取り入れた授業を組み立てることです。

(1)について、中学校の先生が司会進行をし、生徒達が中心となってディスカッションをし、弁護士が解説をするという授業の進め方をしました。生徒を主体としながら、生徒の能力を把握し、生徒の意見の引き出し方に長けている学校の先生が中心に授業を進行し、法的な側面は専門家である弁護士が解説するという役割分担です。法律について基本的な考え方から解きほぐして、中学生でも理解できるようなわかりやすい言葉で伝えることで、自分の足下を見つめ直すよい機会となりました。

(2)について、法教育は、条文や法律知識を教えるのではなく、法律の背景にある基本的な価値観(正義・公平・権威・プライバシー)やそれら価値観を確保し調整するためのルールを学ぶことを主眼としています。一方で、消費者教育は、消費者としてトラブルに巻き込まれないように注意し、巻き込まれた場合の具体的な対処方法を学ぶことを主眼としています。今回は、消費者教育授業ではありましたが、対象が中学生であり、法教育委員会の活動として行われたこともあって、法教育の観点を特に重視しました。消費者としてトラブルに巻き込まれないようにするためには、まずは法律の基本的な価値観やルールを理解していることが大切ですから、消費者教育の前提として法教育が大切だとも言えます。

当初は、「契約書がないと口約束だけではだめじゃない?」等、契約の意味も十分に理解できていなかった生徒達が、次第に「契約は守らないといけないのが原則。でも今回は守らせると〜だからかわいそうじゃない?」等、利害の対立にも目を向けながら議論するとができるようになっていく姿を見て、法教育として一定の効果があったことを実感しました。

4 【最後に】

消費者問題の他、身近な契約トラブル、凶悪な刑事事件等様々な事件が日々起きていますが、法律の背景にある基本的な価値観やルールを理解していれば防ぐことができる事件は多く、そのためにも法教育は重要だと言えます。また、裁判員制度のスタートを控え、法律が国民にますます身近なものとなってきた現在において、私たち法曹には、個別具体的な紛争を解決するだけでなく、より広い視点から、法律の背景にある基本的な価値観やルールを国民に広めていく役割が重要になってきていると思います。法教育は新しい分野として多くの可能性を秘めており、様々な分野をつなぐ架け橋になると思います。今後、法教育が広く認知され浸透していくために積極的に活動に取り組んでいきたいと思います。

当番弁護士日誌

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会員 柳 優香(60期)

1 【初めての当番弁護士出動】

「当番が入ったんだけど、明日行ってくれない?」。ボスの一声に「はい!」と答える(しかない)私。

こうして、期待と不安の入り交じった中、私の初めての当番弁護士活動が始まりました。

2 【接見〜受任】

被疑者XさんはA国へ密航をしようとしたA国人を案内役の男性とともに、車で港まで送迎し、不法出国を手伝ったとして、入管法違反幇助の容疑で逮捕されました。

Xさんによれば、友人に観光案内の運転手のアルバイトと聞いて行ったのであり、密航しようとしていたことは知らなかったとのこと。しかし、私が接見に行った時点では、警察官に「今思えば、密航かもしれないと思うだろう。」「観光旅行者にしては荷物が少ないと思っただろう。」等誘導され、既に「おかしいな、まさか密航するつもりかなと思いました。」「観光旅行者にしては荷物が少ないと思いました。」といった自白調書をとられていました。

私は、Xさんに、黙秘権、署名押印拒否権、調書訂正申立権があること等を説明して、今考えたことではなく当時思っていたことを言うこと、自分の言い分を貫くことを言い聞かせました。Xさんには十分な資力がなかったため扶助で受任することになりました。

3 【弁護活動】

私は、Xさんは留学生であることから、起訴されてしまうと学生の身分を失い、在留資格をも失う恐れがあったため、何としても不起訴にすることを目標に活動を始めました。

まず、否認事件であったこともあり、被疑者ノートを差し入れて取調べ状況等を記録させました。また、身柄拘束中は学校を無断欠席という状態でしたし、年明けには進級試験を控えていたため、早期に身柄解放しなければならないと思い、捜査状況等を見ながら勾留期間が延長された場合には準抗告をすることにしました。まず、準備として、Xさんのアルバイト先の雇用主に身元引受人になってもらい、友人に嘆願書を書いてもらいました。

また、念のためにXさんに運転手のアルバイトを紹介したという友人に話を聞いて、Xさんの言い分の裏をとっておきました。そうしているうちにあっという間に10日間が経過し、勾留期間が延長されたのですぐに準抗告をしました。Xさんには犯罪の嫌疑がないこと、勾留延長をしなければならない「やむを得ない事由」がないこと等をしつこく書いたのですが、棄却されてしまいました。残念な結果でしたが、アルバイト先の雇用主や友人の協力を得ることで、Xさんを勇気づけることができましたし、Xさんとの信頼関係を築く上でも一定の成果があったと思います。

4 【最終結果】

勾留満期の前日、担当検事から「明日の午前中に釈放します。」とのうれしい連絡がありました。最後に、Xさんが、学校や在留資格の関係で今後のことを不安に思っていたので、念のために「不起訴処分告知書」の交付請求をして、私の弁護活動は終わりました。初めて単独で刑事事件をして、最初に勾留状謄本を取り忘れたり、準抗告すべきなのか迷ったりと、失敗もたくさんしましたが、Xさんや関係者に御礼を言われたときには心からうれしく思いました。

今回の事件を通して、刑事事件は処分結果次第で、被疑者の将来を大きく左右すること、被疑者段階で弁護人が付くことが重要であることを実感し、その責任の重さを痛感しました。今後も、刑事弁護に関わってその責任を全うしていきたいと思います。

IT コラム わたしとIT

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福岡県弁護士会職員 梁井 香織

こんにちは!今回ITコラムを担当することになりましたやない梁井香織です。初めまして…という方も大勢いらっしゃるので、まずは少しだけ自己紹介をさせていただきます。私は、今年の3月に大学を卒業し、4月から弁護士会の正職員としてお世話になっています。最近、体力の低下とお肌の曲がり角をしみじみと感じている23歳です。それと、実は私もHP委員会の担当職員に仲間入りしたのですが、まだ1回もHP委員会のお仕事をさせて頂いたことはなく、このITコラムが初仕事となりました。というわけで、ITコラム始めさせていただきます〜。

脳内メーカー

日頃、仕事以外で滅多にパソコンと向き合うことのない私が、最近はまったのが、脳内メーカー。脳内メーカーとは、占いでも診断でも無く、あくまでお遊びのジョークツールであり、字画などの占い的要素や、統計学などの学術的要素などの根拠は一切無く、入力された文字列からランダムに結果を弾き出しているに過ぎないものらしい。しかし、それが意外と面白く、TVで紹介され火がつき、今ではアクセスが5億件を突破したという。私もまんまとはまってしまったのです。

筑後弁護士会館

ちなみに、私の脳内は、真ん中に1つだけ「悩」がある以外、他は全部「愛」でした(右図)。何か、愛に悩んでいるか、愛の事しか考えてない子みたいですね…(笑)。

ちなみに、前世の脳内や脳内フェチ、脳内相性等も見る事ができるんです。他にも、家族や友人の名前を入れてみたりして楽しんでいます。意外な結果が出てきて面白いので、脳内メーカーをしたことがない方、是非してみてください!!

コブクロHP

私が唯一定期的に見ているサイトが、コブクロのHP。昨年発売したベストアルバムがロングヒットしたことで、コブクロを知った方も大勢いらっしゃると思います。私が初めて本物のコブクロを見たのが、大学1年生の時、彼らが天神のソラリアプラザで歌っている姿でした。それから、3年後、大学4年生の時、初めてコンサートに行き、更にファンになりました。それからは、コブクロのサイトに接続しては、日記やイベント、各地で行われたコンサートの写真やコメントをチェックしています。今年もコンサートに行ってきました?!!「来年のコンサートのチケットも取るぞッ!」と意気込んでいる今日この頃です♪

携帯電話について

携帯電話は今や、電話とメールだけではなく、様々な機能を持ち合わせています。しかし、面倒くさがりな私は説明書を読むのが大の苦手…。自ずと、携帯電話で使用する機能は、電話とメール、着うたのダウンロード。あとは、大学生の時にやっと覚えた電車の時刻を調べることくらいです。多機能すぎて使い方が分からなくなります。他の人達の携帯電話の活用の仕方を聞くと、「そんな機能あるの??」っと、ただ感心するばかりです。まして、ギャル文字なんて、チンプンカンプン。

私が最初に持ったのはPHSで、中学校を卒業してすぐの頃でした。今の携帯電話と比べたら、画面も小さく、色も単色で、機能もそれほどのものでした。高校1年生の時、ドコモの携帯電話に替え、意気揚々としていたのですが、ここで問題が…。自宅が田舎のせいか、家の1階にいると電波が入らず、メールはセンターに止まり、電話をすると切れてしまう始末……(1時間電話をすると、2,3回は切れてしまうのです)。電話がかかってくると、2階へダッシュしては、電波の棒を限界まで伸ばしブンブン振って歩き回り電波を探す日々が続きました…。FOMAが出た当初、あまりに電波が悪いのでFOMAに替えようと店頭へ向かい、心配になってエリアを聞いてみたところ、店員さんから一言、(地図を指さして)「ここの道を挟んで向こう側は、FOMAエリア外です。」とのこと。私の自宅は、見事エリア外でした(今では無事エリア内に入りましたが♪)。携帯電話にあまり良い思い出がないのです。

皆さんは、携帯電話どのように活用していらっしゃいますか〜??

終わりに

ITコラムってこんな感じでよろしいのでしょうか?文章が苦手なもので、まとまりがなくてすみません…。まだ働き始めて半年とちょっとなので、至らない点が多々あると思いますが、宜しくお願い致します!!

取調べの可視化シンポジウム報告

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会員 石井 謙一(59期)

平成19年9月1日、天神ビル11階において、福岡県弁護士会主催、九州弁護士連合会共催の取調べの可視>約120名の方が足を運ばれ、報道関係者も多数詰めかけました。

1 取調べの録音テープ

シンポジウムの冒頭では、ある窃盗事件の事実上の被疑者として任意の取調べを受けた方が、取調室に録音機を持ち込んで取調べの状況を録音したテープが流されました。
テープの内容は、取調官が闇金業者の取立の電話顔負けの勢いで怒号しながら、自白しなければ任意の取調べをやめて逮捕するぞ、と迫っているという衝撃的なものでした。
私も、この耳で取調べの状況を実際に聞いたのは初めてでしたが、このような違法な取調べが現実に行われているのだということを知って、来場者の多くの方も驚かれたことと思います。
取調べの全過程が可視化されれば、このような違法な取調べをすることができないことは当然です。やはり、違法な取調べはなくさなければならず、そのためには取調べの全過程の可視化を実現するしかない、と強く感じました。

2 各種報告

前記のように、取調べ可視化の最大の意義は、違法取調べをなくすというところにあると言えます。
しかし、取調べの可視化の意義は、それだけではありません。
従前、自白の任意性が争点となり、この点の立証のために多大な時間が費やされてきましたが、裁判員をこのような審理のために拘束することは制度の円滑な運用を大きく妨げることになります。
よって、今後実施が予定されている裁判員制度との関係でも、取調べの全過程の可視化は不可欠であると言えます。

この点について、有馬裕先生から、現実に自白の任意性が争点となった事件を題材として詳細な報告がなされました。
さらに、甲木真哉先生からは、諸外国における可視化の状況、及びわが国における可視化に関する議論の状況について、報告がなされました。
諸外国の可視化実施の状況からすれば、わが国でも取調べの全過程の可視化が可能であること、わが国における可視化反対論に理由がないこと、取調べの一部のみの可視化では、現在の取調べをめぐる問題は全く解消されないことがわかりやすく報告されました。

3 当事者の生の声

シンポジウムでは、最近違法取調べが問題となった鹿児島選挙違反事件、佐賀北方事件、大阪地裁所長オヤジ狩り事件を題材としましたが、それぞれの事件を実際に弁護人として担当された先生方をお招きして、事件について詳しいお話を聞くことができました。
さらに、鹿児島選挙違反事件の元被告人ご本人と大阪地裁所長オヤジ狩り事件の被告人ご本人にも来ていただき、実際に違法取調べを受けた方の生の声を聞くことができました。
これらの事件でいかにひどい取調べがなされ、公判廷でいかなる攻防がくりひろげられたのか、ということが生々しく語られました。このように、実際に違法取調べを受けた方や、事件を担当された弁護人の先生方から、直接お話を聞くことができるというのはたいへん貴重な機会であったと思います。

4 さいごに

シンポジウムには、一般の方も多数来場されていていましたし、冒頭で配布した質問票の提出を呼びかけたところ、会場からは多数の質問票が提出されました。裁判員制度実施に向けて、刑事司法に対する社会全体の関心も高まっているのだと実感させられました。
ただ、一般市民の方が、自分もいつこのような取調べの対象となるか分からないという危機感をもたれているということは感じられなかったので、その点についてもう少し市民の理解を得られれば、この活動はもっと広がるのではないかと感じました。
おそらく弁護士全員が、日々の業務を通じて、現在の取調べの問題性を強く感じておられることと思います。今回のシンポジウムは、可視化の必要性の根拠を明確に提示した点で、今後の可視化に向けた活動にとって意義深いものであったと思います。

IT コラム E MOBILEを使ってみると

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会員 森 竹彦(16期)

イー・モバイル株式会社は、“モバイル通信の世界でブロードバンド革命を実現する”と、受信最大通信速度3.6MbpsのHSDPA通信サービス『EMモバイルブロードバンド』を今年3月から東京、大阪などで始めました。伝え聞いて、うらやましく思っていたのですが、福岡ではまだだろうとたかをくくっていたところ、なんと7月中旬、端末を売っているのを見つけました。しかも宣伝期間は機材費1円だというので早速購入しました。

これまで、モバイルの通信にはウイルコムのAir-H’に頼ってきました。が、なにしろ速度は64kbs。その後倍速や8倍速までは出るようになりましたが、8倍速だって500kbs。しかも端末の買い換えが必要とあって倍速で我慢してきました。事務所では光ケーブルでの早さを体感しているだけに、Air-H’の遅さにはいらいらさせられ通しでしたから、最大速度3.6Mbpsといわれたらその早さの魅力に負けました。

注文してからチップのセットが済んで機材が渡されるまで約30分。すぐ持って帰り、セットアップ。CDをノートPCにいれて指示通りすれば出来上がり、なんの問題もありませんでした。

早速端末カードをノートPCに入れ、画面デスクトップにあるユーティティをクリックすると、すぐに通信可能となります。私の場合はすでに他のプロバイダーと契約しAir-H’での通信をしていたので、その通信環境がそのまま引き継がれ、メールもインターネットもすぐさま可能でした。

果たしてどれくらいの速度が実際に出ているのか?gooの通信速度測定を利用して計測したところ、受信速度で大体2.3〜2.4Mbpsでした。まあ、ADSLなみというところでしょうか。

問題は、現在のところサービスエリアが極めて狭いことです。福岡では福岡市部程度(全部ではない)、福岡県で使用できるのはこの福岡市と北九州市の中心部だけで、残念ながら飯塚も久留米も直方も柳川も使えません。全国で見ても東京、大阪、名古屋、札幌、仙台、広島と東京と有数地方都市では可能ですが他ではほとんど使えません。しかし拡大強化に取り組んでいるようで毎月少しづつ広がっている(アンテナを立てている)様子からすると、数年でかなりの範囲をカバーするだろうということは出来ましょう。福岡市中央区で利用する限りは不足なしということです。

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