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北九州部会 ジュニアロースクールのご報告

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会 員 諸 隈 美 波(64期)

7月28日、北九州部会にてジュニアロースクールが開催されましたのでご報告させていただきます。

今年のテーマは「民事模擬調停」で、対象は小学生(5、6年生)。当日は小学生34人が参加、うち30名くらいの子どもたちを小学校の先生3人が引率してきてくれました。

1 民事模擬調停の内容

今年は、中学校で学ぶ「対立と合意」を少し先取りし、昔話を題材にした模擬民事調停を行いました。「桃太郎エピローグ」と題する昔話を用いて、双方の利害が対立している場面において、双方の言い分を理解し、対立点を明確にし、グループで議論し最終的には利害を調整した妥当な解決案として、調停条項をまとめるというものです。

さて、「桃太郎エピローグ」は、昔話の「桃太郎」の続きの話です。桃太郎は鬼退治をしましたが、実はその島は、以前鬼たちが住んでいた島で、鬼が修行で出ている間に人が住み着いてしまったという渡邊典子先生オリジナル(!)のお話です。鬼が村人から奪ったものをどうするのか(鬼は鶏を奪って、その後ひなが産まれている)、鬼が今後どこで暮らすか(鬼ヶ島は作物がとれない、現在村人が住んでいる島は狭くて鬼は住めない、などなどの事情有り。)という2点が大きな争点でした。

2 子どもたちの様子

まずは全体の話がわかるような寸劇、それから民事調停の説明、そして桃太郎と赤鬼が小倉子ども民事調停に申立を行い、調停をしているという寸劇という形で進めました。

寸劇の中から、双方のいい分からわかったことや対立点を理解してもらうよう、ワークシートに書き込んでもらい解決策をグループで議論してもらいました。最初こそ、子どもたちはとてもおとなしく、なかなか質問も出ませんでしたが、調停条項を考えるときにはするどい質問もたくさん出て子どもたちの発想の柔軟さを感じるとともに、一生懸命考えている姿を見ることができました。

グループ討論では、たとえば一つの案(今後桃太郎と鬼が一緒に住む)を出せば、桃太郎もしくは赤鬼にとってはあまりよくないもの(村人は鬼を怖がっている)なので、さらにそれをカバーするために別の条項(鬼は村人に手を出さないことを約束する、田んぼ仕事を一生懸命手伝って村人に鬼のことを理解してもらう)を考えるなど、悩み工夫している姿が見受けられました。

最後には各グループから発表をしてもらいました。私は採点する役でしたが、どれもよく考えられていて、とても迷いました。最終的には、一番いろいろな考慮要素をクリアできていると思える案を選びました。(鶏とひなを半数ずつわける、鬼は鬼ヶ島で住むが、村人が住んでいる場所から離れている場所で米作りを教えてもらうなど。)

3 感想・今後の課題

対立が生じている裏には双方の言い分があり、解決のためには、双方の言い分を良く聞いて解決案を示すことが大事だということがわかってもらえたかと思います。今回は模擬民事調停ということで、刑事裁判のように厳密なものの見方を教えられたわけではありませんが、今回の模擬民事調停が子どもたちの日常生活に役立つ視点となったのであれば嬉しいかぎりです。

もっとも、子どもたちからたくさんの意見を引き出し、議論を活発にするためにどのように進めていくべきかは今後の課題であり、工夫できるところだと思います。また1つの学校からまとめて参加していたことからすると、ジュニアロースクール自体の宣伝広報活動も考える必要がありそうです。

なお、アンケート結果からすると、おおむね楽しんでくれたようで少しホッとしました。個人的には、普段子どもと話す機会がない私にとっては、とても楽しい時間となりました。

純真短期大学で模擬裁判をしてきました

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会 員 梅 野 晃 平(62期)

第1 はじめに

本年の4月16日、23日に、向原栄大朗弁護士とともに、純真短期大学に赴いて模擬裁判を行いました。今回は、そのご報告です。

第2 事案の概要

事案を簡単にご説明しますと、犯人が民家に押し入って現金やCD等を強取した強盗致傷事件で、被告人が犯人性を争っているという事案です。

証拠関係としては、(1)被害品と「同じタイトルの」CDが被告人宅から発見、(2)被害者宅の鍵付きタンスにバールのようなものでつけられたと思しき傷があるところ、バールが被告人宅から発見(被告人は、内装工事のバイトをしていたため所持していたと説明)、(3)共犯者の証言あり(ただし、真の共犯者を秘匿している可能性が疑われないでもない)、(4)目撃者の証言あり(ただし、観察条件は必ずしも良くない)等々、もりだくさんの内容となっています。

第3 講義の流れ

1日目は、まず、刑事裁判の流れを説明し、その後、あらかじめ決めていた配役に従い、冒頭手続及び証拠調べ手続を行います。

2日目は、『証拠の分析をしてみよう!』というワークシートに従い、検察官グループと弁護人グループでそれぞれ証拠の証明力などについて検討を行い、その結果を発表します(論告・弁論に相当するものです。)。

これを聞いて、裁判官(裁判員)グループが議論し、犯人性の有無について結論を出すという流れです。

第4 講義の感想と、気になった点

当初、受講生の反応があまりみられなかったため、どうなることかと心配したのですが、徐々に打ち解けてきて、終わってみると、なかなか良かったという感想です。

とくに、証拠の分析については、回答例として想定していた要素はほとんど出揃い、的確な分析がなされていました。

大学で学生向けに講義をするというのは初めての経験でしたので、無事に終えることができて、心底ホッとしています。

ただ、やってみていろいろと思うところもありましたので、そのあたりについても少しご報告させていただきます。

1 弁護士という職についていると、つい忘れがちになりますが、法律や裁判というのは、一般の学生・生徒の多くにとって、たいして興味のある分野ではありません。

  今回はなんとかなりましたが、受講生の知的好奇心を刺激する切り口や、受講生を議論に積極的にコミットさせる工夫については、改善すべき余地が大いにあると思いました。

2 また、講義の「獲得目標」を明確にする必要があったように思います。

  法律家が伝えるべきことというのは、「ものごとの見え方というのは、見る人、立場、状況などによって変わるものであり、ある側面から見た見え方のみが唯一正しいと考えるのは妥当でない」というような根本的なことであったり、「逮捕されたときにどういう権利があるか」というようなお役立ち情報であったり、「刑事裁判が社会でどのような役割を果たしているのか」といった社会学的なことであったりと、それこそ山のようにあると思いますが、実際問題、90分2コマで伝えられることは限られています。

  模擬裁判をし、刑事裁判の流れを一から十まで説明し、その根底にある法の考え方を理解してもらい、ちょっとしたお役立ち情報も盛り込み……としていると、時間がいくらあっても足りませんし、無理に詰め込もうとすると、駆け足すぎて記憶に残らないということになりかねません(大学に入学したころの我が身を振り返れば、わずか3時間でこれらをすべて理解するのはまず無理です。)。

  「この講義では、このことを理解してほしい」という「獲得目標」(学校教育風にいうと、「めあて」)を絞って、それにリソースをつぎ込むようにした方がよいと思いました。

3 そのほか、根本的な話になりますが、時間的制約との関係で、「模擬裁判をやること」の意義も考えた方が良いように思いました。

  刑事裁判の流れを説明するだけであれば、教材DVDなどを使いつつ、ときおり弁護士が補足して説明するようにした方が、短時間で効果的にできるようにも思います。

  また、模擬裁判では、証人役、被告人役などのロールプレイを行うため、その役割をうまくこなす(間違えないように台本を読み上げる)ことに気を取られ、考えることが二の次になる弊害があるように思います。

  模擬裁判をすると、どうしてもそれなりの時間を要します。

  「模擬裁判をやること」自体が目的であればそれでよいのですが、模擬裁判が、それを通じて法教育的な何かを伝えようという「手段」なのであれば、模擬裁判をやることが本当に手段として適切なのかを考える必要があると思います。

第5 最後に

いろいろと出すぎた話をしてしまいましたが、私自身としては、総じていい経験になったと思っています。

皆様も、一度やってみてはいかがでしょうか。

「東日本大震災復興支援対策本部・災害対策委員会報告」

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会 員 福 元 温 子(64期)

1 最近の活動について

当委員会では、継続的に、東日本大震災の被災者を対象とする無料説明・相談会を開催するほか、震災関連の出張相談、勉強会等を実施するなど、被災者支援の活動を行っています。なお、無料説明・相談会には当委員会に委嘱されていない先生方も参加されており、福岡県弁護士会全体で被災者支援を行っています。

復興庁が公表している資料によれば、平成24年5月16日現在、福岡県所在の避難者の数は763人で、4月5日現在の数から19人増加しています。当然ながら、自治体や国が把握していない避難者の方もいるとみられます。

福岡県は、被災地から距離があるため、被災者の避難先となり得る一方で、県民が震災を他人事と感じるようになってしまう危険もあると、自戒を込めて思います。今後も、避難者の方の声に耳を傾け、弁護士としてできる支援を実行していきたいと思います。

2 無料説明・相談会の開催について

平成24年5月27日(日)午後1時から、天神弁護士センターにおいて、被災者のための無料説明・相談会が開催されました。

相談に来られた方の中には、政府指定の避難対象区域外からの避難者は損害賠償請求ができないと思っていた、と言われる方もいました。たしかに、対象区域内からの避難者と対象区域外からの避難者とでは、損害賠償請求の内容が異なることが多いかもしれません。しかし、対象区域外からの避難者の方も、損害賠償請求ができる可能性があります。当委員会では、対象区域外からの避難者の方にも、まずは弁護士へ相談してもらうように、広報活動を行っていきたいと考えています。

また、今回の説明・相談会は参加者が少なかったため、県内の避難者全体に対する広報活動も課題となりました。自治体が把握している避難者の方には自治体を通じてお知らせをしていますが、自治体が把握していない避難者の方に対する働きかけも強化していきたいと考えています。

なお、次回の無料説明・相談会は7月29日(日)午後1時からの開催を予定しています。

3 損害賠償請求手続について

被災者向け説明・相談会では、原則として、全体説明を行った上で個別相談を受け付けています。全体説明では、原子力損害賠償請求の手続や、これまでに発表された中間指針等の判断基準、関連する法律や制度運用の変化等について、説明しています。私自身がそうだったように、新入会員の中には、原子力損害賠償請求の手続についてよく知らないという方もいると思いますので、基本のみ簡単にご紹介したいと思います。

原子力損害賠償請求の手続は、主に、(1)東電に対する直接請求、(2)ADR利用、(3)訴訟の3つがあります。(1)は、簡易迅速ですが、金額が一律に設定されているなどの問題があります。(2)は、原子力紛争処理センターに申立てる手続で、3か月程度を目途に迅速に、また、仲介委員によって中立・公正に運用されるという利点があります。(3)は、事例の蓄積がないため、どの程度時間がかかるかなど、予測が難しい部分が多くあります。

当委員会では、このような基本的知識のみならず、放射線の影響などの専門的知識についても、勉強会・研修を実施していく予定です。興味のある方はぜひご参加ください。

精神保健当番弁護士活動報告

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会 員 中 野 敬 一(49期)

1 平成23年10月20日、甲病院に入院中の乙さんから精神保健相談の申込みがあったとの連絡を受けました。甲病院は遠方(1回行くと往復も含めて半日はかかります)にあり、担当丙医師もお忙しく、日程調整がつかず、1週間後の病院訪問となりました。

  乙さんは、当時52歳でしたが、24歳のときから精神疾患(病名は伏せます)を発症し、入退院を繰り返しており、今回は約1年半前からの入院(医療保護入院)で、ご本人は退院を希望していました。

  ご親族(兄)は退院には否定的であり、乙さんは退院すれば一人で生活しなければならない状況でした。

  第1回面談では、乙さんは、病識はありましたが、服薬については、その必要を感じないので薬は飲まないという態度でした。丙医師も、このような態度を問題にし、入院患者とのトラブル等もあるということで、医療保護入院の必要性はいまだ存在するとの見解でした。

  そこで、退院には服薬の継続が必要である旨、乙さんと話し合ったところ、乙さんも「症状は完全回復までには至っていないかもしれない。薬を飲みながら、12月頃にもう一度相談したい。」と話すようになりました。

2 約束どおり、平成23年12月7日に乙さんと2回目の面談をしました。

  丙医師の話では、第1回面談以降、乙さんは真面目に服薬を継続しており、精神状態も安定してきたので、半年程度このまま推移すれば任意入院への切替も可能ではないかとの話でした。この旨、乙さん本人にも話し、次のステップとして、金銭管理を自分でやってみることを助言しました。

3 年が明けると乙さんから、やはり早く退院したいので、退院請求の申立てをしてほしいとの連絡があり、平成24年1月13日、3回目の面談に行きました。丙医師からは服薬も継続しており、トラブルを起こすこともなく、平穏な入院生活を送っているとの話を聞き、金銭管理にはまだ改善すべき点がありましたが、退院できる状況は、ほぼ整ったのではないかと考え、同月20日県に対し退院請求を申し立てました。

4 平成24年2月28日退院等の請求の結果通知があり、「3ケ月を目処に、他の入院形態(任意入院)への移行が適当であると認められます。」という内容でした。乙さんも、近いところに確実な目標ができ、毎日に張りができた様子でした。

5 活動全体を通じて、やはり相談者と面談を重ねて、退院に向けて階段を登っていくことが大切だと思いました。

  また、今回、比較的早期の任意入院への切替が認められたのも、私の前に精神保健相談を担当された弁護士の支援で、乙さんが生活保護を受給できており、任意入院になっても最低の経済的基盤があったことが重要であったと思います。

  その意味では、弁護士のリレーによる活動でした。

給費制維持緊急対策本部だより

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給費制本部事務局次長 高 平 奇 恵(61期)

1 はじめに
給費制本部は、会員の皆様とともに、給費制維持の活動を継続してまいりました。
今後も活動は続きますが、改めて、これまでの活動の成果を確認するとともに、今後の活動予定について、ご報告させていただきたいと思います。

2 給費制本部のこれまでの活動
2010年11月26日、会員の皆様の力強い支援や、市民連絡会、ビギナーズネットの活動により、司法修習生に対し司法修習期間中に給与を支給する制度(給費制)を2011年10月31日まで延長する「裁判所法の一部を改正する法律」が国会において成立しました。
このことは、大きな成果であったとはいえ、暫定的な措置でした。給費制本部は、本来あるべき給費制の維持存続のために、決意を新たに2011年の活動に取り組みました。2011年の震災で、一時は、給費制に理解を求めることは一層困難になったかとも思えました。11月4日、政府は貸与制の下で修習資金の返済が困難な者について返還を猶予する裁判所法の一部改正案を提出しました。これに対し、公明党からは、2013年10月31日までに様々な問題点が指摘されている法曹養成に関する制度を見直し、その間は給費制を維持する等とする修正案が提出されました。いずれも12月6日の衆議院法務委員会で質疑が行われましたが、会期末の9日、継続審議となっています。

3 今後の活動
2012年も、厳しい状況は続いていますが、粘り強く活動を継続し、給費制の必要性について、なお一層理解を広げる活動を展開していく予定です。これまでの活動の中で、法曹養成制度の抱える問題点も明らかになってきています。法曹養成制度全体を見直すなかで、給費制の必要性についても、確認していきたいと思います。
ご参考までに、2011年12月22日付日弁連会長声明もご一読ください。
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2011/111222.html
2月には、日弁連主催の集会も予定されています。また、現在、65期の修習生は貸与制のもとで修習生活を送っています。修習生が実際に直面している様々な問題が、今後明らかになることと思います。その点については、追ってご報告させていただきたいと思います。

4 結びにかえて
2011年の日本は、震災に文字通り揺れました。そんな中で、お互いを強く支え合おうとする、人々の強さや温かさを目の当たりにすることも多々ありました。
震災のような緊急事態でなくとも、人々が支え合う社会でありつづけるために、法的サービスが行きとどいていることは不可欠の要素だと思います。法曹養成に必要な制度としての給費制を維持することは、その大前提といえるでしょう。
新年を迎え、気持ちも新たに、給費制の運動を続けていきたいと思います。会員の皆様には、引き続き、ご支援、ご協力をお願い申し上げます。

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