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カテゴリー: 月報記事

あさかぜ だより

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会 員 島 内 崇 行(65期)

1 はじめに

昨年12月の弁護士登録と同時にあさかぜ基金法律事務所に入所しました65期の島内崇行と申します。弁護士登録して既に半年以上経過し、月日の経過の早さに驚いております。

さて、私が所属するあさかぜ基金法律事務所ですが、どういった事務所であるのかについてまだまだご存知ない方もいらっしゃると思いますので、この場をお借りして当事務所をご紹介させていただきたいと思います。

2 あさかぜ基金法律事務所について

あさかぜ基金法律事務所は、九州弁護士会連合会の支援の下に設立された、九弁連管内の司法過疎・偏在地域へ赴任する弁護士を養成することを主たる目的とする法律事務所です。

これまでには、五島、対馬、阿蘇、西都、島原、壱岐、小林、指宿といった九州管内の司法過疎地に設置された法テラスやひまわり基金法律事務所に、当事務所で養成を受けた弁護士が赴任しました。

現在、当事務所には64期の弁護士2名、65期の弁護士2名の合計4名が所属しており、事務局2名と力を合わせて仕事をしています。

3 事務所の日常について

当事務所の弁護士は、1~2年間の養成期間の後、九弁連管内の司法過疎地等へ赴任することになっています。したがって、当事務所には、若手弁護士しか所属しておらず、処理に悩む機会は日常茶飯事であり、自分で調べ物をするだけでは対応を決めかねることも多いです。実際の業務は、これまでの勉強だけでは対応できない部分が非常に多いことを実感します。

そのようななか、指導して下さる先生方に質問したときには、自分では思いつかないような解決方法や実務的な感覚まで教わることができとても勉強になります。

このように、当事務所に所属する弁護士は、九弁連の管理委員の先生方、福岡県弁護士会の運営委員の先生方、福岡県の指導担当の先生方など、多くの先生方からのご支援、ご指導によって日々の業務を進めています。

4 大川市での事務所披露パーティー

本年度4月より、当事務所に所属していた63期の油布貞徳先生が、独立して、福岡県大川市に「ゆふ法律事務所」を開設しました。6月に事務所披露がありましたので、所属弁護士全員で参加しました。

大川市は、家具の大生産地であり、また「のだめカンタービレ」の主人公、野田恵が同市出身の設定ということもあり、認知度は低くないと思います。しかし、人口は年々減っており、弁護士も現在油布先生1人という弁護士過疎地でもあります。大川市は、交通の便があまり良くないため、市内に弁護士が存在することの意味は大きいと思われます。

あさかぜ基金法律事務所出身の油布先生が、大川市唯一の弁護士という極めて重要な立場になられたということで、私も、いずれ司法過疎地に赴任してリーガルサービスを提供する立場になることを改めて認識し、今後もさらに精進していく決意を致しました。

5 おわりに

まだまだ弁護士として至らない点ばかりではありますが、1~2年など直ぐに経過してしまうことを肝に銘じ、日々の業務に取り組むつもりです。この報告をご覧になっておられる先生方からも、ご指導、ご鞭撻のほど、どうかよろしくお願いいたします。

日弁連刑弁センターだより

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会 員 丸 山 和 大(56期)

6月7日、8日の二日間にわたり日弁連刑弁センター全体会議が開催されました。同会議の議題のうち、実務上重要と思われる二点についてご報告します。

1 取調べDVDの実質証拠化について

捜査機関の取調べについて、その全過程を録画・録音して可視化しようとする動きが、法制審特別部会「新時代の刑事司法制度特別部会」でようやく実現する機運が高まっていることは周知のことと思われます(もっとも、捜査機関側の委員は未だに「捜査官の裁量」論を唱えており、予断を許しません。)。

そのような中、可視化の成果物である「取調べDVD」について、これを自白調書に代えて請求するなどして積極的に罪体立証に使用しようとする動きが検察庁にあります。

かかる「取調べDVDの実質証拠化」の動きについては、「法廷のビデオ上映会化」を招くなどとして裁判所は否定的な立場に立っていると解されていましたが、最近になって、裁判所が取調べDVDを実質証拠として採用した事例が複数報告されるようになりました。

取調べDVDの実質証拠としての証拠能力については、これを認めるのが現在の多数説(伝聞証拠にあたらず刑訴法322条の要件を要しないとする説。ちなみに、個人的には、取調べDVDに実質証拠としての証拠能力を認めない説が妥当であると考えています。)と思われ、現行法上、法廷顕出を妨げることは困難な状況です。

従って、実務にあたる弁護人としては、将来の公判において、取調べDVDが実質証拠として請求されることを見越して捜査弁護にあたる必要があります。

なお、取調べDVDの実質証拠化に対応する弁護手法については、10月22日に予定されている日弁連ライブ研修において検討が行われる予定ですので、ぜひご聴講ください。

2 拘置所弁護士待合室における携帯電話の預け入れについて

拘置所による、接見室における写真撮影に対する接見妨害についての全国的状況については、本誌2月号の田邉国賠訴訟の紹介記事においても触れたところです。

拘置所による接見妨害に関して、もう一つ全国的に顕在化している問題が、拘置所による、弁護人の接見室内への携帯電話の持込みに対する妨害です。

福岡拘置所においても、接見室に携帯電話を持ち込むことは出来ません、ロッカーに預けて下さい、という趣旨の張り紙が掲示してあり、これ見よがしにロッカーが備え付けられていることはご存知のことと思います。

そして、実際に、拘置所職員から「携帯電話はロッカーの中に入れて下さい」と声を掛けられ、預け入れている弁護人の方々も散見されます。

しかし、拘置所が、弁護人に対し、ロッカーに携帯電話を預け入れることを強制する法的根拠はありません(もっとも、拘置所側は、「刑事収容施設・処遇法は拘置所の「施設管理権」の存在を前提としており、かかる施設管理権に基づいて持込を禁止することができる」、と主張するようです。あるいは、「被疑者の外部交通の規制のために弁護人の携帯電話の持込を禁止することができる」、とも主張するようです。)。

従って、携帯電話をロッカーに預け入れるか否かの判断は弁護人に委ねられており、携帯電話をロッカーに預け入れるにせよ、それは弁護人の自発的意思に基づいてなされなければならない、という点に留意する必要があります。

些細なことかもしれませんが、このような些細な点から国による接見妨害が始まり、そこから接見妨害の範囲が拡大されていく危険性があることに注意を払う必要があります。
なお、接見における電子通信機器の使用に関しては、接見の補助手段として使用することは許され、秘密交通権の保障が及ぶ、とする研究者の論文も発表されているところですのでご参照ください(葛野尋之「弁護人接見の電子的記録と接見時の電子通信機器の使用」季刊刑事弁護72号)。

労働相談ホットライン(6月10日)実施報告

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会 員 宮 原 三 郎(62期)

1 はじめに

去る平成25年6月10日(=労働の日)に日弁連主催の全国一斉労働相談ホットラインが実施されました。私事ですが、弁護士登録から3年半、もっぱら使用者側代理人として労働事件に関与して参りました。もっとも、この正月に東京から福岡に登録換えをして独立し、かつ、労働に強い弁護士になるという強い志のもと労働法制委員会委員に委嘱して頂きましたので、自己研鑽を図る意味でもこれはよい機会と労働者側の相談であるホットラインの担当をさせて頂くことに致しました。

2 福岡での相談件数等

まず、福岡県弁護士会で受けた相談の統計をご紹介致します。なお、全相談件数と項目ごと合計数に若干のずれがあるのは、相談者にご了解頂いた事項のみの記録であるなどの理由による思われますのでご了解頂ければと存じます。

<全相談件数>

43件

<年 代 別>

50代 13名

30代 12名

40代と60代 それぞれ5名

70代以上 1名

<正規・非正規の別>

正規雇用 18名

非正規雇用 22名

<相談事項>

改正労働契約法関係 13件

解雇・雇止め 12件

賃金未払い 9件

労災関係 3件

いじめ・パワハラ 2件

契約と実際が違う 1件

その他

3 今回の特徴

今回のホットラインにおいて特徴的なのは改正労働契約法関係の問合せの多さではないでしょうか。

皆様ご存知のとおり、先だって労働契約法が改正され、本年4月1日から無期労働契約への転換申込権、無期労働者と有期労働者との間で不合理な労働条件の相違を設けることの禁止という制度が施行されました(なお、昨年8月1日から、雇止め法理の法定化もされています。念のため。)。

上記統計が示すとおり、全43件の問合せのうちの約3分の1、非正規労働者からの問合せでは約6割が改正法に関する問い合わせだったことになります。私が担当した4件ほどの相談のうちでも、2件で改正法についての相談がありましたので個人的にも注目度が高いという印象でした。

私が受けたものはいずれも無期労働契約への転換申込権についてのもので、「既に数年間有期労働契約で働いているが、いつから正社員になれますか」というものでした。ご相談頂いた方にとっては残念ながら通算契約期間のカウントが本年4月1日からスタートになるため、「さらに5年後になってしまいます」との説明にならざるを得ませんでした。他の担当者の先生方と話しても、転換申込権については5年を経過すると当然に正社員になれるという勘違いをなされていた相談者が多かったようです。

4 所感として

無期労働契約への転換申込権の制度は、若干誤解を生みやすい制度のような気もしますが、それなりにニュースなどで取り上げられ、解説もされていたように思います。そのような制度であっても不正確な伝わり方をしていたことは、普段法律に携わらない方々にとって法律がなかなか浸透しづらいものであることを表していると思います。われわれ法律家が正確な法的知識を伝えることは重要であり、そのインフラとして無料でしかも、電話一本で弁護士にアクセスできるという今回のようなホットラインのシステムは今後も拡充していくことが望ましいと感じました。

シリーズ ―私の一冊― 「燃える男」 A.J.クィネル作

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会 員 伊 藤 巧 示(45期)

長嶋茂雄の話ではない。この作品は海外冒険小説の傑作である。主人公クリーシィは外人部隊の勇者だった。しかし、戦闘で心も体も傷つき落ちぶれてしまい、10歳くらいの富豪の娘ピンタのボディガードをすることとなった。クリーシィは純真で好奇心旺盛な少女とのふれあいに最初は戸惑いつつも、戦争で傷ついたかたくなな心も徐々に打ち解けていった。ついには、クリーシィにとってピンタがこの世で最も大事な愛しいものとなり、失った人生を取り戻してくれそうな存在となった。しかし、あるとき、ピンタがマフィアに誘拐され(クリーシィも負傷する。)、強姦された上惨殺されてしまう。クリーシィは復讐を誓い、いろいろな人々(こう書かないとこれから読む人の愉しみが半減してしまう。)の協力を得ながら、誘拐に関与した人物を次々に殺害して最後は単身マフィアのボスの要塞に乗り込む・・・。

読んだ後で、もうちょっとしゃれた日本語訳の題名はなかったのかと思ったが、原題が「Man on Fire」だから仕方がない。舞台はイタリアと地中海の島だ。最近デンゼル・ワシントン主演で(ピンタはダコタ・ファニング)、「マイ・ボディーガード」という題名で映画化されたが舞台も背景もほとんど何もかも原作とは違っており、この映画を見たけれど本書を読んでいない人には是非読んでほしいが、読んだ人で映画を見ていない人には、映画は期待して見ない方がいいといいたい。

平成22年の月報10月号で、マイクル・コナリー作のハリー・ボッシュシリーズを「私の一冊」として紹介したことがあり、このときはハードボイルド小説を中心にいろいろ書いた記憶がある。今回、再び原稿の依頼が来た。なぜだろうと思いつつも深くは考えず、何でも好きなことを書いてやれと思って、今度は冒険小説の中から選ぶことにした。純文学や教養書ではないが、あまり頭を使わずに読んでスカッとする類いの分野の本が好きな人にとってはお勧めの本である。

昔の話になるが、受験時代に受験仲間の早田明文先生から、このA.J.クィネルという国籍不明作家の作品を紹介された。題名は「ヴァチカンからの暗殺者」。フィクションであるが、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世暗殺未遂事件を題材に、暗殺を企てたソ連のアンドロポフに対し(史実かどうか不明)、報復のためヴァチカンが刺客を送り込むという話である。その刺客はポーランドからの亡命将校であるが、ヴァチカンの枢機卿が選んだ本物の尼僧と偽装夫婦となって潜入するという筋書きで、その過程で二人の間に起こるいろいろな出来事(恋愛も含めて)とともに物語が進んでいく。かなりおもしろかったので、デビュー作を読んでみようと思い手に取ったのが「燃える男」である。

それから、時間だけはいっぱいあった受験時代に冒険小説・スパイ小説をむさぼり読んだ記憶がある。これを読まずして冒険小説は語れないというジャック・ヒギンズの「鷲は舞い降りた」は評判どおり面白かった。ドイツ落下傘部隊の将校が主人公で、チャーチル首相を誘拐しにイギリスに夜間落下傘で降下するという奇想天外な話(もちろん創作)であるが、各登場人物の描写がすばらしく、主人公に協力する元IRAの闘士が魅力的だった。この元IRAの闘士は、大学の教授でもありガンマンでもあり、醒めたロマンチストで、この世は神様が酔っぱらったときに間違って創ったものに違いないと言いながら、アイリッシュ・ウィスキーのブッシュミルズばっかり飲んでいる。おかげで、一時期私はブッシュミルズばかり飲んでいたことがあった。

スパイ小説では、ジョン・ル・カレのスマイリーものの3部作(イギリス情報部員ジョージ・スマイリーとKGB幹部のカーラとの情報戦を描いたもの)も有名なので読んでみた。作品としては面白いが、なぜか文章が読みにくい。他の作品も同様に読みにくい。訳が下手なのか、文体の好みによるものなのかと思っていたところ、佐藤至先生から「あれは原文自体が変らしい。」と聞いて納得した。なお、3部作の最初の「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」は、昨年あたり「裏切りのサーカス」という題名で映画化されている。また、イギリスのスパイものでは、グレアム・グリーン(映画で有名な「第三の男」の作者)の「ヒューマン・ファクター」が秀逸でお勧めだ。解説者によればミステリにして純文学なのだそうだが、なぜそうなのか私にはさっぱりわからない。

有名なイギリスの冒険小説に「深夜プラス1」(ギャビン・ライアル作)という作品がある。ハヤカワ文庫から出ているが、その解説には「深夜プラス1」のようなすぐれたエンターテインメントの条件は再読、いや再々読に耐えるということだとあった。冒険小説などは、暇つぶしに読むもので、私の場合、移動中や寝っ転がって読むことが多く、一度読んだらそれっきりというものがほとんどであるが、前回の月報で紹介した諸作品や、本書「燃える男」も含めて今日ここに挙げた冒険小説は、確かに再読に耐える小説である。私も3回以上は読んでいて、ほかの本は捨てたりしても、ずっと本棚の片隅を飾っている。

東日本大震災復興支援対策本部・災害対策委員会報告

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災害対策委員会
宮 下 和 彦(46期)

今回は、これまでの福岡県弁護士会における東日本大震災に関連する相談状況のご報告とごく一部ですが最近の震災関連の立法状況のご報告です。

県弁では大震災発生直後に東日本大震災復興支援対策本部を設置し、県内19カ所の各法律相談センターにおいて、30分の相談枠を1時間に拡大して無料法律相談を開始するとともに、1昨年9月からは、無料出張法律相談も実施しております。また、平成23年12月を第1回として、平成25年5月26日まで計9回にわたり天神弁護士センターにおいて、原発賠償問題を中心とした東日本大震災被災者のための相談会(当初は説明・相談会)を開催してきました。以上の相談結果について集計しましたところ、これまでの累計相談数は62件(福岡地区52件、北九州地区6件、筑後地区3件、飯塚地区1件)となっています。その相談内容は東京電力に対する賠償関係が半数以上を占めるものの、雇用問題、ローン問題、津波の被害、親族間のトラブル(離婚を含みます)、生活保護受給の是非、健康保険料の多寡など極めて多岐にわたっております。相談件数そのものについては、復興庁が把握しているだけで福岡県内に700名以上、自主避難者数を含めると2000名以上と推定される避難者数に比し、必ずしも多いとは言えないかもしれませんが、原発賠償問題について3年の消滅時効の適用が取りざたされていることなど考え合わせますと潜在的な需要は否定できないと思います。今後も執行部にご協力いただきさらなる広報、PRに務めたいと考えています。

近時、原発賠償に関する特例法(原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律)が成立し、一般に時効後も原発賠償の提訴が可能になった旨の報道がなされました。しかし、この特例法は、原子力損害賠償紛争解決センターにADRを申し立てて不調になった場合が対象とされているに過ぎず、根本的な解決とは程遠いばかりか、かえって「時効は関係ない」との誤解を招きかねないと思われます。1日も早く抜本的な対策が求められるところです。

また、災害対策基本法が改正され、災害時要援護者の名簿作成が市町村に義務付けられ、災害時には同意なしで外部に提供できることとなりました。個人情報保護法の悪しき萎縮効果が弱まり、障害者ら要援護者に対するきめ細かな支援が可能になることが期待されます。さらに、大規模な災害の被災地における借地借家に関する特別措置法が制定され、震災復興時に制定された罹災都市借地借家臨時処理法が廃止されました。加えて、大規模災害からの復興に関する法律が新設され、復興に関する諸行政手続の特例がひとまとめにされました。その他被災地域のより迅速、適正な復興を図るべく種々の法整備が進められている状況です。

今後も、災害対策委員会では、震災関連、原発賠償に関する勉強会を継続し、関連諸法令に対する知見を深め、より適切に会員の皆様への情報提供にも努めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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