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カテゴリー: 月報記事

弁護士に期待されること・家族の役割

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会 員 西 野 裕 貴(66期)

平成26年3月20日に行われましたアルコール依存症研修会第2回「弁護士に期待されること・家族の役割」に参加いたしましたので、ご報告いたします。

1 福岡保護観察所長荒木龍彦氏のお話

研修会の前半は、福岡保護観察所長の荒木龍彦氏より、ご自身の立場からみたアルコール問題の現状と課題についてお話しを頂きました。

荒木氏は、まず、窃盗、殺人、放火、性犯罪等の重大犯罪は、それ自体は罪とならないアルコールの問題が原因となっていることが多いと話されました。

そのため、近年は、刑務所において、受刑者に対し、薬物の危険性だけでなくアルコールの問題について深く理解してもらうために多くの時間を割いて話がされていること、刑務所によっては、元受刑者がアルコール問題について話をするために刑務所内に立ち入り話をすることが認められる場合があるとのことでした。

荒木氏がアルコール問題の課題として挙げられたのは、自己がアルコール依存症であることの認識を欠いている患者を治療につなげていくことの困難さでした。そして、この課題を克服するには、アルコール依存症患者の近くにいる家族への介入を強化すること、また、問題の当事者である自助グループとの連携の強化が必要であると話されました。

2 福岡県断酒連合会の家族会員のお話

三人お話しになられたのですが、紙面の関係上お一人の話を要約します。現在断酒されているアルコール依存症の旦那さんの横で次のように話されました。

私は、夫と結婚し、二人の子供ができ幸せな生活をしていました。しかし、夫は、いつの間にか晩酌では足りず、よく飲み屋に入り浸るようになりました。子供のミルク代も飲み代に消えていく始末でした。

あるとき、飲んだ旦那が、中洲でタクシーの無賃乗車をしたので、その代金を払いにいったところ、旦那はタクシーを降りて、また中洲の飲み屋へ消えていきました。このときは旦那を殺してやろうと思いました。

しかし、旦那を殺して犯罪者になるのはバカらしかったので、離婚をしようと考え、毎日、旦那の悪行をノートにつけていました。

ようやく、旦那を病院に連れて行くことができ、旦那を入院させることができました。息子は「これでやっと車庫の段ボールで寝らんでよくなったね」ととても笑顔でした。

旦那が退院する1週間前には、恐怖で眠れませんでした。

旦那は退院後、お酒を飲まなくなり、以前の平穏な生活が戻りました。しかし、退院から1年が経つ日の1週間前に旦那は酒に手を付け、以前よりも、手を付けられないひどい状況になりました。そして、再度病院に入院となりました。

再度の退院後、私は旦那と共に断酒会の会員となりました。同じ悩みを持つ断酒会の会員同士で話し合いを根気強く続けることで、48歳で断酒した旦那は72歳になった現在まで断酒を続けることが出来ています。

3 感想

本PTの花田先生がおっしゃったように、弁護活動に際し、被疑者・被告人の被疑・公訴事実がアルコールの問題に起因していると感じたとしても、弁護活動時間の事実上の制限から、アルコールの問題までフォローすることが難しいのが現状です。

しかし、断酒会の家族会員の方の話から明らかなように、アルコール依存症は、患者本人だけでなくその家族や関係者までも不幸にする危険性を秘めています。
それゆえ、弁護活動に際しては、アルコールの問題から生じる多くの人の不幸を想像し、できる限りアルコールの問題をフォローすることに尽力することが大切であり、被告人が家族や自助グループの協力を得られるようサポートしていきたいと感じました。

ITコラム

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会 員 小 川 松太郎(59期)

1 「IBMはベンツ、コンパックはBMW、日本製は日本車かな」。
20年くらい前、大学の友達がパソコンのキーボードについて言った言葉です。
その言葉の意味が最近分かるようになってきました(コンパックは後にHPに吸収合併される)。

2 私が使っているノートパソコンは、IBM社製のThinkPad・X40(以下「X40」と言います)というものです。
このX40は、平成17年ころ(約9年前)に購入したもので、当時のIBMのノートパソコンの中では、最小、最軽量、ハイパフォーマンスを謳っており、バッテリー持続時間も最大で10時間、OSもwindowsXPprofessionalが搭載される等機能としては申し分ないものでした。
それが、4年前にバッテリーの充電が出来なくなり、使用するにはACアダプターをコンセントに差し込まなければならず、ノートなのに携帯できなくなりました。ある時、少年事件の記録を書き取るため家庭裁判所にX40を持ち込み、ACアダプターをコンセントに差し込もうとしたら、職員から怒られました。家庭裁判所の電源は使ったらいけないのです。
3年前からパソコン本体が異常に熱くなったり、突然電源が落ちたりするようになり、書面が消えてしまう等の事態が発生したため、やむを得ず買換の検討をはじめました。

3 この3年間Let’s noteやMacBook等のノートパソコンを検討していますが、悩むだけで、未だに新しいものが買えません。
どうしてか?X40のキーボードより良いものがないからです。
キーを押す感触やキーの返しが良い、シャキ・シャキという静かで知的な音が良い、何より慣れている等いくつか理由があるのですが、とにかく、X40で打つと快適なのです。そのため、X40で起案すれば準備書面の出来も良くなるような気がします(実際は変わりません)。
当時のIBMの製品仕様には、「人間工学に基づきチューンされた7列フルサイズ・キーボード」と記載されており、今更ながらなるほどと感心しています。
事務所内でもデスクトップパソコンがあるのに、わざわざその前にX40を置いて起案することも頻繁にあります。

4 ということで、今後もX40が完全に壊れるまで使い続けるでしょう。
書面が消えることが分かっていれば頻繁に保存をくり返せばいいし、本体が熱くなったら休憩させればいいし、コンセントのないところでは起案しなければいいし、少年事件の記録も手書きで書き取ればいいのです。
ノートパソコンと思うからいけない、快適パソコンと思えばいいのです。
たとえwindowsXPのサポートが終了(平成26年4月9日)しても大丈夫。

「転ばぬ先の杖」(第5回)

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会 員 原 田 直 子(34期)

Aさんとは、20年くらい前に遺産分割の手続きのご依頼を受け、その後ずっと季節のご挨拶を頂いてお付き合いがありました。ご自分で届けてくださるので、時々のご心配事なども伺っていました。ご自身が再婚で、ご夫婦にはお子さんがなく、先妻のお子さんを小さいときに養子に出しているので、何かの時にはよろしくというおつもりだと解釈していました。私は度々遺言書をお勧めしましたが、突然倒れられ亡くなってしまいました。

不動産と預貯金はすべて妻Bさんに相続させるという自筆の遺言書が見つかり、検認も済ませました。ところが、相続財産を調査すると、自宅の他は、株や保険、投資信託などが主で、不動産と預貯金という文言ではカバーできない内容でした。さらに、相続対策と思われたのか、知的障がいのある末弟Cさんと養子縁組をされていました。結局、後見人を選任して遺産分割したのですが、遺留分以上の財産を分割しました。

Cさんは、独身だった2人の姉からも相当の遺産を相続しておられ、施設に入所して障がい年金で事足りているので、貯金が増えただけになりました。もっと強く、遺言書の相談をしていただくよう、お勧めすればよかったと後悔しました。

妻のBさんも、一人暮らしになった途端、物忘れがひどくなり、不安だと言われるので、将来に備え、任意後見契約と見守り契約を締結しました。毎月お電話をし、3か月に一度は姪御さんと打ち合わせて自宅を訪問し、おしゃべりをして、おいしいものを食べることにしました。女性3人、Aさんの思い出(悪口?)に花を咲かせ、楽しいひとときでした。私も、2人のお姉さんの遺産分割に関わり、親戚の方々の関係を把握していたので、話に入れたのです。

先日、Cさんがふとお墓参りに行きたいと漏らされたと聞き、姪御さんも誘って一緒にお寺に行き、Cさんの好物だった鰻屋さんに行きました。足が不自由になり、2人の姪御さんが両脇から抱えるようにして、お連れしました。Cさんの後見人も一緒でした。昔話に花が咲き、楽しい半日。帰りには、Bさんの大好きなチョコレートを買いに、博多チョコレートショップにお連れしたところ、目を輝かせて、チョコレートを選んでおられました。

ここで気づいたことは、Cさんの後見人が全く話の輪に入れないこと。選任されてから3年ほどですが、3か月に一度施設を訪問してはいるものの、一人では話すことがないので、姪御さんを同行し、姪御さんとの交流を見ているだけのようでした。「おじさん(Cさんのこと)は、お金はあっても、好きなことに使えないのはつまらないですね・・。」とは姪御さんの言葉でした。判断能力が低下してから士業の専門家が後見人になると、本人との交流は難しいようです。身上監護してくれる身内がいればまだいいですが、そうでなければ、ちょっと寂しい老後だなとしみじみ思ったことでした。

私自身も、子育てが終わり、親を見送り、還暦を過ぎて、自分の老後を真剣に考える時がやってきました。自分で自分のことを決められる間に、自分がどのようにして人生の終末期を過ごしたいか、その実現を誰に託すのか、決めることはたくさんあるなと感じながら、皆さんにも任意後見をお勧めし、元気な間は、みなさんの「転ばぬ先の杖」になろうと思う出来事でした。

「転ばぬ先の杖」(第4回)

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会 員 瀬 戸 伸 一(59期)

1 「転ばぬ先の杖」第4回を担当させていただきます。市民向けとお聞きしておりますので、事案も簡略化して紹介させていただきます。

2 借金問題

最近は減ってきたものの、自殺対策白書によれば、平成24年度に、借金問題(経済・生活問題)と思われる理由で自殺をした人が全体の19%近くいるそうです。

私のところにも、ある方が「今日、どうしても相談を受けてもらいたい。」と言って、その方の家族(依頼者)を連れてきたことがありました。

聞くと、依頼者は消費者金融に数百万円の高金利の借金があり、まじめに働いているが借金が減らない。自殺をしようと家で首をくくる準備をしていたところ、別の家に住んでいた家族が、数日前から様子がおかしかった依頼者を見に来たため、事なきを得たとのこと。本人は自殺するしかないと考え、「死なせてくれ」と言っていたが、その家族が「弁護士に相談してどうしようもないと言われたら死んでいいから相談に行こう」と説得して連れてきたということでした。

20年間程貸し借りの取引があり、利息制限法の制限利息で計算すると、返済する借金がなくなりそうな状況であったので、「借金が残るどころか、お金を返してもらえる(過払金)可能性が高そうです。借金が残るにしても、残らないにしても、死ぬ必要は全くないですよ。弁護士が受任すれば、請求も直接来なくなります。」と説明し、本人も安心して帰宅していかれました。

後日、消費者金融から返還を受けた過払金を依頼者に返還し、借金は全くなくなったことを報告すると、「あのとき、死なないで家族に相談に連れてきてもらって良かったです。」と涙ぐんでお話されていました。

自分が経営している会社も含めて、借金問題で自殺をする必要はありません。自殺を考える前に弁護士に相談していただければ、必ず、いいアドバイスが受けられるはずです。

3 合意書の作成

A会社の甲社長とB会社の乙社長は仲が良く、A会社とB会社とは長年取引がありました。

B会社の帳簿にはA会社に対する1,000万円の売掛金が載っていましたが、これは実は購入した商品に難があってキャンセルされた分で、実際には、B会社は請求できないものでした。

あるとき、この1,000万円の売掛金について、甲社長と乙社長が話をしました。乙社長は、「キャンセル分というのは分かったけど、売掛金が全部無くなると、大赤字になってしまうから、形だけ、売掛金があるということにしてほしい。今後は請求しないから。あと、今、会社の運転資金がないから、1,000万円のうち、100万円だけ支払う形でお金を融通してほしい。今後、B会社がA会社に売る商品の価格を値引きする形で返済をするから。」と言ってきました。

甲社長は、この話を信じて、乙社長の出す合意書にサインをしました。その合意書には、「A会社は、B会社の売掛金1,000万円があることを認めて、そのうち、100万円をすぐに支払う。」という内容しか書かれていませんでした。

A会社が100万円を支払った後、B会社からA会社に売掛金900万円の支払請求の裁判が起こされました。その裁判の中で、乙社長は、「売掛金は、キャンセル分などではない。合意書でも売掛金が認められているし、1,000万円のうち、100万円が支払われていることがなによりの証拠だ。」などと主張しました。

最終的には、900万円の売掛金は認められませんでしたが、それまでに、長期間裁判を行う時間、労力、費用がかかってしまいました。

嘘をつかれたことが本件の原因ですが、それでも、甲社長が、合意書にサインをする前に、弁護士に相談をしていれば、「当事者間の合意と合意書の記載が異なっている。このままサインすると危ない。」という忠告が受けられ、合意書にサインをしなかったり、合意内容がきちんと記載された合意書を作成したりしていれば、裁判にもならなかったものと思われます。

仲のいい間柄でも、いつ紛争になるかわかりませんので、簡単なものでも、合意書を作成する際には、一度弁護士に相談することをおすすめします。
ちょっと体調がおかしいと思ったときに、薬を飲んだり医者に見てもらったりしたほうが、大事に至らないのと同じように、この件大丈夫かな?とちょっとでも思ったら、弁護士に相談したほうが後日の安心につながります。

ITコラム

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会 員 是 枝 秀 幸(60期)

今回は、私が取扱う機会のある投資詐欺に関連して、実際の業務で利用しているITについて紹介させていただきます。弁護士がどこまでやるべきかという問題はあるものの、一つの情報を端緒に様々な情報を収集するよう、努めています。

1 Google  https://www.google.com/

・業者や関係者が運営しているサイト等

インターネット唯一神Googleの手にかかれば、業者や関係者に関連して、各種報道から、国や地方自治体による発表、弁護士や被害者等による情報提供や評判、業者が過去に出していた求人情報まで、様々な情報を得ることができます。

2 Internet Archive  https://archive.org/ ウェブ魚拓  http://megalodon.jp/

・過去のサイトの状態や記載内容の記録(過去ログ)

Internet Archiveでは、自動収集された過去ログの一部を見ることができます。

ウェブ魚拓では、自ら保存することができるほか、利用者により既に保存された過去ログがあればそれを見ることができます。

3 総務省  http://www.soumu.go.jp/

・固定電話や携帯電話の番号の割当先として指定された電気通信事業者

業者の使用している固定電話や携帯電話等の番号が判明している場合、当該番号の割当先として指定された電気通信事業者に対して弁護士会照会をすることで、契約者の名義・住所や利用料金引落口座が判明することがあります。

事前に総務省のサイトで電気通信番号指定状況を確認しましょう。

4 JPRS WHOIS /JPRS  http://whois.jprs.jp/ aguse.jp:ウェブ調査  http://www.aguse.jp/

・サイトの運営者に関する情報

WHOIS(フーイズ)とは、簡単に言えばウェブサイトの運営者を把握する方法の一つで、実際にやっていただいた方が分かりやすいと思います。

例えば、JPRS WHOIS /JPRSで、http://www.fben.jp/のドメイン(fben.jp)をもとに検索すると、登録者名(福岡県弁護士会)等の各種情報が表示されます。

業者のサイトのドメインをもとに検索することで、業者の氏名や住所や電話番号等が判明することがあります。

但し、ドメイン取得代行等がなされている場合があり、ドメイン取得代行業者等に関する情報しか得ることができないこともあります。

5 日本郵便株式会社  http://www.post.japanpost.jp/

・郵便物の配送状況に関する情報

業者に対して登記や住民票上の住所に郵便物を送付しても、業者が郵便物を転送させる等して、業者の実際の居所を掴むことが困難な場合があります。

郵便追跡サービスを確認することで、郵便物の配送状況に関する情報を把握することができますので、業者の実際の居所の参考になることがあります。

6 登記情報提供サービス【有料】  http://www1.touki.or.jp/

・法人の登記の有無や代表者の氏名・住所に関する情報

・法人の所在地や代表者の住所の不動産に関する情報

いずれも法務局で取得することのできる情報ですが、探索的に業者に関する情報を収集する際、検索機能により効率的に情報を収集することができます。

もっとも、認証文言は付記されていないので、裁判所に附属書類として提出する際は、法務局で認証文言付記謄本を取得する必要があります。

7 官報情報検索サービス【有料】  https://search.npb.go.jp/kanpou/

・業者や関係者に関連する官報公告に関する情報

業者や関係者の氏名等で検索することで情報が得られることがあります。

もっとも、同姓同名の方に関する情報にすぎない可能性もあるので、当該情報を端緒にした住民票等の職務上請求等は、第三者のプライバシーに配慮して、情報の関連性を十分に検討してからが良いと思います。

8 振り込め詐欺救済法に基づく公告トップページ http://furikomesagi.dic.go.jp/

・犯罪利用預金口座等に係る取引停止等の措置の有無や状況等

業者や関係者に関して措置がなされているか情報が得られることがあります。

9 その他

・業者が加盟している業界団体のサイト

・被害回復に取り組む弁護士のメーリングリスト

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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