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カテゴリー: 月報記事

災害対策委員会報告(東北大震災関連) 福島現地視察のご報告(2)

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会 員 池 上  遊(63期)

―前号からの続き―

4 3日目(11月3日)

この日は祝日ということもあり、視察と言いつつ、二本松市内の酒造会社「奥の松」へ伺いました。当日は、たまたまイベントが開かれていて、無料でお酒が振る舞われていました。朝から飲み過ぎてしまいました。この後もジンギスカン(昼)や中華料理(夜)を堪能して視察らしい話がまったくないので省略します。

5 4日目(11月4日)

前日のうちに福島市内に移動し、4日目は福島県(避難者支援課)及びふくしま連携復興センターとの間で意見交換会を行いました。

福島県からは、主に県外避難者への支援(ふるさとふくしま帰還支援事業)を中心にご説明いただきました。現在でも12万4661人の避難者がいること(県内外合計、平成26年10月現在)、これら避難者に対し、地元紙、広報誌等の送付、避難者支援団体への補助事業、全国的な避難者支援中間組織への業務委託事業、県内の避難者支援中間組織(ふくしま連携復興センター)への業務委託、県外への復興支援員設置を実施していることなどをご説明いただきました。

ふくしま連携復興センターは、上記の業務委託を受け、現在は、主に避難者からの相談を受けているとのことでした。今後、避難者、避難者を支援する各種の団体、行政をつなぐ役割が期待されているようです。

以上で、今回の行程を終え、行きと逆のルートで帰福しました。

6 おわりに

私は、原発事故の年からすでに6、7回福島に行かせていただきました。

いつも気になるのは、煌々とともる東京の灯りに比較して福島の灯りの少なさです。極端な言い方かもしれませんが、福島は東京に食べられた、いつも行くたびにそんな印象を持ちます。福岡では報道されることが少ないですが、福島は復興の緒にもついていません。

現在は、政府が安全性ばかりを強調して滞在ではなく帰還を勧めること、避難者を区域によって線引きしたことによって被害が拡大再生産されています。

除染したのに線量が元に戻る、避難先で子どもたちがいじめを受ける、「避難者」と呼ばれるのが辛いと感じる、なぜ避難したのかと非難される。福島の避難者からはこのような話をよく聞きます。原発事故による被害は今も生まれ続けていますし、その意味でも原発事故は収束などしていません。

11月に新たに福島県知事となった方も原発事故の過酷さと今の厳しい現状を踏まえ、県内の全原発の廃炉を国や電力事業者に求めていくと発言されています。
私としては、今後も原発事故による被害をあるがままに見つめ、消されようとしている被害者の声を聞いて、弁護士としてどのような支援ができるのかを考えていこうと思っています。

あさかぜ基金だより 退所のご挨拶

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会 員 島 内 崇 行(65期)

1 離島の公設事務所について

あさかぜ基金法律事務所の所属弁護士の島内と申します。

九弁連管内の各地には、司法過疎地域が点在しており、司法過疎地域解消のために公設事務所が設置されています。そして、数多くの公設事務所の中でも、離島の公設事務所は、司法過疎地域解消にとって特に重要な存在です。離島は、島だけで1つの生活圏、文化圏が形成されて人の入れ替えが見込めません。離島での業務は、年月が経つにつれ、利益相反の問題が生じる案件が増加し、必ず受任できる事件数が減っていくのです。ですので、離島では、弁護士が定着することが非常に難しく、所長弁護士が短期で入れ替わっていく箱としての公設事務所が必須なのです。

その九弁連管内の離島の一つである長崎県壱岐市にも、壱岐ひまわり基金法律事務所という公設事務所があり、平成27年1月頃、現所長の松坂典洋先生が、任期満了で退任されます。さらには、長崎県対馬市の対馬ひまわり基金法律事務所において、任期満了による現所長弁護士の退任が、平成27年初頭に控えております。この2事務所は、設立当初から、短い期間で引き継ぎがなされており、今後も定着を見込むことが出来ない状況と思われます。

2 赴任のご挨拶

さて、冒頭で説明した壱岐・対馬のひまわり基金法律事務所ですが、私は、平成27年1月より、長崎県弁護士会に登録替えをし、壱岐ひまわり基金法律事務所の後任所長として赴任することになりました。私は、平成24年12月に弁護士登録しましたので、ほぼ2年間あさかぜ基金法律事務所に在籍することになりました。

ひまわり基金法律事務所の所長弁護士は、全国各地から応募を募り、その応募者の中から、各ひまわり基金法律事務所を支援する支援委員会による選考を経て、採用されます。

そして、壱岐ひまわり基金法律事務所につきましては、後任所長を選定する選定委員会が、平成26年8月22日、長崎県壱岐市で開かれました。私も、九弁連管内の司法過疎問題には九州で対処するという理念のもとに設立されたあさかぜ基金法律事務所の所員として、壱岐ひまわり基金法律事務所の後任所長に応募のうえ、選定委員会による選考手続を受けました。後任所長に応募した弁護士は、私を含め2名でしたが、私は、なんとか採用にたどり着くことが出来ました。

福岡では、前日の8月21日の深夜からバケツをひっくり返したような大雨が降り、私は、何度も緊急エリアメールの着信音に睡眠を邪魔され、寝不足のまま現地に向かうことになりました。また、当日は、大雨の影響で波が普段より高く、乗り物酔いに対する耐性が低い私は、簡単に船酔いすることになりました。

このような逆境にもかかわらず、採用にたどり着くことができたのは、偏に私が育成を受けたあさかぜ基金法律事務所に深く関わっていただいている皆様のご支援、ご協力のおかげでございます。

3 あさかぜ基金法律事務所について

私は、間もなく慣れ親しんだ福岡の地を離れ、壱岐に赴任します。壱岐(離島)での業務は、離島のひまわり基金法律事務所所長を経験された方々のお話を伺う限り、経営・私生活含め易しくはないようです。

しかし、私は、あさかぜ基金法律事務所で育成を受けた成果を存分に発揮し、これまでの所長弁護士と同様、又はそれ以上のサービスを提供できるよう、全力を尽くす所存です。

あさかぜ基金法律事務所は、所員一同、司法過疎問題解消への熱い思いを胸に抱きながら日々研鑽を積み、司法過疎地域への赴任の準備を着々と行っております。実際、当事務所は、これまでにも、多くの司法過疎地域に赴任した弁護士を輩出し、九州管内の司法過疎地域解消の大きな原動力となっております。
ですので、今後も、当事務所が九弁連管内の司法過疎地域解消のために存在し続けるため、皆様のご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願いします。

「転ばぬ先の杖」(第10回)

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会 員 井 上 健 二(58期)

1 弁護士を活用する場合のイメージとしては、「事件の代理人として、弁護士が、自分の代理人として名前を示して、交渉や裁判で戦ってくれる」というイメージが一般的ではないかと思います。

しかし、弁護士を活用するにもいろいろな方法があり、活用の仕方によっては、紛争を防ぎ、より良く、かつより安く解決ができる場合もあります。

今回の「転ばぬ先の杖」では、一般的なイメージと違う形での弁護士活用法をあげてみます。

2 相手方との感情的なもつれが激しい場合

離婚問題や相続問題など様々な問題について、相手方との長年にわたる感情的なもつれやこじれが生じている事案では、いきなり弁護士が代理人として登場すると、さらに相手方の感情面を刺激してしまい、より紛争性が高まってしまった結果、訴訟にまで至ってしまうということがあり得ます。

そのような場合には、むしろ、最初は、弁護士を表に出さずに、弁護士から法的問題点や相手方とのやり取りの方法、紛争解決までの見通しやコストなどについて助言を受けながら、自分の名前で文書などにより意思表示することから始めてみるほうが良いこともあります。

その場合、弁護士に文書を作ってもらって、自分の名前で相手方に対し文書を出すということを検討してもよいかもしれません。そういった穏当なやり方を続けていくうちに、次第に感情面のこじれがときほぐされ、裁判にまでならずに解決する可能性もあります。

3 紛争の内容が必ずしも純粋な法律問題ではない場合

世の中で起きる紛争には、様々なものがあり、必ずしもそれらの全てが純粋な法律問題として発生するわけではありません。例えば、親族や知人などの人間関係の問題、男女の問題、近隣の問題など・・・。

弁護士は「法律の専門家」だから、法律問題以外の問題を弁護士に相談しても果たして意味がないでしょうか?その答えは、NOです。

弁護士は、「法律の専門家」でもありますが、「紛争解決の専門家」でもあります。「紛争解決」の肝がどこにあるのか、という視点から弁護士は助言できるので、その助言は役に立つことが多いでしょう。

また、弁護士は、紛争解決にとって「重要な事実」と、「そうではない事実」の切り分け作業にとてもよく長けています(訴訟における事実主張の際にそのような作業をいつも行っているからです。)。それゆえ、いかなる紛争においても、解決のために有益な視点を提示できる場合が多いように思います。

4 事業活動における活用

事業活動においては、必ずしも事業上のトラブルだけではなく、様々な場面で弁護士を活用できます。

例えば、一般的には、いわゆる「商談」に弁護士を関与させるイメージはないかもしれませんが、自社の利益を決する「値決め」交渉などにおいて、交渉の進め方の方針立案、相手方に対する提案のための文書作成、協議事項の優先順位の判断など、様々な場面で弁護士を活用することは、自社の利益を守るために有益となる場合があります。これは、日々法的交渉を業務として行っている弁護士の「交渉の進め方の勘所」を活用するものです。

また、大企業においても、「消費者の視点からみて、その企業の判断が正しいか否か」を検証する際に、消費者の目線を持った弁護士の意見を聴取することは今後これまで以上に重要になってくるでしょう。

このように、事業活動においては、弁護士の活用法として、その「法律知識」だけでなく、スキルや立場を活用することができるのです。

5 以上のように、弁護士にはいろいろな活用法がありますので、「ちょっと誰かに話を聞いてほしい」という段階からでも、是非、弁護士に相談してみてください。自分では気づかなかった解決のヒントが見つかるはずです。

裁判ウォッチングのご報告

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法教育委員会委員 楠 木 玲(65期)

平成26年10月14日から20日まで、福岡地方裁判所において、「裁判ウォッチング」が実施されました。私は、14日の午後の部を担当しましたので、当日の様子について、ご報告致します。

まず、弁護士会館3階に集合後、参加者の方々に、裁判に関する簡単な説明のDVDを観ていただきます。
その後、3班に分かれてもらい、引率担当の各弁護士から、これから傍聴する事件についての簡単な説明と、傍聴に関する注意事項を伝えて、法廷へ向かいました。
私は、小学生のお母様方の集まり6名の担当でした。裁判傍聴の経験がある方はお一人だけでしたが、皆さま、裁判に興味津々の様子です。

当初、裁判員裁判事件を傍聴する予定でしたが、ちょうど休廷中であったため、急遽、他の事件を傍聴することになりました。
そこで、まず、民事裁判の弁論手続を傍聴しました。この裁判は、貸金請求事件で、被告側に代理人がついていない本人訴訟であり、分割払いの具体的な内容を決めていく内容でしたので、参加者の方にとってもわかりやすいものだったと思います。

次に、刑事裁判の傍聴に移りました。
途中から入った一件目の事件では、証人が遠方に住んでいて出頭が難しいため、期日外で所在尋問を行うこととなり、その調整についてのやりとりが行われていました。私自身、修習中を含め、このようなやりとりを見たのが初めてでしたので、とても参考になりました。
裁判ウォッチングのときは、他の先生方の裁判を堂々と(?)傍聴することができるので、引率担当者にとっても、法廷技術を学ぶことができる非常に良い機会だと思っております。

続けて、同じ法廷に入り、覚せい剤事件について、結審まで一連の手続を見ることができました。
傍聴の後、次の事件まで少し時間があったので、それまで見た事件について、私から簡単に説明をしました。
参加者の方々の一言目の感想は、「裁判は思っていたより分かりやすい」というもので、少し意外に感じました。その後、次々とご質問を頂きました。
例えば、裁判官が丁寧に被告人質問をされていたのを見て、「裁判官はじっくり書類を読んで裁判に臨まれるんですか」という質問があったので、起訴状一本主義の説明をしたところ、裁判官は事前に証拠を一切見ていない、ということに非常に驚かれていました。
しかし、その直後に、「そういえば、途中で検察官が書類を渡してましたよね。あれが証拠ですか。」という鋭い質問が来たり、「証拠の甲(号証)と乙(号証)とは、どう違うんですか。」という、あまり聞かれないだろうと思っていた質問が来たりしました。参加者の方は、どの方も非常に興味を持って傍聴してくださっており、細かいところまでよく見られているなぁと感心しました。
その後も、裁判員制度や量刑に関する質問から、検察官・弁護士の仕事だけでなく、書記官の仕事に関する質問まで、途切れることなく、たくさんのご質問を頂きました。

充実した裁判傍聴の後、弁護士会館に戻り、参加者の方々にアンケートを書いていただいて、解散となりました。
私が担当した参加者の中には、「一人で傍聴に来ても構わないんですか」と聞かれる方もおり、裁判に興味を持ってもらえて、とても嬉しく感じました。
今後も、たくさんの方に裁判ウォッチングに参加していただき、裁判に興味を持ってもらえれば幸いです。

災害対策委員会報告(東北大震災関連) 福島現地視察のご報告(1)

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会 員 池 上 遊(63期)

1 はじめに

平成26年11月1日から4日まで、災害対策委員会有志(岡部史卓、吉野大輔、吉村敏幸各会員と私)で福島現地視察へ行ってきましたので、今月号・次号に亘りご報告します。平成24年11月25日から28日にかけても同様に視察を行いましたが、このときにもご案内、コーディネートいただいた「市民ネット」(当時はふくおか市民ネットワーク)の方に今回もお世話になりました。なお、前回の視察については、月報492号、493号に宮下和彦、青木歳雄各会員の報告が掲載されています。

また、今回は、広島から、避難者の支援をされている団体であるアスチカの方々、広島県弁護士会から避難者の支援をされている会員も2名参加してくださいました。

2 1日目(11月1日)

午前9時に成田空港に到着し、そこから車でいわき市内へ移動しました。いわき市は、「フラガール」で有名な「スパリゾートハワイアンズ」のある県内人口第2位の都市です。ここでは、「いわき放射能市民測定室たらちね」と「チャイルドハウス ふくまる」を視察しました。

・たらちね(写真(1)、(2))

こちらでは、市民からの要望に応え、様々な場所の線量、放射能濃度を出張で測定したり、市販の食品や学校などの土壌の放射能濃度、ホールボディカウンタによる内部被ばく量の測定などを民間で行っています。線量や放射能濃度を測定する機器類は非常に高価なものが多く、こちらでは、そうした機器類を寄付などにより購入し、測定結果についてホームページで公開するなどしています。職員の方は、この間までゴルフ場で働いていましたとおっしゃる女性の方などがいて、ごく一般の方が白衣を着て科学者のように放射線や放射能の測定についてお話をされているのに驚きました。

視察翌日に、ベータ線を測定できるよう検査室が新たに整備され、そのお披露目会が開かれていました。この整備のために約3,000万円を要したとのことでした。

・ふくまる(写真(3))

こちらは、被ばくを避けるために屋外で遊ぶことが困難な子どもたちのために、10時から16時まで、無料で開放されている遊び場です。私が子どもの頃には見たこともないような遊具が多数置いてあり、子どもたちの発育が懸念されている福島では貴重なスペースだなと感じました。

3 2日目(11月2日)
・現地視察

午前8時頃にはいわき市を出発し、国道6号線を北上して浪江町へ向かいました。6号線は、福島第一原発事故後、警戒区域(その後、帰還困難区域)に指定され、原発近辺は通行不能となっていましたが、視察の約2ヶ月前、9月15日から自動車の通行に限って許可されるようになりました。

通行中に線量を計測した方によれば、車内で窓を閉め切った状態でも5~6程度とのことでした(単位はマイクロシーベルト、μSV/h)。報道によれば、車外では10程度になる箇所もあるとのことでした。福岡市内ではおおむね0.04~0.05という数値になるところです。

私たちが視察した当時は、1号機の建屋カバーの解体工事が始まると言われていた時期でしたが、通行中に確認することはできませんでした。

浪江町の様子は、前回の視察のときとほとんど変わらず、月報492号で宮下会員が報告されているとおりのものが事故から3年半以上が経過してもそのままとなっています。「ほとんど」としたのは、復興に向けて徐々に町役場の職員などが入って、主要な道路が整備されるなどしているためです。町内あるいは町外からの廃棄物処理のため、中間貯蔵施設や焼却施設などが設置されているところもありました。

・二本松市の仮設住宅

浪江町の方々が多く入居している二本松市内の仮設住宅を訪問しました。当日は、芋煮会のあとの反省会中というタイミングでしたが、皆さんから温かく歓迎していただきました。

浪江町は原発から10~20km程度しか離れておらず、線量が高いところも多いです。来年を目途に区域指定の解除が検討されているようですが、3年半以上が経過して帰還する住民がいるのか、町外コミュニティの検討もされているようですが、復興ができるのか、どのような復興をデザインしていくのか、とても難しい課題に直面しているのではないかと感じました。

以下次号

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