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カテゴリー: 月報記事

「転ばぬ先の杖」(第14回) 「相続放棄という制度もあります。」

カテゴリー:月報記事 / 転ばぬ先の杖

会 員 吉 武 みゆき(59期)

1 はじめに

この「転ばぬ先の杖」シリーズは、月報をご覧になられた一般市民の方向けに弁護士相談の必要性を紹介するコーナーです。

今回は、日頃法律相談を受けていて意外に知られていないと感じる、相続放棄の制度についてご説明します。なお、条文や判例を示しての説明を好まれる方もおられますので、簡単に触れています。

2 相続放棄とは

相続では、通常+の財産だけではなく−の財産も相続します。+の財産も−の財産もひっくるめて相続自体がなかったようにする方法が相続放棄です。

3 手続

相続放棄をするには、被相続人が亡くなったことを知り、かつ自分が相続人になったことを知ってから3ヶ月の熟慮期間内に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する必要があります(民法938条、民法915条1項本文)。

家庭裁判所に行けば相続放棄のための所定の用紙をもらえますし(最高裁判所のHPからダウンロードすることもできます。)、戸籍等必要な添付書類も教えてくれます。遠方の役所から多数の戸籍の取り寄せが必要になって間に合わなければとりあえず事情を説明の上申述書を先に3ヶ月以内に提出し、後日添付書類を提出することもできます。

家庭裁判所は調査の上、要件を欠くことが明白でなければ相続放棄の申述を受理します。

4 申述期間の伸長

+の財産が多いのか−の財産が多いのか、遺産があるのかないのかさえ不明で、相続放棄するべきかどうかわからず、遺産調査が必要なこともあります。また、事故や過労死の場合など相続人が亡くなった責任を第三者に追求できる可能性があり相続放棄するかどうか慎重に検討すべき場合もあります。

このような場合には家庭裁判所に申立てをして、原則3ヶ月とされる熟慮期間を伸長することができます(民法915条1項但書)。調査に時間を要することが判明した場合にはその旨家庭裁判所に申立てをして再度期間を伸長してもらえることもあります。

5 熟慮期間の起算点の繰り下げ

遺産はないと思っていて何も手続をせず熟慮期間である3ヶ月を経過した後に、督促状が届いて多額の借金(多額の遅延損害金がついていることもあります。)を抱えていたことがわかったという場合、相続放棄ができないと諦めてしまうのは早計です。

最高裁判所は、熟慮期間の起算点について「相続人が相続財産の全部または一部の存在を認識した時またはこれを通常認識しうべき時から起算するべきである。」と述べています(最高裁判所昭和59年4月27日判決)。

先の事例でも、熟慮期間の起算点を遅らせて督促状が届いた時とみることができれば、まだ熟慮期間である3ヶ月以内の要件を満たすとして相続放棄が認められる可能性があります。

起算点の繰り下げは個別事情が考慮されますので、見通しについて事前に弁護士と相談してみてもよいでしょう。

6 弁護士への相談

相続人になった場合ひとまず弁護士に相談に行き、一緒に問題点を整理してみられてはいかがでしょうか。

あさかぜ基金だより ~対馬ひまわり基金法律事務所引継式−2人の弁護士の熱い想い~

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あさかぜ基金法律事務所 弁護士 西 村 幸太郎(66期)

はじめに

平成27年3月30日、対馬グランドホテルにて。

記者会見の席上、懸命に涙をこらえながら、それでいてしっかりと、自らの熱い想いを語る弁護士の姿がありました。

「敷居が高い」弁護士と島民の間の距離を、少しでも縮めたい。想いを託して命名した「あんしん相談」。島民の1人1人に、安心して生活を送って欲しいという願いを込めて、日々の業務に取り組んできたと語ったのは、対馬ひまわり基金法律事務所で尽力されてきた伊藤拓弁護士です。

同じく、同事務所に赴任する青木一愛弁護士も、負けじと想いを語ります。

「悩みを抱えている島民に安心していただくためには、弁護士自らが手をさしのべていくべきだ。積極的に『アウトリーチ』活動に取り組んでいきたい。」「女性弁護士である妻とともに、活動の幅を拡大していきたい。」

対馬ひまわり基金法律事務所引継式のワンシーン。学ぶところが多く、大変有意義なセレモニーでした。その内容を、ご紹介させていただきます。

退任のご挨拶(伊藤拓弁護士)

伊藤弁護士を一言であらわすと、とにかく「熱い」の一言に尽きると思います。当時の長崎県弁護士会会長梅本國和弁護士のお墨付きです。

特に印象的なエピソードは、冒頭で紹介した「あんしん相談」についてです。

弁護士にとっては当たり前のことであっても、その当たり前のことを説明し、「あなたは大丈夫ですよ、安心して生活してください」とアドバイスしてあげるだけで、島民の不安を取り除くこともできるのではないか。法律問題の助言に限らず、より広く、「あんしん」を与える助言を行うことも必要だ。そのためには、「法律相談」という堅苦しいネーミングではなく、「あんしん相談」という形で、島民と弁護士の距離を縮めてはどうだろうか。

現場の弁護士が、如何に悩み、創意工夫を凝らしてきたかが直に伝わり、感銘を受けました。

伊藤弁護士は、「対馬では法律相談業務に追われる日々であった。相談には、自分なりに十分な予習をして臨み、1度たりとも手を抜いたことはないと自負している」とも語ります。私は、あそこまで自信をもって語れるだろうか。そのような自問自答をしながらも、私も負けずに、日々の業務に全力で取り組んでいきたいと、決意を新たにしたものでした。

赴任のご挨拶(青木一愛弁護士)

青木弁護士も、新天地における今後のビジョンを、やはり「熱く」語りました。

法の支配を徹底させるために、島民に「手をさしのべる」活動を行いたい。冒頭で述べたアウトリーチ活動について、自らの展望を語ります。アウトリーチとは、相談者が事務所に訪問する従前のスタイルを打ち破り、自ら相談者のもとに出掛け、島民の相談をすくいあげる活動のことです。

青木弁護士は、福岡県弁護士会・高齢者障害者委員会にて、アウトリーチPTメンバーとして精力的に活動をしていた実績があり、益々の活躍が期待されるところです。

更に、愛妻家である青木弁護士は、妻の青木敦子弁護士とともに、弁護士2人体勢で事務所運営を行っていくという、これまでにないスタイルの運営に挑戦します。

女性弁護士の存在は、特に女性の相談者には心強いものでしょう。アウトリーチ活動においても、1人は事務所に在駐でき、効果的な運営ができると期待されるところです。

青木弁護士も、奥様と協力し、伊藤弁護士に勝るとも劣らない、創意工夫にあふれた活動を展開することと思います。

おわりに

引継式終了後、対馬ひまわり基金法律事務所を訪問しました。

現地にて拝聴するお話は、格別のものです。過疎地への赴任を目指す弁護士として、大変貴重で、刺激のある1日を過ごすことができました。
本稿でご紹介いたしました伊藤弁護士、青木弁護士の両名は、私が所属するあさかぜ基金法律事務所の先輩弁護士にあたります。後輩である私も、本日の経験を胸に刻み込んだ上で、高い志とスキルを身につけ、過疎地における司法サービスを充実できるよう、日々の業務に邁進していく所存です。

あなたの会社も女性弁護士を社外役員にしませんか? ~女性社外役員候補者名簿をご活用ください~

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両性の平等委員会 委員長 松 尾 佳 子(55期)

1 はじめに

企業統治(コーポレート・ガバナンス)の観点から、会社法や株式市場の指針で、独立性の高い社外取締役を置くことが企業に要請されています。また、政府は女性の活躍推進を、成長戦略の中核としており、民間企業における役員への登用促進を期待しています。

この「社外役員の選任」と「女性役員の登用」の要請を一気に解決する「女性社外役員選任」へ向け、内閣府は、女性役員登用促進事業「はばたく女性人材バンク」として女性社外役員候補者のデータベースを構築しています。内閣府は日弁連等へ、かかるデータベース作成事業について協力を要請し、福岡県弁護士会でも、これに応えるべく、女性社外役員候補者名簿を作成し、平成27年1月1日より、名簿の提供を希望する企業への名簿提供を始めました。当会の他、東京三会、大阪、横浜の各単位会が女性社外役員候補者名簿制度を策定しています(日弁連HP~社外役員をお探しの企業の方へ~女性弁護士の候補者名簿ご案内参照)。

2 福岡県弁護士会における女性社外役員候補者名簿提供事業の特色

当会では、金融商品取引所において株式を公開している会社だけでなく、福岡県及びその周辺の地域に所在する株式会社へも、名簿提供の申込みがあった場合には、弁護士会担当者の面会を経た上で、名簿を提供します。前述の内閣府のデータベースは、上場会社における女性社外役員の候補者を念頭に置いたものですが、当会は、女性社外役員の登用を考える企業であれば、上場、非上場を区別することなく、また、県外の企業へも、個別に提供することを予定しています。

3 女性社外役員候補者名簿の登録要件

当会の名簿登録要件は、次のとおりです(女性社外役員候補者名簿の作成及び提供に関する規則3条2項参照)。

  1. 弁護士登録の期間が通算して3年を超えていること。
  2. 履修義務のある倫理研修及び本会が指定する研修を受講していること。
  3. 弁護士業務を行っている会員については、弁護士賠償責任保険の被保険者であり、かつ、保険金額が1億円以上であること。
  4. 過去に懲戒処分を受けていないこと(業務停止の期間が満了した日又は戒告の効力が生じた日から3年を経過している場合を除く。)。
  5. 会務活動、懲戒処分歴、会費の納入状況その他の事情を考慮して、候補者名簿に登載することが不適当と認める事由がないこと。
4 女性社外役員候補者名簿への登録手続

当会では、毎年、女性会員へ、女性社外役員候補者名簿の登録を募ります。名簿は毎年9月末日に更新していくことを予定しています。

また、「本会が指定する研修」を受講することが登録要件となっています。どのような研修を受ける必要があるのか、についても随時お知らせしていく予定です。なお、本年度の名簿登録のための研修としては、日弁連eラーニング、「コーポレート・ガバナンスに関わる弁護士のための連続講座~社外役員・企業内弁護士等が押さえておくべき基礎知識~」(第1回~第3回)を指定しています。

登録要件を満たし、名簿への登録を希望される女性会員は、所定の様式の申請書にて申込み下さい。

5 シンポジウム「あなたの会社の『女性活躍推進』弁護士が手伝います」開催報告

当会の女性社外役員候補者名簿提供事業を、広く企業の皆様へ知って頂きたいと考え、去る3月4日(水)14:00、天神センタービル8Fにおいて、シンポジウム「あなたの会社の『女性活躍推進』弁護士が手伝います」を開催しました。企業13社、弁護士22名の参加がありました。

シンポジウムでは、内閣府男女共同参画局推進課課長補佐木山悠様から、内閣府の「はばたく女性人材バンク事業について」の基調報告がありました。

また、三菱UFJ信託銀行株式会社証券代行部副部長牧野達也様から、「女性活躍推進への期待」と題して、「女性役員の登用を促進する施策の概要」、「コーポレートガバナンス・コードと女性役員登用」、「女性社外役員登用に際しての検討事項」について講演がなされました。

さらに、当会会員の大神朋子弁護士より、社外監査役(コカ・コーラウエスト株式会社)として、女性弁護士が企業内で果たす役割について、実務に基づく貴重な体験談をお話しいただきました。

6 積極的なチャレンジを!

シンポジウムでは、アンケートを実施しましたが、当会の女性社外役員候補者名簿制度に対する意見として、「名簿登録者を増やして欲しい」、「候補者探しの手段が増えることは良い」等の積極的な意見・要望を頂きました。かかる要望に応えるためにも、当会では、多くの女性会員に名簿に登録して頂き、希望する企業へ名簿を提供していきたいと考えています。

女性弁護士が社外役員になることで、企業のダイバーシティを推進させるだけでなく、より高度化、複雑化している企業コンプライアンスを強化することが期待できます。

弁護士は、男女問わず、修羅場を何度も経験しているので度胸が身についていますし、論理的に問題点を整理しそれを伝える能力に長けていると思います。
社外役員という新たな分野への積極的なチャレンジをお願いします。

「転ばぬ先の杖」(第13回)「固定残業代払いの行方」 ~企業の経営者・総務の方、あるいは労働者の方へ~

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労働法制員会 委員 松 﨑 広太郎(66期)

1 はじめに

この転ばぬ先の杖シリーズは、一般市民の方向けに弁護士相談の必要性をご紹介するコーナーだそうですが、とはいえこの媒体上、読み手は弁護士の方が多いのではないかと思いますので、少しだけ前振りをさせてください。

私は66期ですので詳しいことは分かりませんが、労働法制員会は比較的新しい委員会のようで、若手会員の割合も高く、すごく和気藹々として、若手会員も発言しやすい雰囲気を作って頂いています。井下先生のお優しい雰囲気に、光永先生の突破力が絶妙なハーモニーを奏でる委員会です。また、杉原先生を始め、使用者側の先生方も多く参加して頂いており、私のように、節操なく労使双方の事件を受けている者にとっては非常に勉強になります。

本来であれば私のような弱卒が執筆を担当するのは僭越なのですが、上記のような、和気藹々とした雰囲気を受けて、私が筆を執ることになりました。

2 固定残業代制度

最近、労働者側、使用者側の双方から未払い残業代の請求に関するご相談を多く頂いています。中でも「営業手当は残業代扱いとする」「残業代は固定で月5万円を支払う」等と記載された労働条件通知書を使っている会社を非常に多く見かけます。

この固定残業代の主張が認められると、例えば

  • 基本給17万円(わかりやすいように、ざっと時給1,000円と換算)
  • 固定残業代5万1,000円
  • 残業時間は月50時間

の労働者がいたとすると、残業代を計算すると、6万2,500円(1,000×125%×50h)の残業代の支払いが必要になりますよね。

ここで、固定残業代が有効であれば、会社はすでに、5万1,000円を支払っていますから、差額1万1,500円を追加で支払えば良いことになります。

しかし、固定残業代の合意が無効と判断されると、残業代計算の基礎賃金から除外できる項目は住宅手当などの一部に限られることから、会社が「固定残業代」として払っていた手当すらも、基礎賃金にカウントすることになります。

そのため、先の例だと、

  • 基本給22万1,000円(時給換算およそ1,300円になる)、
  • 既払い残業代0円
  • 残業時間は同じく50時間

という扱いになるんですね。

そのため、計算は、8万1,250円(1,300×125%×50h)となります。

そして、残業代は一切払われていないことになるため、控除できるものがなく、この金額を全額支払う必要があります。

このように、固定残業代合意が有効となるか、無効となるかで請求金額は大きく変わってくるのです。

3 裁判所の判断

裁判所では、以前から、支払われている固定残業代と基本給を明確に区別できなれば無効だという要件を提示してきました。つまり、「残業代は基本給込み」等の曖昧な規定ではダメだという判断を示してきました。この明確性の基準だけでいくと先の「5万1,000円は固定残業代とする」という規定は有効なように見えます。

しかし、最近の東京等での裁判例では、

  • (1)明確性の要件に加えて、
  • (2)当該手当が残業代としての実質を兼ね備えていること
  • (3)固定残業代額が実際の残業代の額を下回るときに、不足額を支払う合意をしているか、現実に不足額を支払っていること

という要件を要求するものが増えてきています。(3)の要件について少し説明すると、先ほどの例でも、1万1,500円の差額が出ていましたが、これを現実に毎月補填していなければ、固定残業代の合意は無効になりますよということなのです。仮に不足額補填の合意だけをしてみても、結局現実に不足額を補填していなければ、裁判所はそのような合意は否定するでしょうから、結局のところ、現実に不足額を補填していなければ、無効になるように感じています。

経営者の方からみればこれはかなり厳しい要件に感じると思います。ある意味、固定残業代のメリットは、労働者の労働時間、残業代の計算の手間を省き、毎月固定額で支給すればよいという効率の良さにあります。しかし、裁判所はとにかく毎月不足額を計算し、それを清算することを求めていることになります。

本当は3つの要件につき、もう少し丁寧に検討したいところなのですが、紙面の都合上、この程度で今回はご勘弁ください。

4 まとめ

以上のように、今、固定残業代合意の有効性の判断は相当に厳しくなっています。これを使用者の方から見ると、「基本給17万円であれば、毎月ちゃんと残業代も含めて給与を払うことはできたよ。でも残業代として考えてた5万1,000円が基本給に計上されてカウントされたら経費が足りないよ!」ということになります。ですから、固定残業代の規定を就業規則や、労働条件通知書に定めている方は、訴えられる前に、是非弁護士にご相談いただき、それぞれのケースに応じて対策を考えて頂きたいと思います。

逆に、これを労働者の方から見ると、使用者に「うちは残業代は固定だからこれ以上払わないよ」と言われても、すぐに諦めるのではなく、弁護士に相談してみた方がいいということになります。
固定残業代の件で、おやっ、と思うことがあれば、是非とも弁護士にご相談ください。

あさかぜ基金だより ~壱岐ひまわり基金法律事務所引継式~

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弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 河 野 哲 志(67期)

はじめに

1月にあさかぜ基金法律事務所に入所しました河野哲志です。

滋賀県出身で、修習まで関西で過ごしました。とある出来事から法の支配が十分でない現状を考えるようになり、また、九州を旅行し、料理と人の温かさに心動かされ、あさかぜに入所させていただきました。

さて、去る2月23日に壱岐ひまわり基金法律事務所引継式が開催されました。あさかぜ出身の松坂典洋弁護士が退任し、同じくあさかぜ出身の島内崇行弁護士が赴任されるため、後輩として引継式に出席しましたので、報告いたします。

壱岐ひまわり基金法律事務所

壱岐市は、人口2万7000人、面積138km2、福岡市から北西80kmに位置し、高速船で1時間です。海の幸が豊富で、稲作も盛んな豊かな土地です。麦焼酎発祥の地としても知られています。

壱岐ひまわり基金法律事務所は、平成22年に開設、梶永圭弁護士(現・宮崎県弁護士会)が初代所長として活躍し、平成24年、松坂弁護士に引き継がれ、今年、島内弁護士が赴任することになったものです。

引継式

引継式は、長崎県弁護士会公設事務所支援委員会の山下俊夫委員長の司会で進行し、九弁連の森雅美理事長、日弁連の山崎博副会長、長崎県弁護士会の梅本國和会長、松坂弁護士、島内弁護士が登壇されました。そして、松坂弁護士が任期中の感懐を、島内弁護士が今後の抱負を述べられました。

松坂弁護士は、平成24年相談件数303件(うち受任件数238件)、平成25年143件(76件)、平成26年103件(84件)を取り扱いました。初年度の件数が多いのは、大規模カード詐欺事件の影響です。

松坂弁護士は、争いの顕在化を好まない壱岐の島民性に配慮し、当事者の関係性が継続することを踏まえた解決を心がけたそうです。もっとも、権利の実現のため必要な場面では、法的解決について具体的なメリットを丁寧に説明し、背中を押す場面もあったとのことです。また、25回もの講演会を開き、市民への情報発信にも熱心に取り組みました。たとえば、カード詐欺事件で、高齢者が多く、人の善い島民性を狙われたという背景を踏まえ、「悪徳業者から高齢者を守る方法」をテーマに講演をしたとのことです。このような誠実かつ親身な松坂弁護士の姿勢が評判となり、口コミから受任に繋がるケースが着実に増えていったそうです。

島内弁護士は、身近に弁護士がいないことで困ったという自身の経験を踏まえ、福岡に何度も足を運ばなくても身近に弁護士がいると頼りにしてもらいたい、という思いを述べました。また、ひまわり所長ということで、気軽に話しかけてもらえることが多く、前任者が培ってきた信頼を引き継ぐことの責任を痛感したそうです。高齢や島民性に付け込むような消費者問題に対し、成年後見制度をより周知させ、市民の誤解を解くなどして、高齢者の財産管理を積極的にできるようにしたい、との具体的な抱負も述べていました。

披露会

続いて引継披露会では、壱岐市長、市議会議員、商工会議所など地元関係者、長崎地裁壱岐支部長や九州各地の公設事務所関係者が多数出席され、地元マスコミの取材もありました。松坂弁護士が、地域の方々や裁判所から信頼を得ていて、島内弁護士への期待も大きいことがうかがわれました。

披露会では、壱岐の魚介類をふんだんに使った料理も振舞われました。壱岐の料理は評判以上のものがあり、とくにブリは脂がのってとても美味しく、あっという間になくなってしまいました。

公設事務所支援委員会

披露会のあと、長崎県弁護士会の公設事務所支援委員会が開かれ、所員も許されて、出席しました。各地の公設事務所の事件処理や運営状況の報告など、赴任する際の事務所運営面で有意義な情報を得ることができました。

事務所見学

帰福便までの間、壱岐ひまわり基金法律事務所を見学しました。

松坂弁護士から、密接な人間関係での注意点などを聞き、利益相反という赴任先で必ず直面する問題について大変勉強になりました。

松坂弁護士は、ふたたび福岡県弁護士会に登録されます。私たち「あさかぜ」の所員にとっては、赴任経験者の先輩が身近に増えたことになり、大変心強く思います。

おわりに

今回、壱岐ひまわり基金法律事務所が、市民に本当に頼りにされ、法的な悩みを抱える方々にとってなくてはならない存在になっていることを実感しました。赴任に向け、先達が勝ち得た信頼を積み重ねていけるよう、さらに研鑽を続けねばならないと決意を新たにしました。
最後に、壱岐ひまわり基金法律事務所のますますの発展を祈念して、本稿を閉じたいと思います。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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