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あさかぜ基金だより ~豊前ひまわり基金法律事務所開所式に出席して~

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弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 服部 晴彦(68期)

豊前ひまわり基金法律事務所開所式が開催されました

福岡県の東部に位置する豊前市では、40年近くにわたって常設の法律事務所がない状態が続いてきました。

地域社会の高齢化がすすみ、法律の専門家による助力が必要とされる問題がますます増えるなかで、地元では、常駐の弁護士が待望されてきました。

そうした地元の期待を受けて、10月3日、福岡県内ではじめてのひまわり基金法律事務所である、豊前ひまわり基金法律事務所が開設されました。

豊前ひまわり基金法律事務所の初代所長は、「あさかぜ」において養成を受けてきた西村幸太郎弁護士です。

今月号では、11月22日、豊前市のホテル「築上館」で開催された豊前ひまわり基金法律事務所の開所式について報告します。

地域に根ざした親しみ深い事務所をめざして

開所式当日、鉄道の不通というアクシデントにもかかわらず、周辺地域自治体の首長をはじめとする多くの人が出席しました。会場の熱気から、地域のリーガルアクセスが改善することへの喜びと期待が感じられます。

西村弁護士は、大学時代に弁護士過疎・偏在問題に関心をもって以降、「この道しかない」という強い意気込みをもって、弁護士過疎地に赴任する道を志したとのこと。志を実現するための第一歩を踏み出し、開所式にのぞむ西村弁護士の表情は晴れ晴れとしたものでした。

西村弁護士は、豊前ひまわり基金法律事務所を地域に根ざした親しみ深い事務所としていきたい、地域社会の発展に寄与し、法の支配の国民的浸透に貢献したいと力強く宣言しました。

西村弁護士は、開所式にあたり、豊前市の特徴を解説した書面を作成し、出席者に配布しましたが、豊前市を愛し、少しでも多くの人に豊前市の良さを知ってもらいたいという西村弁護士の気持ちがひしひしと伝わってくるものでした。

そんな西村弁護士に対して、出席者は、口々に、「そのひまわりのように大きな笑顔で地域を明るく照らしてほしい」と激励していきます。西村弁護士の人柄が、早くも豊前地域において、愛されていることが見てとれました。

周辺地域からの出席者からは、地域の高齢化に伴う法的トラブルについて、西村弁護士の活躍を期待する声が次々にあがりました。西村弁護士の、福岡県弁護士会の高齢者障害者等委員会や消費者委員会の一員として精力的に活動してきたこれまでの経験が、存分に活かされることが期待されるところです。

豊前ひまわり基金法律事務所が、地域に根ざした親しみ深い事務所となるべく、着実に一歩を踏み出したことを心から実感できた開所式でした。

大きな刺激を受けて

豊前ひまわり基金法律事務所開所式では、弁護士過疎地に、新たに法律事務所が開設されることへの地域社会の期待の強さを体感しました。これから弁護士過疎地へと赴任していこうとあさかぜで研鑽を重ねている私にとって、大きな刺激となるものでした。

私も、弁護士過疎地において、地域に根ざした親しみ深い弁護士になれるよう、より一層の精進を重ねていきたいと思います。

あさかぜ基金だより

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会員 今井 洋(64期)

はじめに

あさかぜ基金法律事務所から、司法過疎地である長崎県壱岐市の法テラス壱岐法律事務所に赴任し、平成28年10月をもって、3年間の勤務を終えました。

あさかぜでは、九弁連の皆様に様々なご支援やご指導を頂き、司法過疎地での勤務を終えることができたのはその賜物と思っております。御礼を兼ねて、壱岐の実情等をご報告させて頂きます。

壱岐市のご紹介

長崎県壱岐市は、壱岐島全域がそのまま市であり、人口は2万8千人ほどです。長崎県ですが、福岡市との関係が非常に深く、福岡には、壱岐の人口を超える数の壱岐出身者やその家族がいるそうです。

島外との交通は、博多港へ高速船及びフェリーが1日10往復、唐津港へフェリーが1日5往復している他、長崎大村空港へ飛行機が1日2往復しています。

島内の公共交通機関は、バスのみですが、本数が少なく、普段の足として使うのは困難なため、ほとんどの人が自家用車で移動します。

高度経済成長期には、漁業や海運業、土木事業などを中心に活気があったようですが、現在は、どこもあまり景気が良くなく、地元紙などでは、民間の平均収入は、公務員の半分以下と言われています。

司法過疎地での業務

壱岐市は、司法過疎地とされており、当然ながら、弁護士は少なく、私以外にはひまわり基金法律事務所の弁護士が1名いるだけでした。

業務について誰かに聞きたいことがあっても、すぐに相談できる環境ではありませんが、法テラスの電話相談のほか、あさかぜ時代にお世話になった福岡の経験豊富な先生方に電話やメールで相談することができ、弁護士として勉強できるとともに、精神的にも助けられました。

弁護士業務は、幅広いうえ、最近でこそ、マニュアル本も多く出るようになりましたが、まだまだ経験が物を言うことが多いと感じます。マニュアルにない実務的な知識や、知識に留まらない意識などを教えていただけ、大変助かりました。

また、なかなか他の弁護士と話をする機会もないなか、業務で福岡や長崎市に行くと、大変温かく接して下さり、孤独感が癒やされました。

事件傾向等

あさかぜでは、指導担当の先生方と共同受任させていただく他は、自分で法律相談等で受任した債務整理や離婚などの家事事件といった扶助事件が多くを占めていました。

壱岐でも、多くは同様の扶助事件で、あさかぜでの経験が生きたと思います。

また、数は少ないですが、賃貸借や遺産分割、保全といった事件や、成年後見や破産管財、相続財産管理人といった裁判所案件もありましたが、あさかぜで指導担当の先生方と共同受任させていただいた経験が活かせました。

振り返ってみると、あさかぜで経験したことは、そのまま司法過疎地の業務に役立つものだったと思います。

ただ、数年前までは、弁護士事務所の存在を広めつつ、過払い等の債務整理が業務の中心でしたが、ここ数年は、債務整理事件の占める割合が、非常に低下しました。その代わり、家事事件の占める割合が多くなり、全国的な傾向と同じです。

おわりに

壱岐での相談者には、九弁連の先生方が行っていた法律相談センターで相談したという方や先代の先生方らに相談したという方もいました。

先達の先生方が続けてこられた過疎地対策で、弁護士への信頼を培ってこられたからこそ、私も壱岐の方から多くの相談を受けることができたのだと思います。

また、壱岐は、土地柄が素晴らしく、魚介は言うに及ばず、壱岐牛あり、温泉あり、弥生時代の王都であった原の辻遺跡もあり、皆様も一度来ていただければ日々の疲れが癒されることは間違いありません。

行政問題委員会だより

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行政問題委員会委員 前田 恭輔(68期)

平成28年9月10日午前10時から午後3時まで、福岡県弁護士会館において、「行政ホットライン 秋の大相談会」が行われましたのでご報告します。

1 「弁護士による行政ホットライン」について

行政問題委員会は、年10回、「弁護士による行政ホットライン」を実施しています。行政ホットラインでは、行政に対する不満や疑問について、市民の皆様から、電話または面談で相談を無料で受け付けています。相談では、税金に関する問題や生活保護に関する問題、区画整理や用地買収に関する相談など、毎回多岐にわたる相談が寄せられています。

また、年10回の行政ホットラインのうち春と秋の2回は、休日の午前11時から午後3時までの4時間で大相談会を行っています。大相談会には、普段は仕事で相談に来られない方も参加され、毎回10件前後の相談が寄せられています。

2 行政ホットライン秋の大相談会について

平成28年9月10日に、行政ホットライン秋の大相談会が開催され、弁護士10名で対応しました。当日は、遺族年金に関する相談2件、公営住宅の立退きに関する相談1件、国民健康保険料の減免に関する相談1件、ハローワークに関する相談1件、国家賠償請求に関する相談1件、火災保険に関する相談1件の計7件の相談がありました。

直ちに受任につながるものはありませんでしたが、遺族年金に関する相談及びハローワークに関する相談については、当日の面談だけでは結論が出ないものであったことから、後日、担当した弁護士が関係する法令等を調査検討の上面談を行いました。

相談者の中には、これまで長期間にわたって行政側と交渉を重ねてきた方や、行政側の対応の不適切さから強い不満を抱えている方もいらっしゃいました。そういった中でも、委員の先生方は、相談者の話を丁寧に聴き取り、具体的なアドバイスをされていました。相談者の方々は、期待した回答が得られなかった場合であっても納得した表情で相談を終えられていました。

3 今後について

行政問題委員会では、平成29年2月7日に行政事件の研修会を行う予定です。同研修会の第1部では、今年の4月に施行された改正行政不服審査法について木佐茂男九州大学名誉教授にご講演いただく予定です。また、第2部では、当委員会の委員が、「行政事件のイロハ」と題して、情報公開請求や補助金の問題など日常業務で遭遇しやすい行政事件について講演を行う予定です。日々の弁護士業務に役立つ内容になると思いますので、是非ご参加ください。

給費制維持緊急対策本部だより 修習手当の創設を求める院内意見交換会について (10月11日衆議院第一議員会館)

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会員 南正覚 文枝(67期)

1 平成28年10月11日、衆議院第一議員会館において「修習手当の創設を求める院内意見交換会~実現させるこの秋に~」が開催されましたので、そのご報告をさせていただきます。

2 今回の院内集会は、参議院の本会議とちょうど時間帯が重なってしまい参議院議員の出席が望めなくなったにもかかわらず、国会議員本人出席31名、秘書代理出席70名、一般出席185名、合計286名出席と、多くの方々にご出席いただきました。

集会までに寄せられた国会議員の賛同メッセージは、当日寄せられたものを加えると432通に達し、議員総数の6割を超えました。

3 集会の開会前には、これまで全国8カ所で行われたリレー市民集会の動画が上映されました。

集会はまず、中本和洋日弁連会長による開会挨拶から始まりました。

4 その後、各党を代表して国会議員の方々からの発言がありました。

自由民主党・宮崎政久議員、公明党・吉田宣弘議員、社会民主党・福島瑞穂議員、日本維新の会・河野正美議員、民進党・逢坂誠二議員、日本共産党・畑野君枝議員、それぞれの方々からご意見を頂きました。

皆さん共通して、ビギナーズの地道なあいさつ運動等の活動を称え、司法修習生への給費の実現を一刻も早く図らなければならないという強い認識を持っておられました。

そしてまた、何人もの国会議員の方が、ここにいる国会議員たちは本来全く政治的立場は異なるが、司法修習生への給費の実現という待ったなしの課題については、その立場の違いを超えて共に戦っていく必要があるという発言をしておられました。

その後、集会に出席してくださった他の国会議員の方々からも次々と、早急に給費を実現するために最後まで共にがんばりましょうといった熱いエールを頂き、会場が一体となって盛り上がっていきました。

5 国会議員の方々からのエールの合間には、70期修習予定者と大学生2名、計3名の当事者からの発言がありました。

70期修習予定者からは、これまで奨学金を借りてきたため現時点で700万円近くの借金があり、修習が貸与のままであった場合、修習終了時点で約1000万円の借金を背負うことになること、貸与を受けるため保証人を立てなければならないが世話になった両親に頼むのは心苦しく機関保証にしようと考えていること、このようなことから今年の司法修習を辞退しようかと悩んでいることなどが、語られました。

また、大学生からは、実家がそれほど裕福ではないため経済的不安が大きく、このままでは安心して法曹への道を目指せないといった悩みが語られました。

このような当事者の生の声は、集会に参加した方々の心を深く打つものがありました。

6 最後に、新里宏二司法修習費用給費制存続緊急対策本部本部長代行が、これまでの活動を振り返りつつ、「修習手当の創設を実現させ新しい法曹を育てていきましょう、もう猶予はありません!」と力強く述べ、会場は熱気に包まれた中、盛況のうちに閉会となりました。

7 このようにこの秋からの司法修習生への経済的支援の実現に向けての活動は、多くの国会議員の理解と賛同も得て、いよいよ大詰めを迎えております。

会員の皆様の変わらぬご支援をよろしくお願いいたします。

ITコラム 「クラウドの必要性?」

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IT委員会 関口 信也(53期)

1 クラウドとは

IT関連広告で「クラウド」を耳にすることがあります。このクラウドは英語の意味では「雲」ですが、IT分野で使う場合はインターネットを利用したネットワークの意味です。なぜ「雲」なのかは定説はありませんが、ネットワークを図説するときに、雲状のものをつなげたことによるとの有力説があります。

このクラウドをより簡単に説明するならば、大切なデータを個人のパソコンや携帯端末に保管するのではなく、インターネットを利用して、外部に蓄積することです。個人のパソコンが壊れた、持ってきていない、必要とする情報量が多すぎるなどの不便な状態のときに、身近な端末を利用してインターネット接続で、データの閲覧・編集などができるようになります。Gmailなどもクラウドを利用したメールサービスと言えます。

2 サーバーはどこにある?

ところで、最近は法律事務所の多くがホームページを持つようになりました。

ある業界雑誌のアンケートでは、法律事務所のホームページ所持率は40%とのこと。そのURLに使う文字の配列をドメインと言いますが、事務所や個人の名前を設定することが多いですね。つまり独自ドメインを使っていることになります。独自ドメインを設定するときに、その元になるのがサーバーです。外部のサーバーを利用することはクラウドに似たものとなります。

3 クラウドのメリットとデメリット

クラウドを利用すると前記のとおり遠隔操作が可能ですが、そのほかにもサーバーやソフトの購入、その維持管理が不要となり、コストが低減できます。

逆に不安なのはサービスの安定稼働とセキュリティです。ネットの不具合、提供会社側の障害発生や人的アクシデントは、利用者側ではどうしようもありません。十分な対策が講じられた提供会社を選ぶべきでしょう。

クラウドを利用する事務所はまだ少ないと思いますが、外出の多い弁護士やチーム弁護の場合には大いに活用の場面が増えます。瞬時にクライアントの要望する資料が出せることは、事務所の営業にも役立ちます。これからはさらにIT技術が進みますから、デメリットを克服したネットワークが完成すると私は期待しています。もちろん現状においても、法律相談用の知識としてクラウドを知っておくべきでしょう。

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