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カテゴリー: 月報記事

憲法・自衛隊勉強会のご報告とご案内

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憲法委員会 副委員長 迫田 登紀子(53期)

1 自衛隊加憲論への論議が始まります

2017年5月3日の憲法記念日、読売新聞の朝刊1面に「憲法改正20年施行目標」の見出しで、安倍総理大臣のインタビュー記事が掲載されました。この中で、東京オリンピック・パラリンピックが行われる2020年を目標に、憲法9条に自衛隊の根拠規定を設けるなどの改正を行いたいとの考えが示されました。

この方向性に対して、弁護士会はどのような声を上げるべきでしょうか。日弁連からの資料(「憲法改正問題に関する会内討議資料」)を基に、来年度から、福岡県弁護士会においても、積極的な論議を始める予定です。「憲法改正問題に関する会内討議資料」は、会員専用ページからダウンロードできるようになっておりますので、会員の皆様におかれましては、ぜひ、ご一読いただきますようにお願い申しあげます。

2 津留雅昭弁護士勉強会のご報告
(1) 勉強会の概要

議論を始める前提として、自衛隊の現実について、改めて勉強しましょう。ということで、去る11月17日、福岡県弁護士会きっての軍事専門家(?)、津留雅昭弁護士を講師にお迎えして勉強会を行いました。会員及び市民50名ほどが参加しました。

(2) 自衛隊のこと、どれほどご存知でしょうか

正直に告白します。私は、オスプレイって航空自衛隊のものとばかり思っていました。佐賀空港に配備計画があるオスプレイって、陸上自衛隊のものだったんですね。

皆さんは、自衛隊のことをどの程度、ご存知でしょうか。以下は、講演内容を題材としたクイズです(答えは末尾)。

  1. 防衛省の平成30年度概算要求には、「統合機動防衛力」という考え方が出てくる。「概算要求」にこの考え方が出てくるのはいつから?
  2. 民主党政権時の防衛費は年間いくら?
  3. 平成30年度の防衛費の概算要求額は?
  4. 防衛費の2大要素は?
  5. 兵器の価格に自由競争原理は働くか?
  6. 兵器は一度買えば、使えなくなるまでは安泰?
  7. 諸外国も防衛費は増額の方向にある?
  8. 自衛隊が存在しない都道府県はあるか?
  9. アメリカの軍隊は、陸軍、海軍、空軍ともう一つは何?
  10. 今年スタートする「日本版海兵隊」は、3つの自衛隊のうち、どれに所属?
(3) 安保法制の現実と「日本の歴史に学べ」

以上は、ほんのさわりの部分にすぎませんが、本当に自分は何も知らないのだなと思い知らされました。

何より、これまでの自衛隊は、それぞれの部隊がばらばらに活動するという体制だったのが、統合化が図られてきている、アメリカとの合同練習も始まっているという現状に、安保法制の重み・現実を突きつけられた思いがしました。

津留先生からは「日本の歴史に学べ」という話もありました。制裁で苦しんだのがかつての日本。それを突破するために戦争に突き進み、その結果がどうなったのか。北朝鮮に対して、日本こそがなすべきは、かつて同じような状況で苦しんだ日本がどのように歩んだのか、戻れるならば何をすべきだったのかを教えることではないのか。皆さんは、どのようにお考えでしょうか。

3 井上正信弁護士勉強会のご案内

冒頭にご紹介した「憲法改正問題に関する会内討議資料」を基に、会内議論を活発化するために、第二弾の勉強会を開催します。

題して”自民党の「加憲」案を考える”

来る3月2日18時(パインビル2階)から、講師は、広島弁護士会の井上正信弁護士(27期 日弁連憲法委員会副委員長 同秘密保護法対策本部副本部長)です。

ぜひ、多くの会員のご参加をお待ちしております。

4 クイズの答え
  1. 27年度から 2014(平成26)年7月1日の解釈改憲のあとから
  2. 4兆6000億円~7000億円程度
  3. 5兆2000億円(SACO関係経費、米軍再編関係経費の一部等も含む)
  4. ⅰ)人件・糧食費(2兆1000億円程度)と、ⅱ)物件費(装備・兵器購入、維持費等)(2兆8000億円程度)。ⅱのうち、29年までの契約に基づき30年に支払われる金額(歳出化経費)が1兆8000億円程度、30年の契約に基づき30年に支払われる金額(一般物件費)が1兆円程度。
  5. 売り手であるアメリカ企業の言い値なので、働くわけがない。
  6. 修理代や、システムのバージョンアップに莫大な費用がかかる。
    例えば、新型戦闘機F35・約50機の本体価格は約7000~8000億円の見込みですが、30年以上とされる運用期間中のランニングコストは2兆円を超えるそうです。
  7. NO
  8. ありません。全都道府県にあります。なお、奈良県には陸上自衛隊はありません。
  9. 海兵隊
  10. 陸上自衛隊

中小企業法律支援センター企画「事業承継における会計と税務」

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中小企業法律支援センター委員 井川原 有香(69期)

1 はじめに

平成29年12月4日(月)、福岡県弁護士会館において、公認会計士・税理士の内田健二先生に「事業承継における会計と税務」というテーマのもとご講演いただきました。本講演は、中小企業の相談を受ける際に必要な知識や情報の提供・共有を目的に、中小企業法律支援センターが企画・実施する研修の一つでもあります。

2 概要

内田先生には、(1)事業承継のタイプ、(2)事業承継手法の選び方、(3)事業承継に向けての事前準備、(4)事業承継に際して生じる税金、(5)事業承継に関する節税論点、(6)特徴的な事業承継事例という6つの柱に分けて、ご経験を交えながらお話していただきました。

3 事業承継スキームの策定

(1)に関しては、親族内承継、親族外承継、M&A、株式上場といったタイプ別に分類した上で、それぞれのメリット・デメリットをご教示いただきました。その上で(2)として、そもそも利益を出せているのか・先行きは明るいのかという議論の前提ともいえる問題点(=事業承継ではなく清算や破産を検討すべきではないのか)、有能な後継者がいるのかという現実的な問題点、そして経営者の心情と実際の事業状況とにギャップがある場合の問題点等着目すべき事項を数多く挙げていただきました。得意先・協力業者の安定、特色ある技術の保持、安定的かつ長期的な利益を生みだす見込みがある等の理由から実際にはM&Aを検討するようなケースでも、当初から選択肢に含めない経営者の方もいらっしゃるとのことでした。

(3)に関連した情報として、福岡県事業引継ぎ支援センターについてお話しいただきました。同センターのホームページには、平成29年12月21日時点で、事業の譲渡希望が191件、譲受け希望は213件が登録されており、事業承継のサポートの需要が高いことを改めて感じました。

また、(3)の具体的な内容としては、親族内承継における暦年贈与非課税枠の活用のみならず内部統制の整備のあり方(経理部門の充実、経営企画部門、監査部門の創設、月次試算の適時報告、分析、予算管理)についても具体的にお教えいただきました。M&Aの場面では、過度な節税をするのではなく利益決算を組むことで印象が良くなり、結果的に譲渡金額も上がるとのことでした。そのほか上場の場合には、監査報告書の準備との関係で少なくとも上場の3期前から準備を開始すること、また上場準備コストや専門的な経理スタッフの人件費、監査報酬等を考慮すると年間2000~3000万円の負担が生じるという具体的数値も示していただきました。

4 事業承継と税金

(4)と(5)に関しては、まず大原則として、節税に注力し過ぎてその他の大切なこと(持続的な利益の作出)を見失ってはいけないと仰っていました。この点につき留意した上ではありますが、節税のために会社のサイズ指標を上げて評価額低減を目指す場合には合併は避けるべきということや(合併して業種に変更が生じると類似業種比準方式自体が採用されない可能性があるため)、相続税や遺留分の問題が生じた場合でキャッシュ資産の確保も不十分なときは経営者貸付や種類株式発行なども早めに視野に入れるといったご指摘がありました。なお、M&A等で生じる譲渡所得税については、売却益を算定する計算上節税の論点になるところがほぼないため、本講演では主に相続税に関する節税論点をご教示いただきました。

5 最後に

円滑な事業承継を進めるにあたっては、会計・税務に関する知識が必要不可欠ですが、本講演において初めて知ることも多くあり、非常に貴重な機会となりました。引続き中小企業を取り巻く問題にアンテナを張り、支援の一助となる活動ができたらと思います。

あさかぜ基金だより ~「パブリックロイヤーへの道」司法修習生説明会に参加して~

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弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 服部 晴彦(68期)

あさかぜ基金法律事務所の所員弁護士の服部です。

昨年12月2日(土)、日弁連会館2階のクレオにおける「パブリックロイヤーへの道~法テラススタッフ弁護士・日弁連ひまわり基金弁護士・偏在対応弁護士 説明会~」に参加してきましたので、説明会の模様を報告します。

「パブリックロイヤーへの道」司法修習生説明会とは

この説明会は、公設事務所への進路を希望または興味のある司法修習生を対象に、公設事務所弁護士、すなわち、法テラススタッフ弁護士、司法過疎地に設置されたひまわり基金事務所の弁護士、日弁連の支援を受けて独立開業する司法過疎偏在対応弁護士について、その制度や弁護士活動の具体的なイメージを広く知らせるべく、紹介、説明しようというものです。

説明会は、修習生向けガイダンス、公設事務所勤務の弁護士によるパネルディスカッション、事務所ごとにブースを出しての個別説明というプログラムで行われ、私はパネルディスカッションから参加しました。

「パネルディスカッション」

パネルディスカッションでは、あさかぜ事務所のOBで、熊本県の法テラス高森事務所に赴任したあと、鹿児島県で独立開業した細谷文規弁護士のほか、法テラススタッフ弁護士2名(北海道、愛知県)、ひまわり基金弁護士(北海道)の4名をパネリストとして、「どんな活動をしているのか」、「公設事務所の弁護士としてやりがいを感じること」、「公設事務所で働くうえで辛いこと」、「養成時代にやって良かったこと、しておけばよかったこと」、「公設事務所の弁護士に求められること、人物像」といったテーマ、そして修習生から出された疑問点について、回答する形で進められました。

その中で、公設事務所弁護士としてのやりがいについて、「弁護士が少ない地域なので、社会的に注目され、必要とされている実感がある」、辛いこととしては、「寒さが厳しく雪が積もるなど自然環境が厳しい」、「買い物するところが少ない」、「管轄地域が広く移動が大変」、「相談を受けて弁護士として何と答えていいか困ったときに周りに相談できる人がいない」、公設事務所に求められることとして、「目先にこだわらずに数年後の依頼者や相手方のことを考えられる」、「人の話に耳を傾けられる」、「知らない土地でも、その土地の良いところを見つける」といった話が印象に残りました。

パネルディスカッションは修習生向けでしたが、弁護士過疎地域への赴任に向けて養成中の私にとっても、公設事務所で働いている先輩弁護士の話を聞くことができ、とても参考になりました。

「個別説明」

ブースでの個別説明では、私が所員弁護士として、事務所の業務内容や弁護士過疎地解消という設立目的、所員弁護士の養成といったあさかぜの特色について、ブースを訪れた修習生に説明しました。修習生は、熱心に説明を聞き、質問をしてくれました。説明を聞いていた修習生からは、公設事務所で働きたいという熱意を感じました。

修習生の熱意を感じて、私も弁護士となったときの初心を思い出し、日々の業務に邁進していきたいと改めて思いました。

司法修習生に向けて

あさかぜ基金法律事務所は、九弁連管内の弁護士過疎地域に赴任する弁護士養成を目的とした都市型公設事務所です。あさかぜは、司法修習生向けの事務所見学会を随時実施しています。弁護士過疎問題、公設事務所に興味のある修習生は、福岡県弁護士会天神センター、法テラス福岡が入った南天神ビルの2階に事務所がありますので、是非お立ち寄りください。首を長くして連絡を待っています。

「修習給付金の創設に感謝し、「谷間世代」1万人の置き去りについて考える福岡集会」のご報告

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司法修習費用給費制復活緊急対策本部委員 市原 史雄(69期)

1 はじめに

平成29年11月19日(日曜日)の午後2時から午後5時30分頃まで、福岡市内のエルガーラホール7階多目的ホールにて、当会主催、日弁連・九弁連・ビギナーズ・ネットの共催で「修習給付金の創設に感謝し、『谷間世代』1万人の置き去りについて考える福岡集会」が開催されました。

2 いま集会を行う意味

本集会は、同年4月、修習給付金制度が創設されて以降、福岡では初めて行われた市民集会です。同制度創設にご協力してくださった国会議員や市民の方々等関係者への感謝を述べつつ、何らの手当てもされなかった修習新65~70期の貸与世代(いわゆる「谷間世代」)に対する救済を求める活動のキックオフ集会という意味合いがあります。

3 プログラム

本集会のプログラムは、(1)修習給付金の内容と制度創設に至るまでの経緯紹介、(2)71期修習予定者による感謝の言葉、(3)国会議員ご挨拶、(4)若手弁護士の活動報告、(5)市民の方からの応援メッセージ、(6)パネルディスカッションという内容でした。

71期修習予定者として登壇した3名の方からは、「思いがけず給付金をもらえることなりうれしい」といった素直な感想や、制度創設に向けて活動した関係者らへの感謝の意が述べられるとともに、谷間世代となった先輩や友人らが、自分達と全く同じ内容の修習に従事したにもかかわらず71期以降の修習生と大きな金銭的格差が生じていることが不合理・不平等であるという思いも語られました。

当会の若手弁護士として、中小企業・小規模事業者支援活動に携わる松村達紀会員(65期)、今年の九州北部豪雨被災者支援活動に当たっている金谷比呂史会員(68期)から、それぞれ活動報告がなされました。いずれの活動も市民にとって大きな助けとなっていること、弁護士が公益的存在であること、「谷間世代」が公益活動の第一線で活躍していることが紹介されました。

市民の方からの応援ということで、東日本大震災で被災され、現在は福岡県に避難されている方にも登壇していただきました。原発避難者訴訟の原告となっている方で、自分たちが支えてもらっているような公益的な活動を若手弁護士に心置きなくやっていただきたい、これからの世代を担う若い弁護士の希望の芽を摘むようなことを国にはしてほしくはない、谷間世代の不公平感、心のもやもや、割り切れない思いを抱えたまま、若い弁護士の活動が阻害されるようなことがあってはいけないと、優秀な人材を集めるためにも谷間世代を救済することの必要を市民の目線から訴えかけられました。

パネルディスカッションでは、日弁連司法修習費用給費制存続緊急対策本部本部長代行の新里浩二弁護士(仙台弁護士会)、日本退職者連合事務局長で2010年来、司法修習生に対する給与の支給継続を求める市民連絡会事務局長としても給費制復活の向けた運動を支援してこられた菅井義夫氏(東京)、ビギナーズ・ネットの共同学生代表池田慎介氏(札幌)、「谷間世代」当事者の清田美喜会員(当会、66期)をパネリストに迎え、髙木士郎会員(当会対策本部事務局長)の司会で、それぞれの立場から、給費制の事実上の復活に向けた運動を振り返るとともに、残る課題としての給付金制度の問題点、谷間世代救済の必要性などが語られました。給付金制度創設に向けた活動を振り返り、一定の成果が得られたことへの評価はなされているものの、谷間世代の声としては、「谷間世代は切り離されたと思った」、「同じ修習を受けたのに自分たちだけ何らの手当てもないのは不平等・不合理だと思った」という率直な意見があることが紹介されました。また谷間世代については、毎年の貸与金返済が足枷となって採算の合わない事件に全力を傾注しづらくなるのでは、弁護団事件のように着手金や報酬が期待できない手弁当での活動に積極的に参加するのを躊躇してしまう傾向が出ないかなど、これまでの弁護士像と乖離をして行く恐れがあるという深刻な問題点が指摘されました。

このような谷間世代の抱く不公平感を解消するためにどのような活動を今後行っていくかという点について、一度できた貸与制という制度を改め給付金制度の創設を成し遂げることができたのは、当事者の声を集約し、それを国会議員をはじめ多くの人たちに届けるという活動を地道に続けてきたからであり、谷間世代の救済についても、谷間世代の声を多くの人たちに届けるとともに、法曹の役割の重要性と国が法曹を養成することの意義について多くの方々から広く理解を得られるよう、活動をもう一度、自信を持って行っていくということが再確認されました。

4 国会議員ご挨拶

本集会には、原田義昭議員(自民党・衆議院)、鬼木誠議員(自民党・衆議院)、河野義博議員(公明党・参議院)、田村貴昭議員(共産党・衆議院)に出席していただきました(いずれも福岡県選出議員)。また、出席いただけなかった議員についても、多くの秘書の方に代理出席していただくとともに応援メッセージも10通以上寄せていただくなど、国政における給費制問題への関心の高さがうかがわれました。

原田議員からは、谷間世代の救済に向けては、強固な理論的根拠が必要だということ、不公平でかわいそうだからという感情論も一つの材料にはなるが、それだけでは不十分であるということが説明されつつも、給費制の復活という稀有なことを成し遂げたのだから、谷間世代の問題についても、国家社会のために立派な法曹を育てるのが国の仕事だという観点から、皆さんとともに頑張っていくと、強い励ましの言葉を頂きました。鬼木議員からは、九大法学部時代の友人らが精神的にも経済的にも苦労して修習を乗り越えた話を聞いたため修習に専念させるためにも修習生の経済的不安は取り除かなければならないと思う、与党の政治家として軽々しくは約束できないが、何とかしてまずは世論を動かしてほしい、一緒に頑張るとの言葉を頂きました。河野議員からは、給費制に関する国会での活動、とりわけ、ビギナーズ・ネットの「青Tシャツ」の広がりや各弁護士会による議員要請活動を目の当たりにし、熱意に動かされたこと、党内の議論としては、まずは給費制の復活が第一歩だとなったが、引き続き、谷間世代の問題に取り組むことが述べられました。田村議員からは、修習専念義務を果たさせるという修習費用の趣旨からして、月額17万円(住宅補助3.5万円を含め)という給付金では生活が成り立たないこと、谷間世代の救済は超党派で取り組むべきであることなどのご発言がありました。

各議員が現状の問題点を指摘していましたが、共通して語られたのは、給付金制度創設で終わりではなく、何としても谷間世代を救済する必要があるということでした。立法に直接携わる国会議員の方々が、与野党を問わず、この問題点を認識・共有し、その解決に向けて前向きに取り組んで頂く姿勢であることを確認できたことで、谷間世代の救済を目指す当本部としては非常に勇気付けられる思いでした。また、弁護士会によるこれまで幾多の議員要請活動をはじめ国会議員との交流についても十分に浸透していることが実感でき、これら活動の方向性が正しかったことを再認識しました。

5 おわりに

当日は90人収容の会場がほぼ満席になり、非常に盛況となりました。北は札幌・仙台から、南は宮崎・熊本まで全国各地からも弁護士や市民の方々が駆けつけてくださいました。また、貴重な日曜日にもかかわらず足を運んでくださった当会会員のみな様方にも本紙面を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。

キックオフ集会としては大成功となった本集会ですが、来年7月には新65期の貸与金弁済が始まってしまいます。ひとたび弁済が始まってしまえば、谷間世代救済はいよいよ困難になりかねません。このように時間の無い中で、早急に活動を広めていかなければなりません。

集会の後は、天神にて懇親会が行われました。全国各地から参加の弁護士や、本集会に引き続き作間功会長にもご参加いただき、交流と連帯を深める、楽しく充実した時間となりました。

どうぞ、会員の皆さまのなお一層のご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。

遺言セミナー・無料相談会(11/12・11/25) ~どんな方が参加するのか・どんなセミナーにすればいいのか~

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法律相談センター運営委員会委員 井手上 治隆(60期)

1 はじめに

平成29年11月12日(日曜)と25日(土曜)、天神弁護士センターにて、一般の方を対象とした遺言セミナーと無料相談会を開催しました。

当初は12日のみの開催を予定しておりましたが、朝刊3紙(毎日・朝日・西日本、掲載順)にセミナーの記事が載ったこともあり、12日分が定員(20名)に達したため、急遽、25日も開催することになりました。

当日は、まず、遺言・相続の基本的事項についてのセミナーを1時間行い、その後、希望者に対し無料相談会を実施しました。セミナー講師は、千綿俊一郎会員(12日)と吉永裕介会員(25日)が担当しました。

会員の皆様もこの種のセミナーの講師を務める機会があるかと思いますので、その際の参考になればとの視点から、以下報告させていただきます。

2 どんな人がやってくる?(参加者の実像)

年齢層でみると、やはり高齢者の方が多く、何らかの問題に直面している方が多かったようです。また、ご夫婦や親子での参加も一定程度ありました。

当然かもしれませんが、皆さん、「そろそろ」から「すぐにでも」と幅がありますが、遺言書を作成することに対する意識が高い方ばかりでした。なかには、遺言書の文案を自ら作成して持参され、相談時にこれで問題ないかと質問される参加者もいらっしゃいました。総じて、「ちゃんとしておきたい」という想いを共通して持たれているように感じました。

ただ、遺言・相続に関する知識・情報量及びその正確性については、かなりの幅があるように見受けられました。

3 どんな心配ごと?(疑問・悩みの中身)

各参加者の置かれている状況により、疑問・悩みも異なります。ただ、以下のように、いくつか共通する点もありました。

  • まず、どうしたらいいのか、何から始めないといけないのか。
  • 自分で作成する場合に、形式面で注意しなければならない点は、どのようなことか。
  • 自分の希望する内容の遺言が本当にできるのか、その遺言で問題が生じないのか。
  • 費用がいくらかかるのか(公正証書遺言を作成する場合や弁護士に依頼する場合など)。
  • 相続税はどうなるのか。等々

ここのところは、日々の法律相談で会員の皆さんが実感されているところと、大差ないと思います。

4 セミナーをより良くするには?(セミナーの向上)

セミナーでの参加者の質問や反応、またアンケート結果から、気づいた点・感じた点は以下のとおりです。

(1) 声と文字は大きく

参加者には、高齢で少し耳が遠い方もおられます。声は、少し大きいかなと思うくらいで丁度よい感じです。

資料は細かい字で書いてあると、なかなか読んでもらえません。文字の大きさは、少なくとも、高齢者が拡大鏡などの補助器具なしで読める程度にしておかねばなりません。

(2) 気軽に質問ができる雰囲気作り

今回は、講師の絶妙な雰囲気作りが功を奏し、参加者の皆さんは、セミナー中も、気兼ねすることなく、自由に質問されていました。講師が説明している途中でも、疑問に思ったら、割り込んで質問をするという状況でした。今回の規模くらいだと、「あとで質問時間を設けます」ではなく、「適宜、自由に質問してください」という形式でよかったように思います。この点は参加者にも大変好評でした。

ただし、講師にとっては、流れが断ち切られたり、時間配分などが予定どおりにいかなくなったりするため、大変ではあります。

(3) 導入部分と遺留分

今回は、導入部分で、「遺言があれば揉めなかったのに」という身近な事案をいくつか挙げて説明し、その後、相続と遺言の基礎知識について解説していきました。いきなり用語等の説明から入るより、身近な具体例から入った方が、興味が湧き、また、基礎知識の説明の糸口にもなるため、この構成は良かったです。

ただ、遺言作成を考えている方は、法定相続分と異なる配分を意図し、相続人間の不均衡を気にされている方がほとんどです。今回のセミナーでも、導入部分の段階から、遺留分についての質問が出ていました。あとで説明しますと講師が言っても、その後も遺留分についての質問が何度も出ていました。皆さん、遺留分については非常に気にされているようでした。そのため、遺留分については、一般の方にとっては難しい概念かもしれませんが、比較的早い段階で説明しておいた方がいいと思いました。

(4) 基本的事項もかみ砕いて丁寧に

「嫡出子」「検認」など我々が日々接している用語でも、一般の方にとってなじみの薄い言葉については、丁寧に補足説明をしなければ、理解してもらえないなと感じました。

また、参加者の年齢層によるものかもしれませんが、参加者の中には、あまり配付資料を見ずに、話しだけを聞いているという方も一定数いました。説明する側は、文字(漢字)も当然の前提としていますが、聞く側にとっては、そうではない場合もあるんだなと気づきました。例えば、自筆証書遺言は、全て自分で書かないといけない、「じしょ」しなければならないと口頭で説明した場合、その段階で、条文の文言どおり「自書」の意味で受け取ってもらえる方もいます。その反面、それだけの説明だと、署名だけ自分で書けばよい「自署」を想定されている方がいるようでした。それに続く補足説明(内容が複雑だと全て手書きすることがいかに大変か、訂正することがいかに面倒か等)をすることにより、「あ~、何から何まで自分で書かないといけないってことね」と理解される方もいたようでした。

対象とする参加者の構成にもよりますが、基本的な事項もかみ砕いて、丁寧に説明する必要を再認識しました。

(5) どこまで説明するか

遺言の説明をするには、前提として相続の知識についても説明する必要があります。ただ、どの程度の知識まで説明するかは、時間との兼ね合いで難しいところです。あまり細かいことを話してもしょうがないので、ある程度割り切って、遺言に必要最小限の範囲にうまく絞る必要があります。

今回、配布資料については、一通りの基本的な知識を網羅したものを作成したものの、記載している事項を全て説明しておりません。資料については、セミナーの冒頭で、細かい事項も記載しており、全て言及しない旨を述べ、この資料はおみやげ的なものとお考えくださいと説明しております。この方法も良かったと思います。

(6) セミナーと相談会の役割分担

参加者の皆さんは、単に遺言・相続の基礎知識を修得することだけが目的ではなく、自分の悩みや疑問を解消するためにセミナーに参加されています。そのため、場合によっては、セミナーでの質問が個別具体的な事情に基づくものとなり、他の参加者とってあまり有益ではない場合も出てきます。

個々の参加者特有の事情に基づく質問は、セミナー後の相談で質問してもらうように冒頭で誘導しておいた方がいいかなと感じました。

(7) 課題(広報と集客、実施方法)

今回は、対外広報PTに尽力いただき、セミナーの開催が新聞に掲載されたこともあり、盛況となりました。しかし、掲載前は、県弁のHP等で広報をしていたものの、申込者が3名しかなく、どうしたものかと気を揉んでおりました。今後、このようなセミナーを継続的に開催するとした場合、毎回、新聞に掲載してもらえるとは考えづらいので、どうやって広報し集客していくかが課題です。

また、実施方法については、弁護士会の施設に来てもらうのではなく、コミュニティセンター等へ弁護士が出向いていくことも検討していかなければならないと考えております。

5 おわりに

今回は福岡部会での企画でしたが、各部会でもこの種のセミナーが開催されております。特に、筑後部会では先進的な取組がなされており、今回もいろいろ参考にさせていただきました。

現在、高齢者・障害者等委員会と法律相談センター運営委員会の有志で、遺言や相続に関する関連業務について、試行的にPTを立ち上げ、研修会や、継続的な遺言セミナー・相談会等の実施を検討しております。また、今後、会員の皆さんがセミナー講師を担当される際に利用いただけるようにレジュメ等を改良してサンプルを提供したり、法律相談センターでの遺言相談が増加するような取組を重ねていきたいと考えています。

まだ試行段階ですが、本格的な実施に至った場合には、会員の皆様にもご協力をお願いすることになると思いますので、その際は、よろしくお願いします。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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