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【筑後部会】ジュニアロースクール2021in筑後

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法教育委員会 委員 塙 愛恵(71期)

1 はじめに

令和3年11月21日、福岡県弁護士会筑後部会会館において「ジュニアロースクール2021in筑後」を開催しましたので、ご報告させていただきます。

2 模擬裁判とディスカッション

去年に引き続き新型コロナ対策のためZOOMを用いてのオンライン開催となり、県内の中高生13名が参加しました。

参加者には裁判員役として、殺人事件の模擬裁判をZOOMで見てもらい、その後、少人数のグループに分かれてディスカッションをし、グループごとに被告人の有罪・無罪を判断してもらいました。

裁判官、検察官、弁護人、被告人、目撃者の役をそれぞれ弁護士が演じ、人定質問から論告、弁論まで模擬裁判を実演しました。

「旦那様がコップに毒を入れたのを見ました。旦那様が奥様を殺したのに間違いありません!」と証言する目撃者の家政婦と、「妻は自殺したのです」と殺人そのものを否定する被告人。

客観的証拠と共に2人の食い違う供述の信用性を判断し、最終的には被告人の有罪・無罪まで判断するという難易度高めな事件に参加者は様々な角度から意見を出し、ディスカッションをしてくれました。

3 事前準備と当日の運営

会館での模擬裁判の様子をZOOMで配信し、その後ZOOMの「ブレイクアウトルーム」機能で少人数のグループに分かれてディスカッションを行うという流れのために、事前のリハーサルでは、カメラ配置、音声機器のチェック、参加者に誰が発言しているのか分かりやすいように模擬裁判中には発言している人にZOOM上でスポットライトを当てる等の工夫が行われ、事前に入念な準備が行われました。

当日も、WEB班、出演班、連絡班等の連携で臨機応変に対応することができ、特段問題が生じることなく最後まで行うことができました。

4 参加者の感想・反応

模擬裁判終了後には、参加した生徒から、「裁判官(裁判員)から証拠をもっと出してほしいといえるのか」、「裁判中に被告人が罪を認めた場合には裁判はどうなるのか」等刑事裁判に対して関心の高い質問もありました。

また参加者アンケートでは、面白かったという感想とともに、公平な目で見ることは難しい、供述の信用性を判断するのは難しかった、様々な視点を見られて楽しかった等の感想もあり、裁判の難しさや多角的な視点で考えることの重要性を実感してもらえたようです。

5 さいごに

コロナ禍でオンラインイベントも増えておりますが、今回実行役として参加することで、その実現には多くの準備がかかっていることを実感できたと同時に、真剣に模擬裁判に参加する学生達と交流できたことで、広報を頑張って来年はさらに多くの方にご参加いただきたいと思いました。

最後に、今回ご尽力頂きました全ての先生方に、この場を借りて御礼申し上げます。

福岡県弁護士会【筑後部会】ジュニアロースクール2021in筑後
福岡県弁護士会【筑後部会】ジュニアロースクール2021in筑後

今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

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【イベント概要】

2021年11月28日(日)、福岡県弁護士会館において、「来たれ、リーガル女子!in福岡2021」が開催されました。

2018年に、内閣府の男女共同参画推進事業の一環として、学生・保護者・教員向けシンポジウム「来たれ、リーガル女子!」~女性の弁護士・裁判官・検察官に会ってみよう!~が西南学院大学法科大学院棟で開催されて以降、毎年、福岡では本イベントが行われています。今年は4回目の開催で、会場参加とオンライン(zoom)参加を併用して行われました。

本イベントの目的は、その題名にも表れているように、女性の法曹人口(当会の立場からすると、特に女性弁護士数)を増やすことにあります。2021年3月31日時点で、全国単位会の女性弁護士の割合は平均19.3%です。当会に目を向けると、女性弁護士数は1418名中259名であり、微増しているものの、その割合は18.3%となお低い状態です。このような現状を踏まえ、将来の進路を考える女子中高生及びその保護者に対して、普段の生活ではあまり接することのない女性法曹と触れ合う機会を設け、将来の有力な選択肢として法曹を考えてもらうべく、今年度から立ち上がった男女共同参画推進本部を中心に準備し、開催しました。

当日は、第1部・パネルディスカッション、第2部・法曹になるための進路説明、第3部・グループセッションの順に実施されました。

第1部・パネルディスカッション

「弁護士のリアル」と題し、原田直子先生にコーディネーターを務めていただき、パネリストの仲地彩子先生と私が、質問に答えていくという形式で進められました。原田先生から、弁護士を目指した経緯、弁護士としてのやりがい、ライフワークバランスなどについて質問がありました。

仲地先生は弁護士登録に至るまでに留学や大学講師等、本当に様々な体験をされており、原田先生が仰っていたように正に「波乱万丈」な内容でした。他方、私は、法曹資格を有する者の多くが辿ったであろうルート(大学法学部進学→法科大学院進学→司法試験受験)で弁護士登録をしており、法曹においては珍しくない部類です。

参加者アンケートからも、多様な進路ややりがいを感じてもらうことができ、中高生にとって、将来の選択肢を考える上で非常に良い機会になったのではないかと思いました。少し紹介します。

「コーディネーターの方のテンポが良く、弁護士お二方の話をスムーズに聞くことができて面白かったです。また、自分以外の方が法律に関心を持ったきっかけを伺ったり、業務内容や、育児に関する話、挫折や苦しいことを糧にするという話はとても役に立ちました。」
「『自分自身で決めた方針が自分に返ってくる』という、面白い仕事だなと、関心が高まりました。私も人の心に寄り添えるようになりたいと思いました。」
「法曹に関わる人はプライベートも犠牲にしてお仕事をしているというイメージがあったので、イメージよりプライベートに自由な時間があるという事を知れたのは参考になりました。」
「法曹を目指す人でもそれぞれの道のりがあることがわかりました。自分なりのやり方で法曹を目指していいんだと思い、安心しました。」

福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

第2部・法曹になるための進路説明

私は、第3部の打合せのため、会場の様子を直接見ることはできませんでしたが、福岡の大学教員の先生方と宇加治恭子先生による進路説明では、大学以降の進路について、方法論を具体的に示されていたようです。

参加者アンケートによれば、次のように非常に好評でした。
「法科大学院や法曹コースについてよく知れたと思います。」
「法曹への道が2年も短くなる法曹コースというものがあるんだと知れて、良かったです。」
「具体的にどうすればいいかなど、今後目指すべき場所がはっきりした。」

第3部・グループセッション

弁護士及び裁判官又は検察官を講師として、8名程度のグループに分かれて中高生からの質問に答える形式で行われました。今回は全部で5グループに分かれ、うち2グループはオンラインで行われました。

私は、弁護士及び裁判官が講師を務める会場実施のグループに参加しました。私が参加したグループでは、滅多に交流することができない裁判官への関心が強かった印象で、少々寂しい気もしました。裁判傍聴にも行ったという中高生が複数おり、意識の高さに非常に驚きました。

質疑応答の時間には、業務の内容、一日のスケジュール、やりがいを感じるときはどんなときか、大変だなと感じるときはどんなときか、モチベーションを維持する方法、メンタルの維持について工夫していること、法曹になるためにどのような準備をしたらよいか等、様々な質問がなされました。法曹と直接話をすることで、参加した中高生が少しでも法曹を身近に感じ、将来、法曹(特に当会所属の弁護士)になることを選択してくれたとしたら、非常に嬉しく思います。

参加者アンケートの回答も嬉しいものばかりでしたので、少し紹介します。

「法学部に行くことに関して、友達と真剣に話し合ったりしたことがなかったので、今回リーガル女子に参加してみて年代を問わずこんなにも多くの学生が法律に興味を持って将来について考えているのだと刺激を受けました。」
「グループの弁護士の先生方が本当に面白く、自分に合わせて質問に親身に答えてくださっていたのが本当に嬉しかったです。」
「弁護士の方と裁判官の方がとても優しく笑顔でお話ししてくださったので、初めは緊張していましたが、段々緊張がほぐれてきてとても話しやすかったです。」
「お話の中で、やっぱり自分は法曹になりたいなという気持ちになった。」
「今まで疑問に思っていたこと、パネルディスカッションを聞いて気になったことなどを、現役の弁護士、検察官の方から聞けて、充実した時間が過ごせた。」
「プライベートの話や1日の流れなど裁判官や弁護士の仕事についての話を聞けて裁判官や弁護士についての理解を深めることができました。」

さらに、参加者アンケートから参加の前後で法曹に対するイメージが変わったかという質問に対しては、様々な嬉しい回答がありました。

「参加前は、硬いイメージを持っていたが、仕事とプライベートの切り替えを持った自立したかっこいい大人の女性というイメージに変わりました。」
「真面目で少し怖そうなイメージだったが、皆さんとても優しく、先生のような法曹になりたいと思いました。」
「常に論理的に物事を考え、仕事に明け暮れているイメージがありました。女性が少ない職業なので、法曹界で活躍されている女性は強く勇ましい方ばかりだと思っていました。しかし実際は、子育てや趣味の時間を持ち自分らしく働いているキラキラした方ばかりでした。」
「エリートで雲の上の人だというイメージがあった。しかし良い意味で普通の人なのだと感じた。」
「色々な経歴からの弁護士の道がある事に驚きました。その経歴が弁護士としての活動での基盤になっていると伺って、経験することの大切さを改めて考えさせられました。」
「司法試験や法科大学院での勉強など、現実はそんなに甘くはないこともわかりました。しかし、実際に弁護士の方がやりがいを感じた瞬間のお話などを聞いて、とても印象的に感じたし、自分もそんな経験をしてみたいという気持ちになったので、改めて弁護士になりたいと思いました。」

福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

最後に

真剣な眼差しの中高生を前にして緊張しましたが、私自身、改めて法曹として頑張ろうと思える大変貴重な機会となりました。本イベントを企画・準備・運営してくださった先生方・関係者の方々には感謝申し上げるとともに、今後も本イベントの開催が継続され、本イベントをきっかけとして多数の法曹が誕生してほしいと思います。

福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021
福岡県弁護士会 今年も開催しました!来たれ、リーガル女子! in福岡2021

あさかぜ基金だより

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弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 社員 宇佐美 竜介(73期)

○先輩弁護士

あさかぜ基金法律事務所は、平成20年9月22日に設立された事務所です。

設立以来あさかぜ基金法律事務所には29人の弁護士が入所しました。現在九州以外の地で活躍している弁護士もいます。

○共同受任

あさかぜ事務所以外の弁護士から紹介を受けた事件のうち、その2割から3割があさかぜ基金法律事務所の先輩弁護士からの紹介事件で、共同受任をして事件処理を進めています。

その中で、依頼者にどのように伝えればわかりやすいのか、書面で強調すべきポイントは何かなどを教わり、また議論を掘り下げるように頑張っています。

○所内研修

あさかぜ基金法律事務所では、事務所独自の研修をあさかぜ研修と称していますが、あさかぜ出身の先輩弁護士の事務所を訪問することがあります。

最近では、小林洋介弁護士が所長をつとめる平戸の飛鸞ひまわり基金法律事務所を訪れ、弁護士過疎地において開設する準備や事務所経営を軌道に乗せるための工夫、そしてどんな苦労をしたのかについて、話を聴き、一つの相談からどのようにして顧客を開拓するかのヒントを得ました。

このように、先輩弁護士が実際に過疎地でどのようにして開業し、事務所を運営していったのか知ることができることによって、近い将来の私自身の過疎地への赴任に向けて具体的なイメージを持つことができます。

このほか、今年度から新しく運営委員の光安正哉弁護士や井口夏貴弁護士が主催するゼミナールが所内で開かれています。このとき、要件事実の整理から民事保全の手続や弁護士報酬など、実務にすぐに役立つ幅広いテーマで議論を行っております。

○先輩弁護士とのつながり

あさかぜ基金法律事務所は指導担当弁護士など事件紹介をしてくれる弁護士だけではなく、これまで在籍していた先輩弁護士とのつながりも強く、先輩弁護士の温かく、また強力な指導と援助により支えられている事務所でもあります。

○私のリフレッシュ法

ランチは、前職の裁判所書記官時代は自分の席で弁当を食べることがほとんどでしたが、今では気分転換も兼ねて、天神周辺(いつも別の店)を食べ歩いています。外国人や職人肌など色々な店主との一期一会も非常に刺激的です。

天神の食文化を堪能することで、同じ日はないという気持ちを持ち続けています。

『国際ロマンス詐欺』にご注意! 悪質サイト・国際ロマンス詐欺無料電話相談(10月5日実施)のご報告

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消費者委員会 委員 井口 夏貴(61期)

無料電話相談会を行いました!

消費者委員会の企画により10月5日(火)午前10時から午後4時まで、悪質サイト・国際ロマンス詐欺の被害に関する無料電話相談を行いました。

国際ロマンス詐欺ってなに?

みなさんは、「国際ロマンス詐欺」をご存知でしょうか。

今年6月、兵庫等の4県警が、「国際ロマンス詐欺」グループ指示役とみられる外国籍の男を逮捕したとの報道がありました。

報道によれば、男は、今年3月、他のメンバーと共謀して、イエメン在住の韓国人医師と偽り、女性に「あなたは理想の相手だ」「新型コロナウイルス対応で大変な日本の医療機関に寄付したい」とSNSで虚偽のメッセージを送るなどし、現金の配送料や遅延金名目で約370万円を詐取したという被疑事実で逮捕されたようです。

上記のように、「国際ロマンス詐欺」とは、SNSやマッチングアプリなどインターネットで知り合った(自称)外国人と親しく連絡を取り合ううちに、様々な名目で送金を迫られるというものです。

国民生活センターは、昨年2月13日付報道発表で、「-愛のギフトを受け取ってほしい!?- それってもしかして「国際ロマンス詐欺」?」と題して、注意喚起を行っています。

上記発表によれば、消費生活センターへの相談は、2018年末頃から見られたようです。

送金の名目はいろいろありますが、荷物等を送るので代わりに受け取ってほしいと言われ、受け取る際に通関料や運送保険料などの料金を請求されるというものや、近時では、結婚資金作りのためなどとして投資を勧誘し、暗号資産などを送金させられるというものも急増しており、国民生活センターも、今年2月18日付で「出会い系サイトやマッチングアプリ等をきっかけとする投資詐欺にご注意を-恋話(コイバナ)がいつの間にかもうけ話に-」という発表を行って、注意喚起しています。

相手方とはSNSだけのやり取りしかなく、加害者の特定が困難であり、また、海外送金や暗号資産での送金をしてしまうと、その後の追跡も難しいということで、現状では、注意喚起して、送金の手前で被害者に気づいてもらう以外に有効な対策がないところです。

しかし、被害者には恋愛感情があり、相手方に騙されているという自覚を持ちにくく、周囲の注意にも耳を傾けにくいという状態にあることもしばしばであり、未然に被害を防ぐのも簡単ではありません。

そこで、消費者委員会は、今回、注意喚起と被害実態の把握、場合によっては被害の回復につなげることを目的に、国際ロマンス詐欺に関する無料電話相談を企画し、実施しました。

あわせて、新型コロナウイルスの感染拡大の状況下で、インターネット上の取引利用が増えたためか、悪質サイトによる被害の相談も増加傾向にあることから、悪質サイト被害についても、相談対象としました。

相談の結果

今回の無料電話相談は、事前に西日本新聞と朝日新聞に記事を掲載していただいたということもあり、合計11件の相談を受け付けました。

内訳としては、ロマンス詐欺類型が4件、その他の投資詐欺類型が2件、ロマンス詐欺ではありませんが国際貨物の運送保険料名目での詐欺類型が1件、ギャンブルの必勝法詐欺1件、インターネット求人広告被害1件、その他2件でした。被害金額が数百万円に及ぶものも、複数ありました。ロマンス詐欺や投資詐欺の6件のうち、3件は決済手段が暗号資産でした。

ロマンス詐欺、投資詐欺のいずれも、FacebookやLINEで知り合い、その後、LINEでのやり取りを通じて、最終的には投資資金名目で送金をさせられており、投資の結果が良好であるように見せかけられ、次々にお金の追加投資を勧誘され、出金しようとすると手数料や税金を支払わないと出金できないなどといわれて、お金が戻らない、という構造のほか、SNS以外のつながりがなく、加害者の特定が困難という点が共通していました。

今回の相談で見えてきたこと、感じたことなど

今回の相談結果は、近時、SNS等から投資詐欺につながる事案が急増しているという上記の国民生活センターの発表を裏付ける内容となりました。

LINEなどのSNS以外の連絡手段がないにもかかわらず、相手方を信用し、多額の金銭を支払ってしまう、というのは、奇異にも思えますが、IT化の進展に伴い、SNSを介した交流が一般的となり、SNS以外では現実に会ったことがない人ともつながりがある(と思っている)のが昨今それほど珍しくないことを考えると、このような傾向が止むことはないのではないかと考えています。

また、暗号資産という匿名性の高い決済手段の利用は、今後、ますます一般にもなじみとなっていくと思われ、消費者被害が発生した場合を想定して、救済のために法律等による規制が必要ではないかと感じました。

なお、一つ意外だったのは、送金先に、調査がある程度可能な国内の金融機関口座が指定された例もそれなりにあったということです。おそらく、不正に売買された口座が利用されており、容易に加害者にはつながらないと思われますが、口座の入出金状況から何らかの追跡が可能な場合も考えられ、このあたりを突破口にできる場合もあるのではないかと感じました。

注意喚起にご協力をお願いします

上記のとおり、ロマンス詐欺の類型は、いったん被害に遭うと回復が困難です。この記事を読まれたみなさまにも、周囲の方への注意喚起にご協力いただければと思います。

国際ロマンス詐欺については、国民生活センターのウェブサイトに注意喚起用のチラシが掲載されていますので、適宜ご利用いただければと思います(下記URLを参照ください。)。
http://www.kokusen.go.jp/mimamori/pdf/shinsen375.pdf

福岡県弁護士会『国際ロマンス詐欺』にご注意! 悪質サイト・国際ロマンス詐欺無料電話相談(10月5日実施)のご報告

弁護士に会ってみよう!

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法科大学院運営協力委員会 委員 古賀 祥多(69期)

盛況でした!

2021年(令和3年)8月23日、福岡県弁護士会館にて、「弁護士に会ってみよう!」をオンラインで実施しましたので、ご報告します。

本企画は、当初、裁判傍聴をした後、会館に集まって直接弁護士と懇談するという企画で、中高大学生を対象に参加者を募集していましたが、多くの方の参加申込があり、開始前から大盛況でした。しかし、誠に残念ながら、7月下旬頃より新型コロナウイルスの感染者数が増大し、8月になっても勢いが衰えることなく、ついには8月20日より福岡に緊急事態宣言が発出されたため、裁判傍聴企画を中止し、弁護士との懇談企画もすべてZoom形式で実施するなどして、リアルでの企画をすべてオンライン企画に切り替えざるを得ないこととなりました。

ただ、急遽オンライン開催に変更になったにもかかわらず、当日は、27名の方に参加いただき、大変盛況となりました。

第1部 弁護士に聞いてみよう!

まず、第1部として、佐渡麻奈美委員の司会のもと、稲場悠介委員長、中谷正太事務局長、山之内明委員の3名の対談方式で、弁護士の仕事のことや、弁護士になるための流れ等について説明がありました。

今回の登壇者委員は、弁護士経験がそれぞれ12年、5年、2年で、若手から中堅という構成となっており、自身のこれまでの経験等から、弁護士の仕事を魅力的に語っていました。たとえば、仕事内容や忙しさについては、登壇者の弁護士経験年数や、事務所での立場(イソ弁なのかどうか等)も異なっていて、若手のときは忙しくて仕事が大変だが、ある程度弁護士として経験すると少しずつ変わっていったりするといった具体的な話もされました。

また、各登壇者から、弁護士を目指そうとしたきっかけ、弁護士を目指そうと思った時期について話があり、大学学部生のときに法律家を目指そうと思った登壇者もいれば、小学校のときや、子供の頃に弁護士を目指そうと考えたという登壇者もいて、それぞれの目指すきっかけはさまざまで大変興味深く思いました。

さらに、事務所に弁護士が何人いて、どんな感じで仕事をしているのか、といった具体的な話もされました。

途中、実際に弁護士になるための方法について、法科大学院と予備試験などの司法試験受験資格に関する制度や司法修習制度について、委員より説明がありました。アンケートを見てみると、具体的な進路のことはあまり知らなかったので、今回の企画で大変勉強になりました、というご感想がありました。

最後に、司会より弁護士はオススメの職業なのか、と聞かれたとき、登壇者全員が、オススメの職業です!とハッキリと回答していたのが印象的でした。

第2部 弁護士と話してみよう!

次に、各参加者と弁護士がいくつかのグループに分かれ、個別の小グループでの質問タイムが開かれました。私も、松井仁副委員長とともに5名の学生と話をしました。各参加者からは、なぜ弁護士になったのか、弁護士の仕事で失敗したことやつらいことはあるか、弁護士になる前にどんなことを勉強しておけば良かったと思うか、といった話や、企業内弁護士はどんな仕事をしているのか、といったことまで、様々な質問を受けました。

私は、あまり含蓄のある話ができませんでしたが、これまでの弁護士経験のなかで経験したことなどをお話しました。たとえば、弁護士は依頼者に寄り添って、依頼者に近いところで事案の問題点を探し出し、裁判官を説得する、そして説得活動が功を奏し、こちらの言い分を理解してもらうことができたときはやりがいを感じる、もちろん、ときには弁護士が一生懸命やっていても依頼者から強くあたられるときはあるが、それは自分を信頼してくれていることの裏返しと思って、自分を励まして仕事をする、というような話をしました。

松井副委員長は、非常に魅力的で、とてもためになる話をされていました。たとえば、参加者より「日弁連とは何か」という質問をされた際、弁護士自治・弁護士の独立について、他国と比較しながら、端的に、かつ、わかりやすく丁寧に説明されていました。また、松井副委員長が、これまでの実務家経験の中で、先輩の実務家から聞いた話をされて、「裁判官になるには世間を知らないといけない。世間を知らないまま裁判ができるのか。」といった話や、「負けたときに感謝される弁護士を目指しなさい」といった格言を聞くことができました。さらに、ADRのことや、組織内弁護士(企業・自治体)のことなど、弁護士が様々な場面で活躍していることを、具体的な場面に触れながら、かつ、その魅力にも触れながら話をされていて、私自身、非常に勉強になるとともに、弁護士の魅力を再確認することができました。

今度はリアル企画で!

本企画実施後のアンケートでは、参加者の方より、「普段知ることのできない弁護士の仕事を具体的に知ることができて勉強になった」「直接弁護士の方とお話ができて法曹への興味がでてきた」といったご意見を多数いただきました。きっと、今回本企画に参加していただいた皆様には、「弁護士」という仕事の魅力を知っていただけたのではないか、と思います。私も、今回、本企画に出席し、弁護士のことを知らない学生に対して自分の仕事について話をしたり、あるいは、他の弁護士の仕事のことについて話を聞いたりすることができ、あらためて「弁護士」という仕事がどんな仕事なのか、再確認することができました。

ただ、今回、緊急事態宣言により当初の企画を中止・変更せざるを得なかったのは心残りでした。特に、参加者の中には、裁判傍聴を心待ちにしていた方々が多数いらっしゃっていたようで、私が第2部で参加したグループのメンバーだった5名の方は、全員、実際に裁判傍聴をしてみたいというご意見でした。また、本企画のアンケートでも、緊急事態宣言のなかで本企画が実施されたことについて感謝の言葉をいただいた一方で、やはり直接弁護士と会って話を聞きたかった、裁判傍聴企画が実施されなかった、というご意見も寄せられました。

昨年から続く新型コロナウイルスの流行により、直接面談での企画がなかなか難しい中、オンライン会議システム等を利用して実施することにより、様々な企画を実施することができるようになりました。しかし、他方で、やはり直接会って見聞きすることができる企画には普遍的なニーズがあるものと実感しました。

今年は残念ながらオンライン開催となりましたが、新型コロナが沈静化した後、改めてリアルでの企画を実施したいと思いました。

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