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カテゴリー: 月報記事

ちょっとだけIT病

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堀 良一

コンピュータは,わたしの体の一部である。

年々衰えていくわたしの大脳の機能は,次々にノートパソ\コンのCPUとハードディスクによって置き換えられている。

訟廷日誌はとっくの昔に捨てられ,ポケットには電子手帳のクリエが収まっている。携帯はもちろん肌身離さず持ち歩いている。

打ち合わせも相談も全部ノートパソコンでメモを取るし,スケジュールはクリエだし,ペンを使って文字を書くことは,署名以外では法廷で証言をメモるときくらいだ。そのため,ワープロ専用機時代から進んでいた「漢字が書けない病」は,ほぼ極限にまで達している。仮名を書くときも,もたもたして時間がかかる。わたしの書いた字は,もはや,わたしを担当する事務員にも読めない。

最近は,小説やコミックも,かなりパソコンやクリエで見るようになった。カバンのなかに入れているiPODには2000曲近くの音楽が入っていて,自宅のCDライブラリをほぼ持ち歩いていることになる。音楽はクリエからでも聴いている。

メールやネットは,ノートパソコンがメインだが,自宅や事務所のデスクトップからも,携帯からでもクリエからでも頻繁にアクセスしている。わたし宛のメールは,睡眠中と尋問中を除けば,どこにいようと,ほぼ30分から40分程度で確実にわたしに届く。

メーリングリストも自分が開設したものだけで7つあるから,メールは1日に100通前後届く。書いているメールの分量もかなりになる。

担当している集団事件では,もちろんメーリングリストを開設して,20名くらいの弁護団員が議論したり,情報を交換したり,書面の検討をしたりしている。相手方から提出された書面はスキャナで読み込んでOCRにかけ,ワードやPDFのファイルにして,こちらが提出した書面や資料といっしょに,ウェブ上のオンラインストレージにアップして,全員で共有している。いまや,この集団事件の弁護団員はパソコンなしにはついてこれない。

先日,弁護士会の委員会で出かけたモロッコ旅行の際には,毎晩,その日にデジカメで撮った静止画や動画をつなぎ合わせ,BGMをつけて,ムービーファイルを作っていた。海外でもホテルからネットに接続して,日本の情報をチェックし,メールを読み,気が向いたらメールを書いている。モロッコの地方都市のホテルは外線がホテルの交換を通すという古いシステムのままのところがあってネット接続ができず,おかげでその日は早寝ができた。携帯用のスピーカーも旅行カバンに入れているから,ほぼ自宅と同じ環境で音楽も楽しんだ。

西にフリーズしたパソコンがあれば,飛んでいって,あれこれ原因を究明してあげたい。東にパソ\コンを購入しようとしている人がいれば,いっしょにパソコンショップにでかけて悩みを共有してあげたい。

まだパソコンに変身した夢をみたことはないが,最近,ちょっとだけIT病が進行中であるという自覚はある。

少年非行と更生支援

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八尋 八郎

弁護士業務委員会の「弁護士に未来はあるか」シリーズ(第3弾)として、昨年12月4日に話をさせて頂いた要旨は次のとおりです。

私は少年事件が多い年には20件くらいあり、10余年前には全国の年間付添人選任件数の1%を越えたことがあります。少年に付添人選任届を書いてもらうときには誠実に精一杯の活動を誓うので、少年の意に反して「少年院に送ってほしい」という付添人意見を述べることはありません。面会と文通を重ねるなかで少年の自分史のなかに本件非行を位置づけ、非行の原因と対策を少年と一緒に考えてゆきます。

また、少年には鑑別所では行動観察という態度評価が行なわれるのでキチンとしておくように伝え、保護者には社会資源(家庭・学校・職場などの少年の更生を支えるもの)の再構成と開拓にフル回転するよう求めます。これらがうまく噛み合えば少年は社会内処遇を受けることになるのですが、その場合にも少年には再非行の抽象的危険は残ります。それで「野獣を野に放つものだ」という批判を甘受しています。とはいえアッサリと少年院に送るよりはギリギリで社会内処遇にした方が再非行の危険性は低く、予\後が良いように思います。

付添活動が奏功せずに少年院に送られたときには、一日潰して面会に行き「少年院の処遇プログラムどおりにしっかり勉強して元気に戻ってほしい」と伝えます。やがて仮退院した少年が事務所に来ます。背筋をピンと伸ばして私の目を見て「ありがとうございました。これから頑張ります」と言うと少し嬉しくなるのですが、今どき運動部の子だってこんな挨拶はしないのです。暗くて反抗的なままでよいから少年院で運転免許くらい取らせて欲しかったと思うのです。免許があれば就職先が広がり生きてゆく役に立つのです。

虐待と少年非行には高い相関があります。虐待に限らず、貧困・離婚などの負因と少年非行とのあいだにも高い相関があります。だからといって親を処罰したところで何も始まりません。逆に出生率が低下するなか産んでくれてありがとうと言うべきです。国がさまざまな負因を抱えた弱い親を支援できれば子どもの役に立つのですが、財政赤字で窮迫したわが国は、福祉のオール切捨てへと逆走中です。

国の年間税収が42兆円であれば、42兆円で予算編成するのが当然です。それなのに、同額の赤字国債を発行して毎年のように収入の2倍を濫費し、いまや国債未償還残高は660兆円の破産状態です。少年に面会して「何やってんだ」と叱責する前に、総理大臣にそう言いたいところです。子どもの世話にはならないと決意して国民が積み立てた年金をデタラメに喰い潰し、若年者に負担してもらうとは何たる言い草でしょうか。今なら年金の使い残しが140兆円あるそうです。いま自己破産を決断すれば、この140兆円を配当できます。配当率が年金積立総額の何パーセントになるか分かりませんが、せめてもの誠意ってやつです。事務費も出ない低利回りの時世に積立額以上の給付を予定する年金制度が存続できる筈はないのです。それなのに、年金制度改悪を弄するのは、これをあと3年で喰いつぶす目的というしかありません。そのついでにイラク派兵というのでは、まるで子どもの学校給食費で福岡ボートに行くようなものです。こんな有様では「やってられない」という子どもに返す言葉はないのです。子どもの不幸のシンボルである非行を少年と家族だけに背負わせて一丁上がりにするのなら、国はいりません。サッチャーは「社会などない。男と女がいて家族があるだけだ」と言って福祉オール切捨の小さな政府宣言をし、ついでに愛国心を強調したのですが、そんな国よりも私は妻を愛します。

私たちにできる更生の援助とは少年本人の意思・意欲を尊重し、曲がった枝は曲がったままに生かしてゆくことであって、枝を折ったり刈り込んだりして形ばかりを整えることではない筈です。或いは、少年に必要なのは警察の取締や少年院ではなく若者宿(地域の若者たちが夜集まって手仕事をしたり話し合ったりして寝泊りする居場所)かなと思いついたりもするのですが、若者宿を開設しても誰も来ないだろうと考えると、やはり子の心、親知らずということでしょうか。

子どもの未来は人類の未来です。子どもに未来がなければ、弁護士の未来だってありません。少年法を「改正」しても「やっぱり」非行は減らなかったし、これに続く教育基本法や憲法の「改正」スケジュールをみると、早めに自己破産させないと、後日、元に戻す法律が多すぎて大変だと思うのです。

犯罪被害者支援研修

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恒川 元志

弁護士登録して1か月ほど経った11月12日、われわれ新入会員弁護士は弁護士会館3階ホールにおいて犯罪被害者支援研修を受講しました。一昔前には犯罪被害者は刑事訴訟において忘れられた当事者とまでいわれておりましたが、現在においては被害者保護に関する法令の整備も少しずつ進んでいるところです。ということで近年注目の分野の1つであると思いますので、気を引き締めて研修に参加させていただきました。

今回の研修で配布された資料の中に、西日本新聞の見開き1枚の大きなカラーコピーがありました。おぉ、よく見ると何枚かのコピーを糊付けしてつなぎ合わせてあるではないですか。私はその内容のわかりやすさもさることながら、まずは関係者の方々の研修資料作成の努力に感動してしまいました(事務所には内緒ですが、時間を間違えて30分早く会場に到着してしまいましたので、じっくり目を通させていただきました)。

研修が始まると、まずは福岡県警本部犯罪被害者対策係主任で臨床心理士の加藤友香さんから、県警の犯罪被害者相談電話受付をする「ミズリリーフライン」の説明と、そこによく相談があるドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者を中心とした説明がありました。加藤さんには検察修習中にもお話を聞く機会があり、近年の流れから市民の味方の県警としても力を入れられておられるのだと思いました

次に、郷田真樹先生から、犯罪被害者支援の一般的な注意点と、被害者の代理人となった場合の刑事・民事事件での役割、加害者の弁護人・代理人の役割について丁寧な説明がありました。また、具体的な用例を挙げて、被害者の意思を尊重せずに援助者個人の価値観を押しつけるだとか、被害者の側に落ち度があると責めるだとかの悪い対応例も紹介いただきました。

最後に、特定非営利活動法人福岡犯罪被害者支援センター理事長の内川昭司先生から同法人の概要等について説明がありました。同センターは弁護士だけでなく、医師、臨床心理士、社会福祉士、大学研究者等の専門職の方々と、専門的研修を受けた市民ボランティアの方々で成り立っているとのことでした。また、実際の事件で遺族の方が書かれた文章を紹介いただきましたが、そこには遺族の心境や事件後の環境変化、家族が立ち直るまでの過程等、リアルに描かれており、犯罪被害者支援の重要性とその困難さを改めて認識する事ができたように思います。

その後、質疑応答の時間がもうけられ、われわれ新入会員の質問に対し、途中から参加された萬年先生らが豊富な経験を踏まえられた的確な回答をされていました。
これまでの私にとって犯罪被害者保護といっても机上の空論でしかなかったのですが(本稿執筆段階でも未だ扱ったことはないですが・・・)、今回の研修を通して、犯罪被害者が受ける具体的な被害を考えることができたと思います。研修の途中まで、犯罪被害者支援委員会とミズリリーフラインとの関係は?犯罪被害者支援センターとの関係は?などと、実際自分がどのようにこの分野に携わっていくのか疑問だらけでしたが、研修が終わり、懇親会を経てなんとか研修を受けたといえる程度までには理解できました。

法曹関係者以外の方から、どうして悪者の見方をするのかという質問をよく受けますが、それに対する誤解を解くとともに、被告人だけでなく被害者の支援もしているのだということをもっとアピールしていくことも大切なのではないかと思いました。これからは今回の研修で学んだことを生かして、犯罪被害者の支援に貢献したいと思います。

最後になりましたが、お忙しい中われわれ新入会員のために講義していただきまして、ありがとうございました。

ITコラム 〜サルからの進化

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田邊 俊

遂に、私にもITコラムの順番が回って来ました!思い起こせば、修習生になるまでは、パソコンはおろか、ワープロさえ触ったことがなかった超アナログ人間であるにもかかわらず(因みに、現在の趣味は、蓄音機でのSP鑑賞です。)、何の因果か、ホームページ委員会に所属することになり、ITに関するコラムを書いているのですから、人生、何があるか分かりません。という訳で、色々な先生方がITコラムを執筆された後に、何について書けば良いのか悩みましたが、私とパソ\コンとの付き合いは、「サルにも分かる」と銘打たれたパソコン入門本からスタートしましたので、「コンピューターを使わなくても仕事には差し支えがない。」と考えられている年輩の先生方(当然ながら、うちのボスも含まれます。)に向けて、私が、どのようにしてサルから進化したのかをご紹介したいと思います。

まず、修習生になった私は、実務修習に向けて、起案のためにパソコンを使うようになりました(ワープロとしての使用)。勿論、キーボードの使用に慣れていなかったため、悪戦苦闘の日々を過ごしましたが、「特打ち」等のタイピングソ\フトを用いながら、少しずつキーボードに慣れて行きました。この修習生時代には、メールの利用も消極的で、インターネットも、「大人のインターネット」の利用に留まっていました!その後、うちの事務所では、私の就職を機会に、遅蒔きながらワープロからパソコンへの転換が行われ、LANも整備され、情報の共有化が行われるようになりました。

そして、この段階では、複数のメーリングリストに所属するようになったため(福岡の同期、研修所のクラス、修習地など)、メールも積極的に利用するようになり(コミュニケーション手段としての利用)、今では弁護士会のメーリングリストへの加入も増え、何日か出張をすると、100通余りのメールが貯まるという状態です(もう出張にもパソコンを持ち歩かないといけません。)。

さらに、インターネットも多用するようになり(情報収集手段としての使用)、判例検索は勿論のこと、何か調べものをしたいときには、ヤフーやMSNの検索サイトを利用し(相手方の会社の住所、郵便番号などの調査も容易です。)、出張の際には、路線の確認や、電車・飛行機の予約(インターネットを利用すれば割引などの特典が満載)、ホテルの予\約(オークションサイトを使えば、半額以下の料金での宿泊も可能)に重宝しています。加えて、ネットオークションの利用も、趣味のレコードやコンサートチケットに留まらず、書籍や日常品でも、キーワードを予\め登録しさえすれば、オークション会社から出品連絡がメールで入るという便利なシステムであるため、探している物の発見が容易になりました(余談ですが、オークションを通じて同好の士と仲良くなることも多く、弁護士会の一員として釜山を訪問した際には、自由行動時間中に韓国の大学教授と会い、オタク話に花を咲かせました。)。

以上、私とコンピューターとの関わりを披露させていただきましたが、この5年間で、ワープロから通信手段、さらには、情報入手手段へと進化しており、後は、情報発信手段(Hpの作成)への発展という課題が残されているだけです。

このように、典型的な文系人間の私でも、今では、コンピューターなしの生活など考えられない程になっているのですから、パソコンに慣れていない方には、パソ\コンの利用を強くお薦めします。この点、デジタルデバイドとは、ITを使う人と使わない人との間に生じる社会的・経済的な格差を意味しますが、最近宿泊した東京のホテルでは、テレビ代わりにパソコンが装備され、ルームサービスもパソ\コンを通じて依頼するシステムが採用されており、パソコンを使用しなければ生活が出来ないという時代の到来を強く予\感した次第です。

福祉の当番弁護士発足3周年記念シンポジウム報告

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吉田 知弘

初秋というのに残暑厳しい9月19日、岩田屋Zサイド夢天神ホールにおいて、福祉の当番弁護士発足3周年記念シンポジウムが開催されました。満場の聴衆に溢れた会場の様子を仰ぎ見るにつけ、この高齢者・障害者関連法務というものには強い社会的ニーズがあるのだと、改めて実感しました。

ところで、会員の皆様は、この「福祉の当番弁護士」という制度をご存知でしょうか。この制度は「専門相談者のための法律相談」とでもいうべき制度です。高齢者や障害者に関わる分野では、法的問題を含む事案でも、医療・保健・福祉等の分野に関わる行政や各種団体の実務者のところで、第一次的な把握がされることが圧倒的に多いと思われます。彼らはそれぞれの専門実務者としての立場から問題の要点を要領よく把握しているものの、法律知識に欠けるために対処方法がわからずに困っている。そこで、これを我々法律専門家に迅速に繋ぐために、専門実務者が抱える事例に関する法律相談を無料で受けられるように配慮した法律相談の仕組が「福祉の当番弁護士」なのです。この福祉の当番弁護士は、当会が全国に先駆けてスタートさせ、その後、九弁連内の各単位会で徐々に採用が進み、目下、岡山や大阪でも採用が具体的に検討されているなど、各般から強い期待が寄せられています。今回のシンポジウムは、この制度の発足3周年を記念して開催されました。

このような経緯もあって、このシンポジウムの開催にあたっては、九弁連や日弁連のみならず、福岡市・福岡県・市社協・県社協・医師会等、行政や医療保健分野の各般の共催を仰ぎました。単なる行事とはいえ、各般のご協力を賜ること自体が高齢者障害者法務にとって欠くことのできない専門実務者間の問題関心の共有と連携強化のために意義あるものと位置付けられていることをご承知いただければと思います。

さて、当日の司会進行は、当会の加茂雅也会員と原志津子会員という溌剌とした組合せで、会の円滑な進行に大いに寄与されました。最初に、福岡市保健福祉局介護保険課の古屋英明課長より「介護保険導入4年目を迎えた福岡市の取組」との題目でまとまったご報告をいただきました。

その後、基調講演として、大阪弁護士会の池田直樹先生より「『高齢の人・障害のある人の権利擁護と虐待防止』に向けて」と題して、基調講演を賜りました。池田先生は、高齢者障害者の権利擁護の活動に大変造詣が深く、虐待防止のために必要なことを抽象的にではなく、具体的な事案の中で取り得べき手段という形で事細かにご紹介いただき、その上で、虐待防止法を制定する必要性とそのための課題を分かりやすくご説明していただきました。また、各地の自治体などにおける虐待防止のための取組や対応方法のマニュアルなどもご紹介があり、参加者やパネリストからも大変な好評を得ていました。
その後、当会の宇都宮英人会員をコーディネーターとし、古賀美穂会員ほか各般から多数のパネリストをお迎えしてパネルディスカッションが催されましたが、虐待を発見した場合の通報義務と実務者に課せられる保秘義務との調整をどのようにして克服するのかが重要な問題となるという共通認識ができたように思いました。

その他、諸々、この狭いスペースで語り尽くすことはできませんが、引き続き催された懇親会を含め、大いに盛会であったことをご報告します。どうぞ、会員の皆様にも、この高齢者障害者法務の分野に対するご理解と積極的なご参加をお願いするものです。

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