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取調べ可視化全国一斉集会・福岡会場

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徳永 響

第一 裁判員制度に関する法案などが国会へ提出されたことによって刑事司法改革の全容が明らかになりつつありますが、弁護士会が求めていた「取調べ可視化」は法案に盛り込まれていません。

しかしながら、取調べ可視化は、弁護士会が冤罪防止の観点から長年求め続けてきたものであり、現時点に至ってもその重要性はいささかも色あせるものではありませんし、むしろ、裁判員制度が導入され裁判員に分かりやすい裁判とするためには、取調べを可視化しておくことが必要不可欠とさえいえます。

近時はマスコミでも取り上げられることが多くなって世間の注目も低くなく、裁判員制度の開始までにはなんとしても実現しておかなければならない緊急の課題です。

かかる事態を受け、様々な人々に取調べ可視化の重要性を認識してもらい、ぜひとも「取調べ可視化」を実現させるべく、全国一斉集会が開催される運びとなりました。

福岡では、可視化の面で日本は諸外国に遅れをとっているとの前田豊会長の挨拶を皮切りに、全国に先駆けて平成一六年三月二五日に福岡県弁護士会館三階ホールにて集会が開催されました。

第二 集会では、まず、取調べ状況を録音したテープが証拠として提出された松山事件・仁保事件を取り上げた「ザ・スクープ」(テレビ朝日)のビデオ上映が行われました。

録音テープの中には、被疑者に対して「南無阿弥陀仏で話せ、○○君」「南無阿弥陀仏で話せ、○○君」「南無阿弥陀仏で話せ、○○君」と何度も繰り返したり、「悪いようにはとりはからん」「君だけの罪ではない、社会の罪だ。」というように強要・甘言・偽計を尽くして自白を迫る取調べの実態が録音されており、自白を獲得せんがために被疑者を篭絡する取調べを知ることができました。

また、被疑者はやっていないことも自白しなければならないため、取調官から様々な誘導をうけることになります。

その結果、被疑者自身が最後に捜査官に対して、自分が間違ったことを供述しているかどうかを聞くかのようなシーンも録音されており、様々な客観的事実が自然に供述(録取)されているからといって、供述調書の任意性を裏付ける事情にならない場面がありうることを目の当たりにすることができました。

第三 ビデオ上映に引き続いて、日弁連取調べ可視化ワーキンググループの小坂井久弁護士(大阪弁護士会)から、取調べ可視化実現に向けての展望についてご講演いただきました。

講演では、現在の刑事司法が抱える大きな病理現象としての調書裁判の問題点は、調書の内容が正しいか否かについて事後的な検証ができないところにあると指摘され、調書内容を事後的に検証するためには、書面による取調べの記録化や「読み聞け」だけの録音・録画では足らず、取調べの全過程をビデオ録画・録音しなければならないことを明らかにされました。

また、取調べを可視化すると、取調官と被疑者の間に信頼関係が保てず、真相解明を妨げるといった根強い反対論に対しては、密室でしか真実が語られないという実証や経験則は存在しないと断じ、可視化によって調書が歪められなくなる結果、捜査官にとっても証拠保全の意味あいを持つことになり、むしろ真相解明に資することや違法取調べが減少する側面を有用性として掲げられました。

イギリス、台湾、韓国といった諸外国での導入事例を見れば、既に取調べ可視化はグローバルスタンダードになっているとのことです。

その他多岐にわたる論点を、パソコンを使った画面をスクリーンに映し出して的確迅速にご講演いただきました。

第四 自白強要や暴行による取調べと聞くと、「昔の取調べ」であるとか、「重大な強行犯だけだ」などと考えがちですが、船木誠一郎弁護士(福岡県弁護士会)から、担当された贈賄や公職選挙法違反事件でも、机をガンガン叩きながらの取調べや、被疑者が灰皿を投げつけられボールペンで胸を突かれたりする取調べ実態が報告され、いつ何時、自分が受任した被疑者がそのような取調べを受けるかもしれないとの現状認識を新たにすることができました。

第五 船木弁護士の報告に引き続いて質疑応答が行なわれ、市民の方から可視化を導入することによって組織犯罪を立件できなくなってしまうのではないかとの質問、会員からは捜査側の取調べの書面による記録化に対抗するための被疑者ノート(その日にどのような取調べがあったかを記録するために弁護士が被疑者に差入れるノート)の導入事例への質問などが相次ぎ、予定の時間を超過しながら盛況のもとに閉会しました。

第六 本集会は急遽日程が決定したこともあり、全国に先駆けて開催される集会であるにもかかわらず、一〇数人しか参加者がいない事態を危惧しておりましたが、興味深いテーマであったためか、五〇名にものぼる参加者を得て開催できましたことについて関係各位に深くお礼申し上げる次第です。また、懇親会の席では、可視化に向けより具体的に活動をすべきだとの頼もしい意見表\明があったこともあわせてご報告させていただきます。

当番弁護士日誌 〜平成16年3月9日〜

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花田 茂治

私は、去年の10月に弁護士登録をした五六期の花田です。今回は、私が当番弁護士研修で去年の12月に出動し、その後、扶助申請をして受任した刑事事件について書かせていただきます。

当番弁護士研修とは、指導担当弁護士の方と共に当番弁護士として出動し、指導担当弁護士の方の接見を隣で傍聴するという研修です。研修の日の昼、私の事務所に出動要請のファックスが入りました。被疑者の罪名は恐喝未遂。

私は、指導担当弁護士の方と連絡をとり接見室で待ち合わせて、その後被疑者と接見しました。事件の内容は、共犯者がいる、共犯者が主導的に行ったものである、被害者に数十万円支払う旨の誓約書を書かせたが結局連絡が取れなくなり誓約書は捨てた、被害者にも共犯者の名を騙り女性に手を出していたという落ち度があるというものでした。私の受けた感じとしては、今回の事件は後輩同士のいざこざに被疑者が巻き込まれたという感じでした。また、被疑者は少年時代に前歴があり、少年院に行った経験もありましたが、その後、真面目に仕事をしており、その最中に事件に巻き込まれたものでした。ただ、被疑者は事件に巻き込まれた自分の甘さを後悔しており、今後は気を付けたいと言っていました。

最大のポイントは、最後の検察官調べの時に、被疑者が検察官から、弁護士を付けて被害者との間に示談を成立させるよう勧められたという点でした。おそらく示談が成立すれば起訴猶予になる可能\性が大でした。しかし、問題が一つありまして、それは検察官が何かしらの処分をする勾留満期まで4日しかないという点でした。4日といっても、当番当日と検察官が処分を決め上司の決裁を受ける最後の1日を除くと実質的には2日しかないという状態でした。

そこで、事件をいっぱい抱え事務所を経営していかなければならない指導担当弁護士の方から、新人で抱えている事件も少ない私にお鉢が回ってきたのです。初めての個人事件となるこの被疑者の弁護活動に私はやる気満々でした。また、更生途中であった被疑者の今後を考えると起訴されるか否かは大きな違いだと思いました。そこで、指導担当弁護士の方の「君、単独でやってみる?」との言葉に、「はい」と二つ返事をしたのでした。

接見を終え事務所に戻り、すぐに被疑者の母親に電話をしました。母親は、子供のためには何でもやる、また、被疑者の雇い主も被疑者のことを気にかけてくれていると話しました。そこで、明日の朝一番に、事務所に来てもらう約束をして電話を切り、それから、指導監督を誓う旨の検察官宛の上申書を母親の分と雇い主との分、起案しました。

そして、翌朝、母親と面会をし、示談の成否で被疑者の処分が決まってしまう可能性があることを伝え、今日か明日、被害者のところに謝罪及び示談交渉に行くかもしれないので示談金を用意するよう伝えました。そして、母親に被疑者の指導監督を責任持ってやる旨約束してもらった上で上申\書に署名押印してもらい、雇い主の上申書を言付けました。

その後、被害者と連絡を取り、その日の晩に、自宅に伺い謝罪したい旨を伝えたところ、被害者の承諾が得られたので、母親と連絡を取り、その日の晩、共に被害者の自宅に行くことにしました。

被害者の自宅に向かう途中に被疑者と接見し、今から示談に行く旨伝え、二度と被害者に近づかないとの誓約書を書かせ、それを持って被害者宅に行きました。

さて、示談の相手方ですが、被害者が未成年でしたので、寛大な処分を求める旨の上申書は被害者の名義で問題はないとしても、示談は被害者の両親も交えて成立させる必要がありました。このため、被害者の自宅では、私と被疑者の母親、そして被害者とその両親の五人で話をしました。時間は夜九時ころでした。まず、被疑者の母親が泣きながら土下座をして謝罪をしました。これに対して、被害者の両親は「いつ立場が変わるかは分かりませんので、どうぞ頭を上げてください」と言ってくれ、示談は順調に進むものかと思われました。しかし、謝罪が一段落し、示談金の数万円を提示したところ、被害者の父親がすごい剣幕で怒り始めたのでした。この数万円という額は、被疑者の母親が集めることのできる精一杯の額でありました。しかし、被害者の父親は、こんな端金では納得できないと額の増額を請求しました。被害者の父親としては当然の反応だったのかもしれません。しかし、その父親の反応を見た被害者が、「俺は金なんて要らん」と自分の父親に対して怒鳴り、怒って家から飛び出してしまいました。結局、金額の点で示談は不成立となり、また、上申\書を書いてもらう予定であった肝心の被害者もいなくなったことから、その日はそのまま帰りました。

残された日は、後2日、検察官の決裁も考えると、実質は明日1日だけという状態でした。そして、家を飛び出した被害者は携帯電話を持っておらず、連絡を取る手段が全くなく、また、一度家を飛び出したらいつ戻るか分からない状態でした。これで、勾留満期までの示談成立は絶望的になりました。

その次の日、私は、示談成立が無理だった場合のために、検察官宛の報告書を作成し、母親の上申書と雇い主の上申\書と共に、それらを持って検察官との面会に行きました。そこで、検察官に被害者とその母親は被疑者に対する宥怒の念を持っているが、今のところ示談は成立していない旨事情を話しました。

このような状態でいたところ、昼過ぎに被害者の母親から私に電話があり、被害者が家に戻ってきたこと、被害者及びその母親としては、今後被疑者が接触することのないよう弁護士に間に入ってもらって示談書を交わす方がよいと思っていること、そして被疑者を許す気持ちであることを伝えられました。

そこで、再び、その日の夜、今度は私一人で被害者の自宅を尋ね、被疑者と被害者及び被害者の母親との間に示談を成立させ、被害者には、寛大な処分を求める旨の上申書を書いてもらいました。なお、父親については、どのように思っているのか、聞くのも怖かったため、この時は父親のことは全く触れずに話を進めました。

このようにして、被害者との示談書、被害者の上申書を何とか揃え、勾留満期の当日朝一番で検察官と面会をして、これらを提出しました。

その後、午後には無事起訴猶予となり、釈放されたとの連絡がありました。

このように今回は、まさに、時間との勝負という一面がある起訴前の弁護活動を経験できました。ただ、新人で時間のある今だけしかこのような事件に十分対応できないのではという感想も正直なところです。

その後、被疑者が母親孝行している等の話を母親から聞き、今回の事件に接することができて良かったと思っています。

俄然、利用しやすくなる行政訴訟

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池永 満

今期通常国会に提出される三大司法改革法案の一つとして「行政訴訟法改革」が提出されることが固まった。司法制度改革審議会意見書では、単に「司法の行政に対するチェック機能を強化する方向で行政は法制度を見直す」という極めて理念的な方向性が打ち出されただけで、どの程度の改革が具体化できるか、はなはだ心もとない状況での行政訴訟検討会の出発であったが、日弁連と検討会委員や与党若手の会等の連携した抜本改革を求める声と運動が大きく盛り上がった反映もあり、検討会委員全員が一致したものだけを第一トラックとして取りまとめるという検討会の基本姿勢はつき崩せなかったものの、確実に改革を進めうる内容で取り纏められたと評価できよう。以下、ポイントを紹介する。

確実に門戸が広がる行政訴訟

取消訴訟の原告適格が拡大される。これまでのように法律の形式や規定ぶり、行政実務の運用等にとらわれずに、法律の趣旨、目的や処分において考慮されるべき利益の内容・性質等を考慮する等、原告適格が実質的に広く認められるために必要な考慮事項を解釈規定として明文化する。

救済方法が広がる行政訴訟

新たに義務付け訴訟も法定される。従前は行政行為を直接義務付けることは出来なかったが、司法による救済の実効性を高めるため、行政庁が処分すべきことが一義的に定まる場合には、一定の要件のもとで行政庁が処分すべきことを義務付ける訴訟類型が採用されることになった。なお申請に対する処分の義務付けを求める訴訟は、申\請拒否処分の取消訴訟等とともに提起することとなる。

新たに差止訴訟も法定される。取消訴訟による事後救済の他に行政に対する事前の救済方法を定めることによって司法による救済の実効性を高めるため、行政庁が特定の処分をしようとする場合で、その処分をしてはならないことが一義的に定まるときには、一定の要件のもとで行政庁が処分することを事前に差し止める訴訟類型が採用されることになった。

審理が充実・促進される行政訴訟

審理の充実・促進の観点から、訴訟の早い段階で、処分の理由・根拠に関する当事者の主張及び争点を明らかにするため、新たに釈明処分の特例を定め、裁判所が行政庁に対し、裁決の記録や処分の理由を明らかにする資料などの提出を求める制度が新設される。

おこしやすくなる行政訴訟

抗告訴訟の被告を、処分をした行政庁ではなく、行政庁が所属する国または公共団体とする。国や公共団体に所属しない行政庁にあっては処分をした指定法人などが被告となり、いずれでもない場合には、処分にかかる事務の帰属する国または公共団体が被告となる。訴えの提起にあたり、処分をした行政庁の特定は被告の責任とし、その不特定や誤りは原告の不利益にならない。

取消訴訟の出訴期間を『処分があったことを知った日から六ヶ月(現行は三ヶ月)』に延長し、出訴期間を不変期間とせず、期間内に提訴できなかったことにつき正当な理由がある場合には、期間経過後でも提訴できることとする。

救済の迅速性・実効性が高まる行政訴訟

執行停止の要件を緩和する。現在の規定にある「回復困難な損害」を「重大な損害」のような文言に改め、要件該当の有無の判断に際し、損害の程度や処分の内容及び性質も考慮されるようにする。

仮の義務付け、仮の差止めの制度を法定する。義務付け訴訟や差止訴訟において、本案判決を待っていたのでは償うことが出来ない損害を生ずるおそれがある場合に迅速かつ実効的な権利救済を可能にするために、裁判所が行政に対し処分をすべきことを仮に義務付け、または処分をすることを仮に差止める裁判をする『仮の救済の制度』を新設する。

訴えの対象が広がる行政訴訟

行政の活動・作用が複雑多様化したことに伴い、「行政庁の処分その他の公権力の行使に当たる行為」を対象とする取消訴訟中心の抗告訴訟のみでは国民の権利利益の実効的な救済が図れないので、取消訴訟の対象となる行政の行為に限らず、広く国民と行政との間の多様な関係について権利義務などの法律関係を確認するために、確認訴訟を積極的に活用できるようにする。

尻込みや敗訴の言い訳が難しくなる行政訴訟

これだけ使い勝手が良くなる行政訴訟改革に、弁護士にとって何か不都合が生じるであろうか?

ひとつだけはっきりしていることは、「行政訴訟はやるだけ無駄ですよ」「法律が悪いから行政訴訟は負ける」「裁判所は行政べったりですから」などと御託を並べたり、「行政事件はちょっと・・・」と尻込みすることはもはや許されないということであろう。ちなみに、新司法試験では、公法・行政法が試験科目として採用されたので、数年後には行政事件に強いのは当然とする後輩たちが続々と登場するだろう。

こうした展開を踏まえて、福岡県弁護士会では、本年四月から、行政訴訟改革に伴う研修会の開催や行政問題委員会のメンバーを中心に「行政事件一一〇番」活動を定期化し、近い将来における「行政事件当番弁護士制度(仮称)」の立ち上げ準備を進める予定です。日本弁護士連合会においても全国規模の行政事件支援センターや行政法実務学会などを設立しマンパワーを強化する作業に着手しています。会員の皆さんの積極的な参加を期待します。

最高裁判所弁論出席感想記

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松永 摂子

平成16年1月23日、上告中の刑事事件につき、最高裁判所で弁論が行われた。

最高裁の弁論に出席するというのは、おそらく最初で最後の貴重な経験。誰もが一度は行ってみたいであろう最高裁、その様子をちょっとだけお伝えしたい。

1 その前に、何で最高裁?

本件は、いわゆる路上生活者である被告人が、路上で自転車の前かご内にナイフを所持していたことから銃刀法違反で逮捕された、という単純な事案である。

単純とは言え、被告人にとって、ナイフは生活必需品。第1審弁護人(美奈川成章会員)は、無罪を主張して争っていた。

ところが、その後、予期せぬ事態に。裁判が進行するにつれ、論点整理ならぬ論点拡大の一途をたどり(訴因変更の可否、公訴権濫用、不告不理原則違反、控訴審における職権発動の限界、攻防対象論の妥当する範囲等々・・・)、とうとう最高裁で弁論が開かれる“大事件”へと発展していったのである。

2 いよいよ最高裁。

(1)最高裁は、弁論の準備に余念がない。弁護人は、美奈川成章会員、古賀康紀会員、船木誠一郎会員という錚々たるメンバーに、おまけのように私が加わっていたのだが、事前に、何名出席するのか、誰が弁論を述べるのか、法廷では上告趣意書に記載されたとおりの順番で着席せよ、弁論を述べる者は起立せよ、等々の確認・注意事項が満載である。しかも、なぜか私だけ登録期を尋ねられ、身辺調査(?)らしきことも。なかなかガードが固い。

(2)弁論が開かれたのは、第二小法廷。裁判官の背後に壁画のようなデザインが施された法廷を期待していたので、別のシンプルな法廷だと知った時の落胆は大きかったが、それでも、一面に引かれた絨毯はふかふか、天井の両側には間接照明が灯り、上品で落ち着いた雰囲気を醸し出しており、どこかの高級ホテルの会議室のよう。裁判関係者席は茶色の革張りで、正面の裁判官席方向を向いており、その座席の中央から左側にかけて、弁護人が指示されたとおりに着席する。ほどなくして、ベルボーイ(いえ、廷吏)が左側の扉から現れ、「チリン、チリン♪」と高尚なベルの音を響かせて「只今より開廷します。」と告げると、面前の観音開きの扉が自動で開き、裁判官4名がスルリと入廷された。もはや法廷ではなく、“劇場”といったところか。

難解な議論は大御所の先生方にお任せし、弁論を述べるという形式面を担当していた私は、ここで粗相があってはならないと、事前に読みの練習をしたのは言うまでもない。練習の甲斐あって無事終了し、あっという間に閉廷となった。

3 ところで被告人は・・・。

弁護人的には貴重な体験となったこの事件。が、当の被告人はというと、何で自分の事件が最高裁にまでいってしまうのか、困惑気味。ソインヘンコウ、フコクフリゲンソ\ク、コウボウタイショウロンなるものを説明しても、“ジュゲム ジュゲム ゴコウノスリキレ・・・”のようなもので、理解が得られそうにない。きっと、「そんなものはどうでもいいから、早く裁判を終わらせてくれ」というのが本音に違いない。

私のIT機器の買い方

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田上 尚志

思えば私が最初にコンピューターを買ったのは,1997年のことだった。ウィンドウズ98が出る少し前のことで,最初に買ったIBMのデスクトップ機だった。現在は自宅で3台目のデスクトップパソコンを使い,事務所では3代目のノートパソ\コンを使っている。この他,プリンターも買ったし,スキャナーも買った。タブレットも買ったし,CD−RもMOも外付けハードディスクも買った。

この私のコンピューター遍歴の中で,買って良かったと思ったもの,買わなきゃ良かったと思ったもの,いろいろある。そんな中で,少しばかりは買物が上手くなったのか最近はハズレはない。そこで,私なりのIT機器の選び方を紹介させて頂こうと思う。

まず,デスクトップ機だが,コンピューター好きの方なら遊んで楽しい。コンピューターグラフィックやゲームなどを楽しもうと思ったら,性能の良いデスクトップ機の方がノートパソ\コンよりも良いだろう。また,キーボードはデスクトップの方が明らかに打ちやすいので,疲れにくいのではないだろうか。

ノートパソコンを買う基準は,バッテリー駆動時間が長いこと,軽いこと,画面が見易いことの3つである。移動の際,ノートパソ\コンも持っていって出先で仕事をする。流石に喫茶店などで準備書面を書くわけにも行かないが,ITコラムの記事などなら空き時間で処理してしまえる。出先に必ずしも電源があるとは限らないので,バッテリー駆動時間は重要だ。また,ノートパソコンだけを持っていくわけではないので重いのはダメだ。できれば1キログラムを切るものが望ましい。あと,いくら軽くて小さいからといって,画面が見にくいと仕事がしづらい。できれば11.3インチ以上の画面が欲しい。

私がコンピューターを買うときは,一緒にコンピューターのディスプレイ用のフィルターを必ず買うことにしている。フィルターをつけるのとつけないのでは目の疲れが全く違う。私はフィルター無しだと1時間ほどで頭痛と吐き気がしてくるのだが,フィルターがあれば頭痛や吐き気に悩まされることもない。

CPUにはそれほど高度な処理能力はいらない。仕事で使うのはせいぜいワープロソ\フトや表計算ソ\フトである。CPUに一番不可をかけるのは実は子供がやるようなゲームであって,ワープロや表計算は実はコンピューターにとっては楽な仕事なのである。メモリーお金が許す限りたくさんあった方が良いが,ハードディスクは大きくなくてよい。私のコンピューターにはソ\フトがかなり入っているが,それでも10ギガバイトも使っていない。

プリンターは高いものを買った方が良いと思う。粒状感なく印刷できる写真画質プリンターを買えば,自宅で写真のカラーコピーもできる。また,去年A3まで印刷できるカラープリンターを買ったのだが,仕事でとても重宝している。とにかく,プリンターは少し張り込んだ方が良いだろう。

あるととても便利なのがスキャナーである。本や相手の準備書面を読み込んで引用したり,主張対照表を作ったり,キーボードでは打ち込めなくても,スキャナーで取り込めばOCRソ\フトで文字返還できる。

画像入りの資料はフロッピーディスクには入りきらないことも多いので,CD−RやDVDを焼けるようにしておいた方が何かと便利だ。そんなわけで,コンピューター本体,高性能プリンター,スキャナー,大規模記憶媒体が三種ならぬ四種の神器といったところ。これだけあれば最低限のSOHOにはなるだろう。

でも,羨ましいのは原田直子先生の赤いパソコン。あれって,いいよねえ。エレガントで。

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