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カテゴリー: 憲法リレーエッセイ

◆憲法リレーエッセイ◆ 「過去のこと」

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会 員 天 久 泰(59期)

9月のある日、テレビでニュースを見終わった後、妻に、「今、辺野古を見ておかないと後悔しそうだ。10月中に行きたい。」と言うと、「じゃあ行っておいで。」とあっさり承認が下りた。理由は詳しく説明しなかったが、私の表情から決意のほどをくみとってもらえたようだ。辺野古行きは、官房長官の定例会見での一言で思い立った。米軍・普天間基地の辺野古移設をめぐる問題は「過去のこと」であるという一言。

10月中旬の週末、那覇空港からレンタカーを飛ばし、1時間半ほどで名護市・辺野古崎に入った。薄曇りの空。前週に上陸した台風の影響がまだ感じられた。
辺野古の集落に近づきながら、遠目にシュワブの施設が見えた。「辺野古崎」という小さな岬を挟んだ両岸にへばりつくような形で、米軍・キャンプシュワブは存在する。日本政府が米軍・普天間基地の基地機能の移設先と決めた地域。「移設」というが、耐用年数200年と言われる基地の「新築」であることは誰にでも分かる。
漁港近くに、10年ほど抗議の座り込みや監視活動をしているテント村があった。抗議活動の歴史を説明する写真とガイド。私の後にも、途切れることなく見学者が現れていた。

港には小型の抗議船が繋留されていた。船に近寄って見ていると、私が乗りたそうにしていると見えたのか、声をかけてくれた人がいた。「今日の抗議活動は終わった。シュワブの沖を通って母港に船を戻すけど、乗っていくかね。」と聞かれた。笑顔で乗り込む私の重みで船が傾いた。
波飛沫を上げながら、船はあっという間にシュワブの沖に移動した。紺碧とエメラルドグリーンが順繰りにやって来る。実際の辺野古の海は、テレビ映像で見るよりはるかに美しかった。
少し離れた沖には、民間の警備会社の船が見える。沖縄防衛局が導入した船。シュワブの施設内の浜には蛍光色の太線が見えた。太線は大量のフロート(浮き)だった。前週に沖縄を直撃した台風は、基地施設内として立入禁止の区域を示すオレンジ色のフロートを浜に打ち上げたのだ。
同乗するガイドから、漁業補償金として名護漁協に30億円以上が支払われたが、辺野古周辺とその他の地域の組合員との間で分配額にかなりの差がつけられたことが問題となっていると聞いた。

乗船して30分で船の母港に着いた。そこから先ほどのガイドにお願いし、シュワブの正面ゲート前まで車で移動した。
そこには抗議行動をしている50名ほどの人々がいた。若者も、おじーも、おばーもいた。地元の人もいれば県外から来た人もいた。パンを差入れる人、激励のあいさつをする人、琉球三線(さんしん)で民謡を歌い上げる人。提供するものはさまざまだった。差入れの「もずく」を紙コップからすくって食べると海の味がした。
なぜ福岡からやって来たのかと尋ねられることはなかった。そこでは経緯や動機はある意味どうでもよいことだった。その場に居合わせる目的だけが、強く、はっきりとしていた。
正面ゲートの金網フェンスの前には制服姿の警備員が20名ほどいて、搬入搬出の車両とのトラブルが起きないよう警戒している。正面ゲートの前に行ってみる。すると一人の警備員と視線が合った。彼は私だけに聞こえる大きさで、「自分たちも本心は基地反対だから。これは仕事。」と、陽に焼けた顔に少しだけ笑みを浮かべて呟いた。
午後4時になり、普天間基地の辺野古移設に反対するコールが何度も繰り返され、三線の音色で参加者全員が踊り、旗を振り、その日の抗議行動が終わった。
帰途に着く頃には日が暮れていた。明日も今日と同じ一日が繰り返されるのだろう。

民主主義に終わりはない。すべての政治問題について、「過去のこと」と判断を下すのは、権力者ではなく、最終的には国民である。下した判断に誤りがないか、何度でも検証する義務と責任が国民にはないだろうか。
小さな島に厳然と横たわる「今そこにある」問題は、決して「過去のこと」ではない。辺野古で会った、命と平和と未来を懸けて訴える人々の姿は、私にそう教えてくれた。

◆憲法リレーエッセイ◆

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会 員 迫 田 登紀子(53期)

○ある少女の話○

私が登録して間もなくの2002年2月、全国に先駆けて福岡県弁護士会で当番付添人制度が始まった。おかげさまで、50名を超える少年たちとの出会いの機会を戴いた。

中でもA子さんのことは、とりわけ強く記憶に残っている。出会った頃のA子さんは17歳。背の高い、健康的な美人で、清潔感にあふれ、礼儀も正しい。およそ鑑別所に似合わないな、というのが第一印象だった。

非行事実は覚せい剤の自己使用。痩せる目的で、売人から短期間に頻回に購入しては、自分で注射したという。

面会を重ねるにつれて、彼女が幼いころに、実父から種々の凄まじい暴力を受けたことを知った。生きることに意味が見いだせないでいること、深い孤独をかかえていることなどが分かった。私は、母親が彼女のことを愛しているというメッセージを発し続けることしかできなかった。

審判結果は、残念ながら少年院送致。罪滅ぼしに、少年院でも面会を続けた。

1年後、帰ってきました、と電話をもらった。昼食を、と誘った席で、彼女は少しずつ話をしてくれた。

“先生。私、少年院に行ってよかったと思っているよ。覚せい剤を注射されたお母さんネズミが、赤ちゃんネズミを食べる映画を観て、怖かった。覚せい剤をやった子たちが、輪になって、自分たちのことを話し合った。ああ、私とおんなじなんだって分かった。みんな、さみしいんだよね。とっても勉強になったし、もう覚せい剤はしない。

でもね、本当の勉強は今からだと思っている。だって、これからは、家族と喧嘩になったり、好きになった人から嫌われたりするかもしれない。たぶん、たくさん辛いことがあるよね。その時がきても、薬とかに頼らないで、乗り越えるね。それが、私の本当の勉強。”

わずか1年あまりで、生きる力を取り戻した彼女に、私はただ感服するしかなかった。

そして、それが実現したのは、鑑別所、家庭裁判所、少年院等の彼女に携わった多くの公務員の方々が、彼女に対して「個人として尊重する」という姿勢を貫いてくださったおかげだと感じている。憲法13条は、今も確かに根づいている。

○私の実感○

借金、離婚、生活保護、学校や職場でのいじめ、刑事事件。弁護士として日常的に接しているこうした事件。その背景に、何らかの暴力が絡んでいることが多い。

誰かからの暴力が、受けた者の生きる力を奪う。生きる力を奪われた者は、引きこもり、社会から逸脱し、時に死に追いこまれる。あるいは、別の誰かに暴力をふるうことでしか自己回復ができない。

このマイナスの連鎖を食い止める手立ては、1つしかない。暴力を受けた人も、振るった人も、周囲から人間として承認され、安心して自らの思うところにしたがって自己決定できる主体として回復していくこと。

これらのことに、客観的根拠があるかは分からない。しかし、A子さんをはじめとする依頼者の方々との出会いを通じて、私が確かに感じている実感である。

そして、多くの法曹の方々も同じような体験をお持ちではないかと推測する。

○平和を考えるにあたって○

平和の問題を考えるとき、国家を人間から切り離されて存在する得体も知れない力と考えることは危険ではないだろうか。

国家の三権を担っているのは公務員という名のつく生身の人間であるし、国家を構成しているのは言うまでもなく個々の国民である。とすれば、現実の国民の集合体が国家であると考える方が自然である。

個々の国民に対する暴力が、その個人を身体的・精神的のみならず社会的にも破滅させるのならば、国家に対する暴力も、その国家の構成員を、身体的・精神的・社会的に破壊することになる。そして、その構成員は、いずれ別の誰かに暴力をふるうことで回復を図ろうとするのではないだろうか。

武力による紛争解決は決して平和をもたらさない、と思えて仕方がない。
暴力と人間と国家の関係。司法という国家権力の一部に関わっている体験を、今こそ、多くの人に語らないといけないと感じている。

◆憲法リレーエッセイ◆ 憲法市民講座のご報告

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会 員 上 野 直 生(66期)

1 はじめに

去る平成26年7月11日、福岡県弁護士会北九州部会主催の「憲法市民講座」を開催いたしましたので、ご報告させて頂きます。

2 開催の経緯

「憲法市民講座」は、当部会の憲法委員会が企画し、8年前から年2回のペースで開催しています。市民の方々を対象とした公開講座で、各界から講師をお招きし、憲法に関連する課題や問題について学習します。

今回は、「集団的自衛権は必要か~日本をめぐる国際情勢と日本外交を概観しながらの検討~」というタイトルで、シンクタンク「New Diplomacy Initiative(ND:新外交イニシアティブ)」事務局長であり、第2東京弁護士会所属の弁護士でもある猿田佐世氏を講師としてお招きし、講演を行っていただきました。

猿田氏は、アメリカへの留学経験及びニューヨーク州弁護士資格を活かし、ワシントンをベースに日米の議員・学者・報道関係者のサポートを行い、米議員・研究者の紹介や面談・取材設定などを行われています。最近のご活動としては、稲嶺進名護市長の訪米行動(今年5月15日から9日間)を企画し、同行しました。

3 講演内容

猿田氏より、「集団的自衛権行使の是非」及び「閣議決定を通じた憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認の可否」という2つの論点について、分かりやすく解説していただきました。

まず、平成26年7月1日に行われた集団的自衛権行使容認の臨時閣議決定以前の、集団的自衛権行使に関する政府見解をご紹介いただいた上で、解釈改憲による集団的自衛権行使容認の問題点について、立憲主義の視点より詳しく解説していただきました。

次に、7月1日の閣議決定の内容を踏まえ、集団的自衛権行使による外交上及び安全保障上の問題点について、アメリカによる湾岸戦争介入などの事例に基づき具体的に説明していただきました。歴史的に見て、集団的自衛権の名の下に、経済大国から中小国に対する軍事行動が一方的に行われたこと、それにより国家間の軋轢が生じたことを顧みる必要があるのではないかとの問題提起がありました。

さらに、猿田氏のワシントンなどにおける活動経験に基づき、日本の集団的自衛権行使に関するワシントンにおける議論状況やアメリカの政治家及び有識者の見解を分析し、その上で、新しい形の日米外交の必要性を説明していただきました。「日本通」として知られる知日派の米議会議員でさえ、今回の集団的自衛権の問題については十分理解しておらず、在沖米軍普天間基地の問題に触れても、「沖縄?そこには2万人くらいは住んでいる?」との返答が帰ってきたというエピソードの紹介もあり、政府や官僚主導による外交のみでは、外交の内容が偏り、質が劣化してしまうのではないかと考えさせられました。

4 参加者のご感想

新聞のイベント欄で告知していたこともあり、講座には約70名の市民の皆様(弁護士20名程度を含む)に参加をいただきました。

参加者からは、「ワシントンから見た日本の集団的自衛権行使容認に対する評価が理解できた」、「政府間レベルの外交だけでなく、市民レベルでの新しい形の外交があることがよく分かった。」等のご感想をいただきました。

5 最後に

参加いただいた市民の方々より、「法律の専門家として、市民の権利を守る先頭に立って欲しい。」、「今後も、弁護士会による憲法市民講座の継続を希望します。」等の声が多数寄せられました。

このような市民の皆様の声により、改めて弁護士が果たすべき社会的責任の重さに気付かされると同時に、次回憲法市民講座開催に向けての大きな励みとなりました。
今後も、市民の皆様と一緒に、日本国憲法についてしっかりと考える契機となる憲法市民講座を継続していきます。会員の皆様もぜひご参加下さい。

◆憲法リレーエッセイ◆ 福岡県弁護士会定期総会決議に対する賛成意見

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会 員 前 田 豊(28期)

1 私の父は19歳の夏、昭和20年8月9日、長崎の爆心地から1.7kmの三菱造船所稲佐製材工場で被爆しました。熱線と爆風で火傷を負い、今も身体にケロイドがあります。私の母は看護婦として佐世保海軍病院諫早分院で被爆者の看護をしました。私が学んだ諫早市長田小学校(当時国民学校)は被爆者の臨時の病院・収容所となりました。中学校の裏手には被爆者の無縁墓がありました。8月8日北九州八幡の空襲のため煙で視界がさえぎられる状態でなければ、8月9日は小倉に原爆が投下されていました。
長崎では約7万人、広島では約14万人(昭和20年12月まで)が死亡しました。沖縄では地上戦で多数の一般市民が死傷し、東京、福岡をはじめ各地の空襲で多数が死傷しました。合計すると一般市民約80万人が死亡しました。
兵士の死亡は約230万人、東京の千鳥ヶ淵には各地で戦死した兵士の数が石碑に書いてあります。ガダルカナル、インパール、中国などで補給を軽視した無謀な作戦が行なわれ、多くの兵士が餓死・病死を含めた広い意味の餓死をして戦死しました。戦死した兵士約230万人のうち約6割が広い意味の餓死であったとの推計もあります(藤原彰「餓死した英霊たち」)。
こうして、一般市民約80万人、兵士約230万人、合計約310万人が死亡し、周辺諸国にはその何倍もの犠牲者を出し被害を与えました。

2 日本国憲法はこれらの尊い犠牲をはらった戦争を放棄するという決意で制定されました。
憲法前文は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」と規定しています。私は前文のこの部分が憲法の最も重要な基礎であり憲法の源泉であると思います。
憲法第9条は、第1項で、国際紛争を解決する手段としての戦争と武力による威嚇及び武力の行使を永久に放棄し、第2項で、陸海空軍その他の戦力は保持しない、国の交戦権は認めないと規定しました。憲法第9条第2項は戦争放棄のエッセンスであり最も重要なものであると思います。
戦後の変化のなかで、「日本が急迫不正の侵害を受けたときの自衛のため必要最小限度の実力行使は許される。」との政府解釈で、自衛隊その他の制度ができました。それでも自衛隊は戦力ではなく、日本が急迫不正の侵害を受けないときの実力行使は許されず、集団的自衛権は認められず、国の交戦権は認められない、というのがこれまでの政府の方針でした。それが憲法第9条のもとで許容しうる最大限度の枠組みでした。
ところが、安倍首相はこの枠組みを越えて、政府解釈で、「日本が急迫不正の侵害を受けないときでも実力行使が許される。集団的自衛権が認められる。」という読み替えをしようとしています。これは、憲法第9条の下では認められない解釈です。
憲法の立憲主義は権力者の権力濫用を憲法で抑えるというものであり、憲法第99条に公務員の憲法尊重擁護義務が規定されています。憲法第9条を超えて集団的自衛権の行使を認めることは、憲法第99条にも反し、立憲主義にも反するものです。

3 弁護士会が総会決議をすることについてはどうでしょうか。
弁護士法第1条は「弁護士は基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とする。」と規定されています。弁護士会は強制加入団体ですから会員の考え方は様々ですが、基本的人権擁護と社会正義の実現を大切にするという点では共通であり、弁護士会は、戦争は最大の人権侵害であるという観点から戦争に反対し、立憲主義と恒久平和主義を重要な原則と位置づけてきました。
「解釈による集団的自衛権行使容認に反対する」旨の総会決議は、その観点から意見を表明するものであり、私はこの決議に賛成します。そして、圧倒的な多数の会員の賛成でこの決議が可決されることを希望します。

◆憲法リレーエッセイ◆ 集団的自衛権と憲法解釈

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会 員 埋 田 昇 平(63期)

1 県弁総会での決議の採択

平成26年5月28日、福岡県弁護士会定期総会において、集団的自衛権の行使を可能とする内閣の憲法解釈変更に反対する決議が採択されました(賛成525票、反対1票、棄権2票)。

集団的自衛権とは、政府解釈によれば、「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」とされています。

政府は現在、憲法改正という正攻法ではなく、これまでの政府の憲法解釈を変更する、という裏技で集団的自衛権の行使容認に踏み出そうとしています。福岡県弁護士会として、この政府の動きに反対の意思を明示しようというのが決議の趣旨です。

同趣旨の決議は、既に昨年5月に日弁連でも採択されていますし、各単位会においても決議の採択や声明の発表が行われています。

2 安全保障について議論することは必要

平成26年5月27日、政府は与党協議において、集団的自衛権の行使を容認しなければ適切に対処できないものとして、

  1. 周辺有事の際、邦人を輸送するアメリカの艦船を防護すること
  2. 周辺有事の際、攻撃を受けているアメリカの輸送艦や補給艦を防護すること
  3. 周辺有事の際、攻撃国に武器を運んでいる可能性がある不審船を強制的に停船させ検査すること
  4. 日本の上空を横切り、アメリカに向かう弾道ミサイルを迎撃すること
  5. 周辺有事の際、弾道ミサイルを警戒しているアメリカ艦船を防護すること
  6. アメリカ本土が大量破壊兵器で攻撃を受けた際に、日本周辺で対処するアメリカの輸送艦や補給艦を防護すること
  7. 海上交通路で武力攻撃が発生した際の国際的な機雷の掃海活動に参加すること
  8. 武力攻撃発生時に各国と共同で民間の船舶の護衛をすること

などのケースを挙げました。

(1)~(8)のようなケースで日本が積極的に実力行使に出るとなると、日本の負担が増加することは間違いないと思います。また、自衛の概念とかけ離れている印象も受けます。

もっとも、世界中でテロ行為や武力衝突が頻発しており、日本と周辺国の関係悪化も取り沙汰されているため、安全保障のあり方について、政策レベルでの議論はしっかりなされるべきだと思います。そして、この問題は、簡単に結論が出るものでもないと思います。

ただ、積極的に実力を行使する方向に舵を切っていけば、いずれ憲法との整合性が問題になってきます。

3 憲法9条との整合性の問題

日本国憲法9条は

「1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」

と規定しています。集団的自衛権の行使は、国際紛争を解決する手段としての武力による威嚇、武力の行使に該当するでしょうし、法律家の立場からすれば、憲法9条をどのように解釈しようとも、集団的自衛権の行使は認められないという結論に至るはずです。

政府の行き過ぎた権力行使によって国民の人権を侵害しないよう、政府は憲法という法の支配を受けています。しかし、政府が解釈によって憲法の適用範囲を自由に変えられるということになれば、法の支配は形骸化してしまいます。
日本にとって望ましい安全保障体制については種々の意見がありうるとしても、弁護士会としては、政府が法の支配を潜脱することは許されない、ということをはっきりと述べる必要があり、その点で今回の決議の意義は大きいと思います。

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