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カテゴリー: 憲法リレーエッセイ

憲法リレーエッセイ 南スーダンの現状

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会員 池上 遊(63期)

1 はじめに

2015年9月成立、2016年3月施行の安保法制法により、国際平和協力法が改正され、PKOに派遣される自衛隊は新たに駆け付け警護、共同宿営地防護といった任務の実施が可能となりました。現在、わが国は、アフリカの南スーダンへPKO部隊を派遣していますが、2016年12月に派遣された部隊から上記任務が与えられています。

遠い南スーダンで日本が果たすべき役割があるのか、現地の情勢がどうなっているのか、などに関心があり、現地で支援活動に従事する今井高樹さん(日本国際ボランティアセンター・スーダン現地代表)が1月22日に北九州でされた講演を聴いてきましたので簡単に紹介させていただきます。

2 南スーダンの現状

1956年にスーダン共和国がイギリスから独立、2度の内戦を経て2011年に同国から南スーダン共和国が独立しました。国連がPKO部隊(南スーダンミッション、UNMISS)の派遣を決定したのも同年です。そのわずか2年後の2013年、当時の副大統領をはじめとする一派がクーデターを起こして再び紛争が始まりました。今井さんは現状を「日本の戦国時代のよう」と評し、共存してきた二つの部族が南スーダン独立時に一旦はまとまったものの、財政や石油収入、国際支援で入ってくるお金をどのファミリーが使うかなど利権をめぐって大統領派、副大統領派の対立が生まれたと解説してくれました。軍隊は存在しますが、出身部族との関係でまとまりがなく今も内戦につながるおそれがあるそうです。ただ、今井さんの友人で南スーダンの方は、部族対立は結果であり、利害関係が軍の部族間対立を煽ったと言っているとのことでした。

2015年8月には、関係当事者が「南スーダンにおける衝突の解決に関する合意文書」に署名します(「外圧」によるものとのこと。)が、2016年7月に再度対立が激化し、現在は大統領派と副大統領派の間で再び紛争状態となっています。

自衛隊宿営地のあるジュバ(首都)でもヘリやロケット砲による攻撃が繰り返される一方、市場や国連食糧倉庫の襲撃、略奪(政府軍による略奪も含む。)もあり、これが国の軍隊かと思ったそうです。現在、市街地は比較的平穏だそうですが、警察が法令違反と言って市民を恐喝したり、入国管理局でも多額のお金を要求されるなど職権濫用が当たり前になっているようです。悪質なのが軍隊で、兵士による略奪やレイプを許しているという信じられない状況だそうです。インフレは700~800%、10年前には1ドルが2ポンドでしたが、今は100ポンドとなっているそうです。国連による支援が十分に行き届いていないことから、今井さんのグループは、人道支援として食料支援や教育支援に取り組んでいます。

3 南スーダンPKOと自衛隊

PKO部隊に対しては、2016年7月の紛争激化の際に市民が救助を求めたのに駆けつけなかったことなど助けを求めても何もしてくれないという批判が多いそうです。ホテルなどの施設を政府軍が襲撃しており、派遣すると政府との紛争になってしまうことから派遣できなかったようです。また、南スーダン政府も国連の避難民保護施設について反政府軍を匿っている、と批判しています。

駆け付け警護は現地の了解が必要で、南スーダンの現状では非現実的な任務です。自衛隊の任務は幹線道路建設の警護などですが、もし何かあっても戦闘の当事者が分からない、その結果同意を得ることもできない、誤って攻撃すれば敵とみなされることにつながります。

日本に対しては自動車メーカー「TOYOTA」の製品の質がいい、経済的先進国のイメージが強いようです。しかし、こうしたイメージも現地で何が起きるかで一転するでしょう。「駆けつけ警護」は必要ない。反政府勢力を含めバラバラになっている現状ではあらゆる勢力が集まって和平交渉を進める必要があり、非軍事的、外交分野にこそ日本の役目があると今井さんは話していました。

4 感想

南スーダンにはレベル4・退避勧告が発されています(外務省HP)。本原稿を書いている現在、報道によれば、2016年7月の紛争激化について破棄されたと政府が説明してきた自衛隊の報告書が「発見」され、同報告書に政府が否定する「戦闘」が起きていたとの記述があることが問題となっています。

紛争状態の現地に重装備の自衛隊を派遣してどんな支援ができるのか。日本が国際協調主義のもとで培ってきた信頼を失わないように本来の役割を果たすべきではないでしょうか。

憲法リレーエッセイ 安倍首相の真珠湾攻撃犠牲者慰霊に見られる日本国憲法観

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会員 椛島 敏雅(31期)

安倍首相は2016年12月27日ハワイの真珠湾をオバマ大統領と共に訪れて、アメリカへの宣戦布告前の1941年12月8日未明、真珠湾に停泊中のアメリカ空母機動部隊への日本軍の奇襲攻撃で犠牲になった兵士約3300名に対する慰霊を行った。この訪問はオバマ大統領の同年5月27日の被爆地広島訪問に対する返礼の意味をも持つといわれているがそうではない。慰霊後の演説に広島訪問に対するお礼や返礼は一言も述べられていない。真珠湾での慰霊はオバマ大統領の岩国基地での演説に対する返礼である。オバマ大統領は広島に行く前に、同日、米軍最高司令官として岩国基地を訪れ、岸田外務大臣や日米の政府、軍関係者の前で、「かつての敵はパートナーだけでなく、最も強固な同盟国になった。」、「米国の海兵隊が自衛隊とともに」「信頼、協力、友情」で、「世界の安全保障を守って」いる同盟である(産経新聞)、と演説していた。

安倍首相は真珠湾での慰霊の後の演説で「この地で命を落とした人々の御霊に、ここから始まった戦いが奪った、全ての勇者たちの命に、戦争の犠牲となった、数知れぬ、無辜の民の魂に、永劫の、哀悼の誠を捧げます」、「戦争の惨禍は、二度と、繰り返してはならない」、日本は戦後、「ひたすら、不戦の誓いを貫いてまいりました」とは述べたが、「歴史に残る激しい戦争を戦った日本と米国は、歴史にまれな、深く、強く結ばれた同盟国となりました」「それは、いままでにもまして、世界を覆う幾多の困難に、共に立ち向かう同盟です。明日を拓く、『希望の同盟』です」と、先に成立させ施行させた立憲主義に違反すると考えられる安保法制を背景に、日米同盟を「希望の同盟」と呼んで、オバマ大統領や政府軍関係者を前に、オバマ大統領の岩国基地での演説に応えた。と同時に、これは2017年1月に就任するトランプ大統領へのメッセージでもあった。むしろ、政治的には此の方に狙いがあるのだろう。

しかし、真珠湾奇襲攻撃を伴った米英等に対する宣戦布告後の戦争は、行き詰まっていた日本の中国侵略戦争をアジア太平洋に広げ、日本で310万人、アジア太平洋地域で2000万人余という膨大な戦争犠牲者を出す大惨禍をもたらした。かの地で慰霊を言うなら、真珠湾での犠牲者だけでなく、全ての戦争犠牲者に対して、慰霊と謝罪と不戦の誓いをすべきである。それが、「政府の行為によって再び戦争の惨禍がないように決意」した憲法を持つ国の総理大臣の心構えであろう。

「安倍首相は、以前、著書で日米同盟は軍事同盟であり、「血の同盟であるべき」と言っていたが、今回の真珠湾訪問では「希望の同盟」と言うようになった。外務省のHPにも「日米同盟は希望の同盟となった」と掲載されている。本当に、日米同盟が「希望の同盟」になったと言ってよいのであろうか。

安保法制で自衛隊が紛争地域で米軍の後方支援を出来る様になったことからすると、日米同盟は「希望の同盟」ではなく、まさしく、血の匂いのする「血の同盟」になったと言えるだろう。しかし、私たちは血の同盟を断固として拒否する。その為にも安保法制廃止の声を上げ続けていかなければならないと思う。

憲法リレーエッセイ 日本国憲法公布70周年記念講演

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会員 栃木 史郎(65期)

1946年11月3日に、日本国憲法が公布されました。今年(2016年)11月3日は、憲法公布70周年となります。それを記念して、福岡県弁護士会は、11月3日、憲法の大切さをアピールするパレードを行うとともに、九州大学法学部教授の南野森先生をお招きした講演会を開催いたしました。

パレードでは、天神中央公園から講演会場である明治安田生命ビルまでの道を、憲法の大切さをアピールしながらの行進となりました。多数の市民も参加した、賑やかなものとなりました。

パレードが終了した後に南野先生による講演会が行われました。講演会場である明治安田生命ビルの大ホールは定員が446名ですが、満席となる大盛況でした。

南野先生は、元AKB48の内山奈月さんとの共著で、「憲法主義」(PHP文庫)という書籍を出版されましたが、なぜ出版を決意されたのか等出版に至る経緯を交えて、憲法とは何なのかについて、分かりやすく、ときにユーモアを交えて、お話いただきました。

お話の中で、南野先生は、憲法が憲法であるためには、国民の役割が大切であると強調しておられました。

そもそも、憲法は、権力者を縛るという13世紀のイギリスで成立したマグナ・カルタが源流となっています。当時のイギリスでは、絶対君主制の下で、国王が横暴を働き、国民の人権がないがしろにされてきました。それを是としない国民が、横暴を働く国王を縛るために、国王に対して突き付けたルールが、マグナ・カルタです。

現在の日本の憲法は、国の最高法規とされ、それに違反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しないこととされます。そして、法律や命令等が憲法に抵触しているかどうかは、最高裁判所が審査をすることとされております。

しかし、これまでの日本では、権力者によって、そのような憲法の役割が無視されるということが、度々起きていました。

その例として、刑法200条の尊属殺規定があります。

最高裁は、1973年、刑法200条が違憲であるとの判決を出しました。しかし、尊属・卑属の関係を重んじる国家観を壊すべきではないとの考えから、国会は、長い間、刑法200条を刑法典から削除しませんでした。刑法典の口語化に合わせて、1995年になってようやく、刑法200条が削除されました。

南野先生は、憲法違反とされた法律が、なぜ、20年以上も存続したのかという点について、それは国家権力に対して、憲法を遵守させる強制力がないからであるとおっしゃっていました。憲法に違反したとしても、それを取り締まる警察のような機関があるわけではなく、違憲と判断した最高裁の判決を無視しても、何らのサンクションも予定されていないのです。

しかし、国民が国家権力の動きを監視することによって、国家権力が憲法を無視する一定の歯止めになり得ます。国家権力に対して憲法の遵守を求めるためには、そして、憲法が憲法であるためには、国民が国家権力を監視する、憲法に従えと政治家に言い続けていくことが必要不可欠であるとして、講演は締めくくられました。

講演会終了後、南野先生を囲んで、懇親会が行われました。場所は、会場の明治安田生命ビルの近くの「大阪屋」という郷土料理店でした。講演会では聞くことのできなかったお話や、大学でのお話等、ざっくばらんな語り口で聞くこともできました。

憲法リレーエッセイ 身近な戦争 西部軍事件

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会員 前田 豊(28期)

1 昭和20年5、6月、福岡で「九大生体解剖事件」が起き、続いて、6月と8月、同じ西部軍によるB29搭乗員斬首殺害事件(西部軍事件・油山事件)が起きました。

2 昭和20年6月19日、福岡市は米軍機による無差別爆撃を受け、死者902名、行方不明者は244名にのぼる被害を受けました。

翌20日、現在の福岡高等裁判所の裏手の旧校庭で、軍律会議なしに西部軍法務大尉ら4名がB29搭乗員米兵8人を日本刀で斬首するという事件が起きました。「西部軍事件」と呼ばれます。

「福岡県弁護士会史 上巻」(679頁)には、「捕獲搭乗員は西部軍司令部に送られ現在の福岡県弁護士会館のあたりにあった急造の収容所に入れられた。(中略)福岡大空襲の翌日午後収容所内の捕獲搭乗員12名(ママ)を司令部裏の福岡市立高等女学校(現中央市民センター)の校庭に引き出して衆人環視の中で斬殺した。」とあります。

和光有精法務大尉ら4名が米兵8名を斬殺しましたが、その中に前夜の大空襲で母を亡くした冬至堅太郎主計大尉がありました。彼は、殺された母の仇を打つかのように志願して3名を斬首しましたが、裁判手続を経た処刑と誤信し、非合法処刑と知らずに実行しました。

3 続いて、長崎原爆投下翌日の8月10日、福岡市南郊の油山火葬場付近に搭乗員8名を連行し、軍参謀の指揮のもと法務部大尉ら5名が搭乗員5名を斬殺し、2名に空手で殺害できるかを試し、1名に弓矢で殺害できるかを試しましたが、いずれもうまくいかなかったので、最後は袈裟斬りと斬首で絶命させました。

「油山事件」と呼ばれます。

4 さらに、昭和天皇の玉音放送の後、8月15日、それまでの俘虜の処刑を隠蔽するため、同じ油山に、生き残っていた16~17名の米兵全員を連れて行き、処刑しました。第2の油山事件です。

5 戦後、捕獲員が一人もいないという異常事態から事件が発覚しました。関係者が横浜のBC級戦犯裁判にかけられ、死刑、無期懲役、有期懲役及び無罪の判決が下されました。冬至堅太郎大尉は死刑でしたがその後減刑されました。

6 現中央市民センター付近の旧高等女学校校庭(前年西部軍が接収)で、衆人環視のなか、穴を掘り、座らせて、斬首するというのはショッキングなことですが、法務部が関与して、軍律会議の裁判手続を経ないで処刑したという点に、なぜ?という疑問と、殺し殺される戦争の狂気と不条理を感じます。非合法処刑という点では、現在のISの斬首処刑と違わないと言われても仕方がありません。

7 西部軍事件の斬殺実行者の一人は弁護士でした。戦後、巣鴨プリズンから釈放され、贖罪のため無料相談や公益活動に尽力しました。後輩からも慕われ、推されてある弁護士会の最高責任者になりました。

清永聡「戦犯を救え」(新潮新書)では、匿名でその弁護士のことを取り上げています。晩年、「母を稱える詩(うた)」に、「かかさん あんたは戦後私が戦犯になったので、命をちぢめてしまったな!(略)かかさん、ととさん、私の作った一番よい果物をあんた達のみたまにそなえてあげたかね!」と、白鳥の歌をうたったことが紹介されています。胸打たれる話です。

8 戦争は狂気。自分が残虐行為を実行するか、その犠牲になるかです。

だから、好んで戦場に隊員を近づけさせる今の政治の風潮に、喝!

(文献・横浜弁護士会「法廷の星条旗」日本評論社はお勧めです)

憲法リレーエッセイ 安保法制違憲訴訟の課題と展望 −青井未帆教授の問題提起に触発されて−

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会員 小谷 百合香(64期)

安保法制違憲訴訟

このところ、福岡県弁護士会(当会)でも安保法制や憲法について考えるシンポジウムや講演会が開かれ、幸いなことに毎回、多くの市民の参加もあり盛況です。

そしてこの4月26日、3月末に施行された安保法制について、東京で違憲確認ひいては国家賠償と施行差止めを求める訴訟が提起され、全国でも後に続けと訴訟提起がなされています。福岡でも、近く提訴される予定です。

ただ、安保法制それ自体が違憲であることは自明とはいえ、違憲判断に消極的と言われてきた裁判所に正面から違憲判断してもらうには難しい問題が山積です。

この難題を一つ一つクリアすべく、平成28年7月22日、東京・渋谷区の伊藤塾で、学習院大学の青井未帆教授(専門:憲法9条、憲法訴訟論)による講演があり、参加してきました。そこで、私がつかんだ思いや、解決の手がかりを報告します。

青井未帆教授の問題提起

Loyal Opposition(ロイヤルオポジション)

東京の安保法制違憲訴訟は、弁護士が原告を募るような形で、弁護士が中心となって訴訟を提起し追行をしているという面があるように感じます。ほかの地裁での裁判も、同様の傾向にあるようです。原発差止めの裁判も同じだと同期の弁護士から聞いたことがありますし、議員定数不均衡訴訟も同じではないでしょうか。

この実態について、青井教授は積極的に評価し、これをロイヤルオポジション(Loyal Opposition)という言葉で表現しました。ここでのロイヤルの頭文字は、Rではなく、Lです。

つまり日本の弁護士(法律家)は、権力そのものではありませんが、完全に権力の圏外にいるわけでもありません。そのような立場から、立憲民主主義が破壊されそうになっている今の危険をチャンスに変える方策に打って出る、日本ではその役割を(メディアではなく)弁護士が果たしているというのです。

安保法制違憲確認・差止訴訟は、国民を戦地に送り、戦争に巻き込んで、生命・身体・健康・財産・幸福追求権を損なう危険性を大いに秘めた、憲法9条に違反する安保法制をとらえて、弁護士が裁判を通じて「違憲である」との判決をもらおうとするものです。このことは、私たち弁護士に課せられた「基本的人権の擁護」「社会正義の実現」という2大使命(弁護士法1条1項)を実現するものと言えるのではないでしょうか。

そういう面をとらえて、青井教授は現在の弁護士による活動をLoyal Oppositionだと、弁護士への敬意を尽くして表現されたのだと思います。

一たび戦争となれば、いのちや財産が奪われることになります。私たち弁護士は事態が起きる前に、国民の人権を守り抜かなければならない。今、その使命が担わされているように思います。

「事件性」の要件は?違憲審査基準は?

私はこれまで、裁判所は付随的違憲審査制を採用し、具体的な事件が起きなければ違憲判断をしない、と学んできました。

では、具体的に誰かが戦地に行かなければ違憲訴訟が提起できないのでしょうか。青井教授からは、藤田宙靖元最高裁判官の論考や最近の憲法訴訟の在り方を紹介されました。

昨今の憲法訴訟の傾向として、議員定数不均衡訴訟などの客観訴訟では、最高裁が憲法秩序の維持を示すことが自明ではないものの、徐々に示すようになってきています。つまり、結論において違憲の判断をしない場合でも、憲法解釈を展開する憲法訴訟が増えてきているのです。

安保法制は、現時点では法制が成立し施行されたとはいうものの、まだ実際の運用や具体的な処分がなされたわけではありません。しかし、国民の生命・財産・幸福追求等の権利を損なう危険性は大いにあり、憲法9条に違反するものです。法律を作る国会が、憲法違反であっても法案を通してしまうときに、平和主義や三権分立を謳う憲法秩序を維持するために、裁判所が「三権」の一機関として職責を果たし、立憲政治のあるべき姿を取り戻す役割を果たすべきです。

では、憲法9条に違反するような法制については、どのような違憲審査基準が用いられるのでしょうか。

これは喫緊の課題であり、最大の難関であります。これについては、青井教授から興味深い示唆がありましたが、教授自身まだ考察中ということで、論文にも著していないため、私からの紹介は控えておきます。

今後、全国の訴訟において、弁護団が自由な発想により、どのような違憲審査基準を提案するのか、それに対して全国各地の裁判所がどのような判断を示すのか、興味深く見守っていきたいと思います。

今後の展望

福岡でも、安保法制違憲確認の国賠・差止訴訟が提訴される予定です。

現在、弁護団員への就任の訴えがなされています。数は力なり。まだ弁護団に加入されていない会員には、憲法9条の新しい判断基準や新たな判例を作る取り組みに参加されることを訴えます。ぜひご一緒させてください。

なにより、安保法制が違憲であることを白日の下にし、憲法の理念を取り戻した政治運営がなされるよう、見守りつつ行動することが、弁護士に求められている。そう実感させられる貴重な講演でした。

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