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【筑後部会】ジュニアロースクール2025 in 筑後

カテゴリー:月報記事

筑後部会法教育委員会 鍋島 典子(66期)

1 はじめに

2025年11月16日(日)、今年も筑後部会の会館でジュニアロースクールを開催しました。10年ほど前に始まった企画ですが毎年恒例になった感があり、ありがたいことに近年は応募者多数でお申し込みをお断りすることも増えてきました。
対象は筑後地域の中高生で、今年は30名超の生徒さんに参加していただきました。

2 今年の題材

今年は、殺人被告事件を題材に、犯人性を否認している被告人について、目撃証言の信用性が争点になっている事案を扱いました。台本のタイトルは、「家政婦は見た!…のかもしれない」です。まさに、家政婦のミタゾノならぬイタゾノさんが殺人現場を見ちゃったのかもしれない、という事件です。オマージュのオマージュです。
被告人は、妻を毒殺した疑いをかけられている夫で、その家の家政婦(イタゾノさん)が証人となって夫が妻のコップに毒薬を入れているような様子を見たという証言をします。
生徒たちは、模擬裁判をみながら、弁護人チーム、検察官チーム、裁判官チームに分かれて、それぞれの立場から裁判手続に取り組みます。弁護人チームには証人への反対尋問を、検察官チームには被告人への反対質問、裁判官チームには各補充質問を考えてもらい、実際に自分の言葉で質問をしてもらいます。そのうえで、論告、弁論、判決まで行ってもらいます。生徒は、3,4人で1つの班になり、これらの手続きは班でディスカッションをしながら、進めてもらいます。
証人の証言には、目撃した際の視認状況や目撃証言の動機など、その信用性に疑問を抱きうるような要素がちりばめられています。他方、被告人にも妻との関係性や当日の行動について疑わしい要素が散見されます。
そのなかで物事をどの方向から見るか、どのように考えることが論理的といえる、他者を説得するにはどうすればよいかなど、生徒たちには、裁判の登場人物になったような気持ちで取り組んでもらいました。

3 強力なサポート体制

そして、JLSin筑後では、毎年、法教育委員会の委員に限らず多くの筑後部会の先生にご協力を頂いています。今年は、15人の先生方に手伝っていただきました。
生徒たちが刑事手続を見たり、班に分かれてディスカッションをする際、各班にはチューター役の弁護士1人についてもらい、議論のヒントや手続きの正しい理解をサポートしてもらいました。模擬裁判の役者も、弁護士が務めます。
どの先生方も、JLSの季節が近づき、お電話などで「今年も・・・」とご協力のお願いをすると快く引き受けてくださいます。また、初めてご協力をお願いする先生も、自分で大丈夫ですかと謙遜されながらも快諾いただきました。筑後部会っていいな、と感じる一幕です。
今年協力頂いた先生に参加したコメントを頂きました。

▪山口高志郎先生(71期・検察官チーム担当)

「3つの検察官チームがありましたが、そのうちの1つのチームのサポート役を務めました。
おそらく3人とも中学2年生で、女子中学生が2名、男子中学生が1名でした。
検察官役として、中学生なりに、今回の事案を推理して、検察側で立案すべきストーリーを考えて、証拠状況や主張を立論してくれました。
新鮮な気持ちでジュニアロースクールに取り組む中学生の皆さん。
中学生に助言をすることを通じて、新鮮な気持ちを取り戻す瞬間になりました。」

▪松﨑広太郎先生(66期・目撃証人イタゾノ役)

「毎年、証人や被告人の役をさせていただいておりますが、参加した中学生や、高校生から鋭い反対質問をいただき、きりきり舞いになっています。
今年だと、私が犯行を目撃した際、リビングルームの電気については点灯していたと主質問で語っていたのですが、「廊下の電気はついていたのですか」等といった反対質問がありました。
ほかにも、意見を押し付ける質問ではなく、目撃した際の状況に関する質問が多数飛んで、感心いたしました。
参加している中高生の話を聞いていると、法曹志望の子もいますし、今回の模擬裁判を見て法曹を志してくれる子もいるかもしれません。10年後、もし、今回の参加者の中から司法試験の合格者が出て「松﨑先生、あの時証人役をされていた方ですよね!私検察役でした!!」等と声をかけてくれることがあれば、こんなに素敵なことはないと思っております。
鍋島先生に恩を売ろうと思って始めた、被告人役、証人役でしたが、私自身、子供たちの触れ合いを毎年楽しみにしています。
金を残すは三流、名を残すは二流、人を残すは一流(故野村克也)ですから、子供に夢を与える仕事、子供の興味を引く仕事、子供の記憶に刻まれる仕事は積極的にやっていきたいと思います。」

普段、どろどろとした大人の紛争を扱うことが多い我々にとって、純粋で一生懸命な中高生の姿はとてもまぶしく清々しく感じるものです。

証人イタゾノさん役:松﨑広太郎先生
4 今回のJLSまとめ

参加生徒さんからは楽しかったという感想をたくさんいただき、単純に今年もやってよかったなと思うとともに、裁判手続きが学べてよかったとか、論の組み立て方を知れたとか、自分の意見を主張するのが楽しかったという感想ももらいました。
また、証言を怪しいと思ったけどそれを言語化するのが難しかったとか、分かりやすい弁論をするのが難しかったという言葉もあり、楽しいだけではない体験を与えられたことも、JLSの目的の達成だと思います。
来年もおそらく行います。(模擬裁判の題材、募集中です。お心当たりのある方はご連絡ください。)

弁護人役:渡部裕太郎先生

「ウクライナが核をもっていれば、ロシアに侵攻されなかったのでは?」にどう答えるか ―講演会「核抑止について考える~核兵器廃絶に向けた議論のために~」のご報告-

カテゴリー:月報記事

憲法委員会 委員 稲村 蓉子(63期)

核兵器廃絶を考える憲法講座

10月30日、市民とともに考える憲法講座第16弾として「核抑止について考える~核兵器廃絶に向けた議論のために~」の講演会を行いました。講師は長崎大学核兵器廃絶研究センターの副センター長である河合公明先生です。この講演は、本年12月の人権大会のプレシンポとして行われました。
平日夕方からの開催でしたが、会場56名、ZOOM 24名の参加者がありました。なかには、高校生、20代の参加者もいました。

核兵器とは何か、現在の核弾頭数

講演は、まず核兵器の説明から始まりました。核兵器とは、簡単に言えば核反応を利用した爆発装置であり、反応の結果、核分裂生成物(いわゆる核のゴミ)が多く出ます。従来の火薬による爆弾との違いは桁違いの破壊力であり、熱線・爆風・放射線という3つの特徴があります。放射線と放射性物質は、短期的には急性放射線障害(嘔吐、脱毛、下痢など)、中長期的には晩発性放射線障害(ガン、白血病など)を引き起こします。80年前の広島・長崎から現在まで、核兵器はその能力を大きくあげており、現在の爆発力は広島・長崎型の数倍から数十倍あります。さらに、最新鋭の能力として長距離を高速で飛ぶもの、ピンポイントで目標を狙うもの、地中深くを攻撃するものもあります。
2025年6月時点で世界には現役核弾頭数が9615あり、欧州から中東、南アジア、北東アジアまでかつてないほど通域的な範囲で核兵器の使用が懸念されています。

核兵器禁止条約の賛否の分かれ目

核兵器の禁止に関する条約(TPNW)は、2017年7月に採択、2021年1月に発効しました。締約国は74、署名国は95(2025年10月30日時点)となっています。この条約に対する評価は賛否に分かれています。
なぜ賛否がわかれるのか。その理由の1つは、「軍縮をすることが安全保障を促進するのか、それとも損なうのか」という問題に対する見解の相違があることによります。すなわち、軍縮をした結果かえって国家間の力の均衡を損ない、特定の国が武力行使を行う危険を増してしまうと考えるのか。軍縮をした結果、各国が武力行使の危険が減少したと考えて、自国の要求を武力行使によって解決するのを控えるのか、ということです。
理由の2つ目は、核兵器の「使用の威嚇」をめぐる対立です。冷戦期、核抑止政策が確立されました。核抑止政策とは、「自国は核兵器を使用すると相手国を脅す(使用の威嚇)ことによって相手国に核兵器使用をとどまらせる」というものです。しかし、TPNWは「核兵器の使用」「占有」のみならず「使用の威嚇」も禁止しました。そのため、核抑止政策をとっている国は、この条約に反対しています。
理由の3つ目は、核兵器の法的評価をめぐる対立です。国際人道法は兵器を規制していますが、一般的かつ抽象的な規定のため、どの兵器を禁止するか特定していません。国際上統一した見解がない以上、核兵器が適法な兵器であるかどうかについて各国家の見解によるしかなく、見解の差が、TPNWへの評価の違いにつながっています。

安全保障が先という考え方では、現状維持か軍備の増強を図るしかない

以上の評価の分岐点について、どのように考えるべきでしょうか。

まず、理由の1つ目「軍縮と安全保障」の問題について考えます。

非核兵器国の立場は、「核軍縮をするのは安全保障のため」です。一方、核兵器国の立場は、「核軍縮をするには安全保障が前提条件」というものです。核兵器国は「すべての国の安全保障が向上し減弱されない原則」(安全保障が弱まらない保証がない限り核軍縮交渉はできない)をとっています。核兵器国は核軍縮の文脈でこの原則を常に確認するため、核兵器不拡散条約での議論は停滞に陥ります。この、安全保障が先か軍縮が先かという論理はどのような帰結をもたらすでしょうか。歴史の教訓からいえば、過剰な軍備を放置した結果が第一次世界大戦につながったという反省があり、安全保障ができない限り軍縮ができないならば、少なくとも現状維持か、軍備の増強を図るしかありません。

核抑止が失敗したら核兵器は使われる

理由の2つ目「使用の威嚇」の問題については、核抑止をどう理解するかが関わってきます。核抑止とは、核兵器の「使用の可能性」による威嚇です。ここで日本政府の政策を確認すると、日本は、アメリカの保有する核兵器への依存は日本にとって必要との立場をとっています。日本政府は、核兵器を使用させないために核兵器が必要であり(核抑止)、そのために差しかけられたのが「核の傘」であると説明しています。これは核抑止の威嚇の効果を偏重する理解であるといえます。しかし、この日本の政策には、あるべき議論が抜け落ちています。一つは核兵器の使用に伴う問題の分析であり、二つは核兵器の使用から派生する法的、政治的問題の検討です。
前者の問題として、「核抑止が失敗した後、どうするのか」という問いがあります。この問への理論的な答えは核抑止論から出てきません。アメリカの著名な国際政治学者であり、核抑止の理論面の構築者の一人であるケネス・ウォルツは、抑止に失敗したときに国家は抑止の脅しを実行に移すべきかという問いは「愚問」だと述べました。読者は、「実行に移すべきか。すなわち核を使うべきか」という問いにどのような答えを思い浮かべたでしょうか。ケネス・ウォレツの回答は「使うべき」というものです。使わなければ有効な脅しにならないからです。つまり、核抑止の失敗は核兵器の使用を意味し、少なくとも一定程度の核攻撃の応酬が想定されるのです。核抑止の失敗という事態に対し、日本はどう対処するのでしょうか。この点、日本はアメリカの核兵器にどのような役割を想定しているのか、明らかではありません。

核兵器の非人道性は十分に検討されるべき

後者の問題は、使用に伴う国際法上の問題です。日本では、核兵器の廃絶という枠組みの範囲でしか議論がなく、使用に伴う国際法上の問題の分析が不十分でした。今、国際的には「核兵器の人道上の影響」が議論されており、前述したとおり2017年7月には国連の会議で核兵器禁止条約が採択されました。核軍縮を求める側から、主として核の使用に焦点をおいた問題提起がなされたという点に意義があります。世界では「核兵器の『非人道性』故に核兵器を『絶対悪』と評価する立場」と、「核兵器が存在する以上、核兵器を『必要悪』と評価する立場」とに分かれています。この議論は膠着していますが、核兵器の人道上の影響という論点は、今後、国際法上の問題となりうることから十分に検討されるべきです。

核兵器は国際人道法上違法な兵器といえる

理由の3つ目「核兵器の法的評価の問題」について論じます。国際人道法は武器兵器の利用を前提として、「区別原則(攻撃の対象は軍事目標に限定され、民間人や民用物は保護されなければならない)」「不必要な苦痛の禁止原則」をとっています。これは普遍的な規則であり、国家慣習法の侵すことのできない原則です。この2つの基本原則のもと、いずれかまたは両方に違反する性質を有するとみなされる兵器は禁止され、そうとみなされない兵器は規制を受けるにとどまります。TPNWは、核兵器は兵器として違法であり、使用禁止すべきと考えます。核保有国やその同盟国は、核兵器は違法ではなく、使用の方法が規制されるにとどまると考えます。さて、核兵器はこの2つの基本原則からみたとき、禁止または規制を受けるにとどまる兵器のいずれに分類されるでしょうか。1996年に国際司法裁判所が出した勧告的意見は、次のように指摘しました。「(限定的な核兵器の使用の問題に関して)小型で低出力の戦術核兵器の『クリーン』な使用が仮に可能だとして、その使用を正当化する状況がなにであるかを示している国は『皆無』」「そのような限定的な使用が、高出力の核兵器の『全面的な使用へとエスカレートする』傾向がないことを示した国は『皆無』」。つまり、核兵器国は、国際人道法の2つの基本原則から核兵器に向けられる問いに対して、答えないのです。核兵器国には説明責任があるといえます。

「責任ある核兵器の使用」は存在しない

以上を踏まえ、今後、核兵器廃絶に向けてどのように議論すべきでしょうか。2023年に開催された核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンは、「核兵器が存在する限りにおいて『防衛目的のために役割を果たす』」旨の宣言を行いました。この宣言は、核軍縮を掲げながらも、「『防衛目的のため』に必要であれば、核兵器を使用する決意をもつ」、「G7の核保有国による核兵器の使用は『責任あるもの』として許される」という2つの点を表明しているようです。これは核廃絶に向けた議論として、正当なものでしょうか。考える材料として2つの見解を紹介します。核兵器の人道的影響に関する国際会議の議長総括は「いかなる国家または国際機関も、核兵器の爆発が直ちにもたらす人道上の緊急事態に適切に対応し、被害者に対して十分な救援を提供できるとは『考えにくい』」「そうした能力を確立しようとしても、それは『可能ではないかもしれない』」としています。また、2019年10月の核軍縮の実質的な進展のための賢人会議による「議長レポート」は、「核抑止あるいは拡大核抑止に依存する国は、核兵器や核抑止についての人道上の懸念を認識する必要がある」「核抑止が特定の環境における安定性を向上させる可能性はあるとしても、それが世界の安全保障にとって危険な基礎であり、したがって、すべての国はより良い長期的な解決策を模索すべきである」と述べました。「責任ある核兵器の使用」が果たして存在し得るのか、存在しないのであれば、それを前提とした議論はあり得ないのではないかが問われます。

「犠牲になるのは一般市民」であるという普遍的なメッセージを出し続ける

TPNWは、核兵器は決して使用されてはならず、使用されないための唯一の保障は「廃絶」であるとの理念に基づいています。TPNWは廃絶に向けた入り口です。もっとも、条約に参加しない国は拘束されないため、核兵器禁止条約を普遍化していくことが課題となっており、同条約を普遍化するためのウィーン行動計画では、市民や市民社会との協力が掲げられています。
現在、世界各地で国際法が繰り返し破られる現実を目の当たりにし、国際法は無意味ではないか、という疑念を持つ方もおられるでしょう。しかし、守られない法が悪いのでしょうか。そうではなく、「法を守れ」という声を高める必要があるのではないでしょうか。法が破られたとき、犠牲になるのは一般の市民だということは、過去の歴史から明白です。長崎の原爆投下を踏まえた現実主義(リアリズム)から、「武力紛争で苦しむのは誰か」という普遍的なメッセージを問い続けるべきです。核抑止論はリアリズムであるといわれますが、その実は、「自分が脅していれば相手は核を使わないであろう」という「願望」に依存するものにすぎません。相手が核を使わない保証はなく、核兵器が使用されれば市民に大きな犠牲が出ます。また、核に依存することの負の面は使用の場面だけの問題にとどまらず、核実験などのサイクルで多くの被害者を生み、環境汚染をもたらすということもあります。
核抑止論は、私たちを脅かすものではないでしょうか。核抑止に依存しない他国の犠牲の上に維持されているものではないでしょうか。だからこそ核抑止からの脱却を考えなければならないと考えます。
日本被団協がノーベル平和賞を受賞しました。授賞式のスピーチで、田中熙巳氏は「核兵器廃絶」と「戦争廃絶」の二重の課題を提示しました。また、スピーチの中では「国家補償」という言葉を2度使いました。国家補償は、国に戦争により生じた被害の補償をさせることを義務付けることにより、国が戦争を始めることを躊躇させる、戦争への抑止になるという考えに基づくものです。これは戦争抑止への重大な提言だと思います。
現在の国際社会は、戦争や核被害の現実への対応や制度が未整備です。被害の現実を出発点に規範の実装を設計する研究が必要とされています。

ウクライナが核を持てば、ロシアに侵攻されなかったのか

以上の河合先生の講演は、理解が難しいところもありました。しかし、参加者は最後まで熱心に聞き入りました。講演後には終了間際まで質問がいくつも出されましたが、その中から私が印象に残った質疑応答を一つ紹介します。
50代くらいの男性からの質問です。「私は核廃絶すべきとの思いを持っているが、ウクライナがロシアに侵攻された現実を前に、『ウクライナが核を持っていれば侵攻されなかった』との意見が出される。これをどう考えるべきだろうか」。河合先生の回答は、「ウクライナの人々からすれば、それはあり得た仮定である。しかし、あくまでも仮定に過ぎず、持っていても戦争があったかもしれない。また、核の問題について、ウクライナ・ロシアの二国家間の関係だけで捉えるべきではなく、一歩引いた視点も重要である。ウクライナが核を持てば、第三国にも影響を及ぼさざるを得ない。影響は、核使用に伴う放射性物質の汚染もあるし、政治的影響もある。その影響を論じること抜きに核を持つべきとの議論をすることはできない」というものでした。核兵器の問題を考えるときに、使用国・相手国という閉じた関係ではなく、一歩ひいた視点での見方をする必要もあるということに気付かされました。

核兵器廃絶に向けた着実な歩み

懇親会では、河合先生が、講演に劣らない熱量でお話をしてくださいました。その中で、河合先生は「核で脅しあう世界と、戦争をしないと決める世界と、どちらの世界に住みたいですか」と問いかけられました。もちろん後者の世界を望みます。河合先生は、国際法の既存の枠組みにのっとって核廃絶を実現させるという研究も進められているそうです。核廃絶に向けて、真摯な、そして着実な取り組みがなされていることに、大きな希望を感じました。

~裁判傍聴&弁護士との交流会~弁護士に会ってみよう!

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法科大学院運営協力委員会 委員 久芳 かずさ(75期)

1 イベント概要

このたび、高校生・大学生を主な対象とした進路啓発イベント「弁護士に会ってみよう」を実施しましたのでご報告させていただきます。
本イベントは、弁護士という職業や法曹の世界に関心を持つ学生を対象に、裁判傍聴や弁護士の仕事内容を直接伝えることで法曹志願者の拡大を図ることを目的としています。
中学生から大学生まで合計14名の学生と2名の保護者にご参加いただきました。
当日は、まず、弁護士引率のもと、裁判傍聴を行ない、傍聴後には、実際に傍聴した裁判について引率をした弁護士から解説を行っており、学生からは質問が飛び交っていました。
傍聴した裁判についての解説の後は、事前に募集をした質問に対して、弁護士3名を登壇者として、弁護士の仕事のやりがいや弁護士を目指したきっかけなどについてパネルディスカッション形式で説明が行われたりしました。
参加者は熱心に耳を傾け、時折うなずく姿も見られました。
説明の中では、やりがい以外にも苦労をすることや、当時の学生生活の様子の紹介もありました。
登壇した弁護士の経験に基づく具体的な話の中で、参加者には弁護士という職業をより身近に感じていただけたと思います。
当委員会は、今回のイベントを通じて、法曹への理解と法曹人口の増加に資する貴重な機会となったと考えています。
また、これからの未来ある学生に法曹に触れてもらう機会を提供できたという点は、法曹志望者の裾野を広げるという観点からも有意義な取り組みであったと考えています。

2 タイムスケジュール

当日は12時15分より受付を開始し、12時30分に開会挨拶と傍聴の際の注意点の説明が行われました。
続いて、裁判や弁護士の役割について理解を深めるためのDVDを視聴し、13時10分からは弁護士が同席する形での裁判傍聴を実施しています。
裁判所からご提供いただいたパンフレットを片手に傍聴することができましたので、裁判の仕組みをパンフレットで知り、実際の法廷の雰囲気に触れ、法廷で弁護士がどのように活動しているかを間近に見ることができる貴重な機会となりました。
傍聴後は会館に戻り、14時50分から「弁護士と話してみよう!」と題し、参加者が弁護士に自由に質問できる時間が設けられており、参加者は傍聴した裁判の内容について疑問点を解消できたのではないかと思います。
15時20分からは「弁護士に聞いてみよう!」と題する講演が行われ、弁護士の業務内容や、弁護士になるまでの道のり、日々の仕事の中で感じる魅力等について、現役弁護士が自らの経験を交えて語りました。
最後に16時30分に閉会挨拶が行われ、全行程を終了しました。

3 裁判傍聴について

今回、法曹の仕事をより深く理解する機会として、刑事事件と民事事件の法廷傍聴を行いました。普段はニュースや教科書でしか触れることのない裁判を実際に目の当たりにし、法廷の緊張感や進行の様子を体験できたことは参加者にとって大変貴重な経験となったと思います。
刑事事件の傍聴では、法廷に入った瞬間に厳粛な空気が漂い、被告人が入廷すると場の緊張感が一層高まるのを感じてもらえたのではないかと思います。
一方で民事事件の傍聴は、第1回弁論手続、尋問手続を傍聴しました。どうしても争点等をその場で理解することは困難ですが、社会生活に密接した問題を冷静に解決していく場面が垣間見えました。
また、傍聴終了後には傍聴した裁判についての解説を引率の弁護士が行い、参加した学生からは多くの質問が飛び交いました。
実際に裁判を傍聴することで、教科書や講義だけでは得られないリアルな理解が得られ、参加者は「裁判の場が社会にとって不可欠な存在であること」を肌で感じることができたのではないでしょうか。

4 参加者の様子

会場には、高校生や大学生をメインに、法科大学院進学志望者や将来の進路を考えている学生など、幅広い関心を持つ若者が集まりました。
開始前は緊張した表情を見せていた学生たちも、傍聴に行き、裁判の解説を聞いたり、弁護士の自己紹介やエピソードトークが始まったりすると徐々にリラックスした雰囲気に変わり、積極的に耳を傾ける姿勢が印象的でした。
事前の質問事項に回答する際には「実際に収入や生活は安定しているのか?」「法律の勉強におすすめの本は?」といった具体的な内容にまで踏み込みました。
登壇した弁護士は一つひとつの質問に真剣に答え、ときには自身の経験談を交えながら、学生が安心して将来をイメージできるように工夫していました。
また、中には中学生や親子連れでの参加もありました。
将来の職業選択を考える若者にとって、実際の裁判を見学したり、弁護士の声を聞いたりできる体験は大きな刺激となり、進路を真剣に考えるきっかけになったことが伺えます。
イベント全体を通じて、学生の積極性と好奇心が引き出され、学びと気づきの多い時間となりました。

5 さいごに

今回のイベントは参加者の満足度も高く、有意義なものであったと思います。
参加した学生が今後の進路の参考となり、将来、ともに研鑽を積むことができる同業者として法曹界に入っていただけることを楽しみにしています。

あさかぜ基金だより

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弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 小島 くみ(75期)

豊前の西村弁護士に会ってきました

去る7月28日、豊前総合法律事務所を訪問、見学し、西村弁護士から、司法過疎地域である豊前市において事務所を開設してからの弁護士活動などについてお話を聞いてきました。

あさかぜ基金法律事務所は、九弁連管内の司法過疎地に派遣する弁護士を養成する公設事務所です。あさかぜ基金法律事務所で養成を受けた弁護士は、九弁連管内のひまわり基金法律事務所などに赴任します。そして、ひまわり基金法律事務所での任期を終えた後は、別の一般事務所に就職する弁護士や別の場所で独立する弁護士など様々ですが、なかには、そのまま現地に定着する弁護士がいます。

西村幸太郎弁護士(66期)は、あさかぜ基金法律事務所で養成を受けた後、平成28年10月に福岡県豊前市の豊前ひまわり法律事務所を開設して赴任し、任期を終えた後の令和元年10月、福岡県豊前市において豊前総合法律事務所を開設して同地に定着しました。

豊前市での弁護士活動

豊前市は、福岡県の東端に位置しており、人口2万3000人、南には修験道の遺跡で知られる求菩提山や天然記念物ツクシシャクナゲの群生地のある犬ヶ岳を望み、北は波静かな周防灘に面している緑豊かな田園都市です。

そして、豊前市は、行橋市及び苅田町などの京都郡、吉富町などの築上郡などとともに福岡地方裁判所行橋支部管轄である司法過疎地です。

西村弁護士は、3年間にわたる豊前ひまわり基金法律事務所においての執務を継続した後、豊前市での活動を継続したいとの思いを強くしたことから、同地に骨をうずめるべく定着し、現在は、豊前市に隣接する吉富町に新居を構えて子ども2人の子育てをするなど、自然に囲まれた同地での生活を家族4人で満喫しているとのことです。

西村弁護士は、豊前市や築上町、上毛町、吉富町にとどまらず、周辺地域で弁護士の少ない地域にお住いの人々からの依頼も受けているとのことです。そして、多くの人々が、気軽に法律相談をすることができるように工夫して交通事故、相続、離婚、労働事件、債務整理及び刑事事件など、幅広い分野において、地域在住の人々の意向に沿うような解決を目指しているということや、地域のニーズに応えて、終活セミナーを開催するなど新たなる客層の開拓にも意欲的にとり組んでいるということ、他士業と連携して依頼を増やしているということなどの話を聴くことができました。今後の課題は、司法過疎地域で業務を引継いでくれる弁護士を得ることであるとのことでした。

多くの事件を抱え、豊前市で活躍している西村弁護士の話を聴いて、司法過疎地域における弁護士の存在意義及び今後の課題というものを実感することができました。

地域に根差した弁護士を目指して

私は、令和6年2月にあさかぜに入所し、司法過疎偏在地域への赴任に向けて養成を受けてきましたが、来年早々、長崎県壱岐市にある壱岐ひまわり基金法律事務所に赴任させていただけることとなりました。

西村弁護士をはじめ、司法過疎偏在地域で活躍されている諸先輩弁護士をお手本として、地域の人たちから頼りにされる存在となれるよう、より一層の研鑽を積んでいかねばならないと、決意を新たにしています。

会員の皆様には、今後とも私たちあさかぜ所員への温かいご支援とご指導をお願いいたします。

豊前総合法律事務所

中小企業法律支援センターだより 中小企業の日全国一斉シンポジウム『挑戦を止めない経営者たちへ』

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中小企業法律支援センター 委員 平田 亘佑(76期)

1 はじめに

令和7年7月18日(金)午後4時から午後7時まで、福岡信用金庫本社ツインビル14階会議室にて、7月20日の「中小企業の日」を記念した全国一斉シンポジウム『挑戦を止めない経営者たちへ。事業承継・新規事業、突破する力を学ぶ日~経営者の挑戦に終わりはない~』が開催されました。この場をお借りして、本シンポジウムの実施内容についてご報告させていただきます。

2 参加状況

本シンポジウムは、Zoomでの同時配信も行われ、総勢66名の方にご参加いただきました(福岡会場50名、筑後会場1名、Zoom15名)。ご参加いただいた経営者の方々の業種は、金融、不動産、コンサル、福祉など多岐に亘りました。

福岡会場の様子

3 講演(1)「挑戦を止めない経営者たちへ~第二創業・新規事業への挑戦~」

e-FitsLab株式会社代表取締役籾山英宗様より、「挑戦を止めない経営者たちへ~第二創業・新規事業への挑戦~」と題して、ご自身の経験を講演いただきました。

籾山様は、大学在学中にお父様が急逝されたことで実家の保険代理店を急遽承継することになったことから始まり、数々の困難を経て、現在ではe-FitsLab株式会社代表取締役という地位を確立された方です。講演では(1)事業承継と新規事業、(2)第二創業、(3)第三創業といったフェーズごとに分けてお話しいただきました。これまでの輝かしい成功の数々をお聞きできると思いきや、むしろ私の体感としては、8割方が失敗や後悔からくるエピソードだったような印象で、かなり赤裸々に語っていただきました。籾山様のお人柄と巧みな話術もあり非常に内容の濃い講演でしたが、紙面の関係もありますので、以下、概要だけ記載致します。

(1) 事業承継と新規事業(21歳から31歳まで)

上記の通り、籾山様はお父様の急逝により急遽保険代理店業を承継する。承継後、自らの経験を活かして保険SHOPやマネースクールを開講するも、リーマンショックを受けて頓挫。

(2) 第二創業(32歳から46歳まで)

それでも中小企業同友会の仲間たちと励まし合い、切磋琢磨しながら、会社合併をして、何とか会社としては軌道にのせる。しかし、マーケティング担当と現場とのギャップ、経営陣内での考え方の相違などから、必ずしも順調とはいえない状況が続く。そんな中、中小企業同友会の仲間たちのアドバイスもあり、「思考の習慣」に気づく。「思考の習慣」から脱却することで、確定拠出型年金の導入支援や投資教育に事業を展開し、軌道に乗せる。

(3) 第三創業(46歳から「今」)

第三創業として、中小企業同友会や福岡信用金庫との連携を通じて、さらなる発展を目指す。これからも「何のための経営か」を自問し続ける経営者として、e-FitsLab株式会社籾山英宗氏の挑戦は続く。

講師の籾山英宗様

4 講演(2)「金融機関から見た事業承継支援」

福岡ひびき信用金庫ソリューション部林貴寛様より、「金融機関から見た事業承継支援」と題して、同金庫が行っている事業承継支援について実際の事例を踏まえてご説明がありました。

福岡ひびき信用金庫は、事業承継に関していうと、日本政策金融公庫と、令和4年4月26日に「事業承継支援に関する連携協定」を締結しており、日本公庫と連携して中小企業・小規模事業者の円滑な事業承継のサポート及び地域経済の活性化を目指して活動されています。林様は同金庫に入庫以来、営業店で融資窓口・渉外活動を10年経験した後、本部の企業コンサルティング部に配属されてからこれまで9年間事業承継M&A業務に従事されてきた方です。

今回紹介された事案は、どれも後継者の不在や債務超過などといった中小企業ならではの課題を抱えた事案といえ、福岡ひびき信用金庫の方々は単に融資の判断をするだけでなく、事業承継後の持続的な経営を確保するための方策を事業者と一緒になって検討されていました。

事業承継を成功させるには、各機関が一体となって協力体制を構築することが大切であると実感するとともに、今回のようなイベントを通して、各関係機関の交流の場を設けることで、人と人との輪を広げることも事業承継の一助になっていると確信します。

講師の林貴寛様

5 事業案内
(1) 福岡信用金庫

百周年プロジェクトチームの皆様から、創業100周年を記念したキャンペーンについて紹介されました。お客さまとともに次の100年へと共に歩んでいきたい気持ちを込めて考えられた創業100周年のブランドコンセプト「きになるしんきん」のポエムをパッケージしたプレゼント企画をされているそうなので皆様ぜひご参加ください。

(2) 福岡県事業承継・引継ぎ支援センター

当会所属の会員でもある福岡県事業承継・引継ぎ支援センター統括責任者補佐安東翔太弁護士より、同センターの事業内容と実績についてご紹介がありました。同センターは親族承継、社員承継、第三者承継といった各種事業承継に関する相談をワンストップで対応する機関であって、後継者や譲渡先をお探しの事業者とのマッチングから事業承継後の経営者のことまで考えたサポートをされています。民間のM&A仲介業者と比べて、小規模事業者や債務超過の事業者からの相談の割合が多い印象であると言われておりました。安東弁護士はまだまだ認知度が不十分であると言われておりましたが、年々右肩上がりの実績をあげられていて、今後ますます活躍が予想される機関の1つです。私も同センターのサブマネージャーの方と協力して事業承継事案を担当させていただいたことがありますが、非常に頼もしかった印象が今でも残っています。

福岡県事業承継・引継ぎ支援センター 安東翔太弁護士

(3) 福岡財務支局

福岡財務支局理財部金融調整官の安田恭輔様より財務局の事業者支援に係る取組について紹介されました。財務局は財務省の総合出先機関として、全国に9か所設置されており、各地域の特性を踏まえた財務省・金融庁の施策を実施、広報する機関です。事業承継との関係でいうと事業者支援態勢構築プロジェクトと題して、各地域の事業者の実情に応じたきめ細やかな支援を行っています。具体的には商工会議所の経営指導員と官民金融機関の営業店職員等を対象に意見交換会を実施したり、事業承継に関する各種関係機関の説明会を開催したり、情報共有のための場を「福岡地域しんこうコンソーシアム」として提供されています。当会もこのコンソーシアムに参加させてもらっています。

福岡財務支局理財部金融調整官 安田恭輔様

6 懇親会

シンポジウムの終了後は、同会場内で名刺交換会が行われ、その勢いのまま、近くのお店で懇親会が開催されました。お店が貸し切りであったこと、お互いお酒が入っていること、席が近く物理的距離感も近かったこと等から、講演及び事業紹介を聞いてさらに深堀りしたくなった話について尋ねたり、より内情に踏み込んだ話を聞けたりと、懇親会もシンポジウムに負けず劣らない盛り上がりでした。

7 おわりに

今回の全国一斉シンポジウムは、アンケート結果を見ても、好意的なコメントばかりで、当センターとしても来年以降のモチベーションに繋がるところです。とりわけ、毎年7月20日が「中小企業の日」であることだけでも覚えていただけると幸いです。当センターは引き続き各種関係機関とのイベント・勉強会を開催して参りますので、興味をお持ちの先生方がおられましたら是非ともご参加いただけたらと存じます。

最後にはなりますが、本シンポジウムの実施にあたって御協力いただいた各関係機関の方々に改めて深く御礼申しあげます。ありがとうございました。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

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