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2010年3月 の投稿

裁判員裁判 傍聴記(その6)

カテゴリー:未分類

 2月下旬、ある事件の法廷を傍聴しました。
 証人調べのあと、被告人の供述調書が朗読されました。
 被告人が女性だったからでしょうか、女性検事がゆっくり読み上げていきます。
 主任検事がその前に、これから読み上げる調書に何が書かれているか、簡単にコメントします。
 身上・経歴、犯行に至る経緯、犯行の動機、犯行の状況、犯行後の行動など、10通ほどの被告人調書が読み上げられ、被告人の心理状況や行動が明らかにされます。
 調書のなかで問答部分になっているところは、主任検事が問いを読み、答えを女性検事が読むというような役割分担もあります。
 犯行状況の再現写真も調書のなかで出てきますが、こちらのほうは、先の遺体写真とは違って法廷内のモニター画面に大きく映されました。
 被告人の供述調書の読み上げにちょうど1時間かかり、午後4時すぎに第1日目の裁判が終了しました。(な)

裁判員裁判 傍聴記(その5)

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 2月下旬、ある事件の法廷を傍聴しました。
 午後からは、いよいよ証人尋問です。尋問の前に裁判長が検察官と弁護人の双方に注文をつけました。
 「両脇の裁判員から被告人の顔が見えなくならないように、質問するときの立つ位置に気をつけてください」というものでした。
 なるほど、裁判官3人、両脇に裁判員が3人ずつ座っていますので、両端にいる裁判員は、検察官や弁護人の立つ位置によっては被告人の顔が見えなくなる恐れがあります。
 検察官は質問するとき、法廷内が暑いため、背広の上着を脱いでシャツ姿になり、自席から動いて検察官席の脇に立って質問を始めました。気がつくと首から何かぶら下げています。どうやらマイクのようです。そう言えば、中央にある書記官の机の上にはカメラのレンズが見えます。レンズは小さな木の箱に覆われていて、あまり注意を引きません。ただし、裁判長は証人に対して証言は録音録画していますということは述べていました。証人の証言はビデオ取りされ、評議のときに再現できるようになっているのです。
 検察官の質問のあと、弁護人が質問します。双方の質問が終わったあと、いったん休憩します。再開後、裁判体からの質問が予定されていますが、裁判長が促しても裁判員からの質問はありませんでした。
 そこで、次に裁判官2人から、先ほどからの証人の証言の意味を確認するような質問がなされました。(な)

裁判員裁判 傍聴記(その4)

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 2月下旬、ある事件の法廷を傍聴しました。
 午後からも供述調書の朗読が予定されています。ただ、その前に、遺体などの写真は午前中に取り調べすみになったわけですが、実は被告人に示していなかったということで、検察官は被告人席のすぐ近くに行って写真を示しました。被告人は無言のまま見ていました。
 関係者の供述調書について、女性だったら女性検事が読むと先に報告しましたが、午後からは女性の調書なのに女性検事に読ませず、主任検事が自ら朗読しました。
 警察のつくった捜査報告書も取り調べられました。これは争いのない事件なので、時間の節約のために関係者の供述調書までは不要としたもののようです。
 犯行に使われたロープと包丁が被告人に示されました。
 このとき、検察官がロープを素手で扱っているのを見て驚きました。ビニール袋に入れておき、必要なら取り出すべきものだったように思われます。包丁のほうはガラス箱に入れて、しっかり固定されていました。
 いずれも被告人に示したあと、壇上の裁判官席に置かれました。裁判員にはあとで回覧するのでしょうか・・・。(な)

裁判員裁判 傍聴記(その3)

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 2月下旬、ある事件の法廷を傍聴しました。
 弁護人の冒頭陳述が終わったところで、裁判長が30分間の休憩を宣言しました。裁判員裁判の特徴の一つが、この休憩です。たびたび休憩があり、いずれも25~30分間と長いのです。したがって、単なるトイレ休憩ではなく、裁判員の人たちに一つ一つ手続の意味するところを解説しているのだと思います。また、そうしないと、裁判員をまじえた審議(評議)がカラ回りする危険があります。各自の意見はともかくとして、目の前で展開していることについての共通認識が積み上げられていかないと、誤解にもとづくとんでもない意見が出てこないとは限りません。
 午前10時55分再開です。その5分前に被告人は入廷し、裁判体が入廷する前に腰縄と手錠が外されます。検察官が弁護人も同意した供述調書などの証拠書類を紹介し始めました。
 遺体写真もありましたが、これは法廷内のモニターには映りません。裁判員は、机上にある小型ディスプレイに見入っています。
 検察官は、その映像を出す前に「遺体の写真は刺激の強いものではありますが、本件では欠かせないものですので、どうぞご覧ください」という注意を裁判員に向けて述べていました。
 そのあと関係者の供述調書の朗読に移りました。
 まず、主任検察官が、これから朗読しようとする供述調書は誰のもので、何か書かれているか、読みあげに何分かかるかを紹介し、男性の調書は男性の検事が、女性の調書は女性検事がゆっくりゆっくり読んでいきます。スローテンポで、それなりの抑揚もありますので、聞いていてよく分かります。
 しかも、大切なところは途中で主任検察官が「これから読み上げるところは犯行直後の様子が述べられています」というような短いコメントを入れますので、趣旨は明確です。おおむね、一つの調書の読み上げは20分以内でした。
 たまに、その供述調書に引用されている銀行取引状況の画面が法廷内の大きなモニター上で表示されますが、こちらは文字が細かく、読みとれません。
 午前11時50分に午前の部は終了し、午後1時10分に再開されることになりました(な)

裁判員裁判・傍聴記(その2)

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 2月下旬、ある事件の法廷を傍聴しました。
 今回は冒頭陳述です。
 検察官は3人ですが、そのうちの1人が法廷内の証言台のあたりに立ち、ぺーパーを手にして前を向いて冒頭陳述を行います。
 その直前にA3サイズのカラー印刷のペーパー1枚が裁判体の全員と弁護人に配られました。
 検察官は裁判体に向かって明瞭な口調で、本件に登場してくる人物の人間関係、事件の背景、犯行状況を要領よく述べていきます。パワーポイントをつかって図示され、文字が次々に浮かび出てきます。
 A3サイズ1枚に詰め込んでしまったため、かなり細かく、法廷内のモニター画面にうつった文字は傍聴席からは読み取れません。
 検察官が裁判体に話しかけるようなジェスチャーで話しても、ほとんどの裁判員は手元にあるペーパーをじっと見ていて、検察官の顔を見ている人はいません。
 法廷内のモニター画面は、検察官と弁護人の背後の上の壁に大きく設定されていますが、それを見ているのは、傍聴席と司法修習生くらいです。傍聴人にとってはありがたいのですが・・・。
 検察官は被告人の氏名や生年月日について声を低めたので、傍聴席からは聞き取れませんでした。わざと、聞きとりにくくしたのでしょうか。性犯罪のときには被害者の氏名・住所は省略することが認められています。しかし被告人について、そのような配慮がなされるとは思えません。
 検察官が15分ほどで冒頭陳述を終わらせると、次は弁護人による冒頭陳述です。
 弁護人はパワーポイントではなく、OHPをつかいます。それにしても字が小さくて、傍聴席からは読み取れません。OHPの何枚かのシートをもう一人の弁護人が操作していきます。
 裁判員は弁護人の顔を見る人はほとんどいません。下をうつむいているだけなのか、手元に何か書面を渡されているのを読んでいるのか、よく分かりません。
 弁護人は裁判体に向かって話しかけようとはしていますが、OHPの原稿をもとに話すため、下を向くことが多く、しかも、声が小さくて傍聴席からはよく聞きとれません。
 結果が重大な事案においては、弁護人の口調も沈鬱なものにしないと裁判員から無用の反発を危険があります。
 検察官は冒頭陳述の終了後、もう一枚A3サイズのペーパーを裁判体の全員に配布しました。これは、申請した証拠のリストとその要旨の説明したもののようです。(な)

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