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法廷用語の日常語化(その3)

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反抗を抑圧する
 普通の市民は、この言葉を聞いたとき、反抗ではなく、むしろ犯行を思い浮かべると考えられる。反抗というと、若者の反抗、国家や親への反抗というイメージであり、一般的には、やってはいけないこととという印象を与えてしまう。
 抑圧というのも、市民の抑圧というように、良くないことというイメージがある。
 こんな言葉が2つ並ぶため、何を意味しているのか、大変わかりにくい。また、マイナスのイメージの言葉が続いているので、全体としては反抗を抑圧するのは良いこと、プラスであるかのような印象を与えかねない。
 そこで、反抗を抑圧するとは、暴行や脅迫によって、肉体的あるいは精神的に、抵抗できない状態にすること、これには被害者が抵抗したけれども最終的には抵抗を封じられた場合も含む、と説明する。
 なるほど、このように語感のプラスまたはマイナスのイメージを大切にしながら、どうやって独特の用語の意味を裁判員に分かってもらえるかを工夫するわけですね。(な)

法廷用語の日常語化(その2)

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 自白とは、自分が犯したことについて自ら話すこと。
 自白の任意性とは、脅かされたり、だまされたりすることなく、自らの意志で自白すること。任意性のない自白は、証拠とすることができない。
 裁判員に対しての説明として、自白に任意性があるかどうかが本件の争点と言って、任意性とは脅かされたり・・・と説明するより、検察官の提出する警察官がつくった調書は、○○刑事に・・・と脅かされて作られたものですから、証拠にはなりませんと説明したほうがよい。
 自白の任意性という言葉をつかわずに内容を説明します。一般に自白というのは自分の意思でするものと思われており、自分の意志にもとづかない自白があるという考えそのものが理解されにくいのです。
 任意になされていないものは一般に自白とは考えられないし、自白が信用できないという発想はなかなか受けいれられないものです。
 また、犯人は自らすすんで犯したことを全部話すというイメージがあり、一部だけ自白するという概念は理解されにくいものです。
 したがって、一部自白しているのを全部について自白しているかのように誤解されないため、一部自白については、認めている事実を必要に応じて厳密に特定して話す必要があります。
 いずれにせよ、自白というのはまず任意性・信用性に疑いをもって見るものだという弁護人の発想は裁判員には通用しないことを十分に理解したうえで、自白という言葉をつかうべきなのです。
 なるほど、犯人は自白するもの、自白したなら犯人だというのが世間の常識でしょう。でも、現実には真犯人が別にいた事件で、無実の人が「自白」したというケースはよく起きていることです。(な)

法廷用語の日常語化(その1)

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 日弁連では法廷用語を裁判員となる一般市民にいかに分かりやすく伝えるか、言語学者なども混じえてプロジェクトチームをつくって検討をすすめています。
 その中間報告書は日弁連のホームページにアップされています。それにもとづいて、これから少しずつ紹介していきます。
 公訴事実とは、検察官が裁判を求める事件の要点。裁判が始まった冒頭に、検察官が朗読する起訴状に書かれているもの。
 事実という言葉をつかうと、すぐに「真実」だと誤解する人が出てくるので、公訴事実を犯罪事実と言い換えるのは良くない。
 たとえ「検察官の主張する事実」だと言っても、やはり真実だと誤解する人が出てくる。したがって、事実という言葉は避けたい。
 そこで、事件の要点としてみた。
 このように解説されています。うーん、なかなか難しいですよね。(な)

事業に著しい損害が生じる恐れがある場合のみ辞退が認められる

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 日経新聞(1月21日)によると、大企業の51%が社員が裁判員にとられたら業務に支障が出ると回答したそうです。たしかにそうでしょう。グループ全体で10数万人の社員をかかえる松下電器産業にあてはめると、常時400〜500人の社員が裁判員候補者として裁判所からの呼び出しを待つ計算になるとのことです。
 候補者は年間37万人というのですから、これまた当然でしょう。でも、考えてみてください。国民が主権者であるということは、何らかの努力が求められるのです。会社の都合のみで動くのではなく、国全体のことをたまには考える義務もあるわけです。会社は、そのための条件整備をするのが当然の責務なのです。企業が社会への貢献をするというのは、何もどこかへ献金するだけで足りるというものではありません。
 企業は裁判員として出廷するときには有給休暇扱いとするよう、就業規則の見直しをはじめているといいます。当然必要な措置です。問題は中小企業です。その社員がいないと事業がまわらないというとき、それを「事業に著しい損害が生じる恐れがある場合」と安易に認めたら、裁判員になる人が激減してしまいます。大変深刻な状況が生まれると思いますが、日本の民主主義を定着・発展させるための苦労だということで、どこかで折り合いをつけなければなりません。
 裁判員制度の円滑な実現のために手当てすべき課題は山積しています。(な)

法律の素人でも議論に参加できる工夫

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 裁判員は法律の素人であることがほとんどですから、法律の知識が必要な場合には裁判官が分かりやすく説明することになっています。
 これまで法廷で普通につかっていた専門用語も、素人が理解しやすいように言い換えることになっていて、目下、その作業を弁護士会でもすすめています。裁判所・検察庁も検討中ですので、三者すりあわせて練り上げられるはずです。
 痴漢で捕まった被告人が無罪となった事件を扱った画期的な映画「それでもボクはやっていない」をつくった周防正行監督(映画「シャルウィーダンス」は良かったですね・・・)は次のように語っています。
 ぼくは裁判員制度については、2つのことを言っている。まず、ことば。裁判は公開が原則といっても、そこで使われている言葉が全然わからない。「公開」されていない。裁判官が裁判員と話すときには、普通の人が分かる言葉で話さなければいけない。
 もう一つは、裁判員は被告人を裁くのか、という点。たしかに、最終的には被告人を裁くことになるが、裁判員が判断する対象は検察官の行う有罪の主張・立証である。もし、検察官の有罪立証に一つでも疑いが残ったら無罪にしなければいけないということ。
 人が人を裁くのだから、これで100%正解というものはない。少なくとも、今の制度よりもっといいものがあるはずだと試行錯誤を繰り返して議論しつづけることが必要なのだ。
 救援新聞(日本国民救援会)1月5日号にのっていました。まったく同感です。(な)

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