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裁判員を選ぶときの質問

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 裁判員として選ばれるときには、質問票にこたえる方式を経たうえで、口頭でも質問されることになります。それは、不公平な裁判をするおそれがあるかどうかを確かめるための質問です。その具体的なイメージは、次のようなものです。(な)
○ 当日、質問票において聞かれる質問
 1 あなたは、被告人または被害者と関係があったり、事件の捜査に関与するなど、この事件と特別の関係にありますか。(ある。ない)
(ある場合には、具体的にお書き下さい
                                  )
2 あなた又は家族などの身近な人が今回の事件と同じような犯罪の被害にあったことがありますか。(ある。ない)
ある場合には、その被害の内容を差し支えない範囲でお書きください。
3 今回の事件のことを報道などを通じて知っていますか。
 ? 知らない。
 ? ある程度知っている。
 ? 詳しく知っている。
○ 質問手続きにおいて口頭で聞かれる質問
 たとえば、被告人と同じ会社に勤めているなどと答えたときには、「事件との関係を離れて、この裁判で証拠にもとづいて公平に判断することができますか」という質問がなされます。
 また、「ご自身や身近な人の被害の経験を離れて、この裁判で証拠にもとづいて公平に判断することに支障がありますか」との質問もありえます。
 さらに、「報道などに左右されることなく、法廷で見たり聞いたりした証拠だけにもとづいて判断できますか」とか「どの程度知っていますか」、「この事件について、どのように考えていますか」、といった質問も考えられます。
 なお、事件によっては「あなたには、警察などの捜査はとくに信用できると思うような事情、あるいは逆に、とくに信用できないと思うような事情がありますか」と質問されることもありえます。

裁判員に対する説示の例

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裁判員に対して、裁判官は次のように話しかけるという例が示されました。
・・・・・
○ 前置き
  皆さんは、この事件の裁判員に選任されました。これから、私たち裁判官と一緒に裁判を行うことになります。どうかよろしくお願いいたします。
○ 刑事裁判のルールについて
まず、皆さんに裁判に参加していただくにあたって、予め知っておいていただきたい裁判のルールをご説明いたします。
裁判は、被告人が起訴状に書かれている犯罪を本当に行ったかどうかを判断するために行われます。
その判断を行うために、検察官と弁護人から証拠が提出されますが、被告人が有罪であることは、検察官が証拠が提出されますが、被告人が有罪であることは、検察官が証拠にもとづいて明らかにすべきこと、つまり証明すべきことになっています。ですから、検察官が有罪であることを証明できない場合には、無罪の判断を行うことになります。
被告人が有罪か無罪かは、法廷に提出された証拠だけにもとづいて判断しなければいけません。新聞やテレビなどで見たり聞いたりしたことは、証拠ではありません。ですから、そうした情報にもとづいて判断してはいけないのです。また、検察官や弁護人は、事実がどうであったか、証拠をどのように見るべきかについて、意見を述べます。これも裁判員の皆さんと裁判官の判断の参考にするために述べられるのであって、証拠ではありません。
証拠としては、たとえば、凶器などの証拠品、現場見取図などの書類、証人や被告人の話があります。証人や被告人から話を聞く際には、裁判員の皆さんにも質問の機会があります。もし質問があるときは、その機会に私に申し出てください。
法廷での手続きが終わると、裁判員の皆さんと裁判官は、被告人が本当に起訴状に書いてある罪を犯したのかどうかを判断します。
過去にある事実があったかどうかは直接確認できませんが、普段の生活でも、関係者の話などをもとに、事実があったのかなかったのかを判断している場合があるはずです。ただ、裁判では、不確かなことで人を処罰することは許されませんから、証拠を検討した結果、常識にしたがって判断し、被告人が起訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に、有罪とすることになります。逆に、常識にしたがって判断し、有罪とすることについて疑問があるときは、無罪としなければなりません。
有罪とするときには、被告人をどのような刑にするのかを決めます。
結論は、裁判員の皆さんと裁判官が一緒に話し合いをしながら出していきます。裁判員の皆さんには、今述べてきたようなルールにしたがって、ご自分の判断にもとづいて意見を述べていただきます。裁判官も同じルールにしたがって意見を述べます。裁判員と裁判官の意見は同じ重みです。
なお、法律の解釈が問題となる場合には、裁判官がその解釈について説明しますので、ご安心下さい。
○注意事項
次に、裁判員に皆さんにお願いがあります。
裁判は、皆さん全員がそろわないと行うことができません。もし、病気などやむをえない事情で裁判所にお越しいただけなくなった場合には、ご連絡をいただきたいと思います。
 また、評議で誰が何を言ったかといった評議の内容は秘密にしてください。評議の秘密が漏れないようにすることは、皆さんのプライバシーや安全を保護することにもなります。また、記録に出てくる事件関係者のプライバシー情報も漏らさないようにしてください。
 ただ、公開の法廷で見たり聞いたりしたことや、裁判員を務めてみての印象といったことは、他の方にお話しいただいても構いません。
○ まとめ
 これから手続きを進めていく途中でも、もし分からないことがでてきたときには、どうかご遠慮なくおっしゃってください。
 最後に、裁判員の皆さんには、今の説明を了解し、法令にしたがって、公平誠実に職務を行う旨の宣誓をしていただきます。
・・・・・
 いかがでしょうか。疑わしきは罰せずという刑事裁判の鉄則をはっきり説明したほうがよいと私は思います。(な)

「裁判員になりました」

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 日弁連が裁判員マンガをつくりました。原作は「家裁の人」で有名な毛利甚八さんで、幡地英明氏が絵を描いています。
 66頁のマンガです。裁判員裁判とは何かが、とてもよく分かります。そして、巻末には、13頁にわたって、用語その他の解説がついています。
 このマンガは1冊100円なのですが、日弁連は会員に弁護士に対して、母校(出身高校)に寄贈することを呼びかけています。かりに1学年500人としても、1冊100円なので5万円ですみます。裁判員裁判のDVDもいくつかあり、それも見てもらいたいと思いますが、このマンガでざっと裁判員って何なのか分かってもらえたらいいですね。(な)

法廷用語の日常語化(その5)

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 合理的疑い
 証拠にもとづいて、皆さんの常識に照らして有罪であることに少しでも疑問があったら、有罪にはできません。そのような疑問が残っていたら、無罪にしなければなりません。
 裁判員に対しては、合理的疑いという言葉は使わないのが望ましいとされています。
 実は、合理的疑いという用語には定説がありません。したがって、言い換えや説明が難しいのです。そこで、このように説明したらどうかと提案されています。しかも、用語そのものが分かりにくい。
1.合理的な疑いが残る場合には、有罪にすることはできない。
2.合理的な疑いが残る場合は、無罪にしなければならない。
3.有罪にするには、合理的な疑いを超える証明が必要である。
 ここでは、次のコメントが大切だとされています。
 一般の感覚では、疑いとは犯人らしいという疑いであり、これはマイナスのイメージをもつ言葉である。しかし、合理的な疑いがある場合には無罪というのは、プラス・イメージの結論とすべきだというのだから、一般の語感とのねじれが生じてくる。
 合理的を常識的という表現におきかえる。次に、それは一般人の常識か、個々人の常識なのか。万人に共通する常識というものも、実は存在しない。
 したがって、裁判員に対しては、一般の人はどう考えると思いますか、と問いかけるのではなく、あなたはどう考えますか、と個々人の基準による意見を求めるべき。
 ふむふむ、うーん、なかなか難しいものですよね、これって・・・。   (な)

法廷用語の日常語化(その4)

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 教唆するとは、他人をそそのかして犯罪をやる気にさせること。
 この言葉は一般用語としても使われており、それほど難解ではないと中間報告書でコメントされています。しかし、そうでしょうか。読み方だって難しいように思いますが、いかがでしょうか。
 岩波の国語辞典では、おだててそそのかすこと。法律で、犯罪を行おうと思うように他人にし向けること、となっています。教唆扇動という言葉が例としてあがっています。
 法律用語としては、? 教唆犯が処罰されるのは主犯が成立するときであるが、特別法でその例外が定められているときも処罰対象となること、? 教唆犯に近い概念として「共謀共同正犯」があり、厳密さを求めると詳細な説明が必要となる、ともされています。
 どのような場合に、この教唆するという言葉が法廷に出てくるか。中間報告書には、3つあげられています。
? 教唆を受けて実行行為をした人が起訴されたとき
  たとえば、殺人事件の実行行為をした人の裁判で、○○の教唆のもとに殺人を犯したと説明される。
? 教唆自体が処罰の対象になっているとき
  たとえば、殺人教唆で起訴され、○○を教唆して、と説明される。
  このときには、どんなときに教唆犯が処罰されるのか法律的な説明が必要になってくることがある。
? 共謀共同正犯で起訴され、教唆だとして争うとき
 たとえば、共犯ではなく、単に教唆したに過ぎないと主張することがある。このときには、教唆と共謀共同正犯の違いは当然に必要になる。
 以上をふまえて、中間報告書は次の2つを論点として提起しています。
 その一つは、法律上の教唆犯の成立条件を厳密にイメージして説明する必要はなく、一般用語としての説明だけで足りるのではないか。
 主犯が実行行為を行ったときに処罰されるという説明は、かえって裁判員を混乱させるのではないか。共謀共同正犯との違いは、それが問題となるときに限って説明すればよい。
 その二は、教唆は犯罪を実行させることか、犯罪をやる気にさせることか、ということ。実行に着手したかどうかは起訴段階で既にクリアされているから、裁判員に対する説明として重要なのは、そそのかして、やる気にさせること、である。
 なるほど、そうかもしれません。というより、そうなのでしょう。でも、これを言葉だけで裁判員に分かってもらうというのは、なかなか大変な気がします。実際、あまり一般になじみのない用語ですからね。(な)

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