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検察官調書

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「裁判員のための法廷用語ハンドブック」(三省堂)より紹介します。(な)
検察官調書(検面調書)とは、検察官が、事件について、被疑者(容疑者)を取り調べたり、被害者その他の関係者から事情を聞いたりして、その内容を書き記したもの。
○ 「検察官の面前における供述を録取した調書」は、これまでは、検面調書と呼ばれていました。これからは検察官調書と呼ばれることが多いでしょう。
 検察官が事情を聞く対象は、容疑者だけでなく、被害者や関係者もふくまれます。検察庁内に限らず、たとえば自宅や病院、または目立たないようにホテルなどで行われる場合もあります。
 容疑者や関係者の同意を得て任意に事情を聞いた場合でも、容疑者を逮捕・勾留して取り調べた場合でも、その記録は検察官調書となります。
○裁判員裁判では、人が見聞きしたり経験したことは、原則として、法廷での証人尋問や被告人質問という形で、証言・供述してもらうという方法がとられます。ただ、例外的に法廷外での書面が証拠として採用されることがあります。その一例が検察官調書です。
 例外的に採用されるのは、次のような場合です。
? 証拠調べ請求をした相手側(たとえば、検察官が請求した場合は被告人・弁護人)が同意した場合
? 供述した人がすでに死亡し、法廷に出てくることができない場合
? 関係者の法廷での証言が前の供述と異なる場合
 ただし、?の場合は、「法廷での証言より、前の供述がより信用できるという特別な状況がある」(特信状況あるいは特信性がある)という条件が必要です。
 たとえば、検察官の事情聴取が終わったあと、公判の始まる前に、証人が誰かに脅されたなどの事情がある場合には、検察官調書作成のときに特信状況があると主張されるでしょう。
○ 検察官調書(検面調書)は、あたかもその人がスラスラと一つの物語を話し、それを検察官が書き取ったかのような体裁になっています。しかし、実際は、検察官がその人から話を聞いて、それを検察官が頭の中で整理して、その整理したものを検察官が文章にしたものです。

冒頭陳述とは?

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「裁判員のための法廷用語ハンドブック」(三省堂)が出版されました。これから、少しずつ紹介していきます。(な)
冒頭陳述とは、検察官や弁護人が証拠調べ手続の最初に述べる事件のストーリーのことです。
○ 起訴状朗読などの冒頭手続(裁判の最初の手続)が終了したあと、証拠調べ手続に入ります。この手続のいちばんはじめに、検察官と弁護人は、各自が証明しようと考えている事件の内容について述べます。これは、冒頭陳述といいます。
○ 冒頭陳述は、あくまで、検察官や弁護人が主張する事件のストーリーで、それぞれが「これが事実だ」と考えている意見にすぎません。事件の内容について争いがある場合、双方から異なった「ストーリー」が述べられることになります。
  裁判官や裁判員の役割は、検察官や弁護人が冒頭陳述で述べている内容が、その後出される証拠にもとづいて、認められるかどうかを判断することです。
○ 検察官、弁護人のそれぞれの冒頭陳述を聞いて、どちらの言っていることが正しいのか決めるわけではありません。冒頭陳述は、案内図です。それぞれの立場から違った案内図が出されますが、この案内図を参考にして、証拠を見たり、証言を聞いたりすることになります。

説得のテクニック

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 近着の判例タイムズ1261号に説得のテクニックが紹介されています。役に立ちそうな内容です。(な)
説得に使われるテクニック
 受け手を説得する方法は、受け手にこちらの主張を聞かせて納得させるというだけではない。受け手の行動を促したり、送り手と受け手の相互作用によって受け手が送り手のメッセージに応じるようになる、ということがある。
 
○ フット・イン・ザ・ドア・テクニック
 応諾獲得戦略として非常にポピュラーなもの。これは小さな要求から大きな要求へ、だんだん要求を大きくしていき、最後の一番大きな要求を受け手に受け入れさせる方法である。たとえば何かの勧誘で、簡単な街頭アンケートに回答し、それを受け手がしたら次は喫茶店に誘い、喫茶店までついてきたら今度は英会話教材の購入などのさらに大きい要求をしていくというもの。
○ ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック
 これはフット・イン・ザ・ドアの反対のもの。最初に「これは絶対聞いてもらえないだろう」という大きな要求をする。もちろん受け手は拒絶するが、受け手が拒絶したのを見はからって、より小さくて穏当な要求をして応諾させるという方法である。送り手が譲歩したのだから受け手も譲歩しなくてはならない、と受け手に思わせ、応諾を引き出す方法。
○ ザッツ・ノット・オール・テクニック
 これはドア・イン・ザ・フェイスの一応用バージョンであり、通販番組などでもよく見られる。ある価格で製品を呈示し、買い手が反応する前に、「それだけではありません!」と言って、割引をさらに呈示したり、おまけが付くことを強調する、という方法である。
○ ロー・ボール・テクニック
 これは、最初によい条件を提示して契約をする気にさせ、承諾させる。これが、相手にとりやすい玉を投げるという意味で「ロー・ボール」と呼ばれている。そのうえで最初の「よい条件」を取り払ってしまうという方法である。最初の選択にコミットしてしまうために、このようなことが生じる。
○ 一面提示と両面提示
 一般に物事には、説得する側にとって都合のよい面と悪い面があると考えられる。そのようなとき、それを両方示した方がよいのか、それともよい方だけを示した方がよいのか?両方示すとしたら、どのようにするのがよいのであろうか?
 次のような実験結果がある。はじめから送り手と同じ意見を持っていた人には、一面提示の方が効果的であり、一方、送り手と反対の立場だった人に対しては両面提示の方が効果的であった。また、両面提示は教育程度の高い人にとって有効だ。
 これまでの知見では、一面提示が有効なのは受け手の教育程度が低く、提示される議論に詳しくなく、送り手の主張が複雑でなく、当然性が高く、受けてが送り手にはじめから賛成で、受け手はあとで逆の立場からの説得にさらされないときであり、その他の場合には両面提示が有効であるとされる。
○ 結論を明示するか保留するか
 反対尋問のときなど、最終的な結論まで証人に言わせてしまうか、その手前で止めて裁判官や裁判員に考えさせるかはひとつの問題。これまでの知見をまとめると、次のようになる。
 (1)受け手の知的水準が高いときには、結論は保留した方がよい。(2)議論の内容が複雑で高度なときには明示した方がよいが、そうでないときには受け手に結論を出させた方がよい。(3)受け手が自ら結論を出そうと強く動機づけられているときには、受け手に結論を出させた方がよい。

分かりやすい裁判用語

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 前回に引き続いて『季刊・刑事弁護』より紹介します。(な)
黙秘権
 自己の意思に反して話す必要はなく、話さないことをもって被告人の不利益に扱われることは一切ない権利
特信情況(特信性)
 検面調書が証拠として採用されるための条件の一つで、検面調書に記載された供述の方が、同じ人の法廷での証言より信用できるという特別な事情があること
自白、自白の任意性
 自白とは、自分が犯したことについて自ら話すこと
 自白の任意性とは、脅かされたり、だまされたりすることなく、自らの意思で自白すること。「任意性のない自白」は、証拠とすることができない。
故意・確定的故意(殺意)・未必の殺意(殺意)・認識ある過失
 故意    犯罪を行う意思
 確定的殺意とは、殺そうと思って、・・・した。
 未必の殺意とは、必ず殺してやろうと思ったわけではないが、死んでしまうならそれも仕方がないと思って、・・・した。
 認識ある過失とは、死んでもかまわないと思ったわけではないけれども、危険を知りながら・・・した。

分かりやすい裁判用語

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『季刊・刑事弁護』(54号)に、日弁連の法廷用語の日常語化に関するプロジェクトチームが報告書を出したことが紹介されています。かなり分かりやすくなったとは思うのですが、実際には、いろいろと言い換えたり、具体的な説明をそのつどする必要があることでしょうね。(な)
合理的な疑問(合理的な疑い)
証拠にもとづいて、皆さんの常識に照らして有罪であることに少しでも疑問があったら、有罪にはできません。そのような疑問が残っていたら、無罪にしなければなりません。
 「合理的な疑い」という表現を用いなかったのは、たとえば、一般的に「疑い」という場合、無罪方向を意味するのではなく、「犯人である疑い」というように、有罪方向で用いられることが多い。そこで、そのような使用方法をされている「疑い」という言葉を用いることは、裁判員の理解の妨げとなるという理由による。
 最高裁は、合理的疑問について、次のように説明することを提案しています。
 「過去にある事実があったかどうかは直接確認できませんが、普段の生活でも、関係者の話などをもとに、事実があったのかなかったのかを判断している場合があるはずです。ただ、裁判では、不確かなことで人を処罰することは許されませんから、証拠を検討した結果、常識にしたがって判断し、被告人が起訴状に書かれている罪を犯したことは間違いないと考えられる場合に、有罪とすることになります。逆に、常識にしたがって判断し、有罪とすることについて疑問があるときは、無罪としなければなりません」
 ここでも「合理的」という用語を用いないこと、「疑い」ではなく「疑問」としていること、「常識」という用語を用いていることなどの点において、日弁連PTの報告書と似ています。
 なお、最高裁の2007年10月16日判決は、「ここに合理的疑いを差し挟む余地がないというのは、反対事実が存在する疑いをまったく残さない場合をいうのもではなく、抽象的な可能性としては反対事実が存在するとの疑いをいれる余地があっても、健全な社会常識に照らして、その疑いに合理性がないと一般的に判断される場合には、有罪認定を可能とする趣旨である」としています。

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