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現住建造物・非現住建造物

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『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○現住建造物
住居として使っているか、または、中に現に人がいる建物。
○非現住建造物
住居として使っておらず、中に人もいない建物。
○たとえば
 起訴状に、現住建造物等放火のときには「被告人は平成○年○月○日○時○分ころ、○○市○○町○丁目○番○号所在のA所有及び居住にかかる木造2階建家屋1階台所において、持っていたライターで座布団に点火して火を放ち、その火を壁等に燃え移らせたうえ、現住建造物である同家屋の一部約○平方メートルを焼損したものである」と書かれ、非現住建造物等放火のときには、「被告人は平成○年○月○日○時○分ころ、○○市○○町○丁目○番○号所在のA所有の物置小屋内において、所携のライターで新聞紙に点火して火を放ち、その火を壁等に燃え移らせたうえ、非現住建造物である同物置小屋の一部約○平方メートルを焼損したものである」と書かれます。
○放火罪
放火罪とは、建物などに火を放って燃やしてしまう罪です。放火罪は、公共危険罪と呼ばれ、社会の一般的安全、すなわち、不特定または多数人の生命・身体ないし重要な財産の安全を脅かす行為を犯罪とします。もちろん、財産的侵害を防ぐ目的もあります。
社会の一般的安全という面から見ると、同じ建物に放火しても、その建物に人が居住している場合とそうでない場合とでは、危険度が異なります。そこで、刑法は、現住建造物と非現住建造物に分けて、これらを異なった犯罪の対象とし、刑罰も異なったものとしています。
現住建造物とは、住居として使っているか、または中に現に人がいる建物で、非現住建造物とは、住居として使っておらず、中に人もいない建物のことです。この場合の「人」には、放火した人は含みません。
○建造物の範囲
 放火の対象となるのは建造物や電車などです。建造物とは、家屋など、屋根があり柱で支持されているような建築物のことです。建築工事中で単に棟上げだけが終わっているような程度では建造物ではありません。

既遂・未遂・中止未遂(中止犯)

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『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○既遂
ある犯罪行為にとりかかり、その結果を生じさせたこと。
○未遂
ある犯罪行為にとりかかったけれども、その結果が生じるに至らなかったこと。
○中止未遂(中止犯)
犯罪行為にとりかかったけれども、自分の意思で途中でやめたため未遂に終わったこと。
○たとえば、検察官は冒頭陳述のときに「被害者が死亡したのは、まさに被告人の行為によるものなのです。したがって、被告人は殺人既遂の責任を負います」と述べます。
○また、弁護人は最終弁論のときに「たしかに、被告人が殺人の実行行為を行ったことは間違いありません。しかし、被害者が死亡したのは、被告人の行為とはまったく別の原因によるものなのです。被告には、殺人未遂が成立するにすぎません」とか、冒頭陳述において「たしかに、被告人は被害者を殺そうとして、両手でその首を締めました。しかし、苦しそうにする被害者の顔を見ると、『人殺しなどいけない』と思いなおし、自分の意思で首を絞めるのをやめたのです。被告人には中止未遂が成立します」と弁論します。
○未遂とは
 ?犯罪行為に取り掛かったが、それが終わらなかったために結果が生じなかった、
 ?犯罪に行為に取り掛かり、それを終えたが結果が生じなかった、ということです。
 ?については、人を殺そうと思って鉄パイプで頭を殴ろうとしたが、空振りして、そのあと相手が逃げてしまったため殺せなかった、?については、実際に鉄パイプで頭を殴ったが、結果的に相手が死ななかったなどがあり得ます。
 このときには、殺人罪が予定している「人を殺した」という結果は生じていませんが、人を殺そうとする行為をしたことに違いはありません。たとえ結果が生じていなくても、このような危険な行為をした者は処罰する必要があります。そこで、一定の犯罪については、結果が生じていなくても未遂罪として処罰されます。未遂が処罰されるのは、放火、殺人、強制わいせつ、強姦、窃盗、強盗、詐欺、恐喝、背任などの犯罪です。
 なお、犯罪行為によって結果が生じた場合を、未遂と区別する意味で、既遂といいます。
○二種類の未遂
 結果が生じなかったとしても、その原因にはいろいろなものがあります。
たとえば、相手を殺そうとして両手で相手の首を絞めたが、結果的に相手は死ななかったというケースでも、?相手が激しく抵抗したために、殺すほど強く首を絞めることができなかった、?首を絞められて苦しんでいる相手の顔を見て、かわいそうになり、自分から首を絞めるのをやめたということもあります。
 ?のような、殺そうと思えば殺せたけれども、あえて殺すのをやめた人の処罰は、?のような、殺そうと思ったが相手の抵抗にあって殺せなかった人の処罰よりも寛大に扱う必要があります。
 そこで、結果を生じさせようと思えばできたにもかかわらず、自分の意思で犯罪行為をやめて、結果が発生しなかった?の場合は、中止未遂(中止犯)として、必ず刑を減軽するか免除しなければなりません。これに対して、中止未遂(中止犯)以外の?のような場合は、障害未遂といって、刑を軽減することもできますが、刑を軽減しないこともできます。

心神喪失・心神耗弱

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『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○心神喪失とは
精神の障害により、やってよいこととやってはいけないことを判断し、またはやってはいけない行為を抑えることが、まったくできない状態。
○心神耗弱とは
精神の障害により、やってよいこととやってはいけないことを判断し、またはやってはいけない行為を抑えることが、非常に困難な状態。
○たとえば
検察官が最終の論告のとき、「弁護人は、被告人は本件犯行当時、心神喪失の状態にあり、責任能力がなかったなどと主張します。しかし、被告人の精神鑑定を行った○○医師の証言によれば、被告人に責任能力があったことは明白です」と述べます。
また、弁護人が最終弁論のとき、「被告人は本件犯行当時、心神耗弱状態にあり、完全な責任能力がありませんでした。刑を軽減すべきです」と述べます。
○精神の障害として典型的なのは、統合失調症など幻覚や妄想を伴う病気です。しかし統合失調症の場合でも重度であるかどうか、またその他の精神病や知的障害の場合は、その症状や程度がどのようなものか、慎重に検討されることになります。
長期にわたる病気だけでなく、麻薬や向精神薬などの薬物の影響や、飲酒によって異常な酩酊状態になり、意識障害を引き起こしたケースなどでも、心神喪失と認められることがあります。
○心神喪失とは、やってよいこととやってはいけないことを判断し、またはやってはいけない行為を抑えることが「まったくできない」状態ですが、心神耗弱とは、それが非常に困難な状態のことです。
 完全なものではなくとも責任能力があることになりますから、刑罰を科すことはできます。しかし、完全な責任能力がある場合と同じというわけにはいかないので、刑の軽減をしなければならないのです。

責任能力

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『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○責任能力とは
犯行当時の精神状態が、自分の行動に責任を負えるようなものであったこと。
○たとえば
 検察官が最終論告のとき、「弁護人は、被告人は本件犯行当時、心神喪失の状態にあり、責任能力がなかったなどと主張します。しかし、被告人の精神鑑定を行った○○医師の証言によれば、被告人に責任能力があったことは明白です」と述べます。
 また、弁護人が最終弁論のとき、「被告人は本件犯行当時、心身衰弱状態にあり、完全な責任能力がありませんでした。刑を軽減すべきです」と述べます。
○責任能力がなければ処罰されないのが刑法の原則
 なぜ、犯罪を行った人が犯罪者として刑罰を科されるかといえば、やってよいことと悪いこととを区別し、悪いことはしないという判断ができるにも関わらず、あえて悪いこと、犯罪を行ったからです。これに対して、やってよいことと悪いことが区別できない人が犯罪行為を行ったとしても、あえて悪いこと、犯罪を行ったとはいえませんから、その人を非難し、刑罰を科すことはできません。善悪を判断できる人が、自らの判断によって罪を犯した場合に処罰するのが、刑法の大原則です。
 国が人に刑罰を科すことは、感情に基づく報復ではありません。精神の障害によって、善悪の区別ができない人がしたことについて刑を科して責任を問うことは、人に不可能なことを要求する結果になってしまいます。

従犯

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 『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○従犯(じゅうはん)とは、他人の犯罪を補助した人。自ら犯罪を犯罪を行ったときよりも軽い刑を適用しなければなりません。
○ たとえば、最終弁論のとき、弁護人は「被告人Eは共同正犯として起訴されましたが、EはAにナイフを貸しただけであり、従犯にすぎません」と弁論します。
○ また、評議のとき裁判官は、「被告人Eは共同正犯なのか、従犯なのか、皆さんのご意見をうかがいましょう」と発言します。
 このように、EはAにナイフを貸したのですが、実行には参加していないのです。
○ 従犯とは、犯罪を実際に行った人だけでなく、その犯罪を補助した人も従犯として責任を問われます。Eのように、強盗行為に使うと知っていてナイフを貸した場合などがこれにあたります。
  ただし、その処罰は実際に行われた犯罪について定められている刑の2分の1の範囲に減刑することになっており、実際に犯罪を犯した人より軽い刑が適用されます。
○ 従犯になるのは、凶器を貸したり、見張り行為をした場合などです。
  見張り行為については、共同正犯とすべきか従犯と見るべきか、裁判で争われることがあります。

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