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伝聞法則・伝聞証拠・伝聞供述

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 『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○ 伝聞法則とは、だれかが法廷の外で話したことは、証拠にできないという決まりのことです。他人(ひと)が話したことを証拠にするためには、その人に法廷に来て、語ってもらうことが必要です。
○ 伝聞証拠とは、だれかが法廷の外で話したことが書面やビデオ、また聞きの証言など、間接的な方法で法廷に持ち出されたものです。伝聞法則がありますから、原則として証拠にはできません。
○ 伝聞供述とは、証人が法廷で他人から聞いた話を語ることです。その証言は伝聞証拠となりますから、相手方は異議を出すことができます。
  たとえば、証人尋問のとき、証人Aが「Bさんから、『被告人がCさんを殴るのを見た』という話を聞きました」と言ったとき、弁護人は「異議があります。裁判長、今の証言は伝聞供述です」と述べることになります。
○ 他人(ひと)から聞いた話は証拠にならない
  誤った判断をさせるおそれの大きい情報は、刑事裁判では証拠として使えません。
  たとえば、伝聞証拠には、いわゆる「また聞き」にあたる供述証言や、他人から聞いた話を書いた書面、自分が体験したことを書いた書面、あるいは他人の話を録音したものなどがあります。書面ではなく、ビデオでも同じです。
  また聞きは、話した本人ではなく、それを聞いた他人が、「○○さんが・・・・と話した」と証言するものです。AさんがBさんから聞いた話を証言したようなとき、法廷で、Bさんに思い違いなどがないかどうか、Bさん本人に直接尋ねることができません。つまり、Bさんの話がどれくらい信頼できるものかを確かめることができないのです。
○ 証拠とできる場合もある
  ただし、伝聞証拠であっても、例外として証拠にできるときもあります。刑事訴訟法は、そのための条件を詳しく定めています。裁判で、これらの例外にあたるかどうかが、議論になることがあります。

合意書面

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 『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○ 合意書面とは、証人または鑑定人や被告人が供述するであろう内容について、検察官と弁護人の推測が合致した内容を整理してまとめた書面です。
  この書面があると、法廷でその証人などに対しては、同じ内容を尋問する必要がなくなります。
○ たとえば、証拠調べ手続において、裁判官が「これから、証人○○についての合意書面の取調べをします」と言います。
○ 合意書面は例外的に証拠となる
 「人の記憶」を証拠とするには、伝聞法則により、原則としてその証人に法廷で証言してもらい、捜査段階の供述調書などの書面は原則として証拠としないことになっています。
  しかし、検察官・弁護人の両者が、その証人が法廷に来て証言するであろう内容を推測でき、かつ、その内容の全部か一部について争いなく一致できるときには、その一致できる内容を書面にして、例外的に証拠として提出することができるのです。
○ 不必要な証人尋問を省略できる
  このような方法が認められているのは、両当事者が合意しているので誤判の危険性が少ないこと、不必要な証人尋問をしなくてすむからです。
  合意書面は法廷で朗読されます。

自白・自白の任意性

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 『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○ 自白とは、自分が犯したことについて、自ら話すことです。
○ 自白の任意性とは、脅かされたり、だまされたり任意性のない自白は、証拠とすることができまないということです。
○ たとえば、検察官は最終弁論(論告)のとき、「被告人は捜査段階で、被告人自身が被害者をナイフで刺したことを自白しています」と言います。
  また、弁護人は最終弁論のとき、「被告人は被害者をナイフで刺したことは認めていますが、刺そうという意思はありませんでした。捜査段階の自白は『殺人』の自白ではなく、刺した事実を認めたにすぎません。被告人は傷害罪です」と言います。
○ 自白調書
  被告人が捜査段階で取調べを受けたときに作成される供述調書のなかには、被告人が自分が犯した行為について自ら話した内容のものがあります。これを自白といい、それが記載された調書を自白調書といいます。
○ 自白調書の証拠能力
  自白調書が証拠として認められるためには、自白が本人の意思にもとづいて任意になされたことが必要です。脅かされたり、だまされたりすることなく、自らの意思で自白したと認められる場合は、自白が任意になされたとされます。逆に、任意性の認められない自白は証拠とすることはできません。
  刑事裁判で用いられる証拠は、証拠能力が認められるものでなければなりません。任意性のない自白には、この証拠能力が認められないのです。
○ 自白が証拠として制限される理由
  憲法38条1項は、「何人も、自己に不利益な供述を強制されない」と定め、同条2項は、「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない」と定めています。
  刑事訴訟法319条1項でも、「強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない」と定めています。
  このように、刑事訴訟法だけでなく、国の最高規範である憲法にも自白についての厳格な規定があるのは、不当にさせられた自白にもとづく誤判を防ぐこと、自白の強要にともなう人権侵害を防止することが、刑事裁判手続において欠くことのできない重要なことだからです。

違法収集証拠

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『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○違法収集証拠とは
捜査官が違法な手段によって集めた証拠のことです。広い意味では、自白も含みますが、通常は、捜索や押収によって集めた資料を言います。このような捜査官が違法な手段によって集めた証拠は、法廷で証拠として取り調べてはいけえないというルールがあります。これを、違法収集証拠排除の法則といいます。
○たとえば、証拠調べ手続のなかで
弁護人が、「検察官申請の証拠物○○は、裁判官の捜索差押許可状なしに差し押さえられたものであり、違法収集証拠として排除されるべきです」と主張します。
○捜査は、法律で定めた手続にしたがって行わなければなりません。関係者の基本的人権を侵すことがないように、刑事訴訟法などの法律で、厳密な手続が定められています。
あってはならないことですが、そのような手続に違反して集めた証拠は、裁判で使うことはできません。このルールが違法収集証拠排除の法則です。これは裁判への信頼を守ることになりますし、また違法な捜査を繰り返させないことにつながります。
○違法収集証拠であるとの主張は、公判前整理手続でなされるため、裁判員が参加する公判の段階ではすでに排除されていることもありますが、公判でこの点に関する主張立証がなされることもあります。
そのようなときに、裁判官は裁判員に意見を聴くことができます。ただし、排除するかどうかを決定する権限を有しているのは3人の裁判官だけです。
○法廷で裁判員が証拠を見てしまった後で、その証拠が違法収集証拠として排除され、証拠として採用されないことがきまることもありえます。そのときには、その証拠は「なかったもの」として、裁判員は無視して判断しなければなりません。

反抗を抑圧する

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『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○反抗を抑圧する、とは
暴行や脅迫によって、肉体的あるいは精神的に、抵抗できない状態にすること。被害者が抵抗したけれども、最終的には抵抗を封じられた場合も含む。
○たとえば、
弁護人は最終弁論のとき、次のように主張します。
「たしかに、被告人のAさんはかっとなって被害者のBさんを殴り、お金を盗りました。しかし、殴ったのは白昼、人通りの多い路上でした。Aさんは身長170?で、Bさんは180?です。殴ったのは、Bさんの腹部を一回だけです。また、BさんのそばにはBさんの友人Cさんがいました。このような状況では、Aさんの行為はBさんの反抗を抑圧するに足りる暴行ではなく、強盗罪は成立せず、傷害罪と窃盗罪にあたります」
○強盗罪の要件
暴行や脅迫により人から金銭などを奪い取る犯罪が強盗罪です。この罪が成立するためには、その暴行や脅迫が、その人の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることが必要です。
「反抗」とは、被害者が抵抗することで、「抑圧」とは、加害者がその抵抗をおさえることを指します。
○「反抗を抑圧する」に足りる程度とは
これは、「肉体的あるいは精神的に抵抗できない状態にする程度」の暴行や脅迫です。事件の状況から具体的に判断します。
被害者が現実に抵抗する場合もありますが、それだけで単純に、「反抗を抑圧されなかった」と見られるわけではありません。いったん抵抗はしたけれども、最終的には抵抗を封じられた場合には、「反抗を抑圧する」に足りる程度の暴行であったと判断されることがあります。

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