「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2024年4月18日

カスハラ対応 何をすれば?

▼Q コンビニの経営者です。スタッフが「カスタマーハラスメント」(カスハラ)に悩まされているようです。そのせいで経営者が責任を問われかねないと聞きました。どういうことでしょうか。

▼A 問題の原因はカスハラをする顧客です。もっとも、経営者にもスタッフをカスハラから守る「安全配慮義務」があります。例えば、スタッフが店舗で転んでけがをすることがないように安全対策をしなくてはならないのと同じ考え方です。この義務を果たさなかった場合、経営者が責任を負う可能性があります。

とはいえ、カスハラをゼロにすることはできません。そこで経営者が問われるのは「必要な対策をとっていたかどうか」です。定期的な研修を行いましょう。問題のある顧客についてはスタッフに対応を任せきりにせず、こまめに報告を受け、助言を心がけ、必要に応じて複数人で対応しましょう。

裁判例では、入社当初から対応を指導し、常に2人以上の勤務にした上で、近隣店舗のマネジャーやサポートデスクへの連絡・相談体制を整えていたケースで、会社側の責任はなしとされました。

まずは、スタッフの話をよく聞きましょう。スタッフへの心理的ケアはとても重要です。現場の実情を知ることは店舗運営にきっと役立つはずです。その上で、紹介した裁判例などを参考に対応体制を整えてください。厚生労働省もマニュアルを公開しています。既にカスハラ被害が深刻化している場合には、弁護士に相談してください。

西日本新聞 4月18日分掲載(山田裕二)

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