福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2017年7月13日

死刑執行に関する会長声明

声明

 本日,2017年(平成29年)7月13日,大阪拘置所と広島拘置所において各1名の死刑が執行された。


 一人は再審請求を行っている中での死刑執行であり,また,一人は裁判員裁判において被害者1名で死刑判決が下され,弁護人が控訴したにもかかわら ず自ら控訴を取り下げ死刑が確定した者に対する死刑執行である。
 前者は,現行法の再審制度の問題(死刑判決に対する再審請求に執行停止効がないこと)を提起するものであり,後者は一審のみの判断で究極の刑罰である死刑を科すことの是非や自動上訴制度の導入の是非という問題を提起する ものであり,いずれも,生命剥奪という究極の刑罰権である死刑の正当性について,手続保障の観点から大きな疑義を持たざるを得ないものである。


 我が国において,死刑事件について,すでに4件もの再審無罪判決が確定しており(免田・財田川・松山・島田各事件),えん罪によって死刑が執行される可能性が現実のものであることが明らかにされた。また,2014年(平成26年)3月27日には,死刑判決を受けた袴田巖氏の再審開始が決定され,同時に「拘置をこれ以上継続することは,耐え難いほど正義に反する」として,死刑および拘置の執行停止も決定されて,現在でもなお死刑えん罪が存在することが改めて明らかとされたところである。

 そもそも,死刑は人間の尊厳を侵害する非人道的行為であること,誤判・冤罪により死刑を執行した場合には取り返しがつかないことなどの様々な問題 を内包しており,2014年(平成26年)の内閣府世論調査では,代替刑の創設により死刑廃止を容認する国民的世論が形成されうる可能性が示唆され ている。
 また,EUを中心とする世界の約3分の2の国々が死刑を廃止又は停止し, 死刑存置国とされているアメリカ合衆国においても2017年6月の時点で 19州が死刑廃止を宣言するなど,死刑廃止は国際的な潮流となっており,未だに死刑制度を存置させ死刑を執行しているわが国は,国連人権(自由権)規約委員会から何度なく死刑廃止に向けた行動を取ることの勧告を受け続けている。

 このような中,日本弁護士連合会は,再審無罪となった事件や袴田事件再審決定に代表される誤判・冤罪の現実的危険性を踏まえ,また,いかなる者であろうとも変わり得ることを前提に社会内包摂を目指すべきことを主な理由として,2016年(平成28年)10月7日の第59回人権擁護大会において「死刑廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択し,日本において国連犯罪防止刑事司法会議が開催される2020年までに死刑制度の廃止を目指すべきこと,また,代替刑として,刑の言渡し時に「仮釈放の可能性がない終身刑制度」,あるいは,現行の無期刑が仮釈放の開始時期を10年としている要件を加重し,仮釈放の開始期間を20年,25年等に延ばす「重無期刑制度」の導入の検討等を政府に求めたばかりである。
 
 当会は,本件死刑執行について強く抗議の意思を表明するとともに,死刑制度についての全社会的議論を求め,この議論が尽くされるまでの間,すべての死刑の執行を停止することを強く要請するものである。

2017年(平成29年)7月13日
福岡県弁護士会会長  作 間 功

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