福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2014年12月10日

改めて特定秘密保護法の廃止を求める会長声明

声明

本日、特定秘密の保護に関する法律(以下「本法」という。)が施行された。
 当会は、本法の法案段階から、同法の成立に反対し廃止を求める旨の会長声明を三度にわたり発表した。また、本法の問題点を市民と共に考えるシンポジウムを三度開催し、そのほか多数回に及ぶ街頭宣伝活動を展開してきた。
 そもそも、国が扱う情報は、最終的には国民の財産として国民に公表・公開されるべきものであると考える。ところが、本法は、①行政機関が秘密指定できる情報の範囲を広範かつ曖昧にしている点、②第三者による実効的なチェック体制を備えていない点、③それどころか、チェックをしようとする国民、国会議員、報道関係者などを重罰規定によって牽制する点で、およそ情報公開の理念に逆行するものとなっている。
 そのため、当会は、本法によって、主権者である国民が正しい意思決定を行うために必要な情報にアクセスできなくなり、国民の知る権利を侵害し、民主主義の根幹の破壊に繋がることが懸念されるとして、上記の各活動を展開してきたものである。なお、同様の懸念は、本法に関して、2014年7月26日に国際人権(自由権)規約委員会から日本政府に対して出された勧告意見中でも表明されている。
 そして、これらの懸念は、本法に関する「施行令」や「特定秘密の指定及びその解除並びに適正評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」等によっても、何ら払しょくされていない。
 また、政府は、本法の制定過程において、罰則強化や人的管理を内容とする立法の必要性について主権者たる国民に対して十分な説明をしていない。そのため、本法に関しては、国民的な議論が尽くされたとは到底言えず、これでは主権者たる国民の信認を得たものとはおよそ評価できない。
 従って、当会は、政府に対して、改めて本法を廃止し、制度の必要性や内容について、あらためて一から国民的な議論を行うことを強く求める。併せて、当会は、引き続き本法の廃止のための活動を行っていく所存である。
                                   以上

                   2014年(平成26年)12月10日
                      福岡県弁護士会 会長 三浦邦俊

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