福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2009年10月29日

会長日記

会長日記

福岡県弁護士会会長日記 その5 <スポーツと色んな交流、そしてお盆> 7月14日~8月16日
平成21年度 会 長 池 永   満(29期)
可愛い優勝杯をこの手に 8月の月報で浅野秀樹会員が意気高く報告済のことですが、7月14日に開催された三庁対抗ボーリング大会では3度目の正直で当会チームが初の優勝杯を手にすることができました。練習ボールで2度もストライクをきめて出鼻をくじこうとする安倍高裁長官の戦術とプレッシャーに押しつぶされそうになりながら、多少の年の差に光明を見いだしての持久戦の結果、なんとか鼻の差での逆転を果たすという私闘(?)の後で飲み干したビールの味は格別で、その後に授与された団体優勝を飾る可愛い優勝杯(アルミ製?)もそれなりに重く感じられたから不思議なものです。 画期的優勝をもたらした当会の参加者の御奮闘に感謝! 今大会を準備いただいた検察庁の皆さんと、来年こそは(御自身はいないが)必ず雪辱を果たすと宣言された浜崎家裁所長の無権代理的宣誓が肩の荷に重くのしかかっているでしょう裁判所の皆さん、ご苦労様でした。 全国的課題になっている新人弁護士研修制度の新たな構築 7月31日、恒例の九弁連夏季司法合宿が福岡市で開催されましたが、テーマは、新人弁護士研修のあり方と裁判員裁判の検証でした。新人弁護士研修のテーマでは高裁の森野裁判官が講師として裁判官から見た弁護士像について忌憚のないご意見を披露されました。続いて私が新人研修制度の構築を県弁護士会として検討している問題意識と背景、10名前後の単位で部会毎に展開する新人研修システムのイメージ、既に指導担当弁護士制度を含む新人研修制度を発足させている京都弁護士会の会則等について紹介しました。 8月9日、札幌で開かれた三会(第二東京弁護士会、札幌弁護士会、当会)交流会でも、同様のテーマが取り上げられました。 とりわけ、この三年、毎年3~400名が登録したため、現在の会員数約3,600名の3分の1が3年以内の登録者となったという二弁における苦労は大変なものです。二弁では既に「新人サポートセンター」を設立して登録3年未満の会員を対象に事件処理や業務上の悩みをサポートするためのメーリングリストを運営していますが(現在の登録数は約210名程度)、これに加えてサポートメンバーにのみ公開される「個別相談用メールアドレス」も設定して、約10名の50期台のサポート弁護士グループによる個別相談も実施するとのことです。新規登録後直ちに若しくは短期間で独立開業する弁護士に対し「OJTにより基本的かつ最低限必要な弁護士業務の処理の仕方及び弁護士倫理のあり方等を習得させる方法」についての具体的な提言を各委員会に意見照会し、10月中に集約して新制度をたちあげることも予定しています。 その理由として、従来であれば経験を積んだ経営者弁護士又は先輩弁護士等から実務上必要な最低限度の知識やルールまた弁護士倫理を習得してきたが、近時これが困難になっており、これらを習得する機会のないままに弁護士業務に従事するものが増加する場合には、「依頼者とのつきあい方、事情聴取・情報収集の方法、事実関係の整理・分析の仕方、問題点の所在の見極め方、問題解決の手法、弁護士報酬の決定方法等につき、未熟さから間違った判断を行ってしまう者が出てしまうことが危惧され、依頼者へ迷惑をかけ新規登録弁護士本人が窮地に立たされるだけでなく、ひいては弁護士全体に対する社会からの信頼も保持できなくなる恐れもなしとしない」と述べられています。 昨年1年間で50名を超える新人が登録して500名を超える会員数になったという札幌弁護士会では、司法修習生就職問題対応プロジェクトチームの基本方針の中に「即時又は早期独立弁護士に対し、弁護士としての最低限の力量を身につけるための、法曹倫理を含めた研修、業務スキルの指導及び人的スタッフ・物的設備の提供等々についてのあり方を検討する」ことが位置づけられています。具体的な研修内容としては、従前のオリエンテーション的な新規登録弁護士研修の後で、一定の実務経験を経た者に対するフォローアップ研修を制度化しています。フォローアップ研修としては法律相談と刑事弁護があり、講師用のマニュアルも作成されており、その内容は極めて実践的で興味深いものです。 当会においては、研修委員会の中に設置された新人研修問題PT(座長・石渡一史会員)において、あるべき新人研修の内容やシステムについて火急の検討作業をしていただいており、9月には答申を得て全会的な議論を進め、可能であれば新62期登録者から実施していきたいと考えています。 解散~交流~納涼船~政治連盟~お盆 ボーリング優勝で始まったこの一か月は台風の前の静けさとも言うべき社会的・政治的状況の中で、弁護士会的には多様な行事が目白押しでした。7月21日、ようやく衆議院が解散された翌22日は台北駐福岡経済文化弁事所との交流会、29日は新62期司法修習生との交流会、30日は恒例の納涼船(私は、小学生の頃に同道したことがある娘と、その二人の子ども、つまり孫達を連れて久しぶりに楽しみました。茶話会の皆さんに感謝!)、31日は前述の九弁連合宿、8月1日は人権大会消費者問題プレシンポ(約150名の参加で大成功、消費者委員会等関係者の皆様ご苦労様でした!)、5日は福岡のマスコミ報道責任者卓話会、9~10日は前述の三会交流会、10日夜は司法記者との月例交流会、そして11日と12日は、日本弁護士政治連盟が推薦している衆議院選挙立候補予定者のうちアポイントが取れた5名の事務所回りをしました。(私は「弁政連九州支部理事」を拝命しております。) 弁護士会としては、総選挙の公示を目前に控えたこの機会を生かして、司法制度や市民の基本的人権と社会生活に関連して4月以降に出した総会の決議や宣言、会長声明等を整理して全政党とその候補者に対して政策化と実現方を要請する文書を作成し郵送を含めて配布することにしました。 そこで5月定期総会の宣言・決議と4月から8月6日の常議員会までに採択された会長声明で対外的にアピールすることに意味のあるものを並べてみたらなんと9本にもなっていました。 1、司法制度に関連するもの ・ 司法修習生の修習資金貸与制実施の延期に関する決議 ・ (裁判員制度開始・被疑者国選対象事件拡充に際しての)会長声明 ・ 死刑執行に関する会長声明 2、国民の基本的人権や社会生活に関係するもの ・ すべての人が尊厳をもって生きる権利の実現をめざす宣言 ・ 海賊対処法に反対する会長声明 ・ 消費者庁関連法成立に関する会長声明 ・ 生活保護「母子加算」制度の復活を求める会長声明 ・ 法令なしに警察の監視カメラを設置することに反対する声明 ・ 消費者庁長官及び消費者委員会委員人事に関する会長声明 会長声明等の多さは、委員会活動を基礎として弁護士会の活動が社会の各分野に広がっていることの反映でもありますが、それだけに弁護士会が行う社会的発言に伴う責任もまた重大さを増していることについて自覚せざるを得ません。そんなことを考えつつ、帰省してきた孫達とともに充実した(つまり休みのない)お盆をすごしたのでした。(8月16日記)

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