福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2009年3月 6日

福岡県弁護士会会長日記

会長日記

福岡県弁護士会会長日記

会 長
田 邉 宜 克(31期)

新年明けましておめでとうございます。
私ども執行部も、会員の皆様のご協力を得て、無事新年を迎えることができ、残すところ3か月となりました。
最後まで職責を全うすべく、全力を傾注いたしますので、今後とも会員の皆様のご支援ご協力をお願いいたします。
さて、弁護士会の取り組むべき課題は、多岐にわたりますが、私ども執行部が年度内にと考えている課題を幾つかご紹介したいと思います。

【裁判員制度・被疑者国選の対応態勢】
北九州部会・筑後部会では、1人14、15件にもなろうかという負担を部会員が公平に分担する態勢をとられています。
福岡部会では50%の方々に被疑者国選登録をしていただきましたが、筑豊地区のバックアップ問題や裁判員制度のバックアップ問題もあり、なお、一部の会員に重い負担をお願いせざるを得ない状況にありますので、更なる国選登録を是非ともお願いいたします。
裁判員制度対象事件は、被疑者国選担当者に引き続きお願いすることになります。弁護士会の裁判員対応態勢も詰めの段階にあります。裁判員対応を含む刑事弁護の研修会等に積極的にご参加下さい。

【少年刑事援助事件の特別負担金】
昨年12月の日弁連臨時総会で、これまでの当番弁護士基金(月額4,200円)を平成21年6月以降、少年刑事事件基金に衣替えし、当番弁護士(付添人)・国選対象外の刑事被疑者援助事件・少年付添援助事件のために月額3,100円の負担を会員にお願いすることが決まりました。
当会は、これまで当会独自のリーガル基金負担金(月額5,000円)を主たる財源として、日弁連の基礎金額(刑事7万円、少年8万円)に刑事1万円、少年2万円を上積みしてお支払いしています。
今回の新基金で日弁連からは、被疑者援助8万円、少年付添援助10万円、即ち、従前の上積み額加算後と同額が支給されることになりますが、未だその支給額は低額であること、被疑者援助・少年付添援助事件を一層拡充すべきこと等を勘案し、平成21年6月以降も当会の上記上積支給を継続すべきではないか(刑事9万円、少年12万円)と考えています。具体的には、平成21年3月で期限の来るリーガル基金の継続という形で、会員の皆様にお諮りすることになります。

【対外広報・TV等CM】
本年度は、2,400万円余をTV・ラジオのCM(主として多重債務、今後、交通事故相談のCMも予定)に充て、各センターの手数料収入は、大幅増の昨年度を更に上回る見込みです。CMと相談数の相関関係も確認できており、次年度以降もTV・ラジオのCMを積極的に実施すべきだろうと考えています。本年度その方向性についてご検討いただき、次年度の予算審議という形で会員の皆様にお諮りすることになります。

【会館移転問題】
いよいよ九大六本松跡地への移転問題が具体的に動き出します。土地取得費、会館建設費、新会館の維持管理費等の負担を会員の皆様にお願いすることになりますが、会員の皆様のご理解を得るためにも、今後、可能な範囲で会館移転問題に関する具体的情報を提供して参りたいと思います。

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会 長 田 邉 宜 克(31期)


【会員数会820名へ】
新61期の新入会員54名を迎え、当会の会員数は、820名を超えました。
当会では、会員数が増える中で、委員会の諸活動、月報やオール・エフベン、HP等での会内広報、若手会員の刑事弁護や付添人研究会の実践等で、今何が問題で、誰がどんな活動をしているのか、どれほど頑張っているのか、の情報を会員に提供し、認識を共通にすることで、公平・平等に会員に公益活動を担っていただくことに繋げたいと考えて対応策を講じてきました。
今後、会員数が更に増えて行けば、会員間に「公益活動は、自分がやらなくても誰かがやってくれる」という意識が広がっていくことも十分考えられるところですが(東京や大阪の弁護士会では、既に会員の公益活動の義務を規定化しています)、ここ福岡では、会員の皆さんが、弁護士としての矜持を胸に、刑事被疑者弁護を始めとする公益活動を実践する中で、一丸となって取り組むという伝統は、今も息づいているはずです。
今年は、被疑者国選弁護の拡大、そして裁判員制度の実施を迎え、これを担いきれるか否かで、弁護士・弁護士会の鼎の軽重を問われることになります。
正に、弁護士会として踏ん張りどころですが、特に、この5年間で会員数の30%を占めるに至った新入会員の皆さんには、自分達こそが弁護士会を支えているという心意気をもって、刑事被疑者弁護を始めとする公益活動の実践に、積極的に取り組んでいただくようお願いいたします。

【民法(債権法)改正の動きについて】
現在、「民法(債権法)改正検討委員会」において、民法の債権編の抜本改正についての検討が進められています。先般来の日弁連のFAXニュースでも広報されましたが、この検討委員会では、本年1月から3月まで毎週全体会を開催し、3月末に議論を取り纏め、4月下旬にシンポジウムを開催し、4月下旬以降、速やかに法制審での審議が始まる可能性もあるとのことです(試案を発表し、各界の意見を聞くとしても、法制審を開始するまで1年を置くというのは現実的ではない、との関係委員の発言があります)。
この検討委員会は、学者主導の私的なものとの位置づけですが、法務省が実質的に関与し民法改正作業を視野にサポートして来たことは否定し難いところであり、重大な民法改正作業に、実務家たる弁護士がしっかりと反映させる、その為に弁護士会の意見を積極的に発信することが重要であり、次年度の重要な課題になっていくものと思います。
これまでの判例理論を民法の条文に取り入れるほか、私たちがこれまで学び理解してきた規定が大きく変わる可能性がありますので、是非とも、この動きを注視していただくようお願いしたいと思っています。

【ロースクールの定数削減】
中教審は、法科大学院教育の質の向上のための改善方策の中間まとめを発表しました。日弁連は、法科大学院の定数削減を打ち出した姿勢を評価するものの、単に、定数削減を求めるだけで具体的な数値を出さなければ、文科省の強い指導力が及ぶ地方の公立の小規模校の削減に止まり、全国の法科大学院全体の改革が実現できないままに終わることを危惧し、全国定員数を4000人程度に削減すべしとの意見書を採択しました。また、教員態勢や合格率にのみに準拠して、この改革を押し進めるならば、地方の小規模校のみが統廃合・定員縮小を求められることにもなり、地域に根ざす法曹を要請し、日本の隅々に法の支配を行き渡らせるとの司法改革の理想に逆行することになるので、地域的な適正配置に留意し、「大規模校の定員を100人程度削減すること」も合わせて求めることにしました。特に、7校の法科大学院を抱える九州沖縄地区では、この問題は深刻であり、重大な危機に瀕しているといっても過言ではありません。地域の弁護士会には、今こそ法科大学院を支えていくことが求められており、会員の皆さんにも強い関心を持っていただきたいと思います。

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