福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2007年6月11日

会長日記(4月)

会長日記

                       会長 福 島 康 夫(30期)

第1回常議員会と花見

第1回常議員会と花見は4月の第1週目の土曜日とすることが慣例となっています。今年は第1週目の土曜日が4月7日です。 桜は3月20日頃が満開ではないかといわれていましたが,まさか前年度の3月末に常議員会と花見をすることもできず, 全く桜のない中での宴を覚悟していました。ところが,3月末から急激に寒くなり,満開の桜が1週間続いてくれ,予想外に絶好の天気の中で花見ができ幸運でした。 飲み干すコップの中に桜の花びらが入り,ゆったりとした雰囲気の中で桜の風情を感じました。

ところで,常議員会は第1回目から最重要案件2件付議しました。1件は多重債務者救済対策本部の設置の件であり,2件目は福岡高裁, 福岡地裁に対して裁判所の記録謄写の公募制導入を撤回するよう意見書を提出する件です。いずれも活発な議論の結果,原案どおり承認していただきました。

多重債務者救済対策本部の設置の件

昨年度の最後の常議員会で,県弁として相談センターにおける多重債務者の相談を無料化すること, 4月1日から福岡地区と飯塚地区で無料化を実施することが議決されました 本年度の執行部で検討しましたが, この問題は県弁全体で会をあげて取り組まなければならない問題だと考え,対策本部方式で解決にあたることにしました。 なお,無料化に伴う相談センター関連の財政については執行部として責任をもって逐一チエックすることにしています。

挨拶回りで消費生活センターの他多くの地方自治体の市長や商工会議所の会頭と懇談をし,その中で弁護士会がこの多重債務問題について解決にあたることを 話しますと喜んでいただき,広報等の協力を約束していただきました。今,多重債務問題は行政等もこれまでにない最大限の対策を立てようとしています。 今後,関係機関との懇談をして相互に連携する必要性を痛感した次第です。

多重債務者相談を無料化にするということは受任後の法的処理までも無料にするものでないことはいうまでもありませんが, 単に相談料が無料というだけで後の法的処理がいい加減では弁護士会への信頼が一挙に喪失してしまいます。法律の専門家である弁護士が責任をもって 法的処理をしなければ解決は不可能です。法テラスの法律扶助等も最大限駆使して解決にあたる必要があります。更なる研修も不可欠です。

第1回目の対策本部は4月13日に開催し,春山九州男会員を本部長代行に選任致しました。早速,合宿の日程が入り,今後は急ピッチで対策本部の活動が始まります。

今後多重債務問題は対策本部を中心として,消費者委員会,法律相談センター運営委員会,倒産業務等支援センター委員会, 弁護士業務委員会等関連委員会が連携して活動することになります。多重債務者救済問題について会員の皆様の結集をお願い致します。


記録謄写公募制問題

2つ目は福岡高裁,福岡地裁に対して裁判所の記録謄写の公募制導入を撤回するよう意見書を提出する件です。 福岡高裁は10月から福岡地家裁管内の謄写について公募性を導入する予定とのことであり,スーパー等で見かけるコインベンダー式にするということです。 しかし,もし,公募制が導入されることになると本庁,支部を問わず,弁護士若しくは事務員さんが自らコピーに行かなければなりませんが, 全く無駄な手間と労力を強いられることになります。訴訟記録の謄写は訴訟当事者の権利です。公募制の導入は迅速かつ確実な謄写を阻害するものです。 また,記録の秘密保持,改ざんの防止の問題や地域の実情を無視しているという点でも到底認めるわけにはいきません。 弁護士会として会をあげて取り組む必要があり,弁護士協同組合の立場とは別の立場から,公募性導入の撤回を求める意見書を提出することに致しました。

今後,予断を許さない状況ですので,逐次報告をしていくことにしています。

挨拶まわり

会長に就任して最初の仕事が恒例の挨拶回りです。挨拶回りでは限られた時間ではありますが,年度の初めに懇談する機会が与えられますので, その年の弁護士会の活動目標等理解していただくための絶好の機会です。

本年度は県知事選挙等の関係で挨拶まわりを2回に分けて行うことにしました。第1弾を3月26日から4月13日まで3週間をかけて行い,既に156ヵ所を訪問しました。 訪問先は裁判所,検察庁等の法曹関係,県警本部,福岡市,北九州市,久留米市,飯塚市等の地方自治体,マスコミ関係,各地の商工会議所, 各地の消費生活センター,企業,労働団体等です。県内全地域を訪問しました。訪問先は昨年よりも増え,第2弾の挨拶回りもあわせれば170ヵ所以上になると思われます。

本年度は特に[1]多重債務者の相談料の無料化の説明とこれに関連した多重債務問題についての懇談 [2]弁護士の大量増員を見据えた6月22日の司法シンポジウム 「市民のための弁護士をめざして― いま弁護士・弁護士会に求められるもの―」の案内 [3]裁判員制度,取調べの可視化についての懇談を中心に懇談をしていきました。

多重債務者問題は自治体,商工会議所,消費者生活センター等で特に懇談をしました。特に法科大学院等で司法シンポについて懇談をし, 今回のシンポが法曹の大量増員問題を見据えた問題提起であり,非常に重要なシンポであることを力説しました。マスコミ関係には裁判員制度, 特に取調べの可視化等について懇談をしました。訪問先で懇談した時間は短時間でしたが,いずれも次につながる有意義な懇談になったのではないかと思います。

挨拶回りは執行部の最初の仕事です。約160ヵ所の訪問先,しかも多忙な各界のトップと懇談する予約をとることは至難の業です。 当日の時間調整を含めマネージメントを担当した大神総務事務局長,徳永響業務事務局長本当にお疲れさまでした。ただし,まだ,まだ挨拶回りは続きます。

お わ り に

今年も前年度に引き続き会長日記を継続致します。その時々の弁護士会のタイムリーな話題を書き綴っていくことにしますので,一読頂ければ幸いです。1年間よろしくお願い致します。

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