福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2003年4月24日

朝鮮学校に通う子どもたちへの嫌がらせ等に関する会長声明

声明

福岡県弁護士会 会長  前田 豊

 平成15年(2003年)4月24日

  朝鮮民主主義人民共和国は、2002年9月17日の日朝首脳会談で日本人拉致事件を公式に認めるに至った。
 その日を境にして日本各地において朝鮮学校に通う子ども及び朝鮮学校に対する嫌がらせが顕著になってきている。福岡もその例外ではない。
 調査の結果、「拉致されるぞ」「朝鮮に帰れ」「死ね」等の暴言、追いかけられる、石を投げられる等の被害が多数にのぼっていることが判明した。\n また朝鮮学校も、学校のホームページの掲示板に「人殺し」「恥を知れ」等の嫌がらせの言葉が書き込まれ、掲示板を閉鎖せざるを得なくなったり、子どもへの危害を避けるためスクールバスに書かれていた学校名を消したり、チマチョゴリでの通学を一時取りやめるという措置を執らざるを得なかった。また一時的に休校せざるを得なかった学校もある。
 これらの嫌がらせは在日コリアン(在日韓国・朝鮮人)の子どもの心を深く傷つけ、生命・身体の安全と自由を脅かし、教育を受ける権利を侵害している。
 同時にこれらの行為は、憲法13条及び世界人権宣言第1条・第2条・第3条をはじめ、国際人権規約、人種差別撤廃条約、子どもの権利条約などにおける個人の尊厳の保障及び人種差別禁止の理念及び規定に反する。

  拉致事件が重大な人権侵害であることは当然のことであるが、これは朝鮮学校に通う子どもには全く責任のないことである。拉致事件に無関係の子どもに対して嫌がらせを行うことも決して許されることのない人権侵害である。

  これらの嫌がらせは、在日コリアンの子どもに対する不当な偏見に基づくものである。当会は、国及び地方自治体に対しこの偏見を取り除く対策を直ちに講じ、在日コリアンの子どもが安全・平穏に生きる権利を保障することを要請する。
 さらに当会は、国籍や人種の違いを超えてお互い思いやりを持って共生することができる社会が実現することを切に訴え、それに向けての活動を積極的に取り組む決意である。

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個人情報保護2法案に対する会長声明

声明

福岡県弁護士会 会長  前田 豊

 平成15年(2003年)4月24日 

 本年4月8日、民間部門を対象とする個人情報保護法案、行政機関を対象とする行政機関個人情報保護法案が衆議院で審議入りした。
 前者は主にメディアの取材・表現の自由、国民の知る権利を侵害する法案であるとして、また後者は情報の収集制限、不正行為者に対する罰則規定がないなど民間に比べ行政機関に甘い法案であるとして、市民、メディア、弁護士会からの批判を受け、昨年秋の臨時国会で廃案となった経緯がある。\n 政府はこれらの批判を一部受け入れ、前者についてはメディアに対する一定程度の配慮を行い、後者については個人情報の不正な提供行為に罰則規定を設けるなどした修正案を上程したが、いずれも以下のとおり、依然として個人情報の保護等について重大な危険性をはらんでいる。

 1 個人情報保護法案について
 (1)  規制が広範に過ぎる反面、真に規制が必要な分野では実効性がないこと
法案は、すべての民間部門を一律に規制するという基本構造をとっている。しかし、民間部門には、メディア、NGO、弁護士、弁護士会その他の団体ないし個人があり、他方で個人信用情報を悪用する名簿業者などがある。これらを一律に規制する法案は、前者に対しては規制が厳しすぎてその本来の活動を抑制することになり、後者に対しては規制としての実効性がない結果となる。\n 法案は、規制が広範に過ぎ、メディア、NGO、弁護士、弁護士会その他の団体ないし個人が情報を収集し、意見表明することを妨げるおそれがある。\n (2) 表現、報道の自由への侵害の危険があること\n 法案は、メディアの取材・表現の自由に対する配慮をしたとするが、「出版」が適用除外から外されており、また「著述の用に供する目的」や「報道の用に供する目的」についての審査権限は依然として主務大臣が掌握しており、主務大臣が「報道目的でない」と判断すれば、政府が取材・報道に事前に介入することができる余地があるなど、依然としてメディアの取材・表\現の自由に対する侵害のおそれがある。
 そこで、民間部門で一律に規制するのではなく、まず公的部門を対象とする法整備を先行させ、民間部門においては個人情報保護の必要性が高い個人信用情報、医療情報、電気通信情報、教育情報などの分野について、その特性を考慮した分野別個別法の立法がなされるべきである。

 2 行政機関個人情報保護法案について
 (1) 法案は、ほとんどの自治体の個人情報保護条例で規制されている思想、信条、病歴、犯罪歴などの他人に知られたくないようないわゆる「センシティブ情報」の収集を規制していない。
 (2) 法案は、行政機関が「相当な理由」があると判断すれば、個人情報を目的外に利用できる上、他の行政機関に提供することができるとし、行政機関による個人情報の使い回しを認めている。
 更に、昨年8月に稼動を開始した住民基本台帳ネットワークシステムで国民全員に対し11桁の番号が付番されたが、法案では、この番号をマスターキーとして個人情報が一元管理されることになる。防衛庁が住基情報を流用していたこと、親族情報や健康情報を付加利用していたことがマスコミ報道されたばかりであるが、法案では、そのような流用に対するチェック機能が働かず、また有効な歯止めにもならず、住民基本台帳ネットワークシステムのセキュリティが極めて脆弱であることからしても、個人情報は保護されないことは明らかである。また、本年8月からの住基ICカードの交付など住民基本台帳ネットワークシステムの本格稼動により、国民総背番号制へと導かれる危険性も高い。\n
 3 独立した第三者機関による行政チェックシステムの必要性
 行政から独立した第三者機関によって、目的外利用、他の行政機関への提供、センシティブ情報の収集等については、行政機関による相当性の判断に任せるのではなく、独立した第三者機関によるチェックシステムが必要である。

 4 裁判管轄
法案では、裁判管轄に関する規定を置いていないため、このままでは東京地方裁判所でしか裁判を提起することができないことになるが、それでは地方在住者の個人情報に関する権利保障は極めて不十分であり、請求者の居住地を管轄する地方裁判所にも管轄を認める必要がある。\n
そこで、今般の法案についても、以上の点で抜本的修正がなされない限り、当弁護士会は、法案の成立に反対する。

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