福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2003年3月17日

国選弁護人の報酬引下げに反対し、大幅な増額を求める会長声明

声明

福岡県弁護士会 会長  藤井克已

 平成15年(2003年)3月17日

 国選弁護人の報酬額は、2000年(平成12年)度から地方裁判所における標準的事件(3開廷)について、金86,400円とされ、その後2年間据え置かれている。ところが本年度の政府予算案ではこれを金85,600円に引き下げられた。減額は、戦後初めてのことである。
 刑事弁護の実情として、国選弁護人が選任される比率は極めて高く、わが国の刑事裁判は国選弁護人の犠牲と負担によって維持されているといっても過言ではない。
 このような実態に照らせば、国選弁護制度は、刑事被告人の憲法上の権利である弁護人選任権を実質的に保障する制度として機能していると言わなければならない。したがって、被告人が資格を有する弁護人による十\分な弁護活動を受けるためには、国選弁護人の活動を経済的に担保する必要がある。国選弁護人に適正かつ十分な報酬が支払われることは、憲法上の要請であるといっても過言ではない。\n しかるに、国選弁護人の報酬は、私選弁護人と弁護活動の内容に何ら相違がないにもかかわらず、低額に抑えられてきた。しかも、記録謄写料、交通費などの実費も原則として支給されず、国選弁護人の負担となっている実情である。
 更に、司法制度改革推進本部では、2006年度から国費による被疑者弁護制度導入を前提に検討作業が進行しているが、この制度の実現には、現状を大きく上回る弁護士の確保が要請されており、そのためには適正な国選弁護報酬が不可欠となっている。
 このような事態のもとで、2003年(平成15年)度政府予算案で示された国選弁護人の報酬引下げは、被告人に対する十\分な弁護活動を抑制し、ひいては、被告人の弁護人選任権を侵害するとともに、将来の国選による被疑者弁護制度の実現を阻害する要因となりかねない。
 よって、当会は、この政府予算案における国選弁護人報酬の引下げに強く抗議するとともに、国選弁護人報酬の大幅な増額のために必要な予\算措置を講じるよう強く求めるものである。

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2003年3月20日

アメリカなどによるイラク侵攻に反対する会長声明

声明

福岡県弁護士会 会長  藤井克已

 平成15年(2003年)3月20日

 アメリカとイギリスは、日本時間3月20日午前11時40分頃、ブッシュアメリカ大統領がイラクのフセイン大統領に国外退去を求めた「最後通告」の猶予期限を徒過したとして、国連安全保障理事会の決議を経ることなく、イラクに対する武力攻撃を開始した。又、小泉首相はアメリカなどの武力攻撃を支持することを言明した。\n 国連憲章により例外的に武力行使が許されるのは、安保理が必要な措置をとるまでの間の自衛権の行使として、或いは、平和に対する脅威等に集団的措置で安保理の決議に基づく行動としてなされる場合に限られる。しかし、現在、イラクはアメリカ、イギリス等に対する武力攻撃をしておらず、自衛権の行使はその前提を欠き、安保理決議1441号などは、今回の武力攻撃に同意を与えるものではない。
 従って、今回の武力攻撃が、国連憲章に違反することは明らかである。アメリカなどの武力攻撃は、二度にわたる世界大戦の反省を踏まえて築き上げられた国際社会における法の支配と、国連の存在意義を根底から覆すものである。
 また、大規模爆撃を含む武力攻撃は、多くの市民の生命を奪い、最大の人権侵害を引き起こし、真の平和と安全をもたらさない。
 当会は、アメリカ等に対し、全世界の世論に背を向け、平和を放棄した今回の武力攻撃に強く抗議する。
 そして当会は、あらためて日本政府に対し、戦争に反対する圧倒的多数の国民の声を真摯に受け止め、憲法の平和主義・国際協調主義の理念に立ち返り、アメリカ等において早期に武力攻撃の収拾を為し、国連主導によるイラクの民主的復興を行うよう申し向けるなど、和平に向けた努力を行うよう求める。\n

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