福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2002年8月 5日

住民基本台帳ネットワークシステムの稼働の一時停止を求める声明

声明

福岡県弁護士会 会長  藤井克已 

 平成14年(2002年)8月5日

本日8月5日、国は、改正住民基本台帳法の施行に伴い、住民基本台帳ネットワークシステム(以下「住基ネット」という。)の正式稼働を開始した。
 住基ネットは、各市町村が管理する住民基本台帳に記載された高度のプライバシーに属する個人情報である住民票コードを含む6情報ないし13情報をコンピュータネットワークに乗せ、他の地方自治体や国の行政機関からのアクセスを可能にするシステムである。その前提として、個人情報の漏洩や、行政機関による個人情報の濫用を防止するための個人情報保護法制の整備がなされない限り稼働できないことが、国会における首相答弁や、住基法附則1条2項により確認されていたところである。\n しかるに、国は、稼働の前提条件である個人情報保護法制を全く整備しないまま、また、全市町村のセキュリティーに対しても、分厚いマニュアルを配布するのみで、経済的援助、及び技術的指導を全く放棄したまま稼働を強行した。このような状況においては、国の行政機関による個人情報の濫用や、個人情報の漏洩を防止する対策は極めて不十分と言わざるを得ない。\n この住基ネットについては、異例にも、24の市区町村長と、2県及び68市区町村の議会で、延期を求める意見書が採択されている。また、矢祭町、杉並区、国分寺市が離脱を表明し、横浜市は、希望しない市民には接続しない選択肢を与える運用を行う意思を表\明している。杉並区によれば、区民の72%が凍結・延期すべきと考えているという。このように、自己のプライバシー権侵害を危惧する隠れた多数の国民、及び住民のプライバシー権を保護しようと真剣に苦悩している多数の自治体の声を無視して、危険な住基ネットの稼働を行うことは、行政機関に対する自己情報コントロール権が保障されている国民のプライバシー権保護の観点、及び地方自治の本旨の保障の観点から、到底是認できないものであり、極めて遺憾である。
 従って、当会では、国における個人情報保護法制無きままの住基ネットの稼働の一時停止を求め、今後とも国に対して個人情報保護法の制定を求めていくとともに、住基ネットに載せる情報を住民基本台帳事項に限定することを求める。また、自治体において、緊急時に住基ネットとの接続を切断をするための法整備に協力するなどして、個人のプライバシー権が可及的に守られるための努力を継続する所存である。



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