福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2008年9月 2日

教唆犯

 『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
 
○ 教唆(きょうさ)犯とは、他人をそそのかして犯罪を行わせた人をいう。

○ 検察官は冒頭陳述のとき、たとえば、教唆を受けて実行行為をした人が起訴された事件で、「AとBは、Dの教唆のもとに、強盗におよび、Fに傷害を負わせました」と述べます。
  また、教唆犯自身が起訴されている事件では、「DはA、B、Cに、F宅に強盗に入ったらどうかと教唆して、AとBは犯行に及びました」と述べます。
  さらに、Dが共犯(共謀共同正犯)で起訴され、教唆にすぎないとして争うときに、弁護人は、「Dは強盗致傷の共同正犯ではなく、単にA、B、Cを教唆したにすぎません」と弁論します。
  このように、DはA、B、Cに強盗をすすめましたが、その実行には参加していないのです。

○ つまり、教唆犯とは、DがA、B、Cをそそのかして強盗する気にさせ、A、B、Cが実際に強盗行為をしたときには、Dは強盗行為をまったくしていなくても、教唆犯として自ら強盗をしたという責任を問われるのです。

○ 共同正犯とのちがい
  自らは犯罪行為を行わないという点では共謀共同正犯と似ていますが、自分でやったのと同じくらいに強い影響力を及ぼしたとまではいえないとき、教唆犯となるのです。

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2008年9月 8日

従犯

 『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)

○従犯(じゅうはん)とは、他人の犯罪を補助した人。自ら犯罪を犯罪を行ったときよりも軽い刑を適用しなければなりません。

○ たとえば、最終弁論のとき、弁護人は「被告人Eは共同正犯として起訴されましたが、EはAにナイフを貸しただけであり、従犯にすぎません」と弁論します。

○ また、評議のとき裁判官は、「被告人Eは共同正犯なのか、従犯なのか、皆さんのご意見をうかがいましょう」と発言します。

 このように、EはAにナイフを貸したのですが、実行には参加していないのです。

○ 従犯とは、犯罪を実際に行った人だけでなく、その犯罪を補助した人も従犯として責任を問われます。Eのように、強盗行為に使うと知っていてナイフを貸した場合などがこれにあたります。
  ただし、その処罰は実際に行われた犯罪について定められている刑の2分の1の範囲に減刑することになっており、実際に犯罪を犯した人より軽い刑が適用されます。

○ 従犯になるのは、凶器を貸したり、見張り行為をした場合などです。
  見張り行為については、共同正犯とすべきか従犯と見るべきか、裁判で争われることがあります。

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