福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2006年11月 9日

裁判員候補者は理由なく排除されることがある

 弁護人と被告人は、不適格事由などに該当する裁判員候補者について不選任請求権が認められています。これは理由を明らかにする必要があります。とくに「不公平な裁判をするおそれ」があることを理由とするときには、具体的にどういう理由で、その裁判員候補者が「不公平な裁判をするおそれ」があるのか、的確に示す必要があります。
 理由付の不選任請求がなされると、裁判所は、たしかにその事由に該当すると判断したら不選任を決定しますし、そうでないと考えたらその理由付不選任決定を却下することになります。この却下決定には異議申立ができます。
 裁判所も、職権で選任しないことを決定できます。
 また、弁護人らは理由を言わないで原則として4人まで選任しないよう求めることができます。
 弁護人が行使できる無条件の不選任請求は、原則として4人までです。仮に、検察官〜弁護人〜検察官〜弁護人という順番に無条件不選任請求が行使されるとしたら、検察官が排除するであろう裁判員候補者の予測を立てる必要があります。 
 というのは、検察官が二巡目に不選任請求すると思われる裁判員候補者を、弁護人が一巡目で無条件不選任請求するのは、4人までの不選任請求権の枠を一つ減らしてしまって、得策ではないからです。
 そこで、弁護人は質問手続きの場において裁判員候補者の回答をよく聞き、その挙動にも十分注意を払って、その回答の言葉と態度などをすぐ的確に分析しなければいけません。(な)

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2006年11月21日

年に36万人が裁判員候補者となる

 新聞報道(2006年11月19日、西日本新聞)によると、裁判員制度がはじまると、年に36万人が裁判員の候補者として選ばれることになるそうです。これは、有権者の280人に1人の割合です。
 そして、そのなかから、実際に裁判員になるのは補充要員をふくめて2万9000人です。これは有権者の3500人に1人の割合となります。
 選任手続きは、福岡地裁で毎年12月ころ、選挙管理委員会が選挙人名簿からくじで選んで作成した名簿にもとづき、翌年の裁判員候補者の名簿を作成します。これを候補者に通知するとき、あわせて調査票をで同封します。
 裁判員裁判がはじまったとき、裁判所は裁判員候補者名簿から、再びくじで50〜100人を抽出し、選任手続き期日の6週間前に呼び出し状と質問票を同封します。そして候補者は選任手続き期日に裁判所に出向き、そこで本人からの辞退申出が認められるかどうか裁判所がまず判断し、それで残った候補者について、検察官と弁護人の双方から質問があって、一定の要件で選任されない人が出たうえで、裁判員と補充要員が決まることになります。(な)

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