(2005/4/25) テレビ西日本 槌谷志保
かつて司法担当といえば、悠々自適な記者生活を送れる担当の代名詞でした。しかし、近年は注目される事件の公判や訴訟が多く、それに伴って最も忙しい担当の一つになっています。私が司法担当になって1年半が経ちましたが、この間にも様々な裁判の取材をしてきました。
驚かされたのは、二丈立てこもり事件のP被告。防護壁で囲まれた法廷も異様でしたが、何よりも公判の最中に不規則発言を繰り返し、時には弁護士に対しても不信感を露にした被告自身が私の眼には異様に映りました。その被告に対し、最後まで諦めずに心を開かせようと努力をしたのが公判を担当した2人の弁護士でした。公判が終わる度に、その日の被告の言動について私達に説明し、無期懲役が求刑された時には、「これまでのP被告の態度は、死刑の求刑が怖かったからだろう」と話していました。被告の自分勝手な犯行は許しがたいものですが、なぜ事件を起こしたのかという被告の心の奥に迫るためには、先生方の努力が不可欠だったと思います。
また、薬害肝炎訴訟では、弁護団の中で得意分野を役割分担するという手法や、意見陳述の中で、ボードを使って法廷内でのやり取りをわかりやすくするといった工夫も凝らされていました。弁護団では、法廷以外の場でも薬害肝炎訴訟への理解を深める努力やC型肝炎を周知してもらう活動を積極的に進めていて、こうした裁判では、何よりも世論の高まりが裁判の行方を左右するのだということを話していました。
裁判取材を通じて、私自身が改めて、他人の立場になって考えることを学んだ気がします。これからもますますのご活躍を期待しています。

