「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2018年9月12日

障害を理由に物件紹介を断られた

▼Q 私には視覚障害があります。就職を機にアパートを借りて1人暮らしを始めるため、不動産店に行きましたが、「大家さんが障害者には物件を貸したがらない」と仲介を断られました。

▼A 障害者差別解消法は、事業者による、障害を理由にした不当な差別を禁止しています。不動産店が、賃貸物件への入居を希望する客に対して、障害を理由に、大家さんや保証会社との交渉など必要な調整を行わずに仲介を断ることは、不当な差別に当たります。

不動産店の対応は違法であることを指摘し、大家さんとの交渉を求めてください。
仮に大家さんが「視覚障害者は火災を起こしやすいのでは」と心配しているなら、不動産店を通じて、あなたが過去に火災を起こしたことがないこと、視覚障害者に対する自治体の支援制度を受けることなどを説明すれば、心配が解消するかもしれません。ちなみに福岡市の支援制度では、火を使わない電磁調理器などが給付対象となっています。

それでも不動産店が対応しない場合は、自治体などが開設している相談窓口に連絡してください。差別の多くは、障害のある人とない人とで情報共有ができていないために生じている場合が多いと感じます。あなたが相談することで両者の情報共有を促し、社会から差別をなくす一助になるはずです。

お一人での対応が不安でしたら、弁護士が力になれることもあります。相談は福岡県弁護士会高齢者・障害者総合支援センター(あいゆう)=092(724)7709(受け付けは月~金曜の午前10時~午後4時)。

西日本新聞 9月12日分掲載(眞鍋彰啓)

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