「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
最新のコラムは水曜日朝刊に掲載されます。

2018年7月18日

いじめ自殺、繰り返させないために

▼Q 公立高校1年の友人の娘さんが自殺してしまいました。学校でいじめを受けていたようです。このような不幸なことを二度と繰り返さないために、私たちはどうしたらいいのでしょうか。

▼A 自殺の原因や背景事情をできる限り明らかにし、いじめの防止・早期発見や、万一いじめがあった場合の対策につなげていくことが、お子さんを亡くしたご友人の願いではないかと拝察します。

まずは、ご友人が、全生徒を対象にした調査を行い、結果を報告するよう学校に依頼することが必要だと考えます。時間が経過すれば生徒たちの記憶もあいまいになってしまうので、最初の調査はできるだけ早く実施することが重要です。

2013年に成立したいじめ防止対策推進法は、いじめが原因で子どもが自殺したり、長期欠席したりしている場合、学校が第三者委員会を設置して事実関係を調査すること、としています。

委員会は、弁護士、心理や福祉の専門家などの第三者で構成され、聞き取り調査などで事実関係を明確にします。この結果は保護者に提供され、教育委員会を通じて県知事へ報告されます。

学校側によるこうした調査が不十分だったり、納得いく説明がなかったりした場合は、県知事に要請し、改めて事実関係を調査してもらうことも可能です。

福岡県弁護士会は、いじめ問題や自死問題などさまざまな法律相談を実施しています。詳しくは弁護士会のホームページをご覧ください。

西日本新聞 7月18日分掲載(佐川民)

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