「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2018年7月4日

自転車事故、使える保険は

▼Q 自転車に乗って道路を走っていたら、歩行者にぶつかり、けがさせてしまいました。自転車には自賠責保険がありませんし、車の保険も使えず、被害者の方に治療費などの賠償ができるか不安です。使える保険はありませんか。

▼A 自転車は、自賠責保険を含む自動車保険の対象にはなりません。このような場合に加入の有無を確認すべき保険は(1)個人賠償保険(2)TSマーク付帯保険-です。

(1)は、独立した保険として契約している場合もありますが、火災保険や傷害保険、自動車保険の特約として契約されている場合が多いので、これらの保険の契約内容を再確認する必要があります。複雑な約款になっている場合がありますので、保険会社の窓口や弁護士に相談してみてください。

(2)のTSマークは、自転車安全整備士が点検整備した自転車に貼付されるもので、日本交通管理技術協会の自転車安全整備制度によるものです。TSマークには、傷害保険と賠償責任保険がセットで付帯されています。

ただし、保険期間はマークに記載されている点検日から1年間なので、年に1度、点検を受けていなければ保険が使えません。賠償範囲に限定がありますので十分な対応ができない場合もあります。

ほかにも、加害者の通勤中の事故だった場合には、勤務先の企業賠償保険が利用できる場合があり、使える保険はさまざまです。福岡県弁護士会は「交通事故サポート相談」で相談に応じています。初回無料。
電話=092(741)3208。

西日本新聞 7月4日分掲載(米山功兼)

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