「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2017年3月15日

「契約更新しない」会社から言われたら

▼Q 私は、今の会社に中途採用で入社しました。雇用期間は契約書上は1年ですが、契約は3回更新され、4年間勤務しています。ところが4回目の契約更新にあたり、会社から更新しないつもりだと言われました。経営悪化が理由とのことです。諦めるしかないのでしょうか。

▼A 期間の定めのある雇用契約の場合、契約の更新がされない限り、期間満了により契約は終了します。そして契約を更新するか否かは、原則として使用者の自由な判断で行えます。

もっとも(1)過去に反復して契約更新があり、更新拒絶が、契約期間の定めのない労働者を解雇するのと同一視できる場合や、期間満了時に契約更新を期待することに合理的理由がある場合で、(2)労働者が契約期間満了前または満了後遅滞なく契約更新の申し出などをすれば、(3)使用者が契約更新を拒絶することに合理的理由を欠くときは、更新拒絶は認められません。

相談者についても、3回の契約更新があり、契約更新の期待を持たせるような使用者の言動や制度の有無などによっては(1)の条件を満たす可能性があります。(2)の関係では、期間満了前にメールや文書で、契約更新の拒絶に反対の意思を表明しておく必要があります。(3)に関しては、人員削減の必要性の程度、無期雇用契約者との業務内容の相違など、諸事情が考慮され、判断されます。

契約更新を拒絶されそうになり、悩まれている方は、一度弁護士にご相談ください。

西日本新聞 3月15日分掲載(具志堅尚也)

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