「ほう!」な話『「ほう!」な話』は福岡県弁護士会の弁護士が西日本新聞紙上で執筆している法律コラムです。
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2016年11月16日

18歳は大人といえるのか?

▼Q 18歳の高校3年生です。先日、選挙で初めて投票し「大人になった」と感じたのですが、お酒やたばこは禁止されているし、携帯電話の契約には「保護者の同意がいる」と言われます。18歳は大人でしょうか?

▼A 昨年、公職選挙法が改正され、選挙権を持つ年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられました。投票については、18歳になればしっかりと判断できる、大人として扱ってもよい、とみなされたのだといえます。

一方、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙禁止法は、20歳未満の飲酒・喫煙を禁止しています。これらの法律は、主に飲酒や喫煙による若年者への健康被害を防ぐためのものです。

民法は20歳を成人になる年齢とし、未成年者が契約をするには親権者の同意が必要と定めています。判断能力が十分でない若年者が損害を受けることを防いでいるのです。

少年法は、20歳未満で罪を犯した者について成人とは違う処遇をすることを定めています。未熟で判断能力が乏しいことなどを考慮したものです。

何歳から大人と扱うかは、法律の目的ごとに決められているのです。

公選法改正をきっかけに、民法の成人年齢、飲酒・喫煙ができる年齢、少年法の適用年齢の引き下げが議論されています。

それぞれの法律がどのような点に着目して大人と子どもの線引きをしているのか。議論にあたっては、そこをしっかりと考える必要があるでしょう。

西日本新聞 11月16日分掲載(小坂昌司)

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